バースディ・パーティ
ヴィゴの手は、ショーンの履いている短いスカートの下にもぐりこんでいた。
軽く足を開いてしまい、ヴィゴの手を受け入れているショーンの方は、もっと奥が触って欲しそうにしているというのに、ヴィゴは、スカートの裾が太ももを擦る、そんな位置しか触らない。
「……なぁ、ヴィゴ」
ショーンの声は掠れていた。折り曲げた膝を床に付き、手も同じ床につかれていたが、その爪は、床を引っかいていた。ショーンは、ヴィゴの触れ方がもどかしいのだ。ショーンは、スカートのもっと奥底に触って欲しい。
「なぁ、って、ヴィゴ……」
目元を赤く染め上げ、うらむようにヴィゴを見つめるショーンは、またわずかに足を開いたくせに、それが恥ずかしいのか、ヴィゴの代わりに床を潤んだ目で睨んで、ヴィゴを急かした。
「ヴィゴ。どうして……」
「ん?」
予想をはるかに上回る出来栄えで、ピンクのチアガール姿の似合わなかったショーンと全く同じ格好をしているヴィゴは、恋人に笑いかけた。ヴィゴの手は、うっすら汗ばんできているショーンの太ももをなでている。いつもだったら、全部剥いてしまわないと見えない白い太ももが、着衣のままだというのにヴィゴの前で恥らうように膝を寄せようとし、しかし、体の欲求に負けて、やがてじりじりと開かれていく。ジーンズ姿なら真っ先に見えるはずのヴィゴの手が目指しているところがスカートに隠され全く見えず、かわりに、ショーンのやわらかな太ももが丸見えだった。腰を隠すだけの丈しかないミニスカートだから、裾が途切れるところからそのいやらしい眺めは始まり、真っ白のハイソックスの膝下まで続いている。それにしても裾に一本、白のラインが入ったピンクのひだスカートは、ショーンに全く似合っていなかった。だからこそと、言うべきか、はちきれそうな体を無理やりピンクのユニフォームに押し込めているその姿は、やたらといやらしい。練習用だったというそのユニフォームは、柔らかな色合いのピンクで、これが、ポロシャツであったりすれば、極自然にショーンに似合ったのだろうが、ハイスクールガールが過去に着ていたという代物は、40を超えたショーンには凶悪だった。
まぁ、似合っていないのは、ヴィゴも同じなのだが。
立ち上がった乳首の様子まで伝えるショーンの姿に、ヴィゴは、自分の足をショーンの太ももにこすり付けた。同じユニフォームを着ているのだから、ヴィゴの足だってむき出しだ。ショーンに比べ体毛の濃いヴィゴの足がざらりとショーンの足をなでていく。
「いやらしい執政様だな」
「んっ……」
真っ赤に頬を染めたショーンが、それだけの刺激に声を上げた。もぞもぞと白い足が摺り寄せられる。ショーンの足が、ヴィゴの足を挟んだ。ミニスカートから伸びている4本の足が、お互いを煽るように摺りあわされる。
「なぁ、ショーン。俺のお願いを聞いてくれたら、ショーンの触って欲しいところに触ってやるぞ」
ヴィゴは、ショーンの耳に息を吹きかけるようにして、声を出した。そして、ひょいっとショーンのスカートをめくり上げた。ただの悪戯心だ。
「馬鹿っ!」
あれほど触って欲しそうにしていたくせに、慌てたようにショーンがスカートを押さえた。まだ、真っ赤になる余地があったのかと、笑いたくなるほど、ショーンの顔は、真っ赤だ。そして、真剣だ。
「……恥ずかしいのか? ショーン」
スカートの前を両手で押さえるショーンの様子に、ヴィゴは、口元を押さえて笑った。ショーンの姿は、いたずらをされて、恥ずかしがっている女の子みたいだった。とんでもなくかわいらしい。
ショーンは、自分が何をしたのか気付いたらしく、熱でもあるかのように真っ赤になった。
「ヴィゴ! あんたが変なことをするから!」
「スカートの威力はすごいな。下着で平気でうろつきまわるあんたが、こんなことが恥ずかしいのか」
ヴィゴは笑った。
「いいもの貰ったな。これは、当分、楽しめる」
「こんなこと、もうしない。それよりも、これ、もう脱ぐぞ」
