気持ちいいこと

 

膝の上に乗ってきたヴィゴを受け止め、ショーンは、くすくすと笑っていた。

ヴィゴは、ショーンの膝に乗り、首に手を回して、肩口に顔を擦り付けている。

甘えたようなその態度に、ショーンは、ヴィゴの背中に手を回し、ついでに、髪をくしゃくしゃとかき回した。

「俺の服は、タオルじゃないぞ」

「タオルは、もう少し、生地がいいぞ。なんで、あんたは、こんないい加減なものばかり着てるんだ?」

「ヴィゴだって、変わらないだろう?いいじゃないか。どうせあんたの家で、ゆっくりしてるだけなんだ」

時刻は、夜の10時を回っていた。

2人で夕食を共にしてから、随分長いこと集中して台本を読み込んでいた。

ショーンが、つい、夢中になって資料を読みふけっていたら、ひとりでぶつぶつとセリフを口に出していたヴィゴの声が聞こえなくなり、顔を上げたら、膝が重くなった。

ヴィゴは、鼻が擽ったいかのように、何度も何度もショーンの肩に顔を擦りつけている。

その頭をショーンは、繰り返し撫でている。

「ショーン、あんた、せめて、着替えをもって、泊りに来いよ。何枚俺のシャツを持っていったら気が済むんだ」

首に回していた手を、ヴィゴが、ショーンの背中へと移動した。

緩く抱きしめ、擦りつけていた顔をペタンと頬をつけて、肩に乗せる。

「今度まとめて返してやるよ。仕舞う場所がなくなってきて困ってたんだ」

ショーンは、笑いながら、ヴィゴの背中をポンポンと叩いた。

ショーンの気楽な声に、ヴィゴは、小さくため息をついた。

「…あんたのせいで、俺のクローゼットは空っぽになりかけてるよ」

ヴィゴは、顔を起こして、間近にあるショーンの唇に口付けした。

ショーンが、すこしだけ、目を見開いた。

この習慣は、まだ、ショーンがヴィゴの家に泊まるようになったことに比べると、ずっと目新しい。

ヴィゴは、その目をじっと見詰めた。

一番細い時計の針が一周した。

「ショーン、この間の、気に入った?」

ヴィゴは、目尻に皺をよせて、笑った。

ショーンは、ヴィゴの視線から逃げるように、一瞬、何も無い天上を見上げた。

だが、まず、口元をにやりと引き上げ、それから、ヴィゴに視線を合わせると、目をのぞきこんだ。

緑の目が、ほんの少し照れくさそうにヴィゴに笑う。

「気にいった。知ってるだろう?あんたが、そうさせたんだ」

ヴィゴは、ショーンの膝の上で、ショーンの顔を両手に挟んで、頬に優しく口付けた。

「じゃ、もっと、気持ちのいいことをしてやろうか?勿論、あんたが、嫌じゃなければ、だけど…な」

ヴィゴが、特別な声をだして、ショーンを誘い、ショーンは、その声に照れたのか、ヴィゴの頭を掴んで、自分の胸に押し付け、ぐりぐりと拳で両側から抉った。

ショーンの頬が赤くなっていた。

ヴィゴは、笑いながら痛がった。

ショーンの膝の上で、大袈裟に飛び跳ねた。

「痛いって、ショーン、あんた、自分の手の大きさを考えろよ」

「ヴィゴ、お前も自分の体重を考えろ。人の膝の上で甘えていいのは、すくなくともあんたみたいな大男じゃない」

睨みつけるショーンをヴィゴは、上目遣いに見て、にやりと笑った。

「これから、俺は、もっと、あんたのこと甘やかしてやるぜ?…そういうの、好きなんだろう?」

ショーンの目が泳ぐ。

ヴィゴは、その顔を掴んで引き寄せ、顔じゅうにキスを繰り返す。

「この間より、もうすこしだけ、深い愛情を味あわせてやるよ。あんたが、満足できるだけ、たっぷりとだよ。どう?まだ、資料が読みたい?」

ショーンが、何も言わなかったので、ヴィゴは、ショーンの手を引いて、バスルームに向かった。

 

