愛しているという言葉
受話器を取り上げたヴィゴは、躊躇いもなくナンバーを押した。
コール音が、何度か続く。
時間は受話器を取る前に確認した。
都合は、これから、確認する。
「もしもし、ショーン、今、時間はいいかい?」
「んんっ、ごめん、今、何時だ?」
しばらく待たされてから取られた電話からは、くぐもった声が聞こえた。
ショーンは、眠っていたのかもしれない。
あくびをする音が聞こえた。
「そっちだと、11時くらいか?寝てたのか?」
ヴィゴは、大きく口を開けて、あくびをするショーンの顔を想像した。
眉の間に皺を寄せて、目尻に涙くらいは浮かべているかもしれない。
「シャワーを浴びた後、テレビを見てたつもりで、寝ちまったらしい。ねむいっ……ああ、しまった!番組が終ってる」
ショーンが舌打ちした。
「また、サッカー?」
「そう、ニュース。試合結果が見たかったんだ。ちょっと待てよ。えっと…ああ、ダメだ。これも終っている」
新聞を捲る音がして、また、ショーンは舌打ちをした。
チャンネルをむやみに変えているのか、時々酷く大きな音のコマーシャルが入った。
「忙しそうだな。ショーン」
ヴィゴは、テレビのちかちかする色が、ショーンの緑の目に映るところが見えた気がした。
以外にせっかちなところのあるショーンは、夢中になると、周りが見えない。
週末を一緒に過ごしていたあの懐かしい日々には、次々とチャンネルを変えるショーンを、ヴィゴは叱り付けたこともある。
「ああ、悪い。…ダメだ。全部終ってる。…仕方が無い、明日の朝までお預けだな」
ため息とともに、テレビの音が消えた。
ヴィゴは、電話の向こうを想像した。
「…もう、いいのか?俺、話をしてもいい?」
ショーンは、きっと不満そうな顔をしながら、リモコンをベッドに放り出し、自分も寝転がってしまったに違いない。
新聞は、体の下に下敷きだろう。
「ああそうだった。ごめん。ヴィゴ、なんだった?」
急に受話器を引き寄せたのか、途中から、ショーンの息遣いまで、聞こえるようになった。
ヴィゴは、くすくすと笑った。
「用がなくちゃ、電話しちゃいけないかい?ダーリン」
とっておきの甘い声を出した。
ショーンは、一瞬息を飲んだ。
「どうした?ダーリン。君の声を聞きたかったというのは、理由にならない?」
ヴィゴが続けて、くどいてやると、ショーンは、黙り込んでしまった。
ヴィゴは、わざと甘い言葉を口にした。
「俺にショーンの声を聞かせてくれよ。それだけで、どれ程幸せになれるか、ショーンは、知らないんだ」
ショーンの口から、小さく息を吐き出す音が聞こえた。
ため息だ。…だが、甘い。
「…また、そういう恥かしいことを言う……ヴィゴからは、本当に用事はないのか?もし、用事があるんなら、今のうちに言えよ」
「なんで?」
照れたような早口のショーンに、ヴィゴは、見えないというのに、きょとんと目を大きくして聞いた。
「俺の方に、大事な用があるんだ。だから、用があるんなら、先に言ってくれ」
ショーンは、怒っているかのように、ぶっきらぼうないい方をした。
ヴィゴは、今まで、ニュースだ。サッカーだ。と喚いていたショーンが大事な用というのを不思議に思って、あれこれとショーンが言い出しそうな用事を思い浮かべた。
思い当たらない。
スケジュールの話なら、この間の電話で聞いた。
しばらくの間、会えるような暇は無い。
それが空いたなんていう夢みたいな話は、想像するだけ無駄だった。
ショーンは、仕事好きだ。
ショーンが仕事と、サッカー以外で大事だという用事を、ヴィゴは、思いつけなかった。
ヴィゴは、すこしばかりの覚悟をした。
