二人のために

 

ヴィゴはショーンの腕を掴んで、脱衣所へ連れ込んだ。まだ、陽も高く、バスルームには太陽の光が差し込んでいた。ショーンは、突然のことに驚いた顔をしていた。ヴィゴはその顔を真正面から見つめて、彼のほうこそ、戸惑った顔をした。

「風呂に入るかって、聞いたら入るって答えたよな?ショーン」

「ああ…言ったけど…」

ショーンは、捕まれたままの腕をみて、ヴィゴの顔を見て、という動作を繰り返していた。

「なぁ…もしかして、忘れた?」

「はぁ?なにを?」

あまりにもあっさりと切り替えされた言葉に、ヴィゴは、思い切り顔を顰め、ショーンの腕を掴む力を強くした。

「律儀にあんたとの約束を守ろうとした俺の純情を踏みにじるなよ。ショーン」

「ちょっ…ヴィゴ、なに?」

ヴィゴはすこし頭にきて、ショーンの腰に腕を回して彼を引き寄せ、ショーンの唇に口付けた。驚いたショーンは、ヴィゴの胸に手をついて、離れようとした。その拍子に、反り返ったショーンの背中が洗面台にぶつかった。ヴィゴは、危ないと、ますます腰を引き寄せた。

「落ち着けよ。ヴィゴ。俺は、どんな約束をしたんだ?」

ショーンは、それを誤解した。抵抗とも呼べないほどのものだが、ヴィゴを拒絶しようとしっかりと胸の間に腕を割り込ませた。

「往生際が悪いぞ。ショーン。あんたが言ったんだろ。10回セックスしたら、バスルームでしてもいいと」

ショーンは、キスしようと顔を近づけたヴィゴの口を手で塞ぎながら、あのだとか、えっとだとか、意味の無い言葉を言おうとしていた。

ヴィゴは、未練たっぷりにショーンの掌を舐めた。

「俺は、今朝、早起きして、バスルームの掃除までしたんだぞ。なのに、あんたは、約束したことを、忘れちまったのか?」」

ショーンは、指の柔らかい部分を執拗に舐めるヴィゴから手を取り戻そうとした。しかし、ヴィゴはそれを阻んだ。

「俺は…そんな約束をしたのか?」

「した!」

「いつ?」

「2ヶ月以上前だ。俺は、その日から、利巧な犬のようにお預けをくらったまま待っていたんだ」

ヴィゴは、本当に、忘れてしまったらしい恋人のために、彼の目をのぞきこんで説明した。困った事態になると視線がさ迷いがちになる癖のあるショーンと、しっかりと視線を合わせたのは、勿論、プレッシャーをかけるという意味合いもある。

「あんたは、2回目のセックスの後、一緒にバスルームに行きたがった俺を追い返してこう言ったんだ。恥ずかしいよ。ヴィゴ。そういうのは、もっと後にしてくれ。って。だから、俺がそれはいつだと聞いたら、10回もした後ならいいよ。と」

ショーンの物真似までするヴィゴの熱演に、ショーンは、恥ずかしがっているような、でも確かに呆れている顔をした。ヴィゴは、指にキスをして、彼の手を返した。

「で、ヴィゴは、その約束をずっと覚えていて、セックスの回数まで数えていたというわけか?」

「そうだとも。仕事はきつくなるし、なかなかあんたを誘えないしで、随分焦らされたぞ」

「…日付入りでノートにでも付けてそうだな…」

「付けるとむなしくなるから止めたよ」

「…マジかよ」

「当たり前だ」

ショーンは、目の縁を赤くして、ヴィゴを見ると、自分から洋服を脱ぎ始めた。唖然とするヴィゴの前で、まるで衣装を着替えるときと変わらないさり気なさで、一つ一つボタンを外していく。

「そんな、小娘みたいなことを、俺は、本当に言ったのか?」

横目でヴィゴを見るショーンは、僅かに唇を尖らせていた。潔い態度とは裏腹に、彼がとても恥ずかしがっていることに、ヴィゴは気付いた。

「悪かったよ。そんな発言をしたことは忘れていた。でも、一緒に入るのも、セックスするのも同意するよ。ヴィゴが俺のために、わざわざ、掃除までして用意してくれたんだろ?」

ショーンは、アンダーシャツも手早く脱ぎ捨て、ジーンズすら、さっさと足から抜いた。

「何を驚いた顔をしているんだ」

ショーンは、見抜いてしまえば、作り物だと分かる何気ない態度で、動かないヴィゴのために、ヴィゴのTシャツに手をかけた。多少強引に引っ張り首から抜いてしまう。

「どうした?ジーンズも脱がしてほしいか?」

「…いや、まぁ、そうだけど」

ショーンは、本当に脱衣所の床に膝をついて、ヴィゴのためにジーンズのボタンを外した。跪く彼のつむじがみえた。愛しさのあまり、ヴィゴはそのつむじに百万回もキスをしたいくらいだった。