「だめだ。せっかく貰ったんだぜ? 楽しまないと」
笑いながら、ショーンが押さえているスカートをまだめくろうとするヴィゴを、ショーンは睨んだ。ショーンは、一旦ヴィゴの手にスカートをめくられるままになろうとしたのだが、やはりぎゅっとスカートを押さえ込んで中を隠してしまった。どうにもはずかしいらしいのだ。スカートの威力はすごい。
「ヴィゴ。あんただって、ぜんぜん似合ってないぞ」
大きな体を丸め込むようにして、スカートを押さえているショーンがヴィゴを睨んでいた。恥ずかしすぎるのか、目には少し涙が浮かんでいる。
「知ってるよ。そんなの。だって俺たちには、似合ってないということに意味があったんだぞ」
「だったら!」
「いいじゃないか。彼女は、ぶさいくな上、ろくなポーズも取れない俺たちを従え、華麗なポーズを決め、学生時代の夢を果たした。そして、俺は、この企画が持ち上がったときからひそかに楽しみにしていたことを楽しんでいる」
「あんたばっかりが楽しいな!」
「ああ、そう。でも、ショーンだって、さっきまではノリノリだったじゃないか。ほら、楽しませてやるぜ? ショーン、自分で少しスカートをめくってみな。そうしたら、あんたが触って欲しかったところに触ってやる」
ヴィゴは、ショーンを抱きこんで、頬に耳にとキスをした。わずかに涙ぐんでいるショーンは、体温を高くし、体に汗をかいている。
ヴィゴは、早い息をしている背中を撫でながら、ショーンの首へとキスを続けた。
ヴィゴはミニスカートから覗く足を大きく開いて、ショーンの体を囲ってしまっている。そして、ショーンといえば、さっきヴィゴのスカートめくりから逃れようととった体勢の余波もあり、お嬢さん座りをしているのだ。白のハイソックスとピンクのミニが似合わないまっすぐな足がなまめかしく折り曲げられ、左へと流されていた。ヴィゴは、ショーンを軽く抱きしめ、金色の髪にキスをする。
「ショーン。かわいいよ。あんた、すごくかわいい」
お世辞にも似合うと言えないティーンテイストのユニフォームのショーンにヴィゴはキスを繰り返す。
ショーンは咽喉をのけぞらしながら、ヴィゴのキスを受けていた。ヴィゴのキスがショーンの咽喉を埋め尽くし、そのまま白い襟から覗く、胸元へと落ちていく。ヴィゴは、ショーンの髪を撫でる。キスを繰り返す。
似合わないショーンのチアガール姿は、ヴィゴの嗜虐心をいたく刺激しているのだ。
「かわいいもんか! 四十を過ぎた男にかわいいなんて言うな!」
ショーンは、怒っている。
「なんでだ? あんたすっごくかわいいよ。『私、とっても太ってたから、全く問題なく着れるわよ』と、豪語してた彼女のユニフォームが、まだ引き伸ばされて、ピタピタだ。ほら、ここもすぐ分かる」
ヴィゴの手が、つんと尖って存在を主張している小さなショーンの乳首を摘んだ。
「ヴィゴ!」
ショーンは身を捩って、胸を隠す。
両腕を旨の前でクロスさせて胸をかばうショーンは、赤くした目元でにらんでくることもあり、ヴィゴが舌なめずりしたくなるほど、たまらない色気を発していた。ヴィゴは、ショーンが隠そうとしている胸へと手を伸ばす。抗うショーンの腕をかいくぐりながら、小さな乳首を指先で摘み上げようとする。
「やめろってば、ヴィゴ! もう、脱ぐぞ! こんなの!」
ヴィゴは、思わずため息をついた。
どうして、こうショーンは、俺の気を惹く態度ばかりとるんだ。そんなに俺に構って欲しいのか。
そんなのは、言いすぎだ。と、自分でも分かっていることをつらつらと思いながら、ヴィゴは、ユニフォームの上に手をかけて脱ぎ捨てようとしているショーンの手を押しとどめた。
「ショーン。脱いじまったら、もうしてやらないぞ」
にやりとヴィゴは笑う。
ぐっと小さな音がショーンの咽喉元でした。
そう。どういうわけなのか、とてもショーンはセックスを望んでいる。ここでストップは嫌だと、はっきり分かるほど興奮しているのだ。