ヴィゴが思いつく、一番嫌な想像は、これだけ思わせぶりな言い方をしておいて、眠いから、もう切る。というショーンの悪戯だ。
ショーン、一流の甘え方だと言えたが、切れた電話の音を聞いた後に、もう一度、チャレンジしてご機嫌をとるのは、結構堪えた。
「そんな、どうしても伝えなくちゃいけないような話はないよ。それより、ショーンの用って何だい?大事なこと?」
色々考えたが、ヴィゴの方には、やはり、ショーンから聞かされるような大事な用事など心当たりがなかった。
だから、かなりな覚悟の上に、ショーンに尋ねた。
「いや…あの…本当に、ヴィゴの方は良かったのか?あの…出来れば、先に…」
「なに?どうかした?ショーン」
ショーンは、なかなか、言い出そうとはしなかった。
「わざわざ、電話をかけてきたんだ。用事があるだろう?まず、ヴィゴから、言ってくれ」
ヴィゴは、思わず、受話器を見つめてしまった。
何がショーンをこんなに遠慮深くさせているのか、想像がつかなかった。
ショーンは、特別おしゃべりな方ではないが、いつまでも人に譲りつづけるほど、気が長いタイプでもない。
ヴィゴは、ここ最近ショーンとした電話を洗いざらい思い出しながら、ゆっくりと話をするために、自分もベッドへと腰掛けた。
ショーンからの話ならば、いつまでだって聞いていたい。
悪戯でないのなら、これほどありがたいことはない。
「…まぁ、いいけど。新しい写真集をだしたから、一冊オフィスに送っておいたと言いたかっただけなんだ。後は、ショーンの声を聞いて、最後にキスでもできたらいいって思っただけだ」
ヴィゴは、ショーンが言い出すのを気ながらに待つことにした。
ごろりと、自分もベッドに横になった。
スプリングは、恋人の体ほどではないが、優しくヴィゴを抱きしめてくれる。
しばらく沈黙が続いた。
「…ヴィゴ、俺のこと愛してる?」
小さな声が、ヴィゴに聞いた。
本をありがとうでも、そうか、やっと出来たのかでもなく、愛してる?と、聞いたショーンの言葉に、ヴィゴは、恋人としてあるまじきことかもしれないが、思わず眉の間に皺を寄せた。
しばらく電話をかけなかったが、かかってこなかったことに対して、不安に思ったりはしていなかった。
「……何か、俺に打ち明けなければならない、大変なことでもあったのか?」
ヴィゴは、つい、声が固くなった。
こうやって、疑ってかからなければならない程度には、ショーンは愛の言葉を出し惜しみした。
「…何もない。何を疑っているんだ。失礼な奴だな。ヴィゴは」
ショーンがごそごそと動く音がした。
体の下に敷きこんでいたらしい、カサカサという新聞の音が聞こえた。
「じゃぁ、どうして?」
「まぁ…なんというか…で、どうなんだ?俺のことが好きか?」
ショーンは、愛の言葉を強要した。
珍しい事態に、ヴィゴは、額に寄ってしまった皺を指で撫でながら、明かりを絞った天井を見上げた。
「好きだよ。ショーン。聞きたいと言うのなら、何度でも言うが、今更、確かめなければならないような必要のないことだと思うんだが」
「…ヴィゴは、サービス過剰だな」
「そう?」
言葉の割に、嬉しそうなショーンの声に、ヴィゴは満足を覚えた。
言葉くらいで、喜んでくれるのならば、いくらでも用意した。
時間が用意できないことが辛い。
消えてなくなる言葉などではなく、確かな腕で抱きしめて欲しいと思うときもあるだろうに、そんな時に近くにいられない関係はつらい。
ショーンは、決してそんな泣き言を口にしないだろうけれど、ヴィゴは、時々、ショーンに近くにいて欲しいと思うことがあった。
無性に抱きしめて欲しい。
キスをして、一晩一緒に眠れたならば、どれ程にも強くなれるのに、と、感じる時があった。
