朝の

 

師匠は深く眠っているようだった。

アナキンは、師匠に掛かったシーツをそっとめくり、白い肌が朝日の中で輝くのに目を細めた。

丸く盛り上がった尻を上に向け、オビ=ワンはうつぶせになって寝ている。

アナキンは、そっと師匠の足下に回り込み、軽く開いた足の間に手を潜り込ませた。

たっぷりとついた尻肉をかき分け、そっと尻孔に指先をあてがう。

師匠の尻はまだ濡れていた。

昨日のセックス時、たっぷりと塗り込んだジェルが外の短い毛を濡らしている。

眠い身体を弟子の指が触るのに、オビ=ワンが、呻いた。

弟子は、かなり慎重に動いていたが、目聡い師匠は起きようとしている。

だが、アナキンは、まだ、師匠が半ば眠りにあるのをいいことに、強引な動きに出た。

オビ=ワンの腰を抱き上げ、いきなりペニスを挿入した。

「ぐううぅ……、なに……を?」

なんとも色気のない呻き声を上げ、身体を丸めた師匠は、驚きに目を大きく開け、アナキンを振り返った。

額に寄せられた皺は、はっきりと挿入に対する不快感を示していた。

たしかに、眠りに落ちていた身体にいきなりの刺激が、心地良いはずがない。

だが、アナキンは、師匠の腰をがっちりと掴んで逃がさなかった。

「おはようございます。マスター」

昨夜十分に使って、柔らかくなっているオビ=ワンの尻孔は、持ち主の意に反して、使用者に快感だけを与えた。

アナキンは、睨み付けてくる師匠に微笑みを向けながら、ゆっくりと師匠の尻の中でペニスを動かした。

「うっ……アナキンっ!」

オビ=ワンは、まだ覚醒せず、上手く動かすことのできない身体をよじって拙い抵抗を示した。

ずりずりと擦り上げられる内壁に、オビワンは、強い違和感を覚えていた。

「……アナキン……気持ち悪い」

オビ=ワンは、シーツをきつく掴んで、唇を噛みしめた。

まだ、眠りから覚めきっていない腹の中を大きなペニスで強引にかき混ぜられるのだ。

だが、アナキンは、絡みつく肉を押し、また、師匠の中へとペニスを埋没させた。

「少し、我慢して。マスター。すぐ気持ちよくなるから」

アナキンは、手を伸ばし、額に落ちかかった師匠の髪を撫でた。

アナキンの言葉はあながち嘘ではなかった。

眠りから覚めてしまえば、昨夜じっくりとかわいがられたオビ=ワンの排泄孔は、性器として抜群の機能を果たす。

刺激になれ始めたオビ=ワンの口からは、はぁっ……っと、甘い声が漏れた。

「……んんっ……アナキンっ……十分昨日……した……だろっ」

オビ=ワンの手が、シーツをきつく握る。

だが、もう、不快感を堪えるためではない。

弟子から与えられる強引な刺激に、緩やかに身体を開き始めたオビ=ワンは、頬を赤く染め、熱くなる腹の底のちりちりとした快感をどうやり過ごすべきか考えていた。

オビ=ワンの手が、無意味に、シーツをひっかく。

アナキンは、なんとか逃げだそうともがく師匠を抱き込み、師匠の奥底でペニスをぐりぐりと動かした。

「十分? 嘘つかないで下さい。マスター。一回しかしてないですよ? だから、少しだけ……ねっ」

「一回って、お前、どのくらいやってたと……」

「たっぷりぐちゃぐちゃかき混ぜてあげましたもんね。おかげで、今、すっごく気持ちいいでしょ? マスター。した翌日って、随分敏感ですもんね」

アナキンは、すっかり艶めいているオビ=ワンの腰を掴んで突き上げた。

激しく腰を動かす。

早く、深い動きに、オビ=ワンは、慌てたように身体を丸め込んだ。

自分のペニスをきつく握る。

夜の間にすっかりと下腹部が重くなっているのだ。

急激に刺激されると、気持ちの良さよりもそちらの欲求の方が上回る。

「あっ、マスター。あんまり強くするとお漏らししそう?」

アナキンは、真剣な顔をしたオビ=ワンを笑った。

オビ=ワンは、弟子を睨んだ。

アナキンは、機嫌悪く寄せられた眉の間の皺を笑いながら、ふくれっ面にキスをした。

「じゃぁ、そっと」

アナキンのペニスが、ずぶずぶと師匠の直腸を奥深くまで犯す。

緩やかに開始された甘いセックスに、オビ=ワンの身体が暖まっていく。

 

