お馬さんごっこ

 

ヴィゴはベッドの端に腰掛けたショーンに、にやりと楽しげに笑った。

ショーンは、その顔に眉を顰めてみせたが、大きく手を広げて、ヴィゴを抱きしめようと待ち構えていた。

「ショーン!」

「ヴィゴ!!」

2人の再会の喜びは、大袈裟すぎた。

さっきまで、一緒のパブで飲んでいたのだ。

このホテルにチェックインしたのも一緒だった。

ただ、フロントで別れたのだ。

友人らしく。

大人としてごくスマートに。

そして、3分も経たずに、ヴィゴはショーンの取った部屋を訪れた。

ショーンの部屋は、ヴィゴが部屋に寄る時間など計算されていないかのように、ロックもされていなかった。

さっきまでの姿とまるで変わりなく、いや、変わっていたら困るのだが、ショーンは、 ヴィゴを迎え入れた。

ヴィゴは、飛び付くように、ベッドの上のショーンに乗り上げた。

ショーンの上に覆い被さって、シーツの上に押し倒す。

むさくるしく伸びている髪にも、役作りというには、いい加減過ぎる管理の無精ひげにもキスを降らせ、人目のあった場所では我慢させられてきた欲求不満を全て解消した。

ショーンは、大きな手で、襲い掛かってくるヴィゴを押しとどめようと笑っていた。

久し振りにあった恋人の情熱を受け止め幸せそうに頬のラインが緩んでいた。

「ショーン!ショーン!ショーン!」

ヴィゴは、キスだけでは、気が済まずに、ショーンの顔のあちこち齧り付いた。

甘い痛みに、ショーンは、ヴィゴの髪を引っ張った。

ショーンは、柔らかい手触りのヴィゴの薄い金髪に手で触れて、改めて、ヴィゴを抱きしめている実感が湧き、引っ張っていたはずの髪をくしゃくしゃとかき回した。

「ああ、ヴィゴだ。久し振りだな。こうやって、あんたのこと抱きしめるのは」

ショーンは、一緒の映画を撮っていた時よりも逞しく作られた体を抱きしめ、ヴィゴの肩で安心したようなため息を落した。

ヴィゴは、まだ、ショーンの髪にキスをいくつも降らせていた。

ショーンの、これも、役作りで大きく作っている体を自分の体の下に組み敷いて、せわしなく自分のものを確認するように、何度もキスを繰り返す。

ヴィゴは、ショーンに抱きしめられたまま、感激したように金の頭をかき抱いていた。

「試合が延長もせず、勝ってくれてよかったよ」

ヴィゴは、ほっとしたような声を出した。

その合間にも、髪にキスを続けていた。

「なんで?あんたは、特にサッカーに興味が無いだろう?」

ショーンは、あまり繰り返され、恥かしさに擽ったくなるようなキスに照れくさくなりながら、ヴィゴの背中を撫でた。

「ショーン、あんた、俺の話なんて、あまり聞いてなかっただろう?それに、試合が終わるまで、一歩も動かないつもりだった。はるばるアメリカから来た俺が側にいるってのに、おまけにあんたが、教えてくれっていうから、映画のストーリーまで、話してたってのに、あんたときたら、画面に夢中だ」

