僕の好きなマスター(小話2)

 

* 携帯食料

 

ジェダイが訪れる星は、いろいろな文化を持っている。

しかし、そんな文化の壁を乗り越え、宇宙に平和をもたらす努力をするのがジェダイだ。

「ああ、これは、困りましたな。ここの補給基地に食料が残っていないとは、予想もしていなかった。しかし、……保管庫、まるでうちの弟子の頭の中のように空っぽだ。さて、どうしたものか」

腕を組んで、唸るジェネラルケノービは、自分のジョークで場が和むことを期待し、むっと顔を顰めた弟子に対して、さりげない目配せをした。

しかし、師は、そんなアイコンタクトを弟子と取っている場合ではなかったのだ。

ここは、ヒューマノイドタイプがごく珍しい星なのだ。

「いいじゃありませんか。ジェネラル。あなたは、それでも、弟子をお持ちです。我々は、それすら全くない」

紫の触手は、器用に凡銀河共通語を話すと、オビワンの弟子を味見するように、するりと撫でていった。

吸盤が楽しげ色に点滅する。どうやら、気に入ったらしい。

「あの! うちの弟子は、骨ばってるし、筋肉ばかりで肉は硬いですし、全くおいしくなど!」

「マスター。そんなこと言ったら、柔らかくて、ふっくらしてるマスターが危なくなるでしょう!」

「ふっくらしてるってなんだ! 私が太っているとでも言いたいのか!」

だから、痴話喧嘩をしている場合でもないのだ。

 

 

* 教えて 

 

オビ=ワン・ケノービは、弟子の周りに群れる年頃の娘達にむっとしていた。

「アナキン!」

怒ったように袖を引いた師匠に、弟子は、困ったように笑う。

「マスター。彼女達から出来るだけ情報を引き出せって言ったのは、あなたですよ」

「しかし……」

オビワンは、着飾った貴族の娘達のくびれたウエストや、これみよがしに盛り上がっている胸が気に障った。娘達は、ぎりぎり下品にならない程度というアナキンの話題に笑いさざめいている。

「全く、近頃の娘達ときたら。……私の若い頃のように、あの娘達が真っ赤になって俯くなんて光景は、もう見ることができないんだろうな」

ぶつぶつと文句を言うオビワンに、アナキンがささやいた。

「マスター、それは、どんな話題をふればいいんです? ねぇ、マスター、教えて……」

もごもごと口を動かし、答えられないオビワンが、一番真っ赤になっていた。

 

                         END