*物語の終わり
「悪くない」
オビ=ワンは、報告書を読みながら小さく頷いた。それは、事前にアナキンも目を通していたが、報告書が伝える情報提供者の死は、共和国にとって、決して有益なものではなかった。
「え? マスター? 」
「おや、アナキンはあのろくでなしを知らないのか? 私は何度も奴に騙された。……一度彼の妻に会ったことがあるんだがね、奴のせいで随分苦労しているようだった。あいつには一銭の値打ちもないと愚痴をこぼしていたよ」
オビ=ワンはにやりと笑って報告書にサインを入れる。
報告書には特別補足事項がある。そこには、オビ=ワンが立会い人となり、彼の妻との間に、いかなる場合にも関わらず夫の死亡時には共和国通貨で10万ドル払うとの記述が。
オビ=ワンはアナキンに報告書を渡す。
つまり、彼は、酒場で乱闘を起こし死亡することによって、その価値をいきなり価値を高騰させた。
「ハッピーエンドだな。アナキン」
*どっちもどっち。
「なんでだ、アナキン? どうして私にお前のスピーダーを貸してくれないなんて言うんだ」
オビ=ワンは帰りの足に困っていた。別地区にいるアナキンは、コムリンクに返事を返した。
「だって、オビ=ワン。俺のスピーダー、故障中なんです」
「アナキン。意地の悪いことを言うな。私はスピーダーがちょっと故障してしまって困ってるんだぞ」
大クラッシュ後のオビ=ワンの目の前には、完璧な整備がされているぴかぴかのアナキンのスピーダーが止められている。
*相手が悪い
男は、酒場で大演説をぶっていた。
「俺は、やっとわかったね! なんでこれほど共和国の平和が脅かされるのか!」
連れは、にやにやと笑いながら尋ねた。
「へぇ。それより、俺はあんたのご自慢のハンサムな顔についてる、その大きな青あざのわけが聞きたいよ」
「それこそが、この国の守り手が堕落している証拠だ!」
男は泣き出した。
「ずっげぇ美人だったんだよ! なのに初心くて簡単に部屋まで入り込むことが出来た。畜生! 色々言いくるめてベッドまで辿り着いたってのに、そこにアナキン・スカイウォーカーが帰ってきやがったんだ。オビ=ワンは、弟子はしばらく重大任務に着いてて帰れないから、困ってるならいくらでもゆっくりしていってくれって言ってたのに!! くそっ! ジェダイってそんなでいいのかよ!」
*ジェダイは清貧
オビ=ワンが多人数の強盗に絡まれていた。
ジェダイといえども多勢に無勢、その上、一般人にフォースで攻撃することを好まないオビ=ワンの形勢は不利だった。オビ=ワンが殴られる。
その様子に気付いたアナキンは慌てて師匠を助け出した。勿論、弟子にフォースを使うことに対する躊躇いはない。
アナキンは、オビ=ワンを助け起こしながら尋ねた。
「ね、オビ=ワン。あなた、そんなにお金を持ってないじゃないですか、怪我するくらいならいっそ抵抗せずに差し出しちゃったほうがずっと簡単に事が済んだんじゃないですか?」
「……ああ、うん。まぁ……そうなんだが」
オビワンは、服についた土を払いながら拗ねたように目を反らした。
「だって、アナキン。ジェネラル・ケノービたるものが、……財布にコイン3枚しか持ってないなんて知られたくないじゃないか!」
*世俗の交渉術
オビ=ワンは、女性のマスターたちに囲まれ困っていた。
「だって、昔はそんな決まりはなかったはずよ」
「ええ、まぁ、そうなんですが」
いくら交渉上手と名を馳せ始めたオビ=ワンといえど、腕も立てば、口も立つ、女性マスターたち相手ではたじたじだった。
すると、砂漠の星からやってきたオビ=ワンの弟子が驚いた顔で口を挟んだ。
「えっ、こんなきれいなマスターたちが、なんでそんな昔のことを知ってるんですか?」