オビ=ワンの目がきつく閉じられていた。

後、もう少しで体の中で高まった快感を押し出せるという時だった。

アナキンのペニスは、早く出し入れされている。

それが、たしかな重量をもって、ずぶずぶとオビ=ワンの快感を擦り上げる。

だが、その時だった。

アナキンがペニスを抜いた。

「あっ、……アナキン!」

師匠は、ふいの喪失感に、不満の声を上げた。

オビ=ワンは、知らず、白い尻を振って抗議をし、見下ろすアナキンに微かな楽しさを与えた。

アナキンは、そそり立ったペニスを見せつけるようにしながら、オビ=ワンの前に回り込んだ。

オビ=ワンは、弟子のペニスに眉を寄せた。

「アナキン……お前、ゴムも着けずに……」

アナキンは、オビ=ワンの目を見つめ、笑顔を浮かべると注意を無視する。

「いきたい? マスター?」

師匠は、弟子の太腿へと手を置いた。

「……そりゃぁ、勿論……」

目を伏せたまま、ゆるゆると弟子の太腿を撫でる師匠は、その奥のものに激しく誘惑されていた。

今までかき回されていた秘肉が弟子のペニスを求めうずいている。

アナキンは、オビ=ワンの首をそっと撫でた。

「ねぇ、マスター。今日は、午前中、お暇でしたよね?」

「……ああ……」

「ねぇ、じゃぁ、アレしませんか?」

アナキンは、襟足に隠されたオビ=ワンの首をなで続けながら、師匠に提案した。

「……」

首を撫でられながらの、アレ。

それをオビ=ワンは、明確に言い当てることが出来た。

それは、オビ=ワンの好きな遊びだ。

だが、師匠は、しばらく迷う目をする。

「……アナキン、嫌だって言ったら?」

「嫌じゃないでしょ。マスター、久し振りだから、緊張してますか?」

「いや、……べつに……」

オビ=ワンは、まだ、ためらってみせた。

アナキンは、二人の間にあるルールすれすれの脅しをかけた。

「マスター。やらないんだったら、もうセックスもここでお終いってことで」

アナキンは、オビ=ワンがもうどうしたって最後までいきたいと思っているのが分かっていた。

オビ=ワンが好きなアレ。

それには、いくつかのルールがあり、二人の間では、それが遵守されていた。

 

一つ、決して平時には、そのことを口にしない。その間にあったことを匂わせたりしない。

一つ、双方の同意があった時のみ、遊びを始める。

 

ルールがあるのは、オビ=ワン・ケノービというマスターの尊厳を守るためだった。

その遊びは、オビ=ワン・ケノービから、威厳を剥奪する。

 

一つ、その間も、お互いの名称をわざと変えたりはしない。

一つ、外傷の残るような愚かな真似はしない。

 

オビ=ワンは、首を撫でるアナキンの手を掴んだ。

オビ=ワンの欲望が、理性をうち破った。

「……約束を守ってくれるか? アナキン」

「俺が、約束を破ったことがありましたか? マスター。どんな風でも、マスターのことを一番に愛していますよ」

アナキンは、オビ=ワンの額に誓うようなキスをする。

 