ショーンは、ヴィゴにあわせて、ジーンズを足から抜いた。

ヴィゴは、ショーンの肩に手を掛けて、身体を支えた。

「本当に、一緒に入ってくれるのか?」

「入るよ。どうして?約束したんだろ」

下着一枚の姿になっても、信じられずに、ヴィゴは、ショーンの肩を離せないでいた。

「信じられない。かなり強引な手にでなければ、あんたをここに連れこめないと思ってた」

「なんで?」

「疲れているだろうし、今日は夜から撮影があるし、多分、あの時ああ言ったのは、約束というより、俺を牽制する意味だと思っていたし。理由なんて、いくつでもあるさ。その上、今は、昼間だろ」

ショーンは、膝をついたまま、ヴィゴを見上げた。唇が優しいカーブだ。

「小娘みたいに恥ずかしい条件をつけて、あんたに変な思い込みをさせたことは、悪かったよ。でも、最初のうちは、本当に身の置き所も無いくらいだんだよ。まだ、身体も、心慣れてなかったし、べッドでいいようにされる自分が、その上、他の場所でもなんて、耐えられなかったとか、どうせそんな理由でおかしなことを口走ったんだろうけど」

ショーンは、そこで照れたようにくしゃりと笑った。

「今は、平気だよ。ヴィゴが俺のことを尊重してくれていることも分かってるし、俺も、ヴィゴと触れ合ってるのが好きだし」

「俺は、10回分、待った価値があった?」

「あったよ。俺との約束を大事にしてくれることが分かって、ヴィゴのことがもっと好きになった」

ショーンは、肩に置かれたヴィゴの手を撫でた。ヴィゴは、身をかがめて、ショーンに口付けをした。

それから、お互い照れた笑いを浮かべた。

口元を覆ってにやける顔を互いに隠し、それでも、お互いに離れられないでいた。

先に、ショーンの方が、ヴィゴの下着を引っ張り下ろした。

「やる気あるのか?」

まだ、本気でないヴィゴのペニスを、ショーンは、指の先でぴんと弾いた。

「あるさ。俺は、スロースターターなんだよ」

ショーンに促されるままに、ヴィゴは、下着を足から抜き、立ち上がる彼に手を貸した。

「俺が、脱がせてやろうか?」

ヴィゴはぴったりとショーンに身体を合わせ、耳元で囁いた。

「ぜひともお願いしたいね。貞操帯付きだから、あんたじゃないとぬがせられないんだ」

二人は笑った形のままの唇で、何度もキスを繰り返した。

ヴィゴがショーンの下着に手を掛けると、ショーンが、それに反発するように引き上げる。

「ヴィゴ、早く脱がしてくれよ」

無理なことを言って、ショーンは、弾けるように笑った。

「邪魔するなよ、ショーン。下着が食い込んで、いやらしい形になってるぜ」

ショーンは、自分の局部を見、真剣になって男の下着を剥ぎ取ろうとしているヴィゴを見、やはり、弾けるように笑った。

ヴィゴは、やれやれと、彼の震える肩にキスをした。

「セクシーだろ」

「むしゃぶりつきたくなる位、セクシーだね」

笑いすぎて涙の滲んでいるショーンの目元にもキスをした。

何度か目元にヴィゴのキスを受けながら、ショーンは、笑いの発作を収めていき、静かになると、いきなりくるりと後ろを向いた。

そこで、しばらく動きを止めてしまう。

ヴィゴが不信に思って、肩に手をかけようとすると、

「しばらく、他所を向いていてくれ」

ショーンは、背中を赤く染めた。

「恥ずかしくなったのか?」

「まぁ、そんなところだ」

「俺は、素っ裸で待ってるんだぜ?」

ヴィゴは、口笛を吹いて、じっとショーンの美しい背中を見つめた。

「5秒でいい。ちょっと、目を瞑っていてくれ」

ヴィゴは、彫刻のように背中を固くしているショーンに近付き、彼の肩に口付けを降らせ、下着に指を掛けた。

するりとショーンの下着の前を撫で、

「俺が脱がせてやるよ」

下着の中に指をもぐりこませて、少しだけ興奮しているショーンのペニスを緩やかに擦った。

「あんたは、相変わらず、恥かしがりやだな」

ヴィゴは、固くなった自分のものをショーンの下着に擦り付けた。ショーンの唇がゆるく開いて、ちいさく息が吐き出された。

「ヴィゴは、やる気になったみたいだな」

ショーンは、目を閉じて、ヴィゴが作り出す感触に身を委ねながら、ゆるく尻を押し付け、口元だけを悪役らしく歪めた。

ヴィゴは、ショーンの下着を脱がし、足を抜く、彼のために、足元に跪いた。

ショーンは、ヴィゴの頭を胸に抱きこむように縋り付いて、つむじに唇をよせた。

とたん、ショーンは、咳き込んだり、くしゃみをしたりした。見上げるヴィゴを鼻に皺を寄せたショーンが睨む。

「…まず頭を洗ってやる」

嘔吐の真似をしながら吐き出されたショーンのいかにも嫌そうな声に、ヴィゴは、腹を抱えて、笑った。

 