「ショーン、好きだよ。愛してる。どんな我儘が言いたいんだ?なんでも聞いてやるから、言ってみな。淋しいから、一晩電話に付き合ってくれってのなら、喜んで付き合ってやるよ」
ヴィゴは、受話器にチュッと口付けの音を送った。
ショーンからは、息遣いだけが返ってきた。
何が言いたいのか、躊躇う雰囲気だけは、嫌というほど、ヴィゴに伝わった。
「…ショーン?」
ヴィゴは、電話の向こうをうかがった。
ショーンは、とても躊躇っていた。
何度も息を飲んだ。
多分、酷く唇を舐めている。
「…ヴィゴ、本当に、俺のこと、好きだよな?俺が何を言い出しても、嫌いにならないよな?」
ヴィゴは、思いつめたようなショーンの声に、眉を寄せた。
だが、反対に、明るい声を出した。
「ショーンが心変わりしたという話でなければ、何を言われたところで、ショーンを嫌いになんかならない」
きっぱりと言った。
ショーンの硬くなった頬を擽ればいいのに、と思いながら、何度もキスの音を立てた。
柔らかな頬に漂う緊張が解けて、笑うことを願った。
電話口からは、ショーンの息だけが届いた。
「……すごく…したい」
「え?」
「………すごく…したいんだ。久しぶりにヴィゴの声を聞いたら、すごくしたくなって…」
ショーンは口の中で呟くように小さな声を出した。
え?え?と、くり返し、尋ねたくなる気持ちを、ヴィゴは、ぐっと押さえ込んだ。
何を?と、聞いて、ショーンを思い切り恥かしがらせたい気持ちも無視した。
ショーンの声は、低く掠れて、ヴィゴの鼓膜を擽り、ヴィゴの気持ちを浮き立たせた。
思い切って口にしたのだろうが、言ったことを後悔しているのか、ショーンは、ヴィゴに対して必死で聞き耳を立てていた。
恋人から、こんな誘いを受けて、嫌だなんて思う男は、よほど人生に疲れていた。
その世界は灰色だろう。
おかげさまで、ヴィゴの世界は、怒りにも喜びにも美しく輝いていた。
恋人の欲求には、幸せしか感じられない。
ヴィゴは、キスの音と共に、小さな笑い声を送った。
落ち着きのない動きを繰り返しているだろう、緑の目にキスをした。
聞き返したら、ショーンは電話を切ってしまうかもしれない。
ショーンは、恥かしがりやだ。
ヴィゴは、そんなに俺のことが好きなのか?と、ショーンに聞きたくなる気持ちを捻じ伏せた。
緩んでしまった頬を撫でながら、受話器を強く握りしめた。
「…そう、ショーン、今、何を着ているんだっけ?バスローブ?下着はつけている?」
ヴィゴは、なんでもないことのように、ショーンに聞いた。
自分から、テレフォンセックスがしたいと言い出したくせに、ショーンは、ヴィゴに答えを与えなかった。
少し荒くなった息の音だけが聞こえた。
照れ屋の恋人に、ヴィゴは、口元を緩めた。
そのくせ、ショーンは、我慢もできない。
ヴィゴは、勝手に想像することにした。
ショーンは、シャワーを浴びたまま、寝てしまったと言っていた。
きっとバスローブのままだろう。
いつも通りなら、下着はつけている。
色は?
多分、無難なグレーくらいだろうが、ヴィゴは、濃いブルー辺りの色が好きだった。
ショーンの肌の色が際立った。
頭の中にいるショーンに、紺色の際どい下着を履かせた。
「…下着は…はいてる。…ヴィゴも見たことのあるやつ…黒の……。それに、バスローブを着てる。この位でいいか?」
黒の下着。
それも、ショーンに良く似合った。
とても躊躇いがちだったが、協力しようという姿勢のショーンに、ヴィゴは目の色がやさしくなった。
「あの下着?この間会ったときに履いていた?」
「……そう」
ショーンが、もじもじと膝を擦り合わせるところが、想像できた。
あの晩、したことをさせてやろうか?
どんな風に可愛がってやったら、ショーンは満足する?