ヴィゴとショーンのヘアメイクを勤めてくれている女性は、三日後に迫った自分の誕生パーティのことで悩んでいた。主役の彼女は、スピーチって苦手なのよね。と、鏡に向かって困ったように笑ったのだ。
「困ったわ。せっかくみんなが計画してくれてるっていうのに、私、何をしてみんなに楽しんでもらえばいいのかしら」
彼女に髪を梳かれているショーンは、鏡の中で、目を動かした。
しかし、櫛を唇に当てて悩み出した彼女は、いい考えはないかしら。というように、順番を待っているヴィゴにちろりと視線を流す。
彼女の相談相手は、ヴィゴだった。ショーンは、視線を元に戻した。
ヴィゴは、旅の途中のスライダーとしては、もうどこにも手の入れようないほど薄汚れた、しかし、それは映画関係者としては、もう少し綺麗にしてやらなければならない気持ちにさせる格好で、少し目を大きく見開きながら笑顔で答えた。
「君は主役なんだ。別に俺たちを楽しませなくったて、構わない。好きなだけ、飲んで騒げばそれでいいじゃないか」
日頃から世話になっている彼女のために、ヴィゴやショーンもその誕生パーティの仕掛け人として名を連ねていた。手早い仕事と、明るい性格の彼女のことが二人とも好きなのだ。
「でも……。ほら、こないだのリタのバースディパーティじゃ、彼女、プロばりの歌、歌ってたじゃない?」
彼女は口を利きながらも、大きな鏡の中を見つめ、ショーンの髪を整えている。鏡の中には、育ちの良さと、軍人としての猛々しさを両方うまく内包した白の総大将が出来上がっていく。
ショーンは女の仕事を邪魔しないように、姿勢を変えず鏡に向かっていた。それでも、口を挟む。
「歌? じゃぁ、歌えばいい。俺たちは楽しく聞かせてもらうよ」
ショーンは、全く優等生の笑顔をだった。
彼女は、ハァっと、大げさにため息をついた。
「実は、私、音痴なのよ」
しかし、彼女は、そこで困ってしまったように、小さな笑みを浮かべている俳優二人の顔を確かめると、突然にこりと笑った。
手は、ショーンの額にできた小さな傷に、そっと薬をつけている。彼女の仕事は、細かい気配りと、確かな腕で、定評がある。だからこそ、二人とも彼女が大好きなのだが。
彼女は目を、異様にきらきらしながら、ハンサムな俳優二人の顔をしっかりと見据えていた。
「……そこで、二人にお願いがあるの。……私、学生時代から胸に秘めてきた夢があるのよ」
口元ににこやかな笑みを貼り付けた策略家の女性は、バースディパーティに付き物のプレゼントを前払いでくれという断れないだけの理由を俳優たちに突きつけた後、その夢を口にした。
「私、高校時代、チアガールだったの。でもね、すっごく太ってたの。だから、もちろん花形とは無縁。でも、一度だけでいいから、主役になりたかったなぁって」
二人の子どもを出産した後だというのに、今では、すっかりほっそりしている美人は、自分がポーズを決めている瞬間でも想像しているのか、夢見る視線だった。
ヴィゴは、かわいらしいことを言い出した彼女に、おやおやと鷹揚に笑った。
「ああ、構わないよ。じゃぁ、それをやれよ。俺と、ショーンで、お姫様を担ぎ上げて登場してやる。俺たちの肩から、ジャンプして飛び降りるかい?」
「それは、格好いいじゃないか」
ショーンも面白そうに笑っていた。俳優二人を従えての登場後に、華麗に技を決めるのは、きっと気分がいいだろう。
しかし、彼女の計画は、俳優たちの想像を超えていた。
「んー。そういうのも捨てがたいんだけど、私がやりたいのは、チームメイトを率いてる私。ってのなのよ」
彼女は、ヴィゴと、ショーンに、そのチームメイトというものになれ。と、言っているのだ。
「二人ともポーズくらいすぐ覚えられるでしょ? その上、二人と組めば、絶対に私が一番キュートだわ。きっとみんな面白がると思うし」
ショーンが無理だ。と、言う前に、ヴィゴは、OKと、うなずいていた。やはり、最初にヴィゴに相談を持ちかけた彼女は正しい。胡散臭い野伏は、とんでもない計画を面白がっている。
「ヴィゴ!」