ショーンは、バスタブに手を付くように言われて、思わずヴィゴの顔を見つめた。

2人とも裸になっていて、さっきまで照れくさいような小さなキスを繰り返していた。

「なに?なにするつもりなんだ?ヴィゴ」

ヴィゴは、シャワーノズルを手に、しきりと湯の温度を確かめていて、なんだか、ショーンにとってあまりいい予感がしなかった。

バスルームに連れて来られた時点では、王様のように全身洗ってもらうのもいい気分かもしてないくらいの気持ちだったショーンは、スポンジを手に取るわけでもないヴィゴに、ちょっとした困惑を覚えていた。

ヴィゴは、そんなショーンにすこし困った顔をしている。

言い出しにくそうに、あちこちに視線をさ迷わせ、壁際に逃げようとしていたショーンに向かって、シャワーをかけた。

かなり温い目のお湯が、ショーンの足を叩いた。

「前のとき、腹が痛くなったって、言ってたろ?ショーン」

「…ああ、言ったけど」

ヴィゴが、ショーンの顔を見る。

「あの・・さ、中を綺麗にしておけば、そんな目にも合わずに済むし、俺も、もっとあんたのことを気持ちよくしてやれる」

ヴィゴは、ショーンの足にシャワーを当てたまま、小さく肩を竦めた。

ショーンは、顔を顰めた。

これから、自分があう事態が思い当たって、思い切り嫌な顔をした。

たしかに、そうした方がいいような気はしていた。

ショーンは、自分が、誰かのそこを使わなければならない事態になったら、先に綺麗にしてくれるよう要求した。

前回だって、ゴムを使っているとはいえ、ヴィゴは嫌じゃないのかと、指で触られたときから思っていた。

「自分でする。あんたは、してくれなくてもいいぞ?」

ショーンは、シャワーノズルをヴィゴから取り上げようとした。

ヴィゴが身を引く。

「いい。あんたのこと、全部甘やかしてやるって、言っただろう?」

ヴィゴは、シャワーノズルを握ったまま、ショーンの肩を抱き、背中を向けさせると、肩を押さえて、すこし屈ませようとした。

ショーンが後ろを振り返る。

「いいって。自分でするから。ヴィゴ、あんたは、ちょっと向こうへ行っててくれ」

ショーンは、尻の間を開こうとしたヴィゴに慌てた声を出した。

「いい。なにもかも、あんたを気持ちよくしてやるんだから。ほんの少しだけ、我慢して、俺に綺麗にさせてくれたら、中まで、全部舐めてやるよ。一人で準備するなんて、味気ない真似、あんたにさせられるか」

ヴィゴは、ショーンの背中にキスを繰り返した。

温い湯がショーンの背中にかかった。

盛り上がった尻をシャワーの湯が撫で下ろしていた。

ショーンは、思わず眉の間に皺を寄せた。

「恥かしい?」

ヴィゴは、首筋の染まったショーンの耳を緩く噛んだ。

「…普通恥かしいだろ。そんなとこ、人に見せるもんじゃない」

ヴィゴが耳元で笑うのを、ショーンは、肌で味わった。

「どんなとこ見せられても、俺が、ショーンが好きだっていう証明にはならない?」

ヴィゴは、焦ることなく、ゆっくりとショーンの首にキスを続けた。

バスルームの中が、湯気で温かくなっていく。

「そんな、証明は欲しくない」

ショーンは、抱きしめられた腕のなかで、小さく身じろぎした。

「嘘だ。ショーンは、今、どんな風にめちゃくちゃになってても、愛して欲しいと思ってるはずだろ?」

ヴィゴは、シャワーの湯でマッサージするようにショーンの体のあちこちに湯をかけていった。

背後からは抱きしめるヴィゴの体温が、緩やかにショーンを拘束していた。

「…まぁ…そうなんだが…」

自覚のあるショーンは、困ったような声を出した。

 

ショーンは、バスルームのタイルを眺め、しばらく考え込み、大きく息を吐き出した。

シャワーの湯が止まることは無かった。

ヴィゴも出て行く素振りも見せなかった。

「お前…絶対にする気だな。ヴィゴ」

ショーンは、首を捩って、背後のヴィゴを振り返った。

ヴィゴは、予想通り、楽しそうな目をして、ショーンを見つめていた。

不ぞろいな歯をみせて笑っていた。

「当たり前だろ?あんたにとても愛情深く触れたいと思ってるんだ。それこそ、どんな奥深い部分にでもね。それも、なに一つ隔てる事無く、生で触りたいよ。その方がぴったりとくっついて、ずっと気持ちがいいだろう?」

