お医者さんごっこ

 

ベッドは大きな音を立ててきしんでいた。

ヴィゴが腰を使うたびに、ぎしぎしと揺れる。

ショーンは、その下で、強く押し付けられる腹の感触を尻で味わっていた。

勿論、尻の中には、今、一番硬いだろうものが、居座っている。

ショーンの口からは、ベッドの音に負けないだけの大きな声が出ていた。

持ち上げられた太ももは、ヴィゴの背中に絡みつき、強く挟み込み離そうとはしない。

「んんっ!ん・・・ヴィゴ!ヴィゴ!」

擦りあげられる内部の熱さに、ショーンは、はぁはぁとせわしない息を吐き出した。

吐き出す息の熱さに、乾く唇を下が何度も舐めた。

瞳が潤み、額には、いくつもの、汗が浮かんでいる。

「ああっ!いい!」

ピンクに色づく胸は、汗に濡れて、艶やかに光っていた。

額にも金色の髪が張り付いた。

ヴィゴが腰を突き上げるたびに、ショーンの体が前後に揺れた。

柔らかい肉を付けた腰が、なまめかしく動く。

ヴィゴも、汗を浮かべていた。

ショーンの足が絡みつく腰は勿論のこと、胸にも汗が噴き出し、胸毛が体に張り付いていた。

ヴィゴは、かすれた声を出した。

「いいのか?いいんだな。ショーン」

「いい!んっ!・・・いい!ヴィゴ!」

遠慮のない挿入に、ショーンの膝は、自分の胸へと付きそうになっていた。

無理な体勢に苦しかったが、それよりも、擦りあげるペニスの感触が、ショーンを虜にした。

尻全体が熱かった。

なんのためらいもなくヴィゴへと差し出されたショーンの尻は、ひたすら快楽を味わっていた。

ショーンは、汗に濡れた足をヴィゴに強く絡めた。

ショーンにとって、ヴィゴの律動を受け止めることが、今、一番重要なことだった。

射精への要求が高まっていた。

後少し、尻の中をヴィゴに強く擦られれば、ショーンのペニスは、破裂した。

「・・・ショーン」

ヴィゴが、突然、激しく突き上げていた腰を止め、ショーンの顔を覗き込んだ。

ショーンは、届きそうだった高みをかわされ、腰をよじった。

「ヴィゴ!ヴィゴ!やめないでくれ」

ショーンは、慌てたように、ヴィゴの腰に腕を伸ばした。

「ショーン?・・・」

「ヴィゴ、いくなら、いっていいから。あと、少し、あと、少しなんだ。止めないでくれ!」

ショーンは、ヴィゴの腰に絡めた足に力をこめて、ヴィゴのことを揺さぶった。

自らが行う、小さな律動にも、ショーンは、かすれた声を上げた。

「いきそうなら、いっていいから。なぁ、ヴィゴ。もっとだ。もっとしてくれ!」

「・・・ショーン」

ヴィゴは、汗の噴き出した額をショーンの額とあわせた。

ショーンは、仕切りと腰を動かした。

少しでも、止められた快感を味わおうと、自分から腰を揺する。

「ショーン、ショーン。ちょっと、待って」

ヴィゴは、ショーンを止めようとした。

「待てない。待てない。ヴィゴ。嫌だ。長くしなくてもいい。それより、今、してくれ。今がいい!ヴィゴのこと保たないなんて、絶対に、思ったりしないから」

「違う。そういうことじゃなくて・・・」

ヴィゴは、困惑気にショーンの目を覗き込んだ。

すっかり潤んだショーンの目は、ヴィゴに切なく願っていた。

「ヴィゴ。この間のことを根に持ってるのか?誰だって、保たないことくらいある。この間は、笑ったが、今日は笑わない。本当に、後、少しなんだ。ヴィゴ。意地の悪いことをするな!」