バスルームは、ヴィゴの努力の結果、いままでになく美しく整えられていた。ショーンは、それを大袈裟な言葉で褒め称え、ヴィゴを鼻白ませていた。

「どうせ、俺は、いい加減だからな」

「いや、いい餌さえぶら下がってれば、君ほど勤勉なタイプはそういないよ」

「自分のことをいい餌だって、言いたいのか?」

太陽の光が差し込むバスルームは、壁に染み一つなく美しく磨きたてられており、シャワーカーテンだって、石鹸の跡、一つないのだった。

以前の、ほどほど、つまり、シャンプーが床に転がっていたり、スポンジにカビが生えかけていたりという状態に整えられていたバスルームとは、別の場所のようだ。

「ヴィゴの情熱に応えられるかな?」

ショーンは、シャワーノズルを手にとると、まず、ヴィゴの頭にお湯を掛け、きちんとラックに仕舞われたシャンプーボトルを手にとった。

長い指が、ヴィゴの頭をかき混ぜていく。

しかし、ヴィゴの頭は、一度では泡が立たずに、ショーンに舌打ちをさせた。

「そう、怒るなよ。俺の匂いは嫌いじゃないといっただろうが」

「限度ってもんがあるな」

ショーンは、二度目のシャンプーに取り掛かる。こんどは滑らかな泡が立って、ショーンは、ヴィゴの頭をマッサージするように揉み込んだ。

「気持ちよさそうな顔をしやがって」

まるで撫でられる犬が猫のように、目を細めるヴィゴに、ショーンは、言葉に比べればよほど慎重に地肌を撫でていった。

「全く、撮影中は、どうしたって汗まみれになるんだから、頭くらいちゃんと洗えばいいのに」

「でも、すぐ、また汗まみれだ」

「どうして、そういうひねくれた考え方をするんだ?」

「…あんたが洗ってくれるんなら、毎日でもいいぞ」

ショーンは、ヴィゴの髪を引っ張り、ヴィゴに降参を言わせた。ショーンは、ヴィゴの頭に鼻を突っ込んで、シャンプーの匂いを確かめている。

「納得がいった?」

「人間らしい匂いになった」

「じゃ、次、ここの、獣を洗ってくれる?」

ヴィゴは、反りあがっているペニスを指差し、歯を剥き出しにして笑った。

ショーンは手に持っていたシャワーを、ヴィゴの顔面に向けた。

ヴィゴは、とっさに避けたようだが、多少水を飲み込み、げほげほと噎せた。ショーンは、そ知らぬ顔で、自分のシャンプーに取り掛かる。

咳の収まったヴィゴは、ボディーソープを手の平に出し、ショーンの体に塗りたくった。

ショーンの体が、左右へと逃げるように揺れる。

「大人しくするんだ。そうじゃないとベイビーの身体をパパが綺麗にしてあげられないだろ?」

「パパ?あんたが、俺のパパ?」

「そう、あんたは、俺のかわいいベイビーだ。パパが綺麗にしてあげるから、いい子にしておくれ」

ショーンは、ソープで滑るヴィゴの手からするりと抜け出した。

「じゃぁ、パパ、そのおおきな象さんを片付けてくれよ。そりゃ、かわいいベイビーに見せるには刺激が強すぎる」

「だめだな。これは、ベイビーの中を綺麗にするときに使う大事なものなんだ」

ヴィゴは、下品にショーンに向かって腰を突き出した。

ショーンは、頭に置かれたままになっていた手を素早く下ろして、ヴィゴのペニスを強く握った。

ヴィゴは、悲鳴に近い声を出して、ショーンに抗議した。

ショーンの手は大きく、指は長く、そして、握力は強い。

「残念だったな。どうやら使い物にならなくなったようだ」

ショーンは、緑の目を細めて、痛みのあまり力なく項垂れたヴィゴのペニスに、十字を切った。

ヴィゴは、縁起でもないと激しく頭を振って、ショーンの手を途中で止めた。

「酷いことするな。ショーン」

「パパより、酷いことはしてないと思うんだけど?」

ショーンは、自分の頭のシャンプーを落し、今度は、ヴィゴの身体を荒い始めた。

