子羊とオオカミ クリスマス企画
くるみ割り人形
ある任務の途中で、小さな女の子と、クワイ=ガンが話しをしていた。
「おじさんのお人形もかわいいの?」
「そうだとも、おじさんのは男の子だけどね。君の持ってるお人形と同じ金髪でね。君のと、同じくらい、かわいいんだよ」
クワイ=ガンは、オビ=ワンに軽い目配せをした。師は、甘く笑う。
オビ=ワンは、赤くなった。
しきりに顔を振り、クワイ=ガンに、会話を打ち切るように、目配せした。
だが、師匠はやめようとしない。
「それは、もう、かわいい、かわいい、お人形でね。私は、この十年来、手放したこともないんだよ」
「そんなの」
女の子は、自分のかわいいお人形よりクワイ=ガンが、すばらしい人形を持っているというので、悔しくなったようだ。
「私のの方がかわいいわ。私のお人形はね、、ネンネすると、ちゃんと目を瞑るのよ。おじさんのは、そんなことできないでしょ?」
「いいや。それがね。おじさんのお人形も、、上手にネンネさせえてやると、ちゃんと目を瞑るだよ。まぁ、そこまでの手順が難しいんだがね」
したり顔で少女と会話するクワイ=ガンの背後に、そのかわいいお人形がものすごい顔で立った。
リスキーすぎます。マスター
クワイ=ガン・ジンは、いろいろな星をさまよった結果として、さまざまな薬草に詳しかった。
オビ=ワンが、コンコンと、咳をしているのを見かねて、クワイ=ガンが、干草を取り出す。
「マイ・パダワン。この草を煎じて飲みなさい」
しかし、パダワンは、顔をしかめ、手を出そうとはしなかった。
「苦いからなんて、子供っぽいことを言うつもりなのかい?マイ・パダワン」
クワイ=ガンは、甘い笑いを浮かべる。
しかし、オビ=ワンの眉の間に寄った皺は、深刻だった。
「マスター、それ、……本当に効きます?」
「当たり前だとも、パダワン。これを飲んで、もう一度、私にこの薬草をくれと言った者はいないんだぞ?」
すてき老後
帰宅したアナキンは、楽しそうにオビ=ワンに話しかけた。
「今日、面白い方を助けました」
「ほう。それは、どういう?」
あまりにアナキンがくつくつと楽しそうに笑っているので、オビ=ワンは手を休め、弟子のほうへと向き直った。
アナキンは、本当に楽しそうだ。
「自分の歯に噛み付かれている方をお助けしたんです」
「一体、どこのクリチャーだ?」
「いえいえ、それが」アナキンは、にやにやと、オビ=ワンを見つめる。
「マスター、マスターも、ああいうことやりそうだから、気をつけて下さいね」
「は?」
「入れ歯はお尻で踏むと、怒って噛み付くみたいですよ? でも、もし、そうなったとしても、ちゃんと助けてあげますから、心配しないで下さいね」
マスターの気遣い
オビ=ワンは、アナキンという、パダワンを持ち、彼の将来を考えた結果、保険に入ることに決めた。
生命保険、火災保険、いくつかの書類にサインし終えたオビ=ワンは、アナキンを呼んだ。
「アナキン、これでもう、心配はないからな。もし、私が、明日死んだとしても、もし、この家が、明日火事になったとしても」
小さい子供に頬ずりせんばかりに抱きしめるオビ=ワンの背後に立つ、、保険の外交員にアナキンに聞いた。
「ねぇ、おじさん、もし、このうちが、今晩、火事になったら、どのくらいになるの?」
「そうですね。坊ちゃん。きっと、十年って、とこでしょうかね?」
辣腕の外交員は、オビ=ワンに、「生命保険のことを聞かないだけ、素敵な坊ちゃんです」と、にっこりと笑いかけた。
すばらしい!
オビ=ワンとアナキンは、ある星で、怪我をした小さな生き物を助けた。
コルサントで言えば、犬に近いその生き物が、オビ=ワンの胸に抱かれていたのは、まだ、目も開かないよう小ささで、その成長を見守り、やっと自分で立てるようになったとき、オビ=ワンは、目じりに涙が浮かぶのを感じながら、その生き物をみつめていた。
「すごいですね。マスター」アナキンが、オビ=ワンの背後にたった。
オビ=ワンは、アナキンにもたれかかるようにしながら、同じ感動を味わっているに違いない弟子の手をそっと握った。
「……そうだな。アナキン」
「ほんとうですよ。この仔の小屋が、俺の欲しい金属板一枚より、まだ、安いなんて、ほんとすごい世の中です」