ヴィゴは、それを証明するように、裸の胸で、ショーンのことを抱きこんだ。

足もショーンの足の間に差し入れて、ぴったりとくっつけた。

ヴィゴの濃い体毛が、ショーンの体をざらりとなぞっていった。

それが、ぞくりとする快感をショーンに味合わせたのに気付いて、ショーンは、いくつかのことを諦めた。

いま、抱きしめてくる体温をなくしたくは無かった。

ショーンの手の中は、いま、空っぽなのだ。

「…トイレには、行かせろよ」

頷いたヴィゴを見て、ショーンは、体を前かがみにした。

 

ショーンの体内に、決して、熱くない温度の湯が入ってきた。

気持ちよくは無い。

穴に当てられたシャワーノズルの固い感触もいただけない。

だんだんと腹が重くなるのも気持ちが悪い。

入っているだけでなく、中から溢れ出て、ヴィゴの手を汚しているんじゃないかと、落ち着かない気持ちもある。

「…ヴィゴ」

「もう、ダメか?」

ヴィゴが、ショーンの肩にキスをした。

その間にも、緩やかな水流がショーンの中を満たしていく。

「ダメじゃ、ないけど…もう、ダメか?」

ショーンは、落ち着かなくなってきた腹の調子もあり、すこしばかり情けない声をだした。

「一度、出してくる?」

ヴィゴは、優しげな表情で、ショーンの表情を観察していた。

ショーンは、見られていることに、恥かしさを覚えた。

「そうする。シャワーを止めないでくれ。それと、絶対にこっちを見ないでくれ」

ショーンは、伏せ目勝ちにヴィゴの前で、身体を返すと、頬に一度キスをして、慌てたようにバスタブから出て行った。

ヴィゴは、シャワーの湯量を最大に調節した。

ショーンは、シャワーカーテンの向こうから、ヴィゴに向かって、絶対に見るなと、繰り返し、声をかけた。

ショーンがカーテンをぴったりと閉めていったから、見る方法なんてヴィゴには無い。

だが、シャワーを全開で流していても、全ての音が消しきれるわけではない。

ヴィゴは、これで済んだと思っているのかもしれないショーンが、少し、気の毒になった。

 

「ショーン?」

あまりに長いこと、戻ってこないので、ヴィゴは、心配になって、ショーンに声をかけた。

ショーンのいるはずのトイレ部分からの音は、とっくにしなくなっていた。

「ショーン?」

返事が無いので、ヴィゴは、もう一度声をかけた。

シャワーカーテンを開けてもいいかと、ショーンに断りを入れた。

すっかり拗ねた様子のショーンは、まだ座ったまま、ヴィゴをじろりと睨んでいた。

「…戻りたくない」

強制的に排泄を促されたショーンは、自分の立てた音に、気を悪くしていた。

すこし涙の滲んだ眼で、きつくヴィゴを睨みつけていた。

ヴィゴは、ショーンの赤くなった頬と、目尻のきつさの対比に思わず顔が緩んだ。

シャワーを止めて、ショーンに向かって、手を伸ばした。

「おいで。もう少しだけ、俺にショーンのこと触れさせてくれよ」

甘い声で、ショーンを呼んだ。

ショーンは、思い切り顔を顰め、しばらく自分の頭を抱え込んだ後、ゆっくりとヴィゴの方へと近づいた。

ヴィゴは、バスタブのなかから、ショーンのことを抱きしめた。

 