ヴィゴは、恋人の耳に齧り付いた。

「聞いてたか?この耳は俺の話を。プレミア帰りの主役から、映画のストーリーを聞こうってんだから、俺の恋人にも困ったもんだ」

ヴィゴは、ショーンの耳の中へと舌を突っ込んだ。

ひやりとする感触に、ショーンが肩を竦めて逃げようとした。

ヴィゴは、ショーンの頭を押さえつけて、中まで舌を入れて舐った。

ヴィゴの立てる音のいちいちに、ショーンが大きく反応した。

しきりに頭を振って、肩をびくびくとさせた。

「それは、嫌だって言ってるだろうが!」

ショーンが激しく頭を振るので、髪がヴィゴの頬を打った。

「嫌がるって、わかってるからするんだよ。久し振りの恋人より、サッカー観戦を優先させたあんたが悪いんだ」

「ヴィーゴ!」

唇を耳に寄せて、しゃべるそのくぐもった感じが嫌で、ショーンは、ヴィゴの頭を掴んで、無理やり自分から引き離した。

「嫌いなんだ。本当に、それは、嫌いだ。我慢できないんだ。もう、止めてくれ」

ショーンは、ヴィゴの唾液で濡れた耳をごじごじと手で擦りながら、鼻の頭に皺を寄せた。

ヴィゴは、敏感すぎる恋人の身体に嬉しくなって、目を細めて笑った。

「ショーン、鳥肌が立ってる」

ヴィゴは、ショーンの首を指差し、目尻を下げた。

ショーンの首筋は、ぽつぽつ粟立っていた。

ショーンは、その部分もごじごじと手で擦った。

耳の中に違和感が残るのか、小指を入れて、かき回していた。

「ヴィゴが、変なことをするから」

「変なこと?変なことは、これからするんだろう?」

ヴィゴは、ショーンの体を抱きしめ、今日始めての深いキスをした。

ショーンが口を開けて待っている。

舌が、ヴィゴの隙を伺うように、するりと先にヴィゴの口の中に入り込んだ。

ヴィゴは、ショーンのキスを受け止めて、お返しに、ショーンの口の中を舐め回した。

「ショーン、ただいま。やっと、ショーンのところへ帰ってこれたよ」

特徴的な薄い唇を噛むようにして愛撫しながら、ヴィゴは柔らかく笑う。

「おかえり、ダーリン 俺もあんたに会いたかったよ」

ショーンは、笑いながら、ヴィゴにキスの続きをした。

 

