バースディ
「ショーン。どうする?まだ、やるつもり?」
ヴィゴは、カードをテーブルに広げながら、すっかり頬の染まったショーンを見た。
ショーンは、舌打ちしながら、ヴィゴが広げたカードを見入った。
またも、ヴィゴの勝ちだ。
現在、10勝2敗。
ポーカーで負けた方が、次のゲームの間中に、ウイスキーを一杯片付けるペナルティーでゲームを始めた。
ショーンは、あまりに負けが込んでいた。
「ショーン。もうそろそろ、ギブアップする?」
ヴィゴは、途中から酒の分量を極力減らし、ショーンにペナルティーのグラスを差し出していた。
度を越えた飲酒状態のショーンは、薄くなった酒の味にも気付いていない様子だ。
ヴィゴは、酒を注ぐこともやめ、ソファーにもたれかかって、にやにやとショーンを笑った。
ショーンは、左右にゆらゆらと揺れていた。
機嫌の良さそうなことだけが、なによりだ。
「ショーン。あんたさ。ここに何しに来たんだ?」
ヴィゴは、ショーンに苦笑した。
「夕飯の準備は俺にさせる。風呂の準備もさせてもらった。グラスも、つまみも用意した。いや、別に普通の日なら、問題ないさ。ショーンは、はるばる訪ねてきてくれた大事なお客様だからな。でも、今日は、俺の誕生日なんだぜ?ケーキと酒だけ持ち込んで、それで、俺のバースディはお終い?」
ショーンは、手に持っていたカードを投げ出した。
「そこまで俺は、けちじゃない」
酔っ払いは、口を尖らした。
「そう。じゃ、俺は、何が貰えるんだろう?」
ヴィゴは、ほとんど何も期待せずにショーンに尋ねた。
ショーンは、バンバンと、ソファーを叩いた。
向かい合わせのソファーに座っているヴィゴに、隣りへ来いと呼んでいる。
ヴィゴは、軽く笑って、ソファーから立ち上がった。
ショーンの隣りへとどすんと腰を下ろす。
「で?何してくれるっての?ショーン?」
むーっと、唇を突き出すショーンにキスをして、ヴィゴは、ショーンの耳元で訪ねた。
現在髪を長くしている恋人の金髪を耳にかけ、甘噛みする。
ショーンは、肩を竦めて、その感覚に反応を示した。
酒で湿った唇が緩く解かれ、長く息が吐き出された。
ショーンは、とてもいい匂いだ。
ヴィゴに風呂を用意させ、食事が済んだら、とっとと自分だけ入りに行った。
「ヴィゴ。やっぱり、その髭はちょっとくすぐったいな」
「そう?でも、気持ちいいだろ?」
ヴィゴは、顔を傾けショーンの唇に唇を合わせた。
深くキスをすると、どうしても髭がショーンの鼻の下を擽る。
ショーンは積極的に、自分からキスを繰り返した。
ヴィゴの唇をピンクの舌が舐めていく。
「もしかして、ショーン。あんたが、してくれるのって、このキスだけじゃないよな?」
キスを返すショーンが、緑の目で、じっとヴィゴを見た。
「ヴィゴ。あんたさ、そうやって俺のこと怯えさせるから、なかなかプレゼントをやる決心がつかないんじゃないか。ヴィゴの趣味に合ったプレゼントを差し出すだけの決心をするには、俺にとって大変なんだぞ。今回なんか、こっちに来ること自体やめようかと思った」
「そんな、ショーン!ショーンの顔が見られるだけでも、俺は幸せだってのに…」
ヴィゴは大袈裟に言いながら、ショーンを抱きしめ、情熱的なキスをした。
「…本当か?」
ショーンは、疑い深く言った。
ヴィゴは、にやりと笑った。
「嘘に決まってるだろ。ショーン。あんたに会えることは確かに俺を幸福にさせるけど、誕生日くらいは特別に、もうワンランク上の幸福を願っても罰は当たらない。勿体ぶらずに、さっさとプレゼントを出せ。つまらないものだったら、笑ってやる」
