子羊とオオカミ 4〜6

 

*誰を教育すべきか

 

命じられた任務を終え、コルサルトに戻ったオビ=ワンたち師弟は、ジェダイ聖堂に顔をだした。

「お久しぶりです。マスター。オビ=ワンと、そのパダワン、任務を終え、帰還いたしました。」

深々と身体を折り、挨拶をしたオビ=ワンの隣に、軽く頭を下げただけのアナキン。

アナキンの態度は、若いパダワンとして、許されるものではなかった。

鷹揚に笑うマスターヨーダの隣で、マスターウインドゥは、じろりと二人を見下ろした。

「ご苦労だった。ところで、マスターオビ=ワン、そのパダワンをしばらく聖堂に通わせなさい」

「ええっ!!」

アナキンは、一時たりとも彼の師と離れたくなかった。

だが、オビ=ワンは礼儀に適う態度で頷いてしまった。

 

ふてくされたアナキンが格闘場で、ライトセーバーを振るっていた。

彼のフォースの力は、やはり強く、二人のパダワン見習いが相手をしていたが、まるで歯が立たなかった。

オビ=ワンと供に、見回りに来たマスターウインドゥがアナキンに声を掛けた。

「アナキン。お前がここに通うようになって、どれだけ経った?」

「一月です。マスターウインドゥ。申し上げてもよろしいなら、俺、この一月、一度だって学んだと感じたことはありません」

アナキンは、憮然と返事を返した。

「俺は、マスターオビ=ワンの下で、実戦にだって出ている。こんなところに通う必要なんてありはしない。ねぇ、マスター?」

頷きかけたオビ=ワンの隣に立つ、マスターウインドゥの顔は、アナキンよりももっと憮然としたものだった。

「お前、弟子の意見をどう思う? オビ=ワンよ」

 オビ=ワンは、傲慢な弟子の態度を取りなすような笑顔を浮かべた。

初めて素直にアナキンが口をきいた。

「大丈夫です。マスターウインドゥ。俺は、マスターオビ=ワンの教えの通りに育っています」

厳格にマスターウインドゥは、頷いた。

「そうかね。では、アナキンの代わりに、オビ=ワンをここに通わすことにしよう。構わんな。オビ=ワン・ケノービ、君は毎日パダワンの送り迎えをしているようだしな」

 

 

 

*茶色の大きな人

 

飛ぶようにジェダイ聖堂から帰ったアナキンは、入れ替わりに出ていこうとする彼のマスターを見つけた。

「どこに行くんですか? マスター」

「ジェダイ聖堂だよ」

アナキンは駆け寄ったが、オビ=ワンの足は止まらない。

「今じゃないといけないんですか?」

アナキンは、師匠の後を追いながら舌打ちをした。

すると、珍しく彼のマスターまで舌打ちをする。

「お前のことでマスターウインドゥに呼び出された。何をしたんだ。アナキン」

「さぁ?」

心当たりのないアナキンは、首をひねった。

オビ=ワンは、スピーダーを前に、弟子に向きなおった。

「アナキン。今日は、マスターウインドゥの特別学習の日だったな。何を習った?」

「修養の授業を受けました。怠慢の結果という題で、作文をまとめました」

「お前は何を書いたんだ?」

パダワンが、何かとんでもないことでも書いたのではないかと、オビ=ワンは、顔を顰めながら質問した。

アナキンは、破顔した。

「マスター、俺は、白紙で出しました。だって、怠慢の結果ですから」

オビ=ワンは、この子を賢い。と、思った。

しかし、マスターウインドゥにはその手は通用しない。

オビ=ワンは、ジェダイ聖堂で待ち受けるマスターウインドゥの小言が最早聞こえているような気がして胃が痛くなった。

 

 

*じゃぁ、俺が馬鹿?

 

「じゃぁ、マスターは、今までにも何人にも言い寄られていたと言うんですね」

怒り狂ったアナキンは、彼の師匠を問いつめていた。

今日、逃げる分離主義者を追い立ち寄った酒場で、すぐさまに粉を掛けられていたオビ=ワンに、アナキンは嫉妬したのだ。

「マスター、それが正しいジェダイの姿なのですか! あなたは、堕落している!」

オビ=ワンは、弟子を軽くいなした。

「ああ、そうだとも、私は、きっと堕落したんだ。だが、問題はない」

嫉妬の炎が、アナキン焼いた。

弟子は、烈火のごとく怒った。

「何が問題ないんですか! マスター、あなたなんて、最初にあなたに言い寄った馬鹿と一緒になれば良かったんだ!!そうしたら、俺は」

オビ=ワンは弟子の言葉を遮った。

「なってるよ」

 

 

オビ=ワンの愛って微妙(笑)