洋服を脱がせあって、体中を手で触れて、一度、ヴィゴとショーンは、満足のいく放出を終えていた。

煙草を吹かしているヴィゴの隣を、すこし疲れた顔のショーンが、バスルームへと歩いていく。

薄いライトがショーンの体を照らしている。

「ショーン、腰に力が入ってない」

ヴィゴは、めんどくさそうに足を引き摺って歩く、ショーンの姿をベッドの上から笑った。

ショーンは、ヴィゴを振り返り、急に背筋を伸ばした。

そうして立つと、ショーンのスタイルのよさは、誰の目にも明らかだった。

とにかくラインが縦に長い。

そして、今は、鍛えられた筋肉がその身体を覆っている。

「そうそう、腹も引っ込めて」

ヴィゴは、ホテルの壁から浮かびあがったすばらしいスタイルのショーンを、わざとからかった。

映画のために、ウエイトを増やしているショーンは、いつもにくらべると、体のラインがふくよかだった。

意識して横に増やしている面積は、よくトレーニングされて、綺麗な筋肉になっていた。

それを、ショーンが自慢に思っているのを知っていて、ヴィゴは、にやにやとショーンを笑った。

ショーンは、真っ直ぐに立ったまま、ベッドにだらしなく横になっているヴィゴを見下ろした。

どんな風にでもコントロールが可能な表情は、冷たくヴィゴを見下し、馬鹿にしたような色を瞳に浮かべた。

「ヴィゴ。あんたも気をつけたほうがいいぞ?その腹、今は締まってるけどな。油断したらすぐだからな」

緑の目は、どんなにも傲慢で、つんと、突き出した鼻は、齧りついてやりたいくらいに意地悪だった。

ヴィゴ自身、こんどの映画のために、体が作り込んであった。

胸のあたりは、シャツに張り出すような筋肉を誇っている。

そういう体の肩のラインが、特に好きだとショーンは言う。

ヴィゴは、煙草をもみ消しながら、ショーンに向かって唇を横に広げた。

笑いかけるというより、からかっていた。

「シャワー?一緒に行ってやろうか?」

ショーンは、ひらひらと手を振って、さっさと歩きだした。

「ノーサンキュー。あんたと一緒に行ったら、いつ出て来れるかわからん」

ショーンに取り付く島はなかった。

ヴィゴは、ドアノブに手をかけるショーンの後姿に追い討ちをかけた。

「それは、あんたが好きものだからさ。俺は、別段、風呂場になんか拘らないね」

ショーンは振り返りもしなかった。

「そうだな。ヴィゴ、あんた風呂嫌いだからな」

長い指を最後にひらひらと振って見せて、ドアの中へと姿を消した。

どうして、一人でバスルームへ行きたがるか、全く感じさせず、最後まで、つんと済ましていたショーンに、ヴィゴは、もう一本煙草を咥えると、ベッドの上にばたんを倒れ込んだ。

 

ヴィゴは、石鹸の匂いをさせ、帰ってきたショーンを抱きしめて、綺麗になった顔にキスを繰り返していた。

ショーンは、擽ったそうに笑っていた。

「ショーン、あんた、今日俺が話して聞かせたこと、どのくらい覚えてる?」

ヴィゴは、緑の目の直ぐ側に出来た笑いジワを唇で挟みながら、意地の悪いことを言った。

「…どのくらいって」

ショーンは、困ったように唇を尖らせた。

ショーンは、ヴィゴが映画のストーリーを話し始めた当初から、もう、試合の方に夢中だった。

そういう時のショーンの集中力は、ヴィゴが呆れるほどだった。

緑の目がヴィゴの視線を避けるように天井を見上げ、しかし、いいことを思いついたようにきらきらと光った。

「ああ、でも、映画を撮ってる最中の話なら、知ってるぞ?ヴィゴ、あんた、砂漠でも裸足でいて、スタッフを震え上がらせていたんだってな」

ショーンは、得意そうに笑った。

現代社会と、いうやつは、便利なようで、余計なことばかり、情報が流れていく。

ヴィゴだって、あんなに重厚に見えるショーンの鎧が実はプラスティック製だということを知っていた。

「あんたは、ちゃんと映画館へ行け。そんなどうでもいいことばかり、知ってなくていいんだよ」

ヴィゴは、ショーンの唇が尖る前にキスをした。

しかし、ショーンは、唇が離れた途端に、また、どこで仕入れたのか、自慢気に知識を披露する。

「ヴィゴが、今度の馬も自分のものにしたことも知ってるぜ?」

ショーンは、映画の内容は、チラシに書かれたことくらいしか知らないくせに、知らなくてもいいようなことはよく知っていた。

ショーンは、そんな自分に少しの引け目も感じていない顔をして、ヴィゴの下で、輝くように笑っていた。

ヴィゴは、その表情をみて、くすりと笑った。

「そうだな…ショーン、あんたは、やっぱり、アラブ馬って感じだな」

ヴィゴは、ショーンの顎を片手で掴んで、右も左も検分すると、体の上からも退いて、長い手足をしげしげと見つめた。

「その顔立ちといい、手足の感じといい、ショーン、あんたが、馬だったら、きっとなかなかの名馬だ。きっと、すごい美人だな」

ショーンは、顔を顰めた。

「馬?例えられても嬉しくないが…」

「じゃ、何の役がやりたい?今回の映画は、あんたのはまり役がないんだ」

ヴィゴは、一緒に撮影した馬の中で、一番美しかった黒いのよりも、もっと気位の高そうな馬になって、スタッフを踏みつけにしそうなショーンを想像して笑った。

いや、実際のショーンは、スタッフを踏みつけになんかしない。

それどころか、外面は、ヴィゴなんかよりずっといい。

ショーンは、すっかり困惑した顔をした。

「なに?ヴィゴ。俺、あんたの映画に出る気なんて全くないんだが」

「まぁ、いいじゃないか。想像だよ。面白いだろ?名馬に乗る王子の役。イギリス女に仕える騎手の役。それから、略奪者のアラブ人。どれがやりたい?好きなのを選ばせてやるぜ?」