だが、ショーンは、バトンだかなんだかを手に、踊らされる自分を想像し、ぞっとしていた。あんなに高く足を上げられるわけがない。
「私、本当に太ってたの。だから、ユニフォームも絶対、二人とも着れるはずなの。コンビネーションは、私を目立たせるために、適当に手を抜いてね」
「そんな! 無理!」
スカートまで履かされるのか。と、ショーンは思い切り顔を引きつらせた。
だが、この場で、反対しているのは、ショーンだけだ。
「かわいいピンクのミニスカートなのよ。受けること、間違いなし」
「なんだ。ショーン。記念すべき、33回目の誕生日を迎える女性のお願いがきけないってのか?」
当日、女性用にしては、ビッグサイズのピンク色をしたユニフォームを持って現れた美人ヘアメイクは、ちゃっかり、自分の分だけは、学生時代の友達に連絡し、ジャストサイズを用意していた。
「あら、困ったわ。ショーンのウエストが留まらない。いくら太ってたといっても、私のウエストって、ちゃんとくびれてたのね。ウエスト、安全ピンで留めようかしら」
パーティの余興は、大成功だった。
彼女は間違いなく、主役で、そして、そのチームメイトといえば、大笑いの的となった。
そんなパーティ会場からの帰り道、そのままの格好で、次の店へ行こうという仲間たちのからかいを強引に振り切り、ヴィゴとショーンは、いや、主にショーンは、家へと逃げた。
車の中では、この企画に簡単に頷いたヴィゴのことを散々責め立てたくせに、だが、ショーンは、ヴィゴが家のドアを開けると同時に、ドアの裏側にヴィゴを押し付け、激しいキスを求めたのだ。誰もがチアガール姿の俳優に着替えを許さなかったため、いまだ、二人は短いスカートを履いたままだ。
「どうした?ショーン。俺って、そんなに魅力的か?」
ピンクのミニが似合わない度合いでいえば、ヴィゴは、ショーンと互角だった。いや、きつい撮影に面やつれしているヴィゴに比べ、清潔そうなショーンのほうが、少しマシだったかもしれない。しかし、どちらも似合わないことは一緒だ。
肩に座った美人を支え、登場した二人の姿に、店の床が踏み抜かれるのではないかという足踏みが起こり、近所中が驚くのではないかという囃し声が店に渦巻いた。
その後も二人がポーズをひとつ決めるたび、いちいち下品な口笛が吹かれ、彼女は、ワンアクション決めるたび、きらきらとした笑顔をこぼした。
ものを言う前に、ヴィゴにキスを求めたショーンがヴィゴをドアに磔にするように、体を押し付けている。
「んっ、……ヴィゴ」
興奮に目を濡らしているショーンの舌が、ヴィゴの唇を嘗め回す。
どうしてこんなにショーンが興奮しているのか、ヴィゴにはさっぱりわからない。
だが。
「ヴィゴ。……ヴィゴ」
興奮しているショーンの様子に、最初は驚いたものの、しかし、ヴィゴは、それを受け入れた。
ショーンの背中に腕を回し抱きしめると、こんなドアの側なんて場所よりも、もっと落ち着いてすごせる奥へ行こうと、恋人を誘った。
ショーンは、ヴィゴともつれ合うようにして、部屋の奥へと急いだのだ。
ヴィゴの手は、ショーンがユニフォームを脱いでしまうことを阻んでいた。
しかし、ヴィゴはショーンが、服をめくり上げることには賛同していた。
清潔そうな白い襟のついたユニフォームは、ショーンの乳首を晒して、捲れ上がっている。
ヴィゴは、ショーンに服装の乱れを正すことを許さず、立ち上がっている乳首を親指で押しつぶした。何度もヴィゴが爪の先で、ショーンの乳首を引っかくと、ショーンの口から、はぁはぁと、熱い息があふれ出した。それは止まらない。安全ピンで留まったスカートのウエストを晒したまま、ショーンは胸を突き出している。
ヴィゴは、素直な恋人の態度に目を細めながら、ふっくらとしたショーンの腹を撫で回した。息をするたび、そこは膨らんだり、へこんだりしている。決してヴィゴの手を嫌がらない。
似合わないミニスカートでいることは嫌っているくせに、ショーンは、自分でもどうしょうもないほど、先を急いでいるのだ。