オビ=ワンは、相手に隷属するようなセックスに対して、酷く激しい反応をみせた。

それは、師弟の間で、繰り返されるセックスに置いて、次第に顕著化してきたのだが、オビ=ワン自身は決して認めようとしなかった。

普段のセックスに置いて、弟子が傲慢な態度で事に挑むと、事後、師匠は、恐ろしく不機嫌になる。

感極まって泣きわめき、のたうち回ったあげくの果て、師匠は、弟子をきっぱりと切り捨てた。

なぜならば。

オビ=ワンは、アナキンを愛していた。

しかし、その愛をオビ=ワンは、自分で許すわけにはいかなかった。

オビ=ワンの愛は、ジェダイマスターにとって、許し難い執着に満ちていた。

アナキンの愛を購えるのあれば、師匠は、弟子の足下にだってひれ伏してしまいたい。

何もかも差し出しさえすれば、アナキンに愛して貰えるというのなら、師は、命すら弟子に差し出したかった。

だが、そんな自分の欲望をオビ=ワンは認めるわけにはいかなかった。

ジェダイマスターとしてのプライドにかけて、オビ=ワンは、自分たちの日常に、その誘惑を進入させるわけにはいかない。

だが、ほんの気まぐれに行われる遊びだったら。

「アナキン。絶対に約束を守るか? ……だったら……」

オビ=ワンの目が、期待に潤み、弟子を見上げた。

アナキンは、にっこりと微笑み返した。

「勿論、約束は守ります。マスター。俺と遊んでくれます?」

アナキンは、自分と師匠との間にあるのかもしれないものの受け入れやすい形を探していた。

アナキンのマスターのプライドは高い。

だが、いくらプライドが高くとも、年若く気高いジェダイマスターに掛けられている重圧は相当なものだった。

アナキンは、自分の希望を叶えて欲しいといいながら、師匠を解放する。

彼の好みを満足させられるセックスを提供する。

師に、それが一時の遊びだと納得させる。

そして、師匠が深くおぼれるのに気付かない振りをする。

アナキンは、師匠を深く愛していた。

「じゃぁ、マスター。まず、ベッドから降りて」

アナキンは声の調子を僅かに変えた。

任地で出会う敵と相対するときの、反抗を許さぬ威圧感を持って、弟子はジェダイマスターに視線を当てた。

オビ=ワンの足が素直に床に降りる。

アナキンは、師匠を褒めた。

「そう、いい子ですね」

オビ=ワンは、床に膝を着き、アナキンを見上げる。

師の目はこれからの期待にしっとりと濡れている。

「じゃぁ、首輪を取ってきますから、そのまま待っていてください」

アナキンは、床から見上げる師匠の頭を撫で、寝室を出た。

 

オビ=ワンは、アナキンが戻るのを心待ちにしていた。

アナキンが戻れば、オビ=ワンの首には、首輪が巻かれる。

それは、本物に比べれば、あまりにちゃちなおもちゃではあったが、オビ=ワンをその気にさせるのには十分な威力を発揮した。

首輪が巻かれた時、この気高いジェダイは、自分の弟子の奴隷になる。

それは、ただ、ひたすら、アナキンの言葉に従い、彼の関心を買うために媚びを売る存在だ。

だが、それは、オビ=ワンにとって、幸福な姿だった。

オビ=ワンは、自分の何もかもを差し出して、弟子のものにして貰いたいという欲望をいつも心に秘めていた。

師匠は、何物にも代え難く、自分の育てた弟子を愛していた。

だが、ジェダイという師弟か関係において、そんなものは許させるはずもなかった。

オビ=ワンは、アナキンを導かなければならない。

自分が従うのではなく、アナキンに従わせなければならない。

アナキンの下に組み敷かれている時ですら、忘れることを許されない気高さを、この遊びは全て捨てさせてくれる。

 