ショーンは、本当に映画のストーリーを知らないのだろう。選びきれずに困っていた。

「あんたと絡みが多いのは?」

「絡み?暴力シーン?ラブシーン?」

ヴィゴは、ショーンの目をのぞきこんで尋ねた。

ショーンは、小さくため息をついて、枕の上で、顔を横に向けた。

「ラブシーンって、女の役か?…いいよ。俺、馬にしておく、人間の役を選んだら、何をされるのかわからんからな。あんたが乗る馬じゃなくて、その美人だとかいうアラブ馬にでもしておくよ。それでいいか?」

ショーンは、腕をヴィゴの背中に回した。

ショーンにとって、もう、劇場にかかっている映画のキャスティングなんて、どうでもよかった。

それよりも、明日の10時には、このホテルから立ち去るヴィゴを味わう方が大事だ。

ヴィゴがとんでもなく嬉しそうな顔で笑った。

いきなりショーンの体を抱き上げ、ひっくり返した。

「そう。ショーンは、馬が希望なんだ。そりゃ、それに見合う扱いをしてやらないとな」

ショーンは、シーツにべったりと顔がついた。

がっかりと、いった感じに体中の力がぬけた。

「…ヴィゴ…何をする気だ…」

ヴィゴは、ショーンの背中に唇を寄せた。

「楽しいこと」

ヴィゴの声は思いついた企みに弾んでいた。

「…ハイテンションなのは、結構だがな、人に迷惑をかけるような真似はするな」

まるで、ショーンの言葉など聞いていないヴィゴは、ショーンを四つん這いにさせると、一つ尻を叩いた。

 