ヴィゴは、ショーンに向かって手を差し出した。
ショーンは、やんわりとその手を押し返し、すこし視線を反らしながら、顔を赤くした。
ソファーの端を無意識にだろう弄りながら、しばらく何も言わない。
ヴィゴは、ショーンに肩をぶつけた。
ショーンが、はっとしたように顔を上げた。
「……ヴィゴ。あの、その。つまり…えっと…プレゼントは、目の前の俺なんだ。…あー、えっと、今晩、…ヴィゴのしたいことに付き合う。……その、つまり、……前、あんたがやりたがってたアレ。あれをしてもいい。あの…あんたが、そんなことは、もう興味が無いって言うんなら、それでいいんだが。……えっと、その為に、ケーキだって買ってきた」
ショーンは、もともと酒のせいで赤かった顔も首も、更に真っ赤にして、俯いた。
けれども、急にヴィゴの首へと腕を伸ばし、抱きつくと顔を肩に埋めた。
「そんなんじゃ、プレゼントにならないか?」
「マジかよ」
ヴィゴは、さすがに驚いた。
アレというのは、つまり、かなり遊びの要素が強いセックスの方法だ。
前にヴィゴが提案した時には、ショーンは強く拒絶した。
冷たい目をして、はっきりとヴィゴを見下し、馬鹿にした。
ヴィゴは、ショーンをきつく抱きしめ、期待で興奮を示し始めたペニスをショーンの太腿に押し付けた。
ショーンは、びくりとソファーの上で後ずさった。
それにも構わず、ヴィゴは、しきりとショーンの金髪を撫でた。
項へとキスを繰り返す。
「アレって、あれのことだろ?ショーン」
「…そうだよ。ヴィゴ」
ショーンの息は、羞恥が含まれ、随分と熱い。
「あんた、そのために、ケーキを選んだのか?」
「…そりゃぁ…まぁ…その…」
ヴィゴは、しきりにショーンの髪にキスをした。
「店で、挙動不審にならなかった?」
ショーンは、ヴィゴの腕の中から逃げ出そうともがいた。
ヴィゴは、ショーンを強く抱きしめた。
「ショーン。あんた、本当に気前がいい。あんなにも嫌がっていたのに、そんなに俺のことが好き?」
ヴィゴは反論を許さず、キスだけをして、言葉を続けた。
「2人分だから、あの大きさのケーキなのかと思ってたのに。なるほど。うん。ちょうどいいくらいのサイズなんじゃないか?…まぁ、俺なら、もっとでかくて、クリームも、イチゴもたっぷりなのを選ぶけど」
ヴィゴは、機嫌よく立ち上がった。
箱を開けるなり、あまり興味なさ気に冷蔵庫に放り込んだケーキを取りに行く。
「……やっぱり、今回来なきゃ良かった…」
鼻歌でも歌いそうなヴィゴの背中に、ショーンは小さなため息を付いた。
テーブルの上には、ショーンが途中で買ってきたケーキが用意された。
アルミホイルのケーキ皿が、さっきまでポーカーをするために使っていたカードを踏んでいる。
けれども、ショーンは、そんなことを気にしている余裕は無かった。
「平気か?」
ヴィゴは、自分の指についた生クリームを舐めながら聞いた。
ショーンは、あお向けに寝転がり、両足をヴィゴの肩にかけていた。
場所は、先ほどのソファーの上から動いてもいない。
ショーンは、多少の不快感に眉を寄せていた。
「……平気じゃないって、言ってもいいのか?」
薄く瞼を開け、緑の目が、ヴィゴを睨む。
「いや、大丈夫。ショーンなら、平気のはずだ。多少気分が悪かったとしても、気のせいだから、気にするな」
ヴィゴは、ウインクまで返すほど、浮かれていた。
ショーンは、ケーキにデコレートされていた生クリームを体内に詰め込まれていた。
ヴィゴは、ケーキから掬い上げては、ショーンの尻を大きく開き、穴の中へとクリームを押し込んだ。
