お昼寝

 

「…眠くなった」

ショーンが、ぼそりと小さく漏らした。

「じゃ、寝てくる?」

オーランドは、冷蔵庫に手をかけたまま振り返った。

昼食を食べに出た車の中から、ショーンは、口が重くなっていた。

勿論、ハンドルはオーランドが握っていたので、問題なかったのだが、ショーンは、眠そうな顔で、窓の外の風景をぼんやり眺めていた。

家に戻っても、何をするわけでなく、ソファーに座り込んだまま、冷蔵庫を開けて水を取り出していたオーランドを見ながらあくびを漏らしている。

クッションを膝の上にのせて、そのまま眠り込みそうだ。

「ベッドに行けば?今日は別に行かなくちゃならないところも、しなくちゃいけないこともなかったでしょ?」

「そうなんだが…」

「どうせ、そこに座ってても寝ちゃうよ?」

「だって、オーリ。お前、一人でなにする気なんだ?」

「べつに?台本だって持ってきてるし、どうしても暇になったら、俺も寝ちゃうし」

オーランドは、あくびで目尻に涙をためているショーンを見て笑った。

もう、我慢できないくらいに眠たくなっているというのに、ショーンは一生懸命オーランドに気を使っていた。

夕べ、ヴィゴとの約束を優先させ、オーランドが泊りに来ているというのに、すっかり朝帰りした挙句、昼食の時間まで腹ペこのオーランドを放って眠り込んでいたのだ。まぁ、必要な気の使い方かもしれない。

オーランドは、冷えた水を飲みながら、今にも瞼がくっつきそうなショーンを見ていた。

今日は、天気も曇りで、ショーンの眠気に拍車をかけているようだ。

「なぁ、お前、眠くない?」

ショーンは、だるそうにオーランドに尋ねた。

「おかげ様でね。俺は夕べは早く寝たから。明け方には誰かさんに起こされたけど、その後また、ゆっくり朝寝させてもらったし?」

オーランドが嫌味たらしく、にやにや笑うと、ショーンは、困ったような顔をしてクッションに顔を埋めた。

眠気に勝てないのだろう。

けれども、このまま寝てしまったら、また、オーランドにいろいろ文句を言われると思って、なんとかしようと一生懸命堪えようとしている。

オーランドは、グラスを流しに置くと、食事の最中から、すでに眠そうだった恋人のために、ゆっくりと近付いた。

「寝ていいよ?休みの日まで無理することないって。ショーンは、俺と違って若くないんだし?無理が利かないでしょ?」

オーランドは、金髪に口付けて、丸まっている背中を撫でた。

ショーンは、もう、かなり眠いのだろう。

体が、ぼんやりと温かくなっていた。

「…オーリ。一緒に寝ないか?」

ショーンが顔を上げて、オーランドの手を掴んだ。

手が、子供のように熱くなっていた。

目が、ぼんやりと眠気を映し、周りの空気が穏やかにショーンを眠りに誘っていた。

休日の昼下がりとしては、ぴったりの光景だ。

昼寝に誘う姿として、これ以上のものは無いだろう。

いつもはどこか緊張感を含んでいるショーンの全てが無防備に開かれていた。

年を当てこすったオーランドのセリフにも、何の反応も示さなかった。

オーランドはくすりと笑った。

なんだか、幸せな気持ちだった。昼食に出る前には、無理をして笑っていた顔が、自然な感じて緩んでいた。

「一緒に?ただ、お昼寝だけ?」

オーランドは、ショーンの髪を撫でた。

「眠いんだ。今は、セックスなんてできない」

ショーンは、オーランドの手を握ったまま、あくびを繰り返した。

「今じゃなくても、したくない時の方が、多いくせに」

オーランドがショーンの頬にキスをすると、ショーンは、頬を摺り寄せてきた。

柔らかな頬が、オーランドの頬を擽る。

伸ばしている髭が、オーランドの顎を撫でた。

ショーンは、オーランドの背に手を回した。

「オーリ。寝ようぜ?」

ショーンは、もう、本当に眠いのだろう。オーランドの頬に頬ずりしながら、肩に顎をのせて、力を抜いていた。

オーランドがこういう甘えた態度を示されることを、好きだと無意識に分かってやっているに違いなかった。

オーランドは軽いため息を付いた。

「そういうセリフは、もっと違う時に使ってほしいなぁ」

ショーンが軽く首を傾げた。

肩でもう一度あくびをする。

「はい。はい。一人じゃ淋しくて寝られないってわけね」

オーランドは、もう思考することを放棄している恋人に苦笑を漏らした。

ショーンは、眠れればそれでいいのか、オーランドの言い草に文句も言わずに頷いた。

オーランドは、ショーンの手を引っ張って、ソファーから立たせると、寝室へ一緒に行った。

 

天気や、気温は、抱き合って眠るには最適だった。

ソファーにいた時点で殆ど眠りかけていたショーンは、くしゃくしゃに寝乱れたベッドに横になると、すんなりと眠りに入り込んでしまった。

上掛けをかけることもしていない。

それでも、少しは、オーランドにサービスする気なのだろう。

オーランドを腕に抱きこんで、すやすやと寝息を立てていた。

目尻にできた皺も穏やかに、うっすらと口を開けてオーランドに腕枕をしていた。

金色の髪が、オーランドの額を擽っていた。

けれども、オーランドといえば、夕べは、ショーンの不在が12時を回った時点で頭に来て、さっさとテレビを消してベッドに潜り込んだし、朝は、朝で、一応しおらしい顔をしてベッドに潜り込んできたショーンに背中を見せたまま、一人腹を立てていたら、いつのまにか、眠りへと引きずりこまれていた。

目が覚めたのは、10時を回ってからだ。

寝すぎで頭が痛くなったくらいで、もう、欠片も眠気など残っていなかった。

そもそも、ショーンが目を覚ますまでの、1時間、ぼんやりと疲れたような寝顔を見つめていたのだ。

その時間ですでに、今日一日分の休憩を取っている。

目が覚めた時、オーランドは、腹も減っていたし、朝帰りしたショーンのことをたたき起こしてやろうかと思っていた。

だが、ショーンの目の下に出ていたクマの濃さにかわいそうな気持ちになった。

ショーンは、色が白いせいで、そういうことが隠せない。

オーランドの隣で安心したように眠る顔を見ていると、責め立てる気はなくなった。

朝帰りされることには、腹は立つが、ショーンの全ての時間をオーランドが支配しているのではない。そんな風に思うようになったら、ショーンは、間違いなくオーランドを捨てるだろう。

口先だけであっても、ごめんなと、言って、オーランドの髪にキスをしたショーンを許してやるべきなんだと思った。

今だって、ショーンは、精一杯、オーランドに気を使っている。

全く眠くもない人間に、それが、どれ程的外れな努力だろうとも、受け止める度量が必要だ。

特に、ショーンのような束縛を嫌う人間には。

「…本当に、ショーンは」

オーランドは、すっかり穏やかな寝顔を見せているショーンの髪にキスをして、眠りの邪魔をしない程度に、ショーンの腕の中で身じろぎした。

けれども、ショーンは、心地よい体温を逃がしたくないのか、腕のなかのオーランドをぎゅっと抱きしめた。