ショーンは、ヴィゴのやり方に、あきれ返って、言葉も出なかった。

2人だけでする馬鹿なことは、ショーンだって嫌いじゃないが、これは、笑える限界ぎりぎりだと思った。

「お馬ちゃん」と、呼ぶのは、まぁ、我慢してもいい。

鬣にするように、首にキスするのも、許してやる。

しかし、ふざけて背中に乗ろうとしたので、振り落としてやると、ヴィゴは、なんと、ネクタイをショーンの口に噛ませた。

それを手綱にして、ショーンを仰け反らせながら、素早く繋がった。

尻を叩いて、前に進めと言う。

「ヴィゴ!」

息苦しい口元で、ショーンはヴィゴを怒鳴りつけた。

「本当に、気位の高い馬だね。美人だけど」

ヴィゴは、ショーンの尻を突き上げながら、ヴィゴは、悪戯の成功を楽しんでいた。

ショーンが、怒っているのを知っていて、まだ、ネクタイの手綱を放さなかった。

ショーンの大きな尻を撫で、時折、鞭を入れるように鋭く叩いた。

ショーンは、叩かれるたび、尻を振って、怒った。

「ショーン、ヒヒーンってできる?」

ヴィゴは、ネクタイを引き寄せ、ショーンの上半身を起こそうとした。

ネクタイを噛まされているショーンは、引かれる力強さに、上体が持ち上がりそうになった。

シーツにしがみついて、抵抗する。

「馬鹿が!止めろって、いい加減にしないと怒るぞ!」

ショーンは、首を振って鼻息を荒くした。

そうしていると、伸ばされた髪が鬣のようで、本当に、嫌がって暴れている馬のようだった。

「ドウ、ドウ。もう、怒ってるくせに、これ以上、どう怒るんだ?お馬ちゃん」

ヴィゴは、ショーンの背中を撫で、怒りのあまり赤くなっている首筋にキスを落した。

ネクタイは放さない。

「わかってるなら、今すぐ止めろ!こんな遊びは、迷惑だ!」

ヴィゴは、腰を揺すりながら、何度もショーンの好きな肩甲骨の下辺りにキスを繰り返した。

けれども、ショーンの態度は軟化しない。

「アラブ馬は、嫌か?」

ヴィゴは、首を傾げた。

いつもなら、ヴィゴの言うなりになっていても不思議じゃない部分を突き上げても、ショーンは、怒ったままだった。

「馬、全部が嫌だよ。…ああ、もう、こんなばかげた遊びは止めてくれ。俺は、普通にあんたとしたいんだ」

ショーンは、とうとう手を使って、ネクタイを毟り取った。

背後に伸し掛かっているヴィゴも押しのけた。

ヴィゴは、ベッドの上に足を投げ出して座って、膝立ちになっているショーンに見下ろされた。

冷ややかな視線が、ヴィゴを見下ろしていた。

「…おもしろくない」

ヴィゴは、小さく呟いた。

取り上げられたネクタイは、ショーンの手の中で、くしゃくしゃと丸められた。

なかなか気に入っていたデザインだったが、ショーンの唾液で、べどべどに汚れていた。

「ああ!?面白くないだと?じゃ、あんたが馬になるか?それなら付き合ってやるぞ?」

ショーンは、鼻息も荒く、ヴィゴをネクタイの鞭で、鋭く打った。

濡れた布が、ヴィゴの肩を叩いた。

 

ヴィゴは、ショーンにタックルをかまして、ベッドに転がすと、両手でショーンの顔を押さえ込み、息が止まるようなキスをお見舞いした。

ショーンは、キスに応えた。

深く舌を絡めると、鼻からいい声を漏らしてヴィゴの背を抱いた。

普通のセックスだったら、まだ、ショーンが乗り気なのが、ヴィゴに伝わった。

ヴィゴは、にやりと口元を緩めた。

まだ、気が済んでいなかった。

「じゃ、ショーン、あんたに、イギリス女の役をやらしてやるよ。馬じゃなきゃいいんだろ?ほら、俺を誘うんだ。思い切りはしたない顔をして、俺を誘惑して、ベッドの上で伸し掛かるんだ。どう?こっちの役なら、やってもいいだろ?」

ショーンは、映画のプレミアに行かなかったことを後悔した。

確かにCMでは、それっぽいシーンを流していたが、ヴィゴがどこまで本当のことを言っているのか、わからなかった。

にやにや笑いが、胡散臭かった。

けれど、そうしなければ、ヴィゴの気紛れが収まりそうにないことも分かっていた。

ショーンが、サッカー観戦中で、恋人を蔑ろにした罰が、この遊びなのだ。

ショーンは、ヴィゴを押し倒して、上に覆い被さり、自分から、ヴィゴの唇に吸い付いた。

 