ヴィゴは、受話器の向こう側にいる愛しい人のことを精一杯考えた。
「ショーン、まず、下着の上から、撫でてごらん。どうなっているか、教えてくれる?」
ヴィゴは、甘い声で命令した。
ショーンは、答えなかった。
だが、身体を動かす気配は伝わった。
あの光沢のある黒を、ショーンの手が撫でていた。
「下着の中に手を入れるのは、なしだ。まだ、ダメだよ。ショーン」
「…入れてない」
「我慢して」
「我慢なんか、してない」
ヴィゴは、自分もジーンズの前を撫でた。
重くなっていた。
「固くなってるな」
ヴィゴの声が断定的に決め付けると、ショーンは、小さな声でそれを認めた。
「もう、ずっと、固くなってた?」
甘いため息をショーンが漏らした。
「…なってた…」
「もしかして、さっきから、触っていた?」
「……触ってない…ほんとだ……そんなことしたら、絶対にばれると思って…」
掠れたショーンの声は、ヴィゴのペニスに血を集めた。
「どうなってるか、教えてくれ。もう、ごりごりするほど、固い?」
「出して触りたいよ…すごく、固くなってるんだ。………下着が濡れてる」
ショーンが思い切ったように、告白した。
ヴィゴは、小さく口笛を吹いた。
「そりゃぁ、すごい。すっかり熱くなって濡れてるってわけだ。でも、まだお預けだ。そこから、手を離して、胸を触ってごらん。乳首だって勃ってるんだろう?」
沈黙。
多分、首を振った拒否。
「ショーン。一人で楽しんでるわけじゃないんだ。俺にショーンの体を味合わせてくれ。首から、ゆっくりと触って、胸を掴むんだ。強く揉んでいいよ。それから、乳首を摘んでごらん」
ヴィゴは、甘い声を惜しげもなく使った。
ショーンはなかなか、口を利こうしなかった。
「ショーン」
「…意地が悪いな」
悔しそうな一言。
「そんなことはない。いつも俺はそうするだろう?今、ショーンの体を愛しているのは、俺なんだ。だから、俺のやり方でやらせてくれ」
ショーンのご機嫌を伺うような声でお願いすると、ヴィゴは、自分のジーンズの前を開いて、ペニスを掴むと扱き出した。
ヴィゴは、ショーンには手を離すよう言いつけたくせに、自分だけペニスを扱いていた。
ショーンの熱い息がヴィゴを昂ぶらせた。
ヴィゴは、ショーンに胸を揉ませて、ショーンの胸の感触をたっぷり味わった。
固くなった乳首を摘んだ。
受話器越しにキスしてやると、ショーンは、小さく、あっ、と、言った。
ヴィゴのペニスがまた、すこし大きくなった。
ヴィゴは、手のひらを舐める音を聞かせて、ショーンに、舌で乳首を舐められるところを想像させた。
「ほら、吸ってやるよ。好きだろう?痛いくらい吸われても、ショーンは感じてしまうんだもんな」
ヴィゴは、わざと、威圧的にしゃべった。
こういう遊びに必要なのは、集中力と、想像力。
他ごとを考えさせる余地を与えてはいけない。
ヴィゴは、ショーンに次の指示を与えた。
「じゃぁ、そろそろ、下着の脇から指を入れて、あそこを触ってくれるか?汗で湿っているんだろう?俺はそこが触りたい」
小さな返事を返したショーンが動く気配がした。
「どう?濡れてる?」
「……濡れるはずがないだろう」
怒ったようなショーンの声。
「嘘だ。すっかりその気になって、体中に汗をかいてるんだろう?ショーン、ヘアーの中に指をいれて肌を触ってみろよ。あんた、結構汗をかく性質なんだぜ?」
ショーンは返事を返さなかった。
「いい匂いをさせてるの、知らなかった?俺が、顔を突っ込んで舐めてやってる時、あんたの汗を舐めてるの知らない?」
「ヴィゴ!」
恥かしいのか、ショーンは、少し大きな声を出した。
「わかった。じゃぁ、穴の周りをマッサージするみたいに、軽く押して。絶対に指をいれちゃダメだぞ」
ヴィゴは、電話の向こうをうかがった。
もぞもぞと動く音がする。