確かに、その作業そのものは、いつものジェルを塗り込める作業とあまり変わりはなく、意識しさえしなければ、ショーンにとっても、それほど違和感のあるものではなかった。
だが、意識するとダメだった。
さっきまで、ヴィゴのためのバースディケーキをデコレートしていた生クリームだと思うと、激しい羞恥がショーンを襲った。
あんなに綺麗に出来上がっていたケーキの生クリームを、体内に塗り込められているのだと思うと、どうしようもなく恥かしい。
けれども、ショーンは、出来る限り、力を抜いてヴィゴの指を受け入れていた。
生クリームは、体温で溶け出した。
早く作業をしなければ、どろどろとした白い液体が、尻から伝うことは必至だった。
ショーンは、意識して、尻を高く上げていた。
ヴィゴは嬉しそうに中に入れた指をぐじゅぐじゅと言わせている。
「……平気じゃないって言ってダメなんだったら、親切めかして聞いてないで、さっさとやれ、ヴィゴ」
「聞かないと、ショーンの機嫌が悪くなる」
「……もう、悪いから、心配するな」
ヴィゴの誕生日でなければ、決してショーンはこんなことを我慢したりしなかった。
ショーンは、ヴィゴの趣味の中でも、こういった食べ物を使う方法が、特に趣味が悪いと思っていた。
どういうわけだか、ヴィゴは好きなようだが、されるショーンは、とにかく、恥かしい。
普段口にするようなものであれば、あるほど、酷い羞恥がショーンにこみ上げた。
ヴィゴは、せっせとショーンの尻の穴に、生クリームを詰め込んでいる。
「こんなことしといて、俺が機嫌いいままだとは、思ってないだろ?ヴィゴ?」
「そんな、ショーン。あんたがしてもいいって言ったのに」
ヴィゴは、嫌がらせだとはっきりわかるだけ、ショーンの尻を高く持ち上げた。
ショーンの穴から溢れ出した生クリームをずずっと音を立てて吸う。
「ヴィゴ!!」
ショーンは、肩しかソファーに付いていなかった。
尻全部をヴィゴは掌に納め、大きく開いたり閉じたりしながら、溢れてくる生クリームを舌先でペロペロと舐める。
「こういうことされるって、百も承知だっただろ?」
ヴィゴは、口ひげを真っ白にして、にやりと笑った。
舌がべろりと、髭についた生クリームを舐め取る。
「ヴィゴ!」
「さて、お次は…」
ヴィゴの指が、脇に退かしてあったイチゴを摘んだ。
ショーンの言う事は、まるで聞こえてない振りだ。
ヴィゴがしたがったアレとは、ショーンの中に、イチゴを押し込み、いくつ入るのか、確かめ、そして、そこから、直接食べるというものだった。
前に、ショーンがヴィゴの家を訪ねたとき、ちょうどもらい物のケーキがあり、ヴィゴが嬉しそうに提案した。
ショーンは、ヴィゴに足蹴りを食らわした。
ヴィゴがどうしてそんなことを思いつくのかすら、腹が立った。
「よく、決心したな。ショーン」
ヴィゴは、一つ目のイチゴをショーンの中へと押し込んだ。
柔らかいものだ。
ショーンの襞をくぐりぬけるときに、もう、赤い汁を垂らし始める。
ショーンは、眉を寄せた。
尻の穴は、ぎゅっと絞まり、ヴィゴが指をかけて開いていなければ、全くイチゴなど受け入れない。
「蹴り飛ばしたら、その後、とんでもない報復を思いついたのは誰だよ」
ショーンは、何度も、息を吐き出した。
白い腹がへこみ、金色の陰毛がそれにつられて動いた。
「いや、俺だけど。あっ、悪い。ショーン。ちょっと、下に、タオル引いてもいいか?」
「えっ?…ダメか?もう?」
ショーンは、びくりと余計に体に力を入れ、穴の中から、ピンクに染まった液体を搾り出した。
まるい尻の谷間を、ピンク色の液体がつつーっと、伝う。