ショーンは、ヴィゴの体を跨いで、キスをねだるように、胸をヴィゴの口元に寄せていた。

ヴィゴは、両手でショーンの脚に触れていた。

膝小僧から、順に、太腿を撫で上げていた。

その掌の感触が、ショーンの腰に甘い痺れを味あわせていた。

「ヴィゴ。吸って。ここ、吸ってくれ」

乳首だけを口に含ませても、ヴィゴが芳しい反応を見せないので、ショーンは、自分で胸の肉をかき集めた。

恥かしいショーンの態度にヴィゴが満足そうに笑った。

そして、チュウチュウとわざと音を立てて、ショーンの乳首に吸い付いた。

趣味の悪い恋人の態度に呆れながらも、ショーンは、この遊びに付き合っていた。

左が十分固くなると、今度は右を差し出す。

ショーンは、ヴィゴの頭の脇に、手をついて、身体を支えながら、小さく何も息を飲んだ。

乳首を吸い上げられると、自然と尻が揺れてしまう。

ヴィゴは、右の乳首に吸い付きながら、ショーンの尻を掴んで、左右にわけた。

落ち着きなく浮き上がっていた尻は、開かれて空気に晒されると、先ほどまでの刺激を思い出して、大きく振られた。

ヴィゴの指が、割れ目を撫で、ショーンに期待と、焦燥感を与える。

「…ヴィゴ」

ショーンは、恥かしさを堪えて、わざとらしいほどの声で誘った。

そのショーンの声に、ヴィゴは、小さく舌を鳴らした。

「あんたは、俺を垂らし込む役なんだぜ?そんなおしとやかに誘われても困るな」

ショーンは、乳首に吸い付いているヴィゴを睨んだ。

ヴィゴは、歯を見せて笑った。

ショーンの眉の間に刻まれた深い皺を嬉しそうに笑っていた。

「こんな風にする映画が、普通の劇場でかかるもんか」

「どうだろうな。この辺くらいなら、まだ、ぎりぎりじゃないか?」

ヴィゴは、ショーンの穴の中へ指先をもぐりこませながら、乳首に少しだけ歯を立てた。

ショーンが、身体を強張らせて、声を上げる。

立てていた腕を曲げで、ヴィゴの唇にもっと胸を押し付ける。

ヴィゴは、笑った口のまま、ショーンの胸に吸い付いた。

乳首だけでなく、周りの肉も唇を押し当て、口全体で、ショーンを可愛がった。

穴を開いている指先は、焦らすように第一間接までしか入れなかった。

ショーンが、しきりに腰を捩る。

すでに固くなっているペニスを、ヴィゴの腹に押し当てる。

「ショーン、俺のこと、誘ってくれよ」

ヴィゴは、自分のことに夢中になっているショーンにお願いをした。

ショーンは、閉じていた目をうっすらとあけ、ヴィゴを見つめた。

「…ヴィゴ、してくれ」

ショーンの唇のなかでひらめく舌が、とてもいやらしかった。

しかし、ヴィゴは、認めなかった。

「違う。そういうのじゃなくて、もっと直接的な方法で誘って欲しい」

ヴィゴは、ショーンにキスを与えながら、ショーンのやり方に注文をつけた。

ショーンはヴィゴの上に体を起こした。

膝立ちになって、ヴィゴの顔に腰を突きつけるような格好をした。

それから、身体を真っ赤にして、自分の手で尻を開いた。

「ここに、ヴィゴのペニスを入れてくれ」

極上の声が、ヴィゴの鼓膜を震えさせた。

目の前に突き出されている濡れて光ったペニスと、ショーンの手によって開かれた尻は、どうしょうもなくヴィゴを煽った。

一度出してなかったら、間違いなくショーンに襲い掛かっていた。

こんなサービスは滅多に味わえるものではない。

この間のデートから、思い切り期間が空いたから、ショーンも、いろいろ溜め込んでいるものがあるということなのだろう。

ヴィゴは、尻の間に指を入れて、奥まで濡れていている内部を優しく撫でた。

ショーンが一人で行きたがるバスルームの秘密だ。

ヴィゴは、ショーンのこういう秘めやかな部分も好きだった。

だが、まだ、ヴィゴは、ショーンに要求した。

今日は、とことん困らせたい気分だった。

パブの時、サッカーにショーンを横取りされたヴィゴの気持ちは、こんなものでは収まらない。