「なぁ、ショーン。あんた、何にそう興奮してるんだ? 自分が倒錯した格好でいることに興奮してるのか?」
滑らかな肌触りの腹を散々撫で回したあと、もぞもぞと動くショーンの尻をスカート越しに撫でているヴィゴのスカートは派手にめくれていた。
ヴィゴは、ショーンのように膝をそろえて足を流したりはしていない。長い足は山形を作って無造作に曲げられており、ショーンの体を挟み込んでいるのだ。床に尻をついているヴィゴの下着は丸見えだ。
美人ヘアメイクが用意したひらひらのスコートを当然のごとく辞退した俳優たちが、短いスカートの下に履いているのは、自前の下着だけだった。
それを見られることに抵抗があるわけでなく、反対にヴィゴは、ブーイングする観客たちを挑発するように、何度も足を振り上げてやった。
ヴィゴは、短いショーンのスカートをたくし上げながら、下着越しにたっぷりと肉をつけたショーンの尻を揉む。
ショーンは、乳首を晒したままの格好で、ヴィゴの肩へと顔をうずめた。せつないような息を漏らし、ヴィゴの体にしがみつく。
「んっ……ん」
ショーンは、ヴィゴの肩に顔をこすり付け、いやいやと首を振っていた。ヴィゴの手は、焦らすようにショーンの尻の割れ目を何度もたどるのだ。それは、とても軽いタッチで、だが、ショーンは、もっとしっかりと触って欲しかった。
熱にでも浮かされたように目を潤ませ、頬を赤く染めているショーンは、とうとう、そろそろと手を伸ばし出した。筋肉質の足を晒しているヴィゴのスカートは、隠すという役目など全く果たしていない。下着は丸見えで、重そうなその部分にショーンの指が触れることを何も邪魔しない。
実は、パーティの最中から、短いスカートがまくれ上がる度、目に入ったヴィゴのそこが、ショーンを誘惑していたのだ。ショーンは、ヴィゴのそれが欲しい。
すっきりと長いショーンの指が、ヴィゴのペニスを握った。下着越しのもどかしい愛撫がヴィゴに与えられる。
ヴィゴは、少し驚いたように目を見開いた。
「ベイビー。そんなに待ちきれない?」
嫌味なほど甘い声で、ヴィゴがショーンの耳に囁くと、ショーンは、ぶるりと体を震わせた。
「……これだけ……みせつけておいて……まだ、焦らす気なのか」
硬くなったヴィゴのそこを、いじらしいほど撫で擦るショーンは、ヴィゴをにらみつけた。
「なに? あんた、これに誑かされてのか?」
ヴィゴは、思わぬミニスカートの効果に、驚いてしまった。てっきり、ショーンは、普段と違った自分の格好に興奮してしまっているだけだと思っていたのに。
「なんだよ。パーティの途中から、物欲しそうに指咥えてたわけかよ……かわいいな。ショーン」
ヴィゴは、ショーンに何度もキスを与えた。せわしなくヴィゴの体をさ迷うショーンの指に比べれば落ち着いているが、ヴィゴの手が愛情深くショーンを抱きしめる。
甘やかなまなざしで自分を見つめてくるヴィゴに、もう焦らしはない。と、踏んだショーンは、すっかりヴィゴに体を預けていた。
しかし、ヴィゴは、やさしく続けていた口付けが終わるとショーンに立ち上がるようにと命じたのだ。
「ほら、ショーン。ふらふらしないで、ちゃんと立つんだ。いい子だ。そう。ああ、もう少し足は開こうか。その方が安定がいい」
目の前に吊り下げられたセックスという餌に、つい、ふらふらと立ち上がってしまったショーンは、激しく胸をあえがせていた。ショーンのユニフォームは、上が赤く色づいている乳首が見えるほどめくれ上がり、下は、もぞもぞと動いていた尻のせいでせっかくのヒダもくしゃくしゃになってしまっている。
ウエストは、ファスナーが全部上げられなかったから、安全ピンで留まっているだけだ。
みっともなくも、いやらしい姿のショーンを、ヴィゴはにやにやと見上げ、口元を緩めながら、ショーンに自分の下着を下ろすよう命令した。
ショーンは、逆らわない。恨みがましい眼はしたものの、赤い顔が伏せられると、ショーンの手は、スカートの中へともぐり込んだ。