ヴィゴは、べろりとそれを舐めとった。
「甘いな」
「…そうかよ…」
ショーンは、ヴィゴの満足そうな顔に、がっくりと体の力を抜いた。
絞り出されていた果汁が止まる。
「ショーン。そうだ。あんた、もっと力を抜いていてくれ。このままじゃ、綺麗な形のイチゴが一つだって俺の口に入らない」
「形のいいイチゴが食べたきゃ、そのまま食え」
「やだね。ショーンの中に入ってるのが、食べたいんだ」
「ほんと、お前絶対におかしい。どうして、そういうおかしなことを…」
ヴィゴは、タオルより、俺が舐めればいいのか。と、嫌がって逃げるショーンの甘い穴の中に、舌を突っ込んだ。
まだ、溢れ出していない果汁まで、舌で掻き出し、美味そうに喉を鳴らす。
「なぁ、ショーン。ポーカー。わざと負けてたのか?」
ヴィゴは、ショーンの腿を掴んで腰の位置を高くした。
ショーンの体内に入ったイチゴは、3つ目だった。
ケーキには、全部で、5つ乗っていた。
「全部、入れる気か?ヴィゴ?」
「入るだろう?」
「入りはするだろうけど…でも…」
奥のほうで、潰れてしまっているだろうイチゴの存在を思うと、ショーンは、ぞっとするものがあった。
今なら、なんとか、指も届くだろうが、これからも、どんどん押し込まれるとすると、出しづらくなるのは、想像に難くなかった。
「なぁ、そろそろ…」
「平気だろ?今日は、誰の誕生日?」
「…ヴィゴだけど…でも…」
ショーンは、尻をもぞもぞと動かした。
中には、ごろごろとする違和感があって、排泄要求を刺激した。
「なぁ、ヴィゴ…」
ショーンは、緑の目に哀願の表情を乗せた。
ヴィゴは、とびきり優しい顔で笑う。
「ショーン。こういう事態になるってわかってたから、酔っ払わないと、こうしていいって言い出せなかった?」
「…ヴィゴの趣味に付き合おうと思ったら、素面でなんかいられるか!」
ショーンは、押し出してしまいたい欲求を押し殺そうと、なんども呼吸を繰り返した。
ヴィゴの指が、しきりに肛門の襞を触るせいで、刺激が途切れず、排泄感は高まっていく。
「すまないな。変わった趣味で」
そう言って笑いながら、ヴィゴは、また、一つ、イチゴを指で摘んだ。
それを飲み込む辛さを思うと、やるせなさが、ショーンの体を包んだ。
もう、今だって、全部出してしまいたいのに、まだ、イチゴは、2つ残っている。
「本当だ。最悪最低の趣味だ」
ヴィゴの指が、4つ目のイチゴをショーンに押し込んだ。
ショーンは、顔を顰めた。
柔らかいばかりではなく、どこか硬くごつごつと形のあるものが、また、一つ、体の中に入ってくる。
たっぷりと押し込められた生クリームのせいで、その挿入はスムーズだが、腔口の違和感はどうしようもなかった。
ショーンは、排泄感に堪えるため、イチゴを強く締め付けたかった。
だが、そうすれば、潰れたイチゴから、搾り出された果汁が、尻穴を伝った。
ショーンの肌より、まだ白い生クリームを滴らせながら、イチゴは、ショーンの中へと消えていった。
ヴィゴは、赤いイチゴが、ショーンの金の毛や、白い肌に大変豪華に映えていると、思ったが、黙っておいた。
これ以上、ショーンの機嫌が悪くなったら、折角のバースディプレゼントを貰い損ねてしまう。
ショーンがどうしても尻に力を入れるものだから、イチゴが潰れて、生クリームがピンクに染まった。
結局、懇願され、ショーンの尻の下に引いたタオルは、すごい有様だった。
「ショーン。かわいいね」
「うるさい。ヴィゴ」
「でも、ショーン。イチゴくらいならまだしも、あんた、自分が食べられちまうのは嫌だろう?」