スポンジが、ヴィゴの身体を撫でていく。ヴィゴの身体は、ショーンに比べると多少、細い。

全身を筋肉が覆っている。

毎日使われ、作られる筋肉には、張りがある。

ショーンに比べれば、体毛も濃い。

それは、すこしばかりショーンにコンプレックスを与えている。

ショーンは、土のついたままのヴィゴの脛に、顔を顰めた。

昨日は戦闘を繰り返していた。アラゴルンの衣装は、足元まで覆われている。どうしたら、こんな部分に、土がついたままになるのか、想像もできない。

「どうした?ショーン」

王様然と身体を洗われていたヴィゴが、ショーンの肩に手をついた。

「いや、別に、足を上げてくれ。足の裏を洗うから」

聞けば、また、とんでもない返答が返されそうで、ショーンは、ヴィゴの足の裏を洗うのに専念することにした。

衣装のまま、釣りをしにいって、水に入ったとか。

散歩をしていてぬかるみに足をとられたとか。

衣装部の人間が聞いたら、泣き出してしまいそうなことを、ヴィゴは、平気でやることがある。

「爪を切るべきだな」

「そう?」

長くなった爪の間にも、土が入り込んでいて、ショーンは、スポンジで何度か擦った。

ヴィゴは、ショーンの膝に足を乗せ、ショーンの真剣な様子を覗き込んでいる。

「適当でいいぞ」

「今、適当に済ませたら、あんたが綺麗になる時が永久にこないから、遠慮しとくよ」

「綺麗好きだな」

「普通の人、程度にな」

ヴィゴがあきれたように、頭を振り、ショーンもあきれたようにため息を吐き出した。

あまりに熱心に、身体を洗うショーンに、ヴィゴは、もう一度、ボディーソープの手を伸ばして、自分の手の平をぬるぬるにした。

充分に泡立て、満足がいくと、ショーンの首筋をその手でなで、胸へと掌を滑らせていく。

ショーンは、驚いたように首を竦めた。けれど、ヴィゴの予想に反して、爪の間の土を落すことに熱中しつづけた。

ヴィゴは、そのまま手の届く限り、ショーンの体を撫で回した。

ショーンの体は、なめらかだ。

肌のきめが細かいのか、ヴィゴの手に吸い付いてくるような感触がする。

役作りのために増やしてある脂肪も柔らかでいい。

そのくせ、どこも弛んだ印象を与えないのが、ショーンのプライドを垣間見るようで、なんとも愛しい。

ヴィゴは、手の感触を無視しつづけるショーンの、みえみえさ加減を、鼻で笑った。

「これを、何とかしないと、だめなんじゃないかな?ベイビー?」

石鹸まみれの自分の足をショーンから取り返して、つま先で、ショーンのペニスを蹴った。

ショーンは、肩を竦めてヴィゴを見上げると笑った。

「パパのは、回復しそう?」

「パパは止めろよ。ショーンにそう呼ばれると……なんというか、そう…落ち込む」

「じゃ、ヴィゴも、俺のことをベイビーなんて呼ぶなよ」

「それは、だめだ。あんたみたいに可愛いやつを他に呼ぶ方法といったら、ハニー位しか、ないんだから」

ショーンは、鼻の頭に皺を寄せた。

「ダーリンって呼ぶんなら、返事をしてやるよ」

二人は顔を見合わせて笑った。

「前も、どっちをダーリンって呼ぶんだって、揉めたんだよな」

「そう。あの時も、揉めまくって」

「じゃ、ダーリン。今度は俺が洗ってあげるから、スポンジを貸してくれ」

「ヴィゴ、あんた、背中を洗ってないぞ」

「いいよ。背中なんて、俺には見えない」

「また、そういう…」

結局、スポンジはヴィゴの手で、落ち着いた。

ショーンは、バスタブに腰掛け、ヴィゴに足を差し出している。

「なぁ…」

しばらくは、大人しくしていたが、ヴィゴのスポンジが、明確な意思を持って、ショーンを洗っていくので、ショーンは、広げた足をはしたなくヴィゴの肩へと乗せなければならなかった。