「なに?まだするのか!?」

ショーンは、バスタブを跨いで、ヴィゴの腕のなかに納まった後、また、バスタブの縁を掴まされて、思わす大きな声を出した。

ヴィゴは、申し訳なさそうな顔をして、ショーンに向かって笑いかけた。

「まぁ、俺はこの状態でもいいけど、この状態で、中まで舌を突っ込んでいいか?」

ショーンは、眉の間に皺を寄せた。

また出しっぱなしにされたシャワーを憎憎しげに睨んでいた。

「これを、何回?」

ショーンは、シャワーのホースを足先で蹴った。

つま先が、ヴィゴの足も蹴っていった。

ヴィゴは、ショーンの眉の間に出来た皺にキスを落した。

ヴィゴがキスを繰り返しても、ショーンの皺はなくならなかった。

「出てくる湯が綺麗になったら、すぐやめにしてやる。もう、ここで出してくれて構わない」

「ここで、出すのか!?止めろよ。なぁ、俺、なんか、とんでもないことにチャレンジさせられている気がするぞ」

ショーンが小さく震え上がった。

ヴィゴは、止めるか?と、ショーンに聞いた。

俺はこのままでも、構わないと、もう一度言った。

ショーンが横に首を振る。

「大丈夫だ。ショーン。もう、ほとんど平気のはずだから」

ヴィゴは、ショーンの頭を抱いて、髪に口付けた。

ショーンは、やはり、きつく皺を寄せたままだった。

「…なぁ、これから、これが、毎回か?」

ヴィゴは、優しく微笑んだ。

「毎回させてくれるってのなら、よろこんで」

 

ショーンは、結局、バスタブの縁を掴んで、ヴィゴに背中を見せていた。

緩やかな水流がショーンの中に流れ込んでいた。

ヴィゴは、ショーンの背中にキスを落していた。

固くなる背中を蕩かそうと、甘くキスを繰り返していた。

「ショーン、我慢しなくていい。出していいから」

ヴィゴの思いより、はるかにショーンの中に入った湯を心配して、ヴィゴは、ショーンに声をかけた。

ショーンの太腿が小さく震えていた。

「ヴィゴ、やっぱり、トイレに行かせろ」

ショーンは、きつく眉の間に皺を寄せて、辛そうな顔で、ヴィゴを見上げた。

「もう、平気だよ。それより、腹が重くなってるだろ?出せ。そんなに我慢すると、苦しいだけだぞ?」

ヴィゴは、ショーンの腹をそっと押さえ、後ろは、指先で、擽るように触った。

「ヴィゴ!触るな。手を離せ。もう、湯を入れるな!」

「じゃ、出せよ。苦しいんだろ?こんなに腹が張ってるじゃないか」

ヴィゴは、ショーンの腹を撫で回した。

ショーンが顔を大きく顰めた。

ヴィゴは、指先を穴の縁にかけて、少しだけ横に開いた。

焦った表情で振り返ったショーンの顔が見えたが、そのまま指で開きつづける。

ヴィゴの指が、穴を広げたせいで、少しだけ、湯が漏れ出してきた。

ショーンの足へと伝っていく。

「平気だよ。全然、綺麗なもんだ。このまま頑張るってのなら、吸い出してやろうか?」

「ヴィゴ!」

おどけたようなヴィゴの声に、ショーンがきつい声を張り上げた。

ヴィゴは、我慢を続けるショーンの体を抱きこんだ。

ショーンの背中に胸をぴったりと重ね合わせて、腕を腹に回し、思い切り押した。

ショーンの腹は、湯をたっぷりと含んで、柔らかな感触だった。

そんなことをされると思っていなかったショーンは、大きく目を見開いて、ヴィゴの名を叫んだ。

「ヴィゴ!」

焦ったショーンの声と一緒に、ヴィゴの足が、湯で濡れた。

衝撃にショーンが耐えられなかったのだ。

大量のお湯が、ショーンの中から溢れ出す。

ショーンの体から、力が抜けた。

ヴィゴにもたれかかって、せつないようなため息を漏らした。

「意地を張るから…」

ヴィゴは、ショーンを抱きしめたまま、尻の間に手を入れて、残っている湯もすべてかきだした。

ショーンは、ヴィゴにもたれかかったまま、その感触に唇を噛む。

「ヴィゴ…あんたそうとう意地が悪いな」

けれども、とうとう諦めたのか、ショーンは、ヴィゴに抱きしめられるままになっていた。

ショーンから出てきた、ほんの少しの汚れをヴィゴは、シャワーで流してしまい、もう一度、ショーンにシャワーを押し当てた。

「そうでもない。こんな親切な真似は、滅多にしないんだ」

もう一度と、言うヴィゴに、ショーンは、疲れたような笑いをみせた。

 

ショーンにとっては、そうとうの忍耐と羞恥を要求された行為を終えると、ヴィゴはやっとベッドルームへとショーンのことを招待した。

中を洗うという行為のあと、やはり、体中をヴィゴがスポンジで綺麗に擦った。

体の水を拭く作業だって、ヴィゴが全てを執り行った。

ショーンは、ただ、立っているだけでよかった。

まるで、ショーンが王様だった。

それが、いま、ショーンが望んでいる愛情で、ヴィゴが与えたいと思っている愛だった。

 