部屋に戻ったアナキンが、オビ=ワンの首に首輪を巻いた。

もうちょうどいい位置に調整された首輪は、無理なくオビ=ワンの首に巻き付いた。

かちりと、留め金が止められる。

「マスター。プラグ式のにして欲しいでしょ。本当は」

「無理だ。あれは、手術跡が残る……」

「でも、アレだったら、痛みも本物級に味わえますよ。神経繊維に直接刺激を与えるから、マスターきっと泣いちゃいますね」

アナキンは、オビ=ワンの首を彩るシルバーの首輪を撫でた。

この首輪は、おもちゃであるから、本物の奴隷たちの首を彩るような生体に直接組み込まれるようなものではない。

奴隷は、首に首輪からの情報を入力されるためのプラグを持つ。

それによって、奴隷達は、痛みや、あるいは、主人がその決定を下す死というものによって、隷属を余儀なくされた。

オビ=ワンの首輪には、死などない。

だが、体内における接続点を持たないおもちゃとは言え、首輪は、かなりの精巧さを誇り、皮膚の下を走る神経に大きなダメージを与えた。

痛みは、隷属することを楽にさせる。

首輪の巻かれた師匠の表情に安堵がある。

アナキンは、コントローラーのスイッチを入れた。

「……っっぅ……」

まだ、理性の残るオビ=ワンが、唇を噛んで耐えた。

だが、次第に、声が大きくなる。

痛みは、オビ=ワンから、尊厳を奪う。

「っううう……ああぁ……」

「苦しそうですね。マスター」

アナキンは、特別、オビ=ワンが痛みを欲しているわけではないことは知っていた。

本当のことを言えば、アナキンだって師に痛みを与えることが好きではない。

だが、屈辱的なセックスを好むこの師は、アナキンに罰せられるという状態が好きだった。

アナキンは、スタート合図代わりの痛みに身をよじる師匠をしばらく眺め、それから、スイッチを切った。

オビ=ワンが肩で息をする。

アナキンは、ベッドに腰掛け、師を誘った。

今まで、師匠の尻を穿っていたペニスを舐めるよう持ちかける。

平時には考えられない暴挙だ。

「さぁ、マスター。ご奉仕してください」

オビ=ワンは、口を開いた。

師は、嬉しかった。

それができるからではない。

自分の望みなどとは遠いところで、そうしなければならないからだ。

 