ショーンは、腕を伸ばして、ヴィゴの肩を捕まえた。

汗で濡れる肩に歯を立て、ヴィゴをせかす。

「焦らすな」

ショーンの尻は、落ち着きなく、ヴィゴの腹に押し付けられた。

ヴィゴは、くちゅくちゅと音を立てて動くショーンの尻を抱き、眉の間に皺を寄せた。

「ショーン。えっとな。・・・保たすために、止めたんじゃなくって。多分、あんた、熱があると思うんだ・・・」

「はっ?」

ショーンは、ヴィゴに抱きついたまま、間の抜けた声を出した。

あまりのことに、ショーンの腰の動きが止まった。

「いや、ほんと、あんた半端じゃなく、目が潤んでるし・・・」

「ヴィゴ、何?言ってるんだ?だから、いって良いって、言ってるだろう。今、してくれたら、俺もいけそうだって言ってるだろう?見栄を張りたいんだったら、今度付き合ってやる。今は・・・、」

「いや、そういうことじゃなくて、さっきから、触ってて、熱いなぁって、思ったし。額をあわせたら、熱いし・・・」

ヴィゴは、ごにょごにょと言い訳がましく言った。

本当に、ヴィゴは、そう思って、腰の動きを止めたのだが、ショーンの顔を見ていると、自分が言い訳をしているような気分になった。

「・・・冗談か?」

ショーンは、睨むそうな目でヴィゴを見た。

「ヴィゴ、お医者さんごっこでもしたいのか?俺の尻に刺さってるヴィゴの体温計が、熱があるって言ってるって?」

ショーンは、全く、ヴィゴの言うことを信じていなかった。

ショーンの手が、自分の尻の間に伸び、ヴィゴのペニスを掴んだ。

ぎゅっと握られ、ヴィゴは、体に力を入れた。

「いや・・・あの、本当に、熱いんだ・・・」

「お医者様、じゃぁ、何度あるって?」

ショーンは、完全に馬鹿にした物言いをした。

いきそうになって、小休止を入れたとしか思っていないショーンに腹を立てたヴィゴは、ショーンをベッドへと押し付けた。

ショーンの足首を持ち上げ、強く腰を突き上げた。

ぐいっと、腰を突き出し、ショーンに大きくのけぞらせる。

「嘘じゃない。後で、熱を測って、文句を言うなよ、ショーン!」

ヴィゴは力強く腰を突き上げた。

激しい動きに、ベッドが大きな悲鳴を上げた。

ショーンの口からも、大きな声が飛び出した。

「畜生!本当に、熱があったら、座薬を突っ込んでやるからな!!」

ヴィゴは、動きの邪魔になるショーンの手を振り払った。

しかし、それでも、ショーンの手は、ヴィゴを求めた。

ショーンの手は熱かった。

吐き出す熱い息で乾いたショーンの唇は、腫れぼったかった。

「んっ!いい!ヴィゴ!!ヴィゴ!!」

近くにあった頂点へと導かれ、ショーンは、激しく射精した。

 

セックスの後、倒れたのは、ヴィゴのほうだった。

ヴィゴは、勘違いしていた。

本当に、熱かったのは、ヴィゴの体で、ショーンは、ただ、セックスのせいで、体温を上げていたに過ぎなかった。

ショーンは、ヴィゴのために向いたりんごをしゃりしゃりと食べながら、ベッドに近づいた。

「ヴィゴの体温計は、何度あるって?」

ヴィゴは、体温計を口にくわえたまま、ショーンを睨んだ。

「嫌味か?」

「それ以外の何だと?」

ショーンは、ヴィゴのベッドに腰を下ろした。

ヴィゴの目は、さっきのショーンのように潤んでいた。

「がんばり過ぎるからだ。ヴィゴ」

ショーンは、汗に濡れたヴィゴの髪を撫でた。

「今日は、お前がやりたがったんだ。ショーン」

「そうだっけ?」

ショーンは、笑ったままで、ヴィゴの額に手を置いた。

そのまましばらく熱を測り、難しい顔をしてうなずくと、ポケットから、薬を取り出した。

「ヴィゴ。ショーン先生の見立てでは、お前は熱がある。だから、座薬を入れてやる。熱があったら、座薬を突っ込むって、お前が言ったんだよな?」

ショーンは、至近距離まで顔を寄せて、ヴィゴの目を覗き込んだ。

ヴィゴは、シーツの中に潜り込んで、必死にシーツを掴んだ。

 

END

 

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なんとなく、ふざけた二人が書きたかった(苦笑)