あの場で犯されなかっただけ、ショーンは、良心的な恋人を持ったと思って欲しかった。

「ショーン、あんたの役は、もっと積極的なんだ。分かるだろう?あんたが何をすべきか。俺が何を望んでいるか」

ショーンは、ヴィゴの指を飲み込んで振っていた腰をセクシーな角度に捩った。

よく張り出した胸から、下腹にかけて、もっとも綺麗に見える角度で、ヴィゴのことを誘惑しようとしていた。

むっちりと肉のついた尻の間にヴィゴの手が差し込まれていた。

それだけでも、たまらない眺めだ。

「欲しくない?」

ヴィゴは、ゆっくりと指を動かしながら尋ねた。

ヴィゴは、どのくらい自分が我慢できるか、考えながら、ショーンの腹にキスをした。

「…欲しいさ」

ショーンは、その刺激に、きゅっと尻の穴を絞めた。

ヴィゴの指を、なにかと間違えたように、気持ちよく締め付ける。

「じゃ、どうぞ。好きにしたらいい」

ヴィゴは、自分のペニスをショーンに向かって突き出した。

けれども、それ以上は動かなかった。

ショーンは、まず、ヴィゴの指を自分の中から引き抜き、じっと見つめているヴィゴの頬にキスをして、照れくさそうに笑うと、目を閉じないか?と、叶えられるわけのない願いを口にした。

「だめだね。俺は見ていたい」

ヴィゴは、余計に大きく目を開いた。

ショーンが、肩を落す。けれども、笑う。

ヴィゴのペニスに手を添えると、大きな尻をその上に落していく。

心地よい温度が、ヴィゴのペニスを包んだ。

もう、締め付けようとしている。

「ヴィゴ、満足?」

ペニスの先を含んで、息を吐き出しながら、ショーンがヴィゴに尋ねた。

勿論、ヴィゴは頷く。

するとショーンは、その状態で、小さく尻を動かし始めた。

ペニスの敏感な部分ばかりを刺激され、ヴィゴが眉を顰める。

自分のペニスももう、よだれをたらしているのに、ショーンは、ヴィゴを笑う。

ヴィゴは、ショーンの腰を掴んで、ずぶっと、奥まで貫いた。

ショーンが背中に真っ直ぐな棒でも通されたような姿勢になった。

しばらくそのままでいて、大きく息を吐き出した。

内部の肉が、ヴィゴに絡みつきはじめると、ショーンは、自分で腰を揺すりはじめた。

ヴィゴの腰に尻を打ち付ける。

ヴィゴの胸をしきりに触りながら、腰を回して、目を閉じている。

「気持ちの良さそうな顔をしやがって」

ヴィゴは、ショーンの腰を掴んで、何度も下から突き上げた。

ショーンが、ヴィゴの上で跳ねる。

髪を振り乱して、ヴィゴのリズムにあわせる。

それは、まるで馬に乗っているようだった。

映画の中で、ヴィゴが馬の背で跳ねたように、ショーンが跳ねる。

「…結局、俺が馬役か」

ヴィゴは、精々、暴れ馬になって、ショーンを慌てさせた。

 

「気が済んだ?」

ショーンは、ベッドにうつ伏せになったまま、ヴィゴに笑いかけた。

すこし、くまの浮かんだ目元に髪が被さり、とても色っぽい眺めだった。

「ショーンこそ、気が済んだ?」

ヴィゴは、ショーンに擦り寄って、肩や、背中にキスを落した。

ショーンが頷く。

その頬を、また、ヴィゴがキスしていく。

「あんたは、キスするのが好きだな」

ヴィゴといると始終いろんな部分にキスを繰り返されている気がするショーンは、ヴィゴにされるままになりながらくすくすと笑った。

「気持ちがいいだろ?するほうも、される方もさ」

ヴィゴは、飽きもせず、ショーンの汗に濡れた背中に唇を落していた。

「だから、さ。ショーンもけちらずに、俺にキスしてくれよ」

ヴィゴは、ベッドに顔を埋めてしまった恋人を優しくなじった。

ショーンが、身体を返した。

腕を伸ばして、ヴィゴを抱きしめると、むーっと、唇を突き出した。

 

END

 

BACK

 

 

はい。OoF観てきました。(笑)

ものすごく楽しかったわけです。

そういう訳で、今回は、OoFと、ロンドンデートの複合技です。(笑)

いや、ただのいちゃいちゃと言ったほうがいいか。(笑)