オビ=ワンの髭が濡れ、そこから胸へと唾液が伝っていた。

ひたすら弟子のペニスを舐め続けた顎がだるかった。

だが、弟子の声は冷徹だ。

「マスター。もっと奥まで飲み込んで」

「……っんぅ……」

弟子の命令通り、オビ=ワンは大きく喉を開く。

弟子のものを深く咥えた喉の奥が苦しかった。

だが、オビ=ワンにとってただひたすらアナキンに奉仕するのは、幸せだった。

アナキンの腿の脇にと置かれたコントローラー。

もし、怠ければオビ=ワンは、アレで罰せられる。

「……んんっ……」

ペニスを吸い上げながら、オビ=ワンは、喉が渇いたと思った。

過度の奉仕で喉の奥がひりついている。

オビ=ワンは、起きてから、何も飲んでいなかった。

オビ=ワンは、アナキンを見上げた。

ただ、オビ=ワンには、自分から願うことはできない。

首輪を着けた奴隷には、自ら飲食を望むことなど許されない。

アナキンの目が、師匠を見下ろす。

「可愛い顔して。マスター。あなた自分がどんな顔してるかわかってますか? 俺のすっぽり咥え込んで。もの欲しそうな顔しちゃって。一体何が望みなんです?」

アナキンは、大きく腰を突き入れた。

師匠の顔が苦しそうに歪む。

アナキンは構わず師の頭を押さえつけ、喉の奥深くまで犯した。

オビ=ワンがえずきあげる。

それに構わずアナキンは、オビ=ワンの口を使った。

師匠は、必死に弟子の腰に縋り付いている。

「……アナ……キン……」

「嬉しい? マスター?」

奴隷のオビ=ワンにとってそれを否定することなどありえなかった。

「……ああ」

オビ=ワンは、熱心に弟子のペニスに吸い付いた。

出来うる限りの努力をして、大きく喉を開ける。

苦しさに、目からは涙がこぼれ、髭をよどが伝ったが、オビ=ワンはやめなかった。

やがてアナキンは、師匠の喉の奥へと精液をぶちまけた。

粘つくそれに、オビ=ワンが咽せ上げる。

オビ=ワンは、水が欲しかった。

喉の奥が痛かった。

しきりに自分を撫でるアナキンを見上げ、僅かに口を開いた。

「アナキン……」

一仕事終えた奴隷ならば、機嫌のいい主人に僅かなものをねだっても不遜な行為ではないはずだ。

オビ=ワンは、おどおどとアナキンの足へと手を伸ばし、自分を見下ろす弟子を見上げた。

「アナキン……」

「はい。マスター」

「もし、許されるのなら、私に水を飲ませてはくれないだろうか?」

オビ=ワンは、十分にへりくだった態度を取ったつもりだった。

だが、アナキンの目が冷たくオビ=ワンを見た。

「マスター。誰が、おねだりを許しました?」

アナキンの手は、速やかにオビ=ワンに罰を与えた。

オビ=ワンは、首輪を必死にひっぱりながら、床を転がり回った。

「……っひぃっ!アナキン……アナキンっ!……」

声には悲痛な色があった。

痛みの固く瞑られた目からは涙が溢れていた。

短く揃えられた爪が、しきりに首輪の苦痛から逃れようと首をひっかく。

首輪が神経を刺激するのだ。

痛みは相当なものだ。

床の上でのたうつオビ=ワンを眺めていたアナキンは、小さくため息を吐き出した。

アナキンにとって、こんな師は、見ていて楽しいものではない。

だが、これが、オビ=ワンの望みだった。

アナキンは、この遊びの間、オビ=ワンために、師匠の上に君臨しなくてはならなかった。

懸命に努力する弟子は、だが、師匠のために、水を取りに立ちあがった。

スイッチの切れたオビ=ワンは、床に身体を丸め、激しい息を繰り返している。

アナキンは、コップの水をオビ=ワンに差し出した。

「落ち着いて飲んでください」

「……アナキン」

オビ=ワンは、震える手で、コップを受け取ろうとした。

コップはついっと、後ろへと引かれる。

「マスター。こういう時は、まず、先に礼儀を示すものでしょう?」

アナキンは、オビ=ワンを叱った。

飲みたくもない水を半分もアナキンは飲んでしまう。

オビ=ワンの目が、水を飲み干すアナキンの喉を羨ましそうに見た。

アナキンは、オビ=ワンにもう一度コップを差し出した。

「マスター」

アナキンは威圧的な声で、オビ=ワンに感謝を強要する。

これは遊びなのだ。

この背徳的な遊びを成功さえるためには、アナキンは、努力を怠ってはいけない。

オビ=ワンは、アナキンの前で膝を揃えて座った。

アナキンの様子をうかがうように、そっと両手を上げる。

「ありがとうがとう。アナキン」

オビ=ワンは、アナキンが頷くのを待ってから、半分に減ってしまった水に喉を鳴らす。

水は冷たかった。

もっとという欲求をオビ=ワンは堪える。

「おいしかった。アナキン」

オビ=ワンは、アナキンにコップを戻した。

「まだ、水滴が残ってますよ。舐めたら? マスター」

そういう浅ましい真似を、オビ=ワンの主人が望むのだ。

首輪をしている限り、オビ=ワンは、その声に従わなければならなかった。

師匠は、その姿を想像することもせず、舌を伸ばした。

主人の許可の元、奴隷は、コップの外側に付着した水滴に舌を這わせる。

僅かな水滴でしかないが、喉のかわいたオビ=ワンにとって、それはとても、おいしいかった。

全てのガラス面に舌を這わせたオビ=ワンから、アナキンは、コップを取り上げる。

「さぁ、じゃぁ、ご褒美を貰った事だし、マスターは、これからしなくちゃいけないことわかってますよね」

弟子が甘く笑うのに、オビ=ワンは、微かに頬を染めた。

 