シーツのなかで、ショーンの体を抱きしめながら、ヴィゴは、ショーンの目をのぞきこんだ。

労わるようなキスを、ヴィゴはショーンに沢山与えた。

「酷いことされたと思ってるか?」

緑の目は、気恥ずかしそうに何度かしばたいたが、困ったようにヴィゴに笑いかけた。

「仕方ないだろ?この間は、ヴィゴが相当我慢してくれたんだと思ってるよ」

「…ん?」

「…いや、だって、この間は、俺、あんたに甘えるばかりで、なにもしなかっただろ?まぁ、確かにシャワーは運良く先に浴びてたから、良かったけど、でも、あんた結構、嫌な思いをしたんじゃないのか?」

ヴィゴは、指先にローションをつけると、敏感なっているショーンの穴をそっと触った。

やはり、ショーンの体が、鋭い反応をみせて、びくりと震え、皺がきゅっときつく締まった。

「別に?あんたに直で触れなかったのはつまらなかったけど、それ以外に嫌な思いなんて、全然してないぞ?」

前回、呆れるほど時間をかけてショーンを馴らしたヴィゴは、ショーンのなだらかな肩にキスを繰り返しながら、ゆっくりときつく締まった穴を解しはじめた。

ショーンは、ヴィゴの肩に唇で触れた。

ヴィゴの足に足を絡めて、ゆっくりと息を吐き出した。

「楽しい?ヴィゴ?」

ショーンは、ヴィゴを抱きしめて、確かめるように胸の鼓動を重ね合わせた。

「楽しいに決まってるだろ?これから、あんたのこと好きに可愛がってやるんだぞ?」

ヴィゴは、ショーンの頬にキスをしながら笑った。

「好きなだけ、叫んでいいからな。俺は、そうされる方が好きだし、あんたも、そのほうがストレス解消になるだろう?」

ヴィゴは、ふざけて、ショーンの足に腰を擦り付けるといく、いくと声高に言い立てた。

ショーンも、ふざけて、ヴィゴの名を高い声で叫んだ。

 