ヴィゴは、ショーンの汚れを舐めるついでに、肉付きのいい尻に歯を立てた。
ぎりりと歯をたててしまいたい要求をぐっと堪えた。
ショーンの尻がもぞもぞと動いた。
ヴィゴの言葉など聞いていないようで、しきりと自分の体のことを気にしていた。
ヴィゴは、柔らかくショーンの尻に歯を立てた。
「ショーン。俺に食われたくないだろ?」
よくヴィゴが心の中で思うことは、このかわいらしい恋人をぱくぱくと食べてしまいたいということだった。
気が強くて、無責任で、女に弱くて、自分本位。
これ以上、その悪い魅力で、世界中を虜にする前に、ヴィゴはなんとか、ショーンのことを自分のものにしてしまいたくなった。
「なぁ、ヴィゴ。もうそろそろ、やめよう。なんだか、随分奥まで入り込んでる気がする」
やはり、ショーンはヴィゴの話など聞いていなかった。
ヴィゴの手の中にある躾の悪い尻をしきりにもぞもぞさせることに夢中だ。
「気のせいだよ。ショーン。それより、あんた、イチゴに感謝しておけよ。ショーンの代わりに俺に食べられるんだ」
ヴィゴは、もう一度、ショーンの尻を噛んだ。
「痛い!ヴィゴ」
「ほら、最後の一個。これで、終わりだから、もう少し、我慢だ」
ショーンの尻穴は、入口までイチゴで一杯だった。
そこへ新たなイチゴを押し付け、ぐいぐいと押して、強引に奥へと押しやる。
ヴィゴは、最後の一個をショーンの中にねじ込んだ。
ショーンは涙を目にうかべて、思い切り顔を顰め、ヴィゴを睨んだ。
「さて、食べさせて貰おうか」
ヴィゴは、ショーンの尻の間に顔を寄せ、自分で押し込んだものを探るように舌を差し込んだ。
指で大きく尻の穴を広げ、顔を出した真っ赤なイチゴを舌先で舐めた。
勿論、ショーンの内壁にも舌を這わせた。
そこのことばかり気にしているショーンは、それだけで、小さな悲鳴を上げた。
ヴィゴは、脅しの意味で、かちかちと歯を鳴らした。
ショーンの太腿が、ぎゅっとヴィゴの頭を締め付けた。
ショーンの手が、がっしりとヴィゴの頭を掴み、それ以上の接触ができないよう、必死で遠ざけようとした。
「ショーン。痛い。頭が禿げる」
ショーンは、ヴィゴの髪を鷲掴みにしていた。
無理やり仰け反らされているヴィゴは、ショーンの顔がどのくらい引きつっているのかをはっきりと見ることが出来た。
「ショーン。なんだったら、俺の顔を跨いで貰うってポーズでも、俺は全然構わないんだけど」
ショーンは、思い切り頭を振った。
今までの行為の間に、酔いも覚めてしまったのか、半泣きになっていた。
「なんで?」
「絶対に嫌だ」
「恥かしいのか?」
「当たり前だ!」
「だったら、手を離せよ。お誕生日なのは、俺なんだぜ?」
ヴィゴは、ショーンの太腿にキスをした。
恋人が、自分に甘いことなど、とっくにわかっていた。
どうしても、出来ないというのなら、最初の段階で、ショーンはヴィゴを突き放した。
「酒なんて手ぬるい真似は止めて、いっそ、クスリでも飲んどけば良かった…」
やはりだ。
ショーンは、鼻をぐずぐずと鳴らしながらも、ヴィゴの要求をのんだ。
「それは今度が楽しみだ。ありがとうな。ショーン」
ヴィゴは、指を入れ込んで、穴の淵へと引き寄せたイチゴに歯を立てた。
ヴィゴは、ショーンの尻穴を広げたまま、嬉しそうにそこに見入っていた。
ショーンは、もう、二つも、ヴィゴにイチゴを食べられて、心底気持ちが滅入っていた。
ショーンは、イチゴを押し出したい欲求に必死で耐えているというのに、ヴィゴは、どうして自分で出そうとしないと、ずっとショーンに文句を言っていた。
散々文句を言って、指で掻き出し、そこに口を寄せるのだ。