オビ=ワンは、ベッドの上に上がった。

尻を高く上げた形で、獣の様に這いつくばり、自分から手を回して、白い尻を開いた。

アナキンのために、尻孔に指をかけ、中を晒す事までする。

先ほどまでアナキンのペニスでかき回されていたそこは、すっかりと赤かった。

ジェルに濡れる尻孔は、周りの毛をすっかりと濡らし、そこに添えられた師の指も濡らした。

「指を入れてみて下さい」

アナキンの指示に従いながら、オビ=ワンは、自分の困った欲求に耐えていた。

こんなことになるのであれば、水など欲しがらなければ良かったとオビ=ワンは後悔していた。

飲んだ水のせいで、身体が正しく朝の反応を示し、膨れあがった膀胱の重苦しさがしきりとオビ=ワンを苦しめた。

だが、勿論粗相など許されるわけもなく、また、アナキンに従うのが一番の義務であるオビ=ワンは、排泄欲求を堪えながら、自分の中へと指を埋めた。

中で指を動かす程、排泄欲は強まる。

だが、アナキンのために何かを我慢するというのは、オビ=ワンのどこかを刺激するようで、下腹に熱が溜まった。

前立腺の上で指を遊ばせているからという理由だけでなく、オビ=ワンのペニスが大きくなる。

オビ=ワンは、漏らしてしまいたくなるもぞもぞとした身体信号を無視したまま、アナキンのために指を動かす。

大きく拡げながら、ずぶずぶと指を動かし、その刺激に、ぶるりと身体を震わせた。

一度気になってしまうと、排泄欲求というものは、なかなかやっかいだ。

オビ=ワンは、一生懸命にそれを無視し、ただひたすらアナキンのための気持ちのいい肉になろうと努力した。

しかし、僅かな刺激にすら、激しく反応してしまう。

じっと見つめるアナキンの視線の下、気持ちよく我慢するなどという状態を越えてしまったオビ=ワンは、唇を噛みながら、尻の中で指を動かし続けた。

漏らすのを堪えるために、どうしても尻に力が入る。

指が上手く動かない。

高く上げた尻は、しきりに振られた。

アナキンは、そんな師匠を観察して、そっとペニスの周りを覆う陰毛の辺りに手を添えた。

「力が入ってますね」

「……アナキン」

濡れた師匠の目がアナキンを見上げた。

「おしっこ?」

アナキンは優しく笑った。

弟子は、師匠の太腿がしきりと摺り合わされるのを見ていた。

手を添えた下腹は、小さく震えている。

オビ=ワンが小さく頷いた。

「ずごくしたい?」

アナキンの声は優しい。

また、オビ=ワンが小さく頷いた。

アナキンは、うつぶせた師匠の身体を抱き上げた。

腕の中に収めた身体をバスルームへと運ぶ。

アナキンは、そこで、師匠を下ろした。

オビ=ワンは、床に膝を着いたまま、ペニスを強く握り、ただ、アナキンの声を待っている。

アナキンは、師匠にバスタブを跨ぐように言った。

そして、師匠に、バスタブの中で四つん這いになるよう言った。

師匠は従った。

アナキンは、オビ=ワンのために命じた。

「マスター。そこで、そのままして下さい」

オビ=ワンの目がアナキンを見上げた。

さすがに呆然と見開かれた。

こういうプレイが混じったことは今までにない。

だが、アナキンは、容赦しなかった。

「逆らいますか?」

アナキンは、師に対し、罰をほのめかした。

オビ=ワンは、本能的に身を竦める。

アナキンは、師匠の頭を撫でながら言った。

「俺の言うことが聞けない?  マスターはそんなに悪い子ですか?」

アナキンは、オビ=ワンから、プライドを根こそぎ奪うこれはいいチャンスだと思った。

きっと師は、そうして欲しいはずなのだ。

事実、アナキンの質問に対し、オビ=ワンの首が横に振られた。

金色の髪が、アナキンの手の中でくやりと乱れる。

「じゃぁ、出来ますね。したかったんでしょ? マスター」

アナキンは尊大に振る舞った。

オビ=ワンは、何時だって、アナキンに従いたがっているのだ。

その欲求をアナキンは叶えてやらなければならない。

「俺がしろって言ってるんです。できるでしょ? マスター」

「……ああ」

そう返事を返したのだが、オビ=ワンは、困ったように眉を寄せ、アナキンを見つめた。

オビ=ワンのペニスは、重く揺れるだけで、排尿しない。

「出ないんですか? マスター」