尻を左右に振りながら、ショーンが下着を下ろしていく。
ヴィゴは、まだ、太ももに下着がひっかかっている状態で、にやにや笑ってしまう口元を覆い隠しながら、もういいよ。と、ショーンに言った。
短いスカート一枚で、頭をもたげているペニスを隠しているショーンは、太ももに下着を絡みつかせたままヴィゴを待っている。真っ赤に染まった頬は、うつむいていてもすっかりヴィゴには見えていたし、吐き出す息の忙しなさ、甘さは、どれほどショーンがヴィゴを求めているのか、はっきり示していた。
ショーンはヴィゴが動くのを待っている。
だが、まだ、ヴィゴは、ショーンにして貰いたいことがあった。
「舐めてやるから、ショーン。自分でスカートの裾を持ち上げるんだ」
「なっ! ヴィゴ」
ショーンの足が一気にこわばった。
ヴィゴは、ショーンの足元に跪き、その足を抱くようにして待った。
ショーンの手は動かない。
ヴィゴは、かすかに震えている肉付きのいい太ももに何度も口付ける。
「さぁ、ショーン。俺に見えるようにスカートをめくって」
ショーンの足はこわばっていた。緊張をほぐすように、ヴィゴはしきりにショーンの足に口付けを送る。
いくつかの毒づきが、ヴィゴの頭の上から降ってきた。厚顔なヴィゴは、そんなもの簡単に聞き流し、抱いている足に指を滑らせる。
「明日まで待たすつもりか? ショーン」
指先はヌードになっている尻と、腿との境目を撫で、しかし、ヴィゴはキスを、決してスカートの裾より上には行わない。
「……ヴィゴ……」
引っかかった下着のゴムが太ももに食い込んでいる部分を何度もヴィゴは擽る。
ショーンの手が、スカートの裾を掴み上げた。ぎゅっと握り込まれた指は、嫌になるほどゆっくりとスカートをめくっていく。
ショーンは、泣き出したいような気分になりながら、自分でスカートを引き上げていた。恥ずかしくて、死んでしまいたいほどなのに、ショーンはスカートを引き上げる動作をやめることができない。
あまりに大きくなりすぎた欲望が目の前でちかちかとハレーションを起こしており、それ以外に考えることができない。
ショーンは、自分の息の音がうるさい。と、思った。鼻の奥は、泣き出す前のように熱くなっており、それよりももっと頬の方が熱かった。
「……舐めて欲しいんだな。ショーン」
スカートをめくり上げ、勃ち上がったペニスを晒しているショーンに、分かりきったことをヴィゴは言った。
自分だって、みっともないピンクのユニフォーム姿のくせに、ヴィゴは、……いや、ショーンにはそんなヴィゴですら、とてもセクシーに見えた。
自分は頭がおかしくなっているのだと、ショーンは思う。こんな馬鹿馬鹿しい遊びにすっかり乗り気のヴィゴを押し倒し、その上に乗り上げてしまいたいほど、ショーンはヴィゴが欲しい。
稚気に溢れたヴィゴの悪ノリをパーティ会場で見ているときから、この激しい欲望とショーンは戦っていたのだ。
重くて、たくましいヴィゴのペニス。スカートがめくれ上がるたび、何度も見えた熱いアソコ。
とにかく、体の中に溜まった欲望を吐き出してしまわないことには、ショーンは冷静に何も考えられなかった。
「咥えて欲しいんだ。……ヴィゴ」
乾いてしまっているに違いない唇が気になって、ショーンは、自分の唇を舐めた。
「ああ、勿論。で、それから?」
ヴィゴの手が、ショーンのペニスを掴んだ。もう、先にいやらしい液体を溢れさせている小さな穴をヴィゴの指先が押し広げるようにぐりぐりと弄る。
それだけのことなのに、ショーンは強く感じだ。
「あっ……」
ショーンの腰ががくりと折れた。ヴィゴは、倒れ込んでこようとするショーンを支え、まっすぐに立つよう姿勢を直させる。
「しっかりしろ。ショーン」
ヴィゴはペニスの先を口に含み、その上、肉付きのいい尻肉を揉み始めた。熱く湿った口内が、ショーンのペニスを吸い上げる。
しかし、ヴィゴは、先端を吸い上げ、尻を揉むばかりで、それ以上のことをしようとはしない。
