SV劇場 −1−

 

キスするために、唇を寄せたヴィゴをショーンは、強く押した。

よろけて後ろのソファーへと倒れ込んだヴィゴは、髪をかき上げた。

「いいじゃないか。キスくらい。ショーン」

ヴィゴの目には曖昧な、笑いが浮かんでいた。

ショーンは冷たく吐き捨てた。

「そんなことしたくもない」

憮然とした顔で唇をきつくつむっているショーンは、笑うヴィゴを苛立たしげに見下ろした。

ショーンの手は、殴る寸前のように強く握られている。

ヴィゴは、足を伸ばして、ショーンの靴先にからかうように触れた。

「じゃぁ、ショーン、この位のタッチは、許容範囲か?」

「やめろ。ヴィゴ!」

ショーンが怒鳴る。

「おお、恐い」

ヴィゴは、ショーンをからかうように、大げさに怖がって見せた。

だが、ヴィゴは、ソファーからするりと立ち上がり、苛立ったショーンの前で跪いた。

ショーンのジーンズの前を触り、にやりと笑う。

「腹立たしいんだろ? ショーン。俺なんかの尻がやりたくて、あんた、勃っちまってるんだもんな」

「うるさい!」

「でも、事実だろう?」

ヴィゴは、ショーンの前を開きながら、下着を押し上げるペニスの存在に、口元にいやらしい笑い浮かべた。

「まぁ、あんたは、確かに被害者だし、同情しなくもないが、気持ちよくさえあれば、すぐ味を占めるそのいい加減さは、育ちのせいか?」

ヴィゴは、ショーンの下着を引きずり下ろし、飛び出したペニスに鼻を寄せた。

「この匂い」

ヴィゴは、嗅ぎ回るように鼻をうごめかせる。

うっとりと目を細めたヴィゴの髪をショーンは、強く握った。

「ご託なんか並べてないで、さっさとやれ」

ヴィゴの顔をペニスへと押しつける。

ショーンのヘアーへと鼻面を突っ込んで、ヴィゴが舌を伸ばした。

すっかり勃ち上がっているペニスを口の中に迎え入れ、なめ回す。

「すっかり、その気じゃないか。ショーン」

ペニスが、ヴィゴの喉を突いた。

「むしゃぶりついてるのは、あんただろ。ヴィゴ」

ショーンは、目尻に涙を溜めたくせに、下品な顔をして見上げたヴィゴの頬を叩いた。

「黙ってやれ、ヴィゴ」

「注文が多いな。ショーンは」

ヴィゴは、ショーンのペニスをたっぷりの唾液で湿らす。

そうしておいて、自分のジーンズの釦を外した。

ごそごそとジーンズを脱ぎ下ろすヴィゴを、ショーンが冷たい目をして見守る。

「入れるだろ?」

ヴィゴは、股の間に手を回しながら、ショーンを見上げた。

「手軽にやらせてくれる穴なら、大好きだもんな。ショーンは」

 ショーンの大きな手のひらが、また、ヴィゴの頬を打った。

 

 

ショーンの腹の上に乗り上げ、腰を振っていたヴィゴの腕をショーンが掴んだ。

ヴィゴの唇からは、熱い息が漏れ、身体には汗が噴き出ていた。

だるそうに髪をかき上げ、動かしていた尻を止めたヴィゴは、睨み付けてくるショーンに笑い返した。

「何だ? ショーン。この上なくサービスしてやってるだろう?」

寝転がったままのショーンの上に、ヴィゴが股を開いて乗り上げ、自分から腰を沈め、そのまま、騎乗位でファック。

それは、飲み潰れたショーンが目を覚ました夜の再現だった。

あの夜、無邪気な討論と酒ですっかりいい気分になったショーンは、ヴィゴのベッドにはい上がり、いつものようにそこを占領した。

つむった瞼の向こうでは、「またかよ」と、文句を言っているヴィゴの声が聞こえた。

しかし、親友の文句など、優しい愛の言葉と変わらない。

だが、あの晩は、それだけで終わらなかった。

重さと、暑さ、そして、何故だか、とても気持ちのいい思いに幸せなまま、目を覚ましたショーンは、やたらと近くに、ヴィゴの青い目があるのに驚いた。

ヴィゴは汗をかいていた。

ショーンは手を伸ばし、汗をぬぐってやった。

「ショーン……」

ヴィゴが汗に濡れたショーンの指を舐めた。

ヴィゴが浅い息を繰り替えしながら、動く。

ショーンの下腹に、やたらな快感が押し寄せる。

「ヴィゴ?」

「ショーン……」

頭を抱きかえられ、キスを求められて、ショーンは、自分の立場を自覚した。

逆レイプされている。

しかし、ショーンのペニスは、状況の苛烈さを裏切り、フィニッシュの快感を求めていた。

ショーンは、ヴィゴの顔が変わる程、殴り飛ばしたかった。

だが、ショーンは、繋がったままのヴィゴを無理矢理自分の上から下ろすと、強引に押さえ込んで、腰を打ち付けた。

ヴィゴの尻を打つ肌の音まで聞こえる。

ショーンは、無言で、ヴィゴを犯し続けた。

「……っい……い!」

ヴィゴが、激しくのたうった。

 

 ショーンは、あの夜と、同じに、ヴィゴを無理矢理自分の上から引きずり下ろした。

絡んでくる足を思い切りひっぱたき、上からのしかかって、腰を打ち付ける。

ヴィゴが痛みに耐えるように眉を寄せながら、かすれた声を出した。

「いい……だろ。……ショーン」

 まるで馬鹿にするように、ヴィゴは、ショーンに笑みを見せた。

 ヴィゴのペニスが、ショーンの腹を濡らしている。

ショーンは、何の返事も返さず、ヴィゴの尻を使い続けた。

 ヴィゴが吠えるような大きな声を出す。

 

 

ショーンと、ヴィゴは、以前と変わらぬままに、撮影所にいた。

鏡を分け合い、嫌になるほど、ライトの熱に照らされ、続くテイクに励まし合い。

しかし、その日常の中で、ヴィゴは、ショーンを誘うのだ。

ショーンに奥歯を強く噛ませるやり方で、ヴィゴはショーンに声を掛ける。

「溜まってるだろ? 今晩、うちに来いよ。ショーン」

 ヴィゴは、いやらしくショーンの衣装の前をなでていく。

 

 

 

あの晩、目を覚ますまえのショーンが聞いたのは、なんだったのか。

 

「あんたのことが好きなんだ。ショーン」

 

しかし、それを聞いてやるほど、ショーンはヴィゴを許していない。

 

 

END

 

花藻に需要があったので、びっくりしました。

じゃぁ、もしかしたら、豆藻にも需要あり?(笑)

 

突然嵐に見舞われたように、こういうのもやりたくなるんです(苦笑)