ねぇ、だから、一緒に寝て?
サムの大きな手が兄の顎を掴むと、その力は頬に指が埋まるほど強いというのに、ディーンの目はうっとりと開かれたまま、じっと弟を見上げていた。
「……ディーンは馬鹿だ」
「馬鹿でいい……」
殴られ、色を変えた頬を腫らしながら、ディーンは唇を舐める。
「……馬鹿でいい。サム、お前が俺のものになるんなら」
「そんなことして、何になるっていうんだ」
サムは、床に膝を付き、傷ついた顔を堂々と晒すディーンを、火を吹くように睨む。
しかし、ディーンは動じない。それどころか、強い目で自分を見下す弟に媚を含んだ目を見せる。
「少なくとも、お前の人生で最低の男になれる」
こんな物欲しげな顔をした兄をサムは見たことがない。しかも欲しいというものは、弟のセックスだというのだ。
それを打ち明けられ、サムは思わずディーンを殴った。
だが、結局最低な兄に、乗っかられている。
「……サム、っ、ん、……サミー」
熱く絡み付いてくる肉壁は、しっとりと濡れ、ディーンが激しく腰を上下させるたび、粘膜を伝いそこから漏れるだすものは、サムの下腹まで濡らしている。
腹を打つ尻の肉は重く、柔らかく、嗅ぎ慣れた兄の体臭が、汗と一緒にサムの鼻へと漂っていた。
ディーンは、サムの腹に手を付き、懸命に尻を動かす。自重を利用した深い挿入に、硬いもので奥を抉られるディーンの中が、ひくひくと蠢き、サムを締め付ける。
ディーンの白い腹が、何度も息を吐き出している。
「っぁ、……っふ、は、……は、サム」
「兄貴、自分だけ楽しみすぎ」
合意で始まったわけではないセックスに、汗で額をにじませるサムは、主導権を譲ろうとしない兄の尻を一つきつく叩いた。びたんと、酷い音を狭いモーテルに響かせたディーンのペニスがぴくんと跳ねて
「っぁ!」
がくんとのけぞった首が天井を見上げたまま、ディーンは射精してしまう。サムの眉間にはますます険悪な皺が寄る。
「何? 兄貴、この上、俺は、そっちの趣味の面倒までみなきゃならないわけ?」
解放の強い快感に涙で目を潤ませたディーンが、はぁはぁと整わぬ息をして、サムのペニスを射精させるため、のろのろと腰を上下させる。射精に少し緩み、実は使い心地の良くなった尻を、サムは憎々しくい顔をして抓る。
「ディーン、緩い、んだけど?」
ぴくりとへこんだディーンの腹に力が入り、涙で重く繁った睫がサムをじっとみつめる。
「……悪い」
悪いのは、「愛している」などという言葉で、何もかもが方付くなどと思っている、その最悪に悪い頭だと、サムは兄の尻を酷く突き上げた。
END
サムたんに、いい思い……させてませんね。……ごめんなさい。