スカートを持つショーンの手が震えていた。
「……触って、ヴィゴ」
「ん?どこに?」
「尻の……穴の……中」
声は震えているというのに、聞き違いを起こしようがないほどはっきり言葉を口に出したショーンに、ヴィゴはとても満足した。ご褒美を与えるため、ヴィゴは、指の先で、きゅっと窄まっているショーンの小さな穴に寄った皺を撫でてやった。ショーンが、安全ピンで留められたウエストを捩り、はうっ、っと、たまらなく色気のある声を上げる。
尻をヴィゴの指に向かって突き出す。
「オーケイ。ショーン。じゃぁ、後ろを向きな。あんたの素敵な尻を俺にたっぷり見せてくれ」
素直に背中を見せたショーンに、ヴィゴは、ショーンのミニスカートの裾をウエストに突っ込み、真っ白な尻へと顔をうずめた。
くちゅくちゅだったり、チュッ、チュッという音がショーンの尻からはひっきりなしにしていた。
ヴィゴの舌が、ショーンの尻孔を開いている。
ショーンは、ヴィゴに尻を向けたまま、摑まってすがるものもなく、必死になって自分を抱き、その場に立っていた。だが、とうとう、尻を嘗め尽くすといわんばかりのヴィゴのねちっこい攻めに崩れ落ちてしまった。
「んんっ、……ヴィゴ……」
ショーンの声は、たっぷりと味あわされる性感への満足と、そして欲しいものが与えられない不満足で、泣き声に近かった。
しかし、床で四つん這いになったショーンの尻を引き寄せ、まだヴィゴは舌を使って舐め上げる。ショーンの膝は、床にすれて赤くなっていた。無意味に振られるショーンの頭にぱたぱたと髪が音を立てる。
ヴィゴは、尖らした舌を狭いくせにトロトロにとろけている熱い粘膜のなかへとぐりぐりと押し込む。
ショーンのペニスからは、とろとろと粘液が床へと糸を引いており、そこよりももっと、尻の穴のほうが濡れていた。
「あっ! あっ! ヴィゴ」
指と舌で攻め立ててくるヴィゴに、ショーンは、背中を反らして声を上げた。
あまりに攻撃的なヴィゴの攻め方に、ショーンの目からは涙が溢れていた。ごつごつとしたヴィゴの指が、ショーンの穴のなかで、動き回る。舌が穴を広げる。
指の腹が、前立腺を押していく。
「ん! んっ!」
確かにショーンもゆっくりと味わうというよりは、性急に快感を求めていた。しかし、これでは、いい。と、感じている暇もありはしない。ただ、ただ、体が熱い。熱くて、痛いほど咽喉が渇いて、だが、それでも、もっとヴィゴにして欲しくて、ショーンは自分からヴィゴに尻を押し付けてしまう。
顔全体をショーンの尻へと押し付けて舌を使っているヴィゴの手がショーンの片尻を痛いほど掴んで、ぐいっと大きく広げていた。
「あっ!ヴィゴ!んんっ」
体の中に差し込まれた指が、尻の穴のわっかにそって、ぐりぐりと何度も円周を回り始めた。大きく穴を広げようとするヴィゴの嫌がらせは、しかし、ショーンの感じる部位まで指がたどり着くと、そこでぐいぐいと押入れられ、ショーンに文句を言わせなかった。
貪欲なショーンの尻穴がぎゅっとヴィゴの指を締め付けている。
「んっ……んんっ、あっ」
ずずっと、音を立てて大きく広げられた粘膜を吸い上げられ、ショーンは、激しく腰をふった。
ペニスと、玉が、左右に揺れる。
「こっちにも触れって、請求か?」
ヴィゴが目を上げて、ショーンににやりと笑いかけた。
するとショーンは、ためらいなく頷いた。何度も何度も頷いて、ヴィゴに懇願さえした。
「ヴィゴ。もう、しよう。なぁ、してくれ。もう、待ちきれない」
はぁはぁ、と、胸を喘がせながら、ショーンは、短いスカートを腰に絡ませたまま、尻を高く持ち上げた。捲れ上がっているユニフォームから見えるピンクの乳首が、呼吸のたびに上下していた。ヴィゴはそこを痛いほどきゅっと摘む。
「んんんっ!」
汗まみれの顔を、ショーンはくしゃくしゃに歪めた。真っ白な尻も、下着のゴムを食い込ませている柔らかな太腿にも力が入った。突然与えられた強い痛みを、ショーンは快感と取り違えた。ショーンの腰が突き出され、上下に揺れている。