「なぁ…いつまで身体を洗ってるんだ?」

こんなときばかり、ヴィゴは、熱心に身体を洗いつづけた。

ショーンの足が、ヴィゴの肩の上で動く。

「なぁ、もう、いいだろ?そんなに焦らすことないじゃないか」

スポンジは、滑らかな泡で、ショーンの太腿を、何度もなぞっていた。舌を這わされて身体を強張らせたり、噛まれて、声を上げてしまった場所ばかり重点的に洗っている。

「意地が悪いな。ヴィゴは」

「きれい好きなんだろ?」

ヴィゴは人の悪い顔で、ウインクをした。

ショーンは舌打ちして、ヴィゴの頭を胸に抱きこんだ。耳を噛み、言葉を滑り込ませる。

「俺の体のなかも洗ってくれ」

男の、低い声でしかないのに、ぞくりと、ヴィゴの腰に這い上がるものがあった。

ヴィゴは、スポンジを投げ出し、ショーンの体を強く抱き締めた。背中に回っていた手が、するすると下りて、ショーンの尻を掴む。

「やる気になったか?」

ショーンは、もう一度ヴィゴの耳を噛んだ。

湿った音をさせて、耳を甘噛みしていく。

「やる気になったさ。ショーンがそんなに上手にくどき文句を言えるとは思わなかった」

ヴィゴは、ソープに滑る手で、ショーンの尻を揉んだり、撫でたりした。

調子に乗った唇が、小さく膨らんだ乳首を舐め、石鹸の味に、「げぇ」っと、顔を顰めた。

うっとりと目を閉じかけていたショーンは、その声に驚いて目を見開いた。

「最低だ。まずいよ。ショーン。いままでで、最高に不味いショーンの味だ」

ヴィゴは、何度も口から唾を吐き出した。涙目になりながら、舌を伸ばして、何回も「オエッ」っと、繰り返した。

「当たり前だろ。ゆすいでやるから、口を開けよ」

子供のような姿のくせに、掴んだ尻を離さないヴィゴに、ショーンは、呆れてシャワーを差し出す。

「ああ、いきなりフェラをしなくて良かった。こんなにまずくちゃ、トラウマになりそうだ」

「ほら、黙って、口を開けて」

ヴィゴは、舌を盛大に口からはみ出させ、ショーンの差し出すシャワーのお湯で、口の中の石鹸を流した。

そうしているくせに、まだ、ショーンの尻を撫で回している。

「こんな風じゃ、あんたの身体を舐めてやれないじゃないか」

「石鹸を流してからにすればいいだろ。なんでそんなにがっついてんだ」

「待てないって言ったのは、あんただろう」

「待てないけどな、大人として、石鹸を流す時間くらいは待てるんだ」

情けない姿でいつまでも、しがみつくヴィゴに、笑いが抑えきれず、吹きだすと、しばらく憮然とするヴィゴの前で、ショーンは笑い転げた。その尻をまだみっともなくヴィゴは撫で回している。

ショーンは、まだくすくす笑いながら、するりとバスタブから体を落とした。ヴィゴと同じように、床に膝をつく。

大きな身体の二人が同じように屈むには、床が狭い。

ショーンは、泡のたつ自分の足をするりと撫でると、ヴィゴのペニスに手を伸ばした。

「ヴィゴ、回復しすぎだ。一回いくか、もうすこしミニマムなサイズに戻してくれ。いきなりこれを入れられるんじゃ、俺は、今晩の仕事ができなくなっちまう」

ご大層に顔を顰めた。

石鹸のぬめりが、ショーンのタッチをよりなめらかなものにし、ヴィゴは、「うっ」と、軽くうめいた。ショーンは、それを面白がるように、先端から、つるつるとすべてを泡まみれにしていく。

