*アナキンの交渉術 3

 

ある夜、任地に置いて、アナキンとオビワンが夜の見回りに出かけていると、橋の上から身を乗り出している男がいた。

「おいっ! そんなことしてると危ないぞ!!」

駆け寄るオビワンの後ろをアナキンが付いていく。

男は、死ぬしかないんだ。邪魔しないでくれと、オビワンに怒鳴った。

アナキンが、ぐいっと前に出る。

「じゃぁ、ぜひ、ここで飛び込むのだけは考え直してくれ。あんたがここで飛び込んだら、このマスターが間違いなく飛び込む。だけど、体型的な問題から言っても、マスターは、あんたを助けるどころか、一緒になっておぼれることになるだろう。そうすると、必然的に俺も飛び込まなくちゃならないことになる。俺は、二人も助けなくちゃならない。挙げ句の果てに、マスターは、自分一人でもなんとかなったとか、文句を言って、俺は、今晩一晩、すっかり小言を聞くことになるだろう。今夜は、冷えるし、なぁ、あんた、ここで飛び込むのはやめて、家に帰って首を括ってくれよ。なぁ、そうしろよ」

 

 

*うん。唇は柔らかかった。

 

砂漠の中を歩きながら、クワイガンは、拾うことに決めたフォースの強い子供に聞いた。

「なぁ、アニー。お前、ジェダイについて少しは知っているか?」

小さな子供は、クワイガンの弟子に子供らしく手を繋ながれながら、ジェダイマスターを見あげた。

クワイガンの質問に答え、こくりと、アナキンが頷く。

すると何故か、オビワンの頬が赤くなった。

「うん。ちょっとだけなら、味わったかな? ねっ、オビワン」

 

 

*そうか、そこが問題か!

 

「なんでだ。ただの目覚まし時計なんだぞ。なんでそれの修理に、お前にキスしてやらないといけないんだ」

オビワンは、工具を手に笑うアナキンを睨んでいた。

「確かに私は、失敗して時計を落とした。でも、だからって、キスは!!」

真っ赤になって怒鳴っているオビワンから、平然とアナキンは、目覚まし時計を奪った。

弟子は、破壊された目覚ましを器用に直していく。

「マスター。時計を落とすくらいのことは、誰だってします。それくらいのミスは誰でもする。けど、マスターの失敗は、それを拾っちゃたことでしょうねぇ……はい、できました」