ヴィゴは、ショーンの乳首を弄びながら、耳元で囁いた。
「まだ、いくな。我慢できるだろう? ショーン」
ヴィゴの囁きに、ショーンがかくかくと体を震わせる。
中途半端に脱いでいるピンクのユニフォームといい、膝下の白いハイソックスといい、尻を突き出して身悶えているショーンは、どうにもみっともない姿だ。
しかし、ユニフォームからはみ出す肉の白さが、ヴィゴを強烈に惹きつける。
汗で光るショーンの体は、ヴィゴを激しく興奮させる。
「ヴィゴ!……はっ……ん、んんっ!」
広がった尻孔に指を突っ込み、具合を確かめるヴィゴに、ショーンは、何度も何度も「入れてくれ」を繰り返した。
ヴィゴは、快感にぐずぐずになっているショーンに嬉しそうな顔だ。
「あんたのものなんだから、誰も取りはしないさ」
ヴィゴは、ショーンがあまりにかわいらしくて潤んだ緑の目をじっと覗き込んだ。
「ショーン。そんなに欲しいのか?」
ぴちぴちのユニフォームを体に纏わり付かせて、身を捩っているくせに、ショーンは、あれほどはっきりと来てくれと、言っていた口を閉じてしまった。ヴィゴの目に見つめられると目をそらす。
ヴィゴは、焦れた体を持て余している恋人の頬にキスをした。具合よく緩みだしたショーンの尻孔に入れた指をゆっくりと前後に動かす。
ショーンの尻が揺れる。
「ん? ショーン? 何がして欲しいんだった?」
再びのヴィゴの問いに、ショーンは、体を揺らしたまま、目をそらし、小さく口を開いた。
「ヴィゴ。……あんただって、したいだろう?」
「当たり前だろ」
「……俺も、それがしたいんだ」
真っ赤になった恋人が愛しくて、ヴィゴは、自分のスカートの前を押し上げるものをショーンの尻へと押し付けた。
「スカートっ奴は、結構邪魔くさいな」
ヴィゴは、ショーンの裾をめくり上げているときには、スカートはとても機能的だと思っていたのだが、いざ、自分が挿入する段になり、その存在を恨めしく思った。
なぜなら、自分の履いたスカートの裾が邪魔をして、ショーンのぱっくり開いた尻孔を見ることも、自分のペニスがその穴へとずぶずぶ沈んでいくところも、まるでヴィゴから見えないのだ。
しかし、隠されたそこで、いやらしい行いがショーンにされていることは間違いなく、熱い肉に包まれたと思った瞬間には、きゅっと締め上げてきたショーンの尻のやんちゃさにヴィゴは、はっ、と、短い息を吐き出した。
「あああっ!」
「気持ちいいかい? ショーン」
ずるりと突き入れたものを緩く揺すってやると、ショーンがひっきりなしに甘い声を上げる。
ショーンの希望通り、握ってやった前は、とろとろと暖かい液体をこぼし続けていた。腰を振ってよがるショーンに、すぐさま、ヴィゴの手は、べっとりと濡れてしまう。
「ショーン……」
短いピンクのスカートは、すっかり先走りで濡れてしまっていた。ユニフォームは、誕生日プレゼントのお返し。というわけのわからない理由で二人にプレゼントされていたが、もし、そうじゃなくても、絶対に返せるような状態ではない。
ヴィゴは、ショーンの背中にキスをしながら、恋人を揺すった。
「ショーン。これ、返さなくってよくって助かったな」
「あっ、あっん。ヴィゴ……」
「あんたが俺のミニスカ姿で興奮するってのなら、これからも、コレはアリだな」
ほかの誰が見たって、げんなりするだけで、決して欲望を刺激されるようなことはないだろうかわいらしいピンクのミニスカ姿のまま、二人は繋がっていた。
「ああっ! んっ! あ!……んん、んんっ」
ショーンの胸は、ぴったりと体に張り付いたまままくれ上がったユニフォームからはみ出し、ピンクの乳首を見せ付けていた。
そして、ヴィゴの短いスカートが、恋人同士が繋がっている部分を辛うじて隠していた。
End
わ〜。ひな祭りだ。百合百合しいカプのエチをアプしよう。と、思いついたのが発端でしたが、すっかり遅くなりました。
リアガール姿の変わり雛、今頃飾らせていただきます。