「そんなことをしていちゃ、小さくはならないぞ」

「一回出せばいいだろう」

「あんたな…俺を試してるのか?さかりのついた坊やじゃないんだ。すぐ回復しなくて、あんたをがっかりさせるようなことになったら、どうするんだ」

「なんともせつない話だな」

ヴィゴの瞳を覗き込むショーンの目を、ヴィゴは牽制するように睨みつけた。

「できないって、話じゃないぞ。ただ、回復に時間がかかるって、言ってるんだ。その間、あんたを待たすのが申し訳ないって言ってるんだ」

「大丈夫。大丈夫だから、ヴィゴ。分かってるって。あんたができないなんて、俺は言ってない。できるのも知ってる。大丈夫。大丈夫だ。あんたは、すばらしいよ」

ショーンは、泡まみれの両手でペニスをささげ持つようにして、大袈裟にまくし立てた。口元が震えている。笑い出す寸前の顔だ。

「…白々しいな。それをカメラの前で言ってみろ。ラジー賞はショーンのものだ」

「誉めてやったのに…」

ショーンは、まだ、うそ臭い演技を続けて項垂れた。肩が震えていたし、その上、性懲りもなくヴィゴのペニスを擦っている。

「誉める?そういうのは、人の傷口に塩を塗りこむっていうんだ」

ヴィゴは、ショーンの腕を掴んで強引に立たせ、壁に手を付けさせた。そうしておいて、バスタブに湯を入れた。

ショーンは、まだ笑いながら、ヴィゴを振り返っていた。

その態度を許せないヴィゴは、掃除道具の間に隠してあったジェルを取り出し、ショーンに見せた。

「これが使って欲しい?それとも、ソープで我慢しとくか?」

「用意がいいなぁ」

ヴィゴの脅しは、全くショーンに効かなかった。ショーンは、ただひたすら、普段よりずっと段取りのいいヴィゴを感心した目で見ていた。

「ヴィゴは、前から風呂場でやるのが好きだったのか?」

その上、奇妙な趣味でもあるかのような扱いだ。

「何年も前の話なんて、もう忘れたね」

「何年も前にしたんなら、ソープを舐めると苦いことも覚えてればいいのに」

もう、ヴィゴは、無言でジェルのキャップを外し、指をショーンの中に沈めた。

強引に肉を割ったヴィゴに、ショーンは、眉を顰める。

「優しくしてくれよ」

「優しくしてやってるだろ?まだ、一本しかいれてない」

ヴィゴは指をぐるぐると回した。

「待てって。ヴィゴ。それは、ぜんぜん良くない。ちょっと苦しい。愛がまるでないぞ」

「愛が欲しいってのか?…俺だって、欲しいぞ。くそっ!」

ヴィゴは、ショーンの背中に体を寄り添わせて、顎を掴むと、唇を合わせた。

薄いショーンの唇を舐め、ショーンが顎を支えていなくても、キスを返すようになると、その手で、ショーンのペニスを擦り上げた。

ショーンの舌と、内部の肉が、同じように痙攣した。

ヴィゴは、指先を折り曲げ、ショーンの中を少しずつ、広げていく。

ショーンが鼻に掛かった声を漏らした。ヴィゴは、まだ、絡めた舌も、指も離さない。

「ヴィゴ…ヴィゴ」

ショーンが腰をヴィゴに押し付けた。

「そんなことをすると、あんたが辛い思いをすることになるんだぜ?」

ヴィゴは、指の入り込んでいる、尻の割れ目にペニスを擦り付けた。ショーンは、顔を赤くしながら、ヴィゴの唇を求めた。

「ここまできて恥らってみせるんだから、あんたは、本当にたちが悪いな。ショーン」

ショーンが何か文句を言う前に、ヴィゴは、すこし尖った唇に噛り付いた。

「いつまでも恥じらいを忘れないってのは、俺を煽る手管の一つなのか?」

自分だけ、言いたいことを言い、ショーンには、喘ぎを漏らさせるだけにした。

「なぁ、一回いかせてやろうか。あんたは、ここで感じると、すぐ、回復できるだろ?」

ショーンは首を振ったが、ヴィゴは、指を増やして、ショーンのいい部分だけを弄りつづけた。

ヴィゴの手の中にあるペニスが、とろとろと先走りを漏らし始めた。

「ショーン、出しな。我慢しなくても、後でもっといい思いをさせてやるから」

ヴィゴは容赦なくペニスも責め上げ、ショーンは、とうとう声をあげて達した。

ヴィゴは、シャワーで、手を流し、バスタブに貯めていた湯も止めた。

湯は、二人が入れば、溢れることが確実なくらい溜まっていた。

「…ヴィゴ。あんた、そんなに回数に自信がないなら、俺が、あんたにつっこんでやろうか?」

壁に縋りついたような形で、ショーンは息を吐き出していた。それなのに、憎まれ口は忘れなかった。

「遠慮しとくよ。あれは、ショーンのお気入りみたいだし」

随分と乱暴な冗談を返すようになったショーンを、軽くいなして、ヴィゴは湯の温度を確かめバスタブに浸かった。

ショーンは、振り返って顔を顰めた。

「余裕の態度じゃないか。俺だって、あんたを楽しませてやれるぜ?」

「そうだろうね。でも、俺だって、負けずにあんたを気持ちよくしてやれる」

「…一回だけだけど?」

「その一回で、思いっきり泣かしてやるって言ってるんだ。ほら、入ってこいよ。ショーン」

ヴィゴが腕を広げると、ショーンは、憎らしい口を利いていたことを忘れさせるほど、素直に頷いた。こういうところが、同性まで虜にする要因だとヴィゴは考えた。

ショーンは、軽く身体を流し、バスタブに足を入れた。

誰が見たって、二人で入るには、狭すぎる。

お湯が盛大に流れていった。

ショーンは、座ることも出来ず、中途半端に、立っていた。

「この中でするのか?」

戸惑ったように、ショーンは、ヴィゴの足を蹴飛ばした。

また、お湯が溢れる。

「俺は、あんたの上に座ればいいのか?」

重なれば、入ることは、可能だ。

入れることも、可能だろう。

間抜けなポーズを思い浮かべで、ショーンは、鼻の頭をかいた。

「いや、もっと違うことをしよう」

ヴィゴは、湯の中から立ち上がり、反対にショーンを沈めた。

「しばらくゆっくりしたい?」

ショーンは、もじもじと腰を動かした。

「いいってことで良い?」

「ヴィゴだって、したいだろ?」

「まぁね。でも、その位は大人だから待てるのさ」

ショーンは、口笛を吹いて、ヴィゴを冷やかした。

ヴィゴは、ショーンに腕をバスタブの縁へとかけるよう指示した。

それから、ヴィゴ自らショーンの頭を縁の乗せ、ショーンの太腿を抱き上げるようにした。

浮力が働いて、ショーンの体は簡単に湯の中で浮いてしまう。

「ヴィゴ、結構、恐い」

どこに力を入れても、湯の中に沈みこみそうなショーンは、必死になって、バスタブの縁を掴んだ。

「足はきっちり持っててやるから、おぼれないように気をつけろよ」

ショーンは、殊更頭をバスタブの外へと出してヴィゴを情けない目でみた。

「おぼれる危険があるなら、止めろよ」

「ここまできて、止められるかよ」

「それが大人ってもんじゃないのか?」

ヴィゴは止めずに、ショーンの後ろを開いた。

「しっかり掴まってろよ」

少しの湯と一緒に、ヴィゴが重く入り込んできた。ショーンは、ゆっくり息を吐き出して、ヴィゴを迎え入れた。最初、どうしてもきついが、そこを我慢すれば、なんとかなることを経験上分かっている。その最初だって、ヴィゴもきついのを我慢している。