アナキンは、苦笑した。

師匠が、どうしてもできないと言うのであれば、実のところ、アナキンにはそうさせたいという欲求はない。

組んだ腕を解き、背中を向けてバスルームのドアを閉めるのに、弟子は全くこだわりがない。

だが、アナキンはやめるわけにはいかなかった。

これを望んでいるのは、師の方なのだ。

師を満足させてやりたいアナキンは、やめるわけにはいかない。

だから、アナキンは、自分の甘さに小さな舌打ちをしながら、師匠の額へと唇を寄せ、小さなキスを与えた。

「できないんだったら、ベッドに連れ帰りますよ。あそこでお漏らしするのと、どっちがいいです?」

弟子は、甘く、甘く、師匠を脅す。

いくつものキスを、アナキンは震える師匠に与えた。

オビ=ワンが望むだろう支配関係とこれが違う形だと分かっていても、アナキンは、どうしても、師匠に優しく振る舞いたかった。

アナキンにとって、時に、この遊びに息苦しい。

見上げる師匠の目は、アナキンだけを求めている。

この目だけで、アナキンには十分だった。

ただ、嵩高に師匠を見下ろすばかりでなく、アナキンは、師匠を抱きしめたい。

優しいキスがしたい。

だが、安心して師匠にこういう目をさせておくためには、アナキンの努力が必要だった。

アナキンは声を引き締めた。

「さぁ、マスター。ご自分がどういう立場かお分かりなら、今、しなければならないことが分かりますね」

アナキンは、一つ、オビ=ワンの尻を張った。

動物の尻を張るような無造作にだ。

ピシャンと、大きな音がバスルームにこだました。

オビ=ワンは頷くと目を伏せた。

師は、身体に力を入れた。

師の口から、小さな嗚咽が漏れた。

バスタブを水音が打つ。

「……マスター」

アナキンは、バスタブの床に広がる黄色を眺めた。

師の背中が震えている。

いや、背中だけではない。

喉も震え、師は泣いていた。

「……っぅ……っぅ……」

オビ=ワンは、バスタブの床についた自分の手が生ぬるい液体で濡れていくのを感じながら、激しい羞恥に身を焼いた。

こんなことまでする自分をオビ=ワンは、本当に馬鹿だと思う。

だが、同時に、アナキンの前で為すすべもなく無力な自分が全てをさらけ出しているのかと思うと、果てしのない安堵があった。

「……っぅ……っぅ……」

オビワンは泣いた。

下腹の圧迫感がなくなったというだけではない開放感がオビ=ワンを包んでいた。

アナキンの命令にきちんと従えた自分を誇らしかった。

そして、ここまでも愚かな自分をアナキンが見つめていてくれるのかと思うと、師は、涙が止まらなかった。

「……アナ……っぅ……キン」

師の従属への欲求が、どれほどアナキンにとって負担を与えているのか気づけないオビ=ワンは、ひたすらアナキンの優しい手に撫でられることを望んだ。

アナキンの手が、シャワーのコックに向かった。

師の上に、温かな湯が掛けられる。

それは、オビ=ワンの首にも掛かり、先ほど自分でひっかいた爪痕に少ししみた。

手も足も、汚れが全て流される。

涙を流すためか、頭からもシャワーを掛けられ、オビ=ワンは、ずぶぬれになった。

「マスター……」

アナキンは、頭を撫ではしなかったが、代わりにタオルで師の髪をぬぐった。

「ちゃんとできましたね」

アナキンが、まだ濡れているオビ=ワンの髪へと頬ずりをした。

アナキンから褒められたことで、また、オビ=ワンの頬を涙が伝った。

だが、ぽろぽろと零れるオビ=ワンの涙が、アナキンには辛かった。

「マスター、そんなに嫌でした?」

アナキンは、師匠に過度を負担を掛けすぎたのかと、自分を責めた。

師の望みを上手くかなえてやれない自分がアナキンには口惜しい。

「俺のこと嫌いになっちゃいましたか?」

「……いいや」

オビ=ワンは、否定した。

「いいや、いいや、アナキン……」

オビ=ワンは、繰り返した。

そして、師は、首輪を着けられた自分の立場を忘れて、アナキンにしがみついた。

声を出して、師は泣く。

「アナキンっ!……アナキン……!」

師は、どんなことであろうとも、アナキンのためならばできる自分が証明できたことが嬉しかった。

感極まったオビ=ワンは、泣きわめく。