ヴィゴは、ショーンの尻に顔を突っ込んで、指を穴の縁にかけると、舌先でその部分を擽っていた。

ショーンの足は、ヴィゴの背中に置かれて、手は、ヴィゴの頭を掴んでいた。

宣言通り、ヴィゴは、直で、ショーンに触れていた。

それも、舌で、ショーンの中を舐めていた。

そんな深い部分まで、舌で触られたのは、ショーンにとっても始めてのことだった。

生温い柔らかな物体が、粘膜を押し開けていた。

唇が、入り口の皮膚を吸っていた。

前回は、ゴム付きだった指が、直で、ショーンの内臓に触れていた。

その感触は、それ自体とても気持ちのいいものだったが、そんな部分を熱心に愛してもらえると言う事が、精神的にショーンを煽っていた。

ヴィゴの髪をかき回し、鼻から高い声を出してしまう。

ヴィゴの鼻が、ショーンの睾丸に触れ、手が、下から掬い上げるように、ショーンの尻を盛り上げた。

高くなった尻の間に、また、ヴィゴが熱心に吸い付く。

舌を尖らせ、ショーンの中に何度も出し入れし、指で、ショーンの襞を引っ張った。

舌の出入りする刺激が、心地よく感じられて、ショーンは、足でヴィゴの頭を挟んでしまった。

ちょうどいい柔らかさなのだ。

いや、固さだと言ったほうがいいのかもしれない。

まだ、刺激になれていないその部分は、柔らかく舐めとかされるのが、心地よかった。

身動きがとり難くなったヴィゴが、笑いながら、ショーンの太腿を叩いた。

けれども、ショーンは太腿を離すことが出来なかった。

太腿の柔らかな皮膚を、ヴィゴの髪が撫でていた。

それも、いまは、ショーンにとって堪らない刺激だった。

ヴィゴが、足の下を潜って、顔を出し、ショーンのことを覗き込んだ。

ヴィゴの口から顎にかけて、すっかり濡れていた。

ショーンは、胸からずっと上まで赤くなっていた。

胸は早い息を繰り返していた。

薄く開いた唇は、熱い息を漏らしていた。

ショーンの目は、ヴィゴを軽く睨んでいた。

ショーンの潤んだ目と目があって、ヴィゴは、にやけそうになる自分の口元を押さえた。

「悪いな。続きを…だろ?」

ヴィゴは、笑いをかくすようにして、すごすごとショーンの足元に戻った。

大きく足を開かせて、その間に身体を埋めると、ショーンの足がヴィゴの背中を蹴った。

ヴィゴは、ショーンをひっくり返すと、癖の悪い足を抱きとめながら、尻のあわいを何度も舌で舐め上げ、舐め下ろした。

ショーンは、何度も腰を捩った。

小さな声で、ああと、唸った。

ヴィゴは、指で粘膜を押し広げて、入り口だけを熱心に舐めた。

ショーンに続きをねだらせた。

 

ヴィゴの指で、ショーンが、気持ちの良さそうな顔をしてくれるようになって、ヴィゴは、やっと自分のものをショーンに押し当てた。

ショーンの表情を確かめながら、ずりずりと中へと押し込んでいった。

ショーンは、きつく目を閉じていた。

自分の中に入ってくるものの正体を当てようとしているかのように、決して目を開けなかった。

ヴィゴは、身体を曲げて、ショーンの胸にキスを落した。

それが合図のように、緑の目が、ヴィゴを見た。

ショーンは、顔を顰めながら、薄く笑った。

「動かないのか?」

「どう?動いても大丈夫そうか?」

ショーンは、腕を伸ばして、ヴィゴの首を抱きしめた。

「この間みたいに気持ちよくしてくれるんだろう?」

ショーンは、ヴィゴの耳を噛みながら、誘うような声で囁いた。

ヴィゴの気持ちを揺さぶる甘い声だ。

「どんな風にして欲しい?」

ヴィゴは、ショーンの頬にキスをしながら、腰を抱いて、緩く動かした。

ショーンが小さく息を呑む。

それから、長い息を吐き出して、気持ちよさそうな鼻から抜ける音を漏らした。

ヴィゴの頬に頬を摺り寄せる。

「…ゆっくりがいい?」

ヴィゴは、足を腰に絡めてきたショーンを揺すりながら尋ねた。

「ああ、まだ、ゆっくり、あまり、奥までいれるのも止めてくれ。もう少し、このまま優しく」

ヴィゴは、白くて大きな尻を手の平で掴みながら、注文どおりにショーンを愛した。

ショーンが、幸せそうな顔で目を瞑る。

「俺は、優しい男なんだぜ?あんたに酷いことなんてするもんか」

ヴィゴは、うっすらと汗をかいているショーンの額に、口付けを落した。

ショーンの注文に合わせて、中を擦り上げる速度を早くしていく。

いいと、いう言葉を聞くために、激しく腰を打ち付ける。

 