ショーンは、不安定な体を持て余しながら、眉を寄せるようにして努力しているヴィゴを見上げた。

ヴィゴは、眉を寄せてそそる顔を見せているショーンを舌なめずりしたいような気持ちで見下ろしていた。溺れるのが心配なのか、不安げな瞳が、揺れているのもいい。

体中に力が入ってしまって、締め付けときたら痛いくらいだ。

それでも、詰め込まれたジェルのせいで、ペニスをずるずると飲み込んでいく。

ショーンの喉から、「うっ」なんて、色っぽい声が押し出されると、このままがんがん揺さぶってやりたい気持ちになる。

だが、ソフトに、今後の展開を考えて、ヴィゴはソフトにベニスを奥へと押し込んだ。

ゆるく抜き差しを繰り返すと、ショーンのペニスが回復し始めた。

「気持ち良い?」

「うん…だけど、やっぱりこれは、止めないか?結構、恐い」

「任せろ。安心して愉しめばいい」

ヴィゴは、本格的に、ショーンの足を抱え込んで、奥を抉り出した。

動きに、ぴちゃん、ぴちゃんとお湯が跳ね上がった。

「ちょ…ヴィゴ、お湯が入り込んで、嫌な感じだぞ!」

喉を反り返らせる合間に、ショーンは、文句を続けた。

「首も痛いし、全然良くない!」

良くない割に、ペニスはしっかり立ち上がったし、穴はきゅうきゅうとヴィゴに吸い付いた。

ヴィゴは、安心してショーンの快楽のポケットに、ペニスを詰め込みつづけた。

ビスケットだったら、ポケットから溢れ出すほど、ノックを繰り返すと、ショーンの体は、文句の言えない状態になっていた。

お湯の中に溶けてしまいそうな声をひっきりなしに出して、感じている。

力の入っている部分といえば、ヴィゴを締め付けているところくらいで、ヴィゴが気をつけていないと、夢中なショーンは、バスタブに落ちそうだ。

引き抜くたびに、切ない目をして、ヴィゴを追いかけた。

入り込む湯を気にしなくなった。

「奥まで…もっと、奥までしてくれ」

激しく求められて、ヴィゴは、遠慮なく腰を打ちつけた。ざらつく内部が、ヴィゴに汗をかかせたが、ショーンの方が、もっと汗を噴き出していた。

何度も打ち付けられる衝撃に、ショーンは、泣いているような声で、快感をわめき散らした。

そして、水没した。

それは、一瞬のうちに起った。

ヴィゴがショーンの「アアァ」という声に聞き惚れているうちに、ショーンは、湯にはまり込んだ。

ヴィゴが慌てて救出したので、本当に一瞬ですんだが、驚いたショーンの締め付けに、ヴィゴは連れ去られそうだった。

それを堪えて、ショーンを抱き起こし、ショーンの腕を首に巻かせた。つながったまま、ヴィゴの膝に抱かれているショーンは、事態が飲み込めず、目を見開いたまま、涙を零していた。幸い、水を飲む暇も無かったらしい。

ショーンは、あまりの衝撃に、声も出ない様子だ。

ただ、早い息を繰り返し、治まらない動揺をやり過ごそうとしている。

ショーンの激しい鼓動は、ヴィゴにも影響を与えていた。

唇を噛み締め、冷静を保っているように見せかけていたが、無意識に呼吸に合わせて締め付けてくるショーンに、ヴィゴは泣き顔を揺さぶってやりたかった。

しかし、人間として衝動をなんとかやり過ごし、ずぶ濡れになってしまった顔を掌でぬぐって、強張っている頬に口付けた。

ショーンは、ぎこちなく、ヴィゴの顔を見た。

「……恐かった」

「悪かったよ」

謝罪だけは、心から口にした。

「死ぬかと思った。俺は、こんなところで、間抜けな格好をして死ぬのかと思いっきり後悔した。ヴィゴもレスキューを呼ぶところだったんだぞ。もう、金輪際、あんなセックスは止めような」