ショーンはヴィゴのいいなりだ。
「どう?柔らかいだろう?少し、力を入れてみようか。でも、まだ入れちゃダメだ」
「…んっ、ヴィゴ…」
「ほら、汗で湿って、濡れてるだろう?皮膚がしっとりと指に張り付くのがわかる?」
「…柔らかいのは…わかる。……動いてる。ヴィゴに触って欲しくて、ひくひくしるんだ」
ショーンの声が上ずっていた。
恥かしさを堪えて、正確にヴィゴへと自分の状態を伝えようとしていた。
ヴィゴは、思わず、ショーンを抱きしめたくなった。
その感触をヴィゴは知っていた。
「なぁ、ショーン、電話越しでも、ゴムをつけないとダメか?ジェルだけで、生の指を入れさせてくれない?」
ヴィゴのお願いに、ショーンは、はぁはぁと何度も息を吐き出した。
「…中を直接舐めたりしない?指だけで我慢する?」
ショーンは、確かめるように聞いた。
そう、ショーンを抱いているのはヴィゴだ。
ショーンの中に指を入れるのはヴィゴだ。
ショーンの指ではない。
「舐めてやりたいけど、ショーンが嫌なら我慢する。だけど、指を入れてぐちゃぐちゃにかき混ぜたい。あんたの穴の中を指で広げて、音がするほど指を出し入れしてやる。指だけで一回いかせてやるよ。ジェルは、ある?たっぷり指に塗ってくれ」
ヴィゴは、ショーンの熱く濡れたあそこの感触を思い出していた。
ショーンが慌ただしく、荷物をかき混ぜる音がした。
ショーンも、ヴィゴの指を突き入れられる苦しいような快感を思い出しているに違いない。
息がせわしない。
「…ヴィゴ、塗った。……なぁ、下着を下ろしたい。ペニスが苦しい」
「そんなに、大きくなってるのか?ショーンは、いやらしいな。もう、中で漏らしているんだろう。それだけで、ジェルなんていらなかったんじゃないか?」
ヴィゴもせわしない息を漏らした。
ショーンの声に煽られた。
目の前にいない分、言葉が直接的になった。
普段、ショーンが言わないようなことを、電話はヴィゴに伝えた。
「あんたの指を奥まで感じたいんだ。下着が邪魔なんだ。…ヴィゴ、脱いでいいか?」
ヴィゴは、自分のペニスから溢れ出した液体を丸い先端に塗り広げた。
「悪い子だな。ショーンは。じゃぁ、下着を脱いで大きく足を広げるんだ。ベッドに横になってる?股の間に手を潜らして、まず、一本指を入れるんだ」
ショーンが、うめいた。
ヴィゴは、自分のペニスを強く扱いた。
狭くて、熱いショーンの感触。
押し戻すような肉の圧迫感。
白くて大きな尻が、ヴィゴに向かって開かれている。
汗のいい匂いをさせて、ショーンの尻がもぞもぞと動く。
「ショーン。指を増やそう」
頃合を見計らって、ヴィゴは、ショーンに新しい要求を突きつけた。
もう、最初の指は、ヴィゴの言葉に従って、付け根まで、出し入れされていた。
ショーンは、体を丸めるようにして、自分の尻の穴を弄っていた。
太腿がきつく腕を挟んでいるに違いない。
感じてくるとショーンは、ヴィゴの体を強く挟んだ。
穴を広げるようにして、あの長い指が、ショーンの中に出入りを繰り返した。
ショーンは、しばらく返事を返さなかった。
ヴィゴは、もう一度、指を増やすよう指示をだした。
「……ごめん。我慢できなくて…もう」
きっと真っ赤になっているだろう。
二本の指を尻の穴に入れたまま、恥かしそうに何度も瞬きするショーンの姿が目に浮かんだ。
くすくすと、ヴィゴは、笑った。
「かわいい、ショーン。いつの間に?」
ショーンが、はぁはぁと、息をした。
「…あの…その……」
「いいよ。待たせた俺が悪かった。ショーンはすごくしたかったんだもんな。じゃぁ、その二本の指を広げて、出し入れしてくれ。うんと穴が広がるように、大きく間を開けるんだ」
ヴィゴは、予想よりはるかに、盛っているショーンに合わせるため、ペースを上げた。