ショーンは、すっかり汗まみれになって、遠慮のない声をヴィゴに聞かせていた。

何度もヴィゴを引き寄せて、キスを繰り返した。

シーツに頭を擦りつけて、激しく顔を振っていたかと思うと、ヴィゴの肩をひきよせて、甘く齧りついていた。

大きく開かれた足の間は、ショーンのペニスから漏れ出したもので、ぬとぬとと汚れていた。

後ろを抉られる感覚だけでは足らずに、ショーンは、ヴィゴの腹に自分のペニスを擦りつけるようにして腰を動かしていた。

「ヴィゴ…いい」

「ショーンだっていいさ」

ヴィゴは、ショーンの尻を掴んで、奥まできつく突き入れた。

ショーンが足を震えさせる。

ヴィゴの肩を掴んで、喉を見せて仰け反る。

「…いい!…いい!」

ショーンは、ヴィゴの腰を強く挟み込んで、背中を反らすようにしてベッドの上で跳ねた。

「…ショーン、もっとして…は?」

ヴィゴは、うねる内部の感覚に、すこし顔を顰めながら、ショーンのペニスを手で触った。

ほとんど後ろの刺激だけでいけそうなショーンのペニスは、ヴィゴの手に触れられて、どくんと大きく脈打った。

「…あ?…もっと?…ダメだ。もっとされたら、頭がおかしくなりそうだ」

ヴィゴの手にペニスを擦りつけるように腰を動かす正直なショーンに、ヴィゴは、汗の伝う頬をくすりと緩めた。

「ショーン、いきそう?」

赤くなった顔で、目を潤ませるショーンは、なんとも壮絶に色っぽかった。

髪が、額にはりついていた。

「…ヴィゴは?」

ショーンの涙目が、ヴィゴの顔をうかがった。

ヴィゴは、すこしだけ考えて、小さく腰を動かした。

ショーンの内部が、ヴィゴをぎゅっと締め付ける。

「なかで、出しても、平気か?」

ヴィゴが尋ねると、ショーンは迷うような表情をした。

「直腸射精されると、結構、応えるって話だから、やめて欲しければ、しない」

ヴィゴは、ショーンのペニスを扱きながら、動かしていた腰を止めた。

ショーンの絡み付いていた足が、ヴィゴの腰をぎゅっと締めた。

「嫌なら、嫌だと言っていい。そんなことで、ショーンのことを嫌いなったりしない」

ショーンがまだ迷っているようなので、ヴィゴはゆっくりとペニスを引き出しにかかった。

未練がないわけではないが、ここまででも、十分に満足していた。

あとは、手で扱いてやれば、ショーンの腹でも尻でも汚すことが可能だ。

頼りない表情を見せているショーンに、直で、ショーンに触れられただけで満足しているよ。と、ヴィゴは、優しく笑った。

ショーンは、体を離そうとするヴィゴに向かって手を伸ばした。

足も絡めてショーンが、ヴィゴを引き止めた。

引き結んだ唇が、ヴィゴを見上げて、強がったように、にやりと笑った。

「出していい。そこまでしようと思って、中を綺麗にしたんだろ?俺のこと、ずっと深くまで愛してくれよ。ヴィゴはそうしてくれるんだろう?」

ショーンの見せた瞳が、ヴィゴ一人しか映していなくて、ヴィゴは、激しくショーンをかき抱いて、腰を打ちつけた。

ショーンの唇から、軽い悲鳴が上がった。

2人の間に挟まれたショーンのペニスが、潰れていた。

ヴィゴは、激情に飲み込まれそうになった自分を戒めて、慌てて身体を起こすと、まずショーンのペニスを扱き上げた。

ショーンが、はっ、はっと、息を吐き出す。

小さく揺すられる尻に、ヴィゴもつられそうになる。

ショーンが腰を突き出して、ヴィゴの手の中に射精した。

緊張に固くなっている身体をヴィゴは大きく揺する。

ショーンが高い声で叫んだ。

ヴィゴの名前を何度も呼んだ。

ヴィゴは、ショーンの腰を掴んで、ショーンの中に精液を塗りたくった。

 

ショーンの体が、ゆっくりと熱を下げていき、ヴィゴは、落ち着いていく呼吸を聞きながら、腕の中の愛しい塊を抱きしめていた。

ショーンは、2週間前に離婚した。

今、とても傷ついている。

淋しくて、とにかく誰かに愛されたいと思っている。

ヴィゴは、自分が要領よく漬け込んだことを自覚していた。

しかし、これほど上手く漬け込めるのは、ずっとショーンを見ていた自分だけだと自負していた。

ヴィゴは、すっかり呼吸の落ち着いたショーンの髪に口付けた。

「ショーン、愛されてるって、感じた?」

「ヴィゴといると、してもらうばかりってのも、いいもんだと感じるよ」

ショーンは、くすくすと笑うと、ヴィゴの胸に顔を摺り寄せた。

ヴィゴは、自分もショーンの頭に顔を摺り寄せながら、腕の中の身体を何度も撫でた。

「また、今度ってのも、許せる?」

ヴィゴは、背中を撫でるついでに、盛り上がった尻も撫でた。

「今度?…また、全部するのを、もう一度…今度も?」

「そう。今度も」

ショーンは、ヴィゴの胸にキスをした。

「今度は、裏返したり、ひっくり返したりってのをしようか。ああ、そうだ。俺が、あんたの上に乗るってのは、まだ、無理かな?」

ショーンは、悪戯な目をして、ヴィゴを見上げていた。

ヴィゴは、ショーンを抱きしめて、嫌がるまでキスを繰り返した。

 

 

END

 

 

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書くのには時間が掛かったんですけど、でも、楽しかった。(笑)