ミニミニ三銃士

 

*アトスの評価

 

「アトス、ここに私の書いた詩が置いてなかったか?」

「いいや、知らない」

銃士たちの中で、一番女にもてるアラミスは少し困った顔をしてアトスに笑いかけた。

「困ったな。今夜会う予定のとある女性に捧げるつもりのものだったのに。……アデリーヌが間違って暖炉にくべたかな」

「何を馬鹿なことを言ってるんだ?」

アラミスを、まるで諭し教えるようにアトスは見つめた。

「アデリーヌは、まだ3つなんだぞ。お前の詩が読めるわけないだろう?」

 

 

*勉強

 

教養のあるアトスに、ちょっとした憧れを抱くポルトスは、金色の髪も美しい友人にそれをこっそりと打ち明けた。穏やかな笑顔の友人もこれまたこっそりと男らしい友人の耳元でささやく。

「本を読むといい」

こうして、アトスとポルトスの友情はまたもや深まったわけだが、アトスが手始めにとポルトスに勧めた本の感想を聞こうとすると、ポルトスの顔には深い疲労の色が見えた。

「……アトス……あの本には、俺が知りたいと思うより、ずっと沢山のことが書いてある……」

 

 

*悪気はなかった。

 

酒場では、かなり色々な事柄があけすけに語られる。

その場の女性たちは自分に送られた詩をうっとりと口にしていた。

「……んー。どうかな。私は、その詩は甘ったるすぎていただけないと思う」

ぐいっと杯をあけたアトスは、ポルトスの膝に乗る女性に甘く微笑みかけた。

「君に捧げるのならば、もう少し知的なものでないと」

「……私が書いたんだ」

アラミスは、自分へと抱きついている女性の手をそっと解いた。気まずい思いのアトスは、過去に聞いた情感だけが取り得の気取り過ぎた、いかにも好かない詩を口にし、場を和ませようとした。アラミスが、席を立った。

「それも私が書いた……」

 

 

*ただの失敗?

 

都には旅芸人たちがやってくる。ダルタニアンは、隣を歩くアトスの袖をひいた。

「すごいぞ。アトス!あの男、馬の背中にとび乗って、腹の下をくぐったかと思うと、尻尾を掴んで背中に這い上がり、でもまた、腹の下に掴まって、そのまま走ってくじゃないか!」

「そうか?」

アトスは、にやにやとダルタニアンに笑った。

「僕がはじめて馬に乗ったときも同じようなものだったぞ」

 

 

*好き。

 

アトスはアラミスが好きだ。

「マダム。この世に美しくない女性などいないんですよ」

「いいえ。アラミス。そんなことはないの。慰めないで。私はわかってるの。私のこの鼻。このぺちゃんこのこの鼻。こんな鼻をしてて、あなたに恋をするなんて、許されないことなのよ」

わっと、女性は泣き伏す。アラミスは、女性の髪を優しく撫でる。

「マダム。マダムは天国からの階段をほんの一歩踏み外したそそっかしい天使が、美しくないとお思いですか? 私は、決してそうは思いません」

アトスは、アラミスが好きだ。