「中がうねっているだろう?そこが、俺を気持ちよくしてくれるんだ。ショーンは、どう?指は、二本で足りてる?」
ショーンは、鼻から、甘い声を上げた。
何度も頷く。
「ショーン、周りを擦るように回しながら、奥まで入れて。大きく穴を広げるんだ。俺のが入るんだ。そうじゃないと入らないだろう?」
「……ヴィゴ…ヴィゴ…」
「うん?ショーン。愛してるよ。ショーンの中ほど気持ちいい場所を俺は知らない。さぁ、好きなだけ、擦り上げればいい。気持ちよくしてやる」
「…ヴィゴ…」
ショーンは、うめくようにヴィゴを呼んだ。
熱い息がヴィゴを誘った。
「ショーン、中が、強く締め付けてくるね。そんなに気持ちいい?」
肉は、熱くぬめって、ヴィゴの指を包み込んだ。
「…ん、いい。奥を擦ってくれ…ヴィゴ…」
甘いヴィゴの声に、ショーンは、泣き出しそうな声で答えた。
「ここ?ここだろう?ショーンのいいとこだよな。ここが触って欲しかったんだろう?」
「…あっ、ヴィゴ!…んん…んっ」
ヴィゴは、自分のペニスを擦り上げながら、白い尻の奥を犯した。
「ショーン、あんまりきつく絞めないでくれ。動かせないだろう?ほら、ここをもっと、触って欲しいんだろう?」
「ああ…ヴィゴ、ヴィゴ!もう、いきそう。ダメだ。そんなに…」
「ショーン、受話器をベッドに置いて。自分の手でペニスを扱くんだ。俺の太いのを尻の穴に入れたまま、自分で自分のペニスを扱いてみせろ。見ててやるから。気持ちのいい顔をじっくり俺に見せてくれ」
ショーンの息遣いが遠くなった。
だが、ひっきりなしに、ヴィゴの名を呼んだ。
ヴィゴは、ショーンに愛していると告げた。
ショーンも、叫ぶ。
激しい喘ぎと息遣いの合間に、ヴィゴに向かって、愛を叫ぶ。
「愛しているよ。ショーン。もう、いきたい?」
「ヴィゴは?…ヴィゴは?」
「俺も、ショーンに煽られっぱなしさ。もう、どれだけも我慢できない」
「ヴィゴ…ヴィゴ…愛してる」
「俺もさ、ショーンを愛している」
心をこめて、ヴィゴが囁くと、ショーンが、低いうめきを漏らした。
激しい息遣いが、ヴィゴを揺さぶる。
「ショーン、指を抜かないで。もう少しだけ、付き合って。俺に愛していると言ってくれ」
「………愛してる……ヴィゴ」
荒い息の合間に、ショーンは呟いた。
ヴィゴは、自分の唇が、だらしなく開くのを許した。
「…ショーン」
白濁は、ショーンの体を汚した。
少なくとも、ヴィゴの脳内では、ショーンの尻はべったりと濡れた。
「…すっきりしたろ。いい夢がみられそう?」
ヴィゴは、手を拭いながら、ショーンに尋ねた。
ショーンの息は、もう、治まっていた。
「…ヴィゴ、俺のこと、嫌いにならないか?」
衝動が治まって、ショーンは、冷静になったのだろうか?
真剣な声がヴィゴに向かって尋ねた。
こんなにかわいい恋人を他に知らない。
「どうして?愛しているって言っているだろう?今日は気持ちのいいセックスをした。それは、俺とショーンの間じゃ必要なことじゃないか」
ヴィゴは、何度も口付けを送った。
「俺も楽しませてもらった。さぁ、ショーンが眠るまで、ついててやるよ。手を洗ってこいよ。そのままで眠るわけにはいかないだろう?それとも、その指も舐めて綺麗にして欲しい?」
ヴィゴは、からかうように舌の音をさせた。
ショーンは、安心したようなため息を漏らした。
「愛してるよ。ヴィゴ。だけど、身体も綺麗にしたい。シャワーを浴びてから寝るから、電話を切るよ。お休み。すごく気持ちが良かった」
照れているのか、電話は素っ気なく切れた。
ヴィゴは、切れてしまった電話に向かって、キスをした。
こんな我儘なら、いつだって付き合ってやると思った。
END
64001番のリクエスト(いつもながらに、なんていい加減な数字なんだ 笑)
リク内容は、「藻豆で電話でH」「甘々」「自慰」。
銀次さま。こんなんで、いいですかぁ?(笑)