だが、アナキンには、それがわからなかった。

おろおろとタオルごと師を抱きしめ、背中を撫でる。

「大丈夫ですか? マスター」

「……アナキン、アナキン……」

自分の中の歓喜に酔うオビ=ワンは、弟子の顔中に口付けをした。

泣きながら、激しく自分を求める師に、アナキンは、困惑した。

だが、アナキンは、必死に縋り付く師の様子に、今、自分が動揺していることなどできないと分かった。

アナキンは、強くオビ=ワンを抱きしめ、その身体を立たせた。

自分が濡れるのも構わず、オビ=ワンを抱き込んだ。

まるで子供のようにオビ=ワンは泣いている。

そして、激しく感じているのだ。

アナキンは、しがみつくオビ=ワンの手を片手で捕まえ、強く握り締めると、もう片手で自分の前を緩めた。

師には、壁に向かって手を着かせ、自分もバスタブを跨ぐ。

師の白い尻を持ち上げ、角度をつけると、アナキンは、下から突き刺した。

「……ぁああっっ!……」

高い声をオビ=ワンが上げる。

しゃくり上げる声を聞きながら、アナキンは続けざまに師を突き上げた。

「……っぅぁあん……んんっぁぁ……ぁん!」

普段の慎みに比べ、全く比較にならないほどオビ=ワンは、大きな声を上げた。

泣き声が間に交じる。

「アナキン!……アナキン!」

師は、自分から尻を突き出し、手を後ろに回して、アナキンを求めた。

アナキンは、オビ=ワンを抱きしめた。

苦しいほど、強く抱きしめる。

アナキンは、オビ=ワンの首をねじり、齧り付くようにキスをした。

「マスター。そうやって尻を擦りつけてるだけじゃ、俺のこと楽しませられないってわかってるでしょ?」

だが、抱きしめ、師の身動きが取れないようにしているのは、弟子の方で。

それでも、嗚咽を堪えたオビ=ワンは、弟子のために、自分で尻を掴み、動かし始めた。

片手だけで支える身体に、バスタブに着いたオビ=ワンの足がぐらつく。

もとより、逞しい弟子のペニスで、うずく肉を擦られ、がくがくと足が震えている。

「……アナキン……」

師は、弟子の満足を確かめようと無理をして振り返る。

オビ=ワンの目が、アナキンに愛を請うていた。

「マスター……」

弟子は、強く師を抱きしめ、自分の顔を覗かせなかった。

その目の前で、アナキンには、強がるだけの余裕がなかった。

「マスター……」

アナキンは、オビ=ワンのペニスを握り、扱いた。

首輪を着けた状態のオビ=ワンは、なんとしてもアナキンに奉仕を心がけている。

自分だけというわけに行かず、焦ったようにオビ=ワンが尻を振りたくった。

アナキンは、それを邪魔するように、オビ=ワンの尻の中を抉った。

「……っぁああっ!……っぁ!……んんああっ!」

「マスター。あなたのいってるとこ見せて」

アナキンは、師匠を抱きしめたまま、命じた。

とうに射精を堪えていたオビ=ワンは、アナキンの許しを得ると、ほんの一扱きで、壁に向かって精液を飛ばした。

ひくひくと前後に動く腰を捕らえ、アナキンは、更に師匠を追い上げる。

「……っぅあぁああ……あああああ!」

悲鳴に近く叫んだ師匠は、逃げるようにつま先立ちになり、そして、アナキンの腕の中に落ちた。

アナキンは、力の抜けた師匠をぎゅっと抱きしめた。

「愛してるって言ってください。マスター」

「愛してる。アナキン。愛してる」

はぁはぁと、せわしなく師匠は呼吸を繰り返した。

アナキンは、ずっぽりと師の尻を穿っているペニスを引き抜いた。

オビ=ワンを反転させ、抱き上げる。

師の背中は、壁に付いた。

弟子は、ぬめる師の尻にペニスを埋めた。

「俺を抱きしめなさい。マスター」

オビ=ワンは、しっかりとアナキンに抱きついた。

ジェダイナイトは、オビ=ワンを揺すり上げる。

オビ=ワンは、強く強く、弟子にしがみついた。

また、頬に涙が伝う。

「もっと強くです。マスター」

オビ=ワンの足は大きく開かれ、太腿は、弟子の腰を挟んだ。

師は、自分から腰を揺する。

「俺を気持ちよくして下さい。マスター」

アナキンは、快感に潤んだオビ=ワンの目を見つめ、命じた。

首輪をしたオビ=ワンに、否はない。

 

END

 

M体質なオビ。