なんで、こんな提案に乗ったのか、ショーンは、カードだけ送って済ませなかった自分が嫌だった。
つい、ヴィゴを喜ばせられるかもしれないと、決心したわけだが、自分に出来ることなのかどうか、しっかり考えてから判断する必要があった。
ショーンは、もう、この遊びを終わりにしたかった。
「ショーン。すこし、力を入れて、俺に協力を」
「…嫌だ。出来ない…」
「嫌だじゃ、ないだろう?ずっと入れっぱなしにする?そのまま、明日の朝までいるつもりか?」
ヴィゴの声は、浮き立っていた。
口髭がピンクの生クリームで汚れている。
「だから、嫌だって!」
「そう。その調子。ショーン。もう少し、力んでくれる?」
「……ヴィゴ!」
「上手いぞ。ショーン。もう少し」
唇を大きく真横に広げ、笑いジワを刻むヴィゴの笑顔は、とても優しく見えた。
目尻が下がり、開いた眉が、ヴィゴの顔をとても機嫌よく見せた。
「……ヴィゴ。もう、勘弁してくれ」
ショーンは、かなり本気で懇願した。
「じゃぁ、ロウソクに火を付けてもいい?」
ヴィゴは、まだ、残っていた生クリームをケーキから指で掬い、ショーンの腹につけた。
山になった天辺にカラフルなロウソクを突き立てる。
ロウソクはすこし傾いたが、ショーンの腹の上で、なんとか上を向いたまま踏み止まった。
ヴィゴは、ライターに火をつけ、ショーンに向かって小首を傾げる。
「……やったら、絶交する」
「なんで?かわいい眺めなのに」
ヴィゴは、腹の上で溶け出した生クリームを指先で、塗り広げた。
ショーンの陰毛をぐちゃぐちゃにした。
ショーンは、体中が油まみれで、ヌルヌルだと感じていた。
「ショーン。じゃぁ、誕生日の俺にイチゴ、食べさせて」
どうしてもヴィゴは、引き下がらない。
ショーンは、ヴィゴの髪を掴んで引き寄せた。
きつく唇を合わせ、息も付かせないような激しいキスをすると、思い切り頭を叩いた。
ショーンは、体に力を入れて、イチゴを押し出した。
ヴィゴは、舌を伸ばして、ショーンから出てくるイチゴを待っている。
穴の淵が、ひくひくと動いていた。
次第に捲れ上がって、赤いイチゴが顔を出す。
「ショーン。早く、くれよ」
ヴィゴの息をショーンは、感じた。
ヴィゴの顔の熱さえ足の間に感じている。
「大…嫌いだ…ヴィゴ」
ショーンの太腿は、震えていた。
腹は、繰り返す息に、何度もへこんだり、ふくれたりしていた。
「かわいい。ショーン」
押し出されるイチゴは、ショーンの体内にある間に、随分潰れてしまっていた。
ヴィゴは、舌先で、ショーンの穴から伝うジューシーな液体を舐めた。
「美味い。最高の誕生日プレゼント」
ヴィゴは、ショーンの尻に顔を寄せ、そこから飛び出しているイチゴをむしゃむしゃと食べた。
とうとう、ショーンは、泣き始めた。
「今日のここは、イチゴ専用?」
ヴィゴは、すっかりショーンの中にあったイチゴを食べ尽くし、その上、中に入っていた生クリームも舐めた後に、そうやってショーンに聞いた。
ショーンは、すっかり憔悴していた。
ヴィゴのペニスは、この馬鹿げた遊びの間、ずっと立ち上がっていたが、ショーンのは、結局ほんのすこししか反応することができなかった。
ヴィゴのキスが、ショーンの頬にいくつも繰り返された。
涙の跡を辿っていく。
ショーンは、ヴィゴに向かって手を伸ばした。
恋人の口髭についている生クリームを舐め取った。
「…俺は、けちじゃないって、言った」
「すごいな。誕生日の威力は!」
一つ年を取るってのも、いいものだと、ヴィゴは思った。
END
BACK
モーちゃん。誕生日おめでとうvv