ヴィゴは、自分のぬかりに、ショーンから見えないように顔を顰めた。

「ああ、ビックリした。やっぱり普通が一番じゃないか?もう、上がって、ベッドに行こう?」

しかし、ヴィゴは、ベッドまで移動するのが待てなかった。

「ショーン…悪いけど、もう少し付き合ってくれないか?」

ショーンは、緑の目を大きく見開いた。

「ほら、これ。これが、もう限界なんでね」

衝撃から立ち直ったショーンの奥に、ペニスの先を擦り付けた。

いい部分を狙ってたので、ショーンは、小さく震えてヴィゴを締め付けた。

「命がけのセックスなんて…」

ショーンは、ヴィゴの腕の中で、上半身を反り返してため息を付いた。

ヴィゴは、機嫌をとるように、ショーンの乳首に吸い付き、緩く腰を動かし続けた。

「今度は、うつ伏せで、縁に掴まればいい。そうしたら、溺れることもないだろう?」

ショーンは、腰を捩って刺激を深く味わおうとした。

「あんたも、俺も、人間のクズだな…」

ショーンのペニスは、少しも萎えていなくて、ショーンは、ヴィゴの言うとおり、うつ伏せでバスタブの縁に掴まった。

湯から、辛うじて浮き出ているショーンの尻に、ヴィゴはペニスを埋めていく。

ショーンは、さっきの続きのような、焦った良い声でヴィゴの名を呼んだ。

ヴィゴは、早い速度で、ショーンの中をスライドした。

ショーンが「いやいや」と首を振る。

ヴィゴは、もっと大きく、腰を打ちつけた。尻を叩く、鈍い音がバスタブを支配する。

「いやだ。ヴィゴ。いや…ヴィゴ」

知らないうちにヴィゴに腰を突き出すポーズをとっていたショーンは、気を付けないとお湯の中に顔を突っ込みそうになっていた。

ヴィゴは、ショーンの腰を抱きかかえるようにして前進し、だらしのない恋人を救い出す。

ショーンは、深くまで刺さったヴィゴに、腰を震わせて泣き声を上げた。

ヴィゴ自身がバスタブの縁を掴んで、ショーンを揺すった。

ショーンは、壁に縋りつくようにして、高く声を張り上げると、お湯の中に精液を撒き散らした。

 

ぐったりしてしまったショーンの中を、まだヴィゴは擦り上げ、ショーンに啜り上げさせていた。

「ギブ…アップ…」

ショーンは、次第にペニスを硬くさせながら、嫌がって、ヴィゴにはやく終わることを求めていた。

ヴィゴのペニスが作る快感に、このまま流されて、いかされたら、腰が立たなくなってしまう。

「一回で充分楽しませてやるって言っただろ?」

「…もう…楽しんだから、いい」

泣き言を言うショーンに、ヴィゴは、無理やりショーンを巻き込む真似はしなかった。

ただ、ヴィゴに体中優しく撫でられ、腰を揺すられたショーンが、一緒に達してしまっただけだ。

けれど、3回目の絶頂はさすがにきつくて、ショーンは、ヴィゴに抱きかかえられて、ベッドへと戻った。

 

「二度としないからな」

ショーンは、ベッドの上に大の字に寝転がったまま、ヴィゴを睨みつけていた。

ヴィゴは、甲斐甲斐しくショーンのために冷たい水を運んできた。

起き上がるのも億劫で、ショーンは、ヴィゴを手招き、口移しに水を寄越すよう要求した。

喉をとおる水は、甘い味がするかのようにおいしい。

二口目を欲しがったショーンに、ヴィゴはコップの水を光にかざして見せた。

「もう、10回セックスしたら、再チャレンジを許す?」

ショーンは、呆れた顔を隠しもせず、ヴィゴを見つめた。

「やっぱり、風呂場でするのが、趣味なんだろう?」

「人をおかしなものでも見るような目で見るな。たまには違ったことするほうが、ショーンも燃えるかと思っているだけだ」

「でも、べつに、風呂場に拘らなくても…」

「そういうことばっかり言うとだなぁ…」

ヴィゴはショーンの足を持ち上げ、腰の下に、何枚かのタオルを押し込んだ。

そうして、ショーンの腹を押す。

「うわっ…ちょっ…なんてことを!」

風呂場から上がるときに、ショーンの中に入り込んでいた湯と精液は、殆ど流れ出てしまっていたが、まだ、残っていた分が、柔らかい穴から零れだした。

「…信じられない」

おもらししたようにタオルの濡れる感触に、ショーンは、顔を隠して、真っ赤になる。

「入れたままなんて、嫌だろう?」

ヴィゴはタオルを取り替えると、今度は、直接穴の中へ指を入れた。

ショーンがどう頑張ろうと、水は、広げられた尻の割れ目を伝って、タオルへと吸い込まれていく。

「もう、付き合いを考えさせてもらう」

ショーンは、全身を赤く染めたまま、ヴィゴに絶交宣言を突きつけた。

 

しかし、1時間後には、並んで昼寝をし、3時間後には一緒に撮影に向かったのだから、ショーンの宣言は、脅し以上の効果がないのだった。

 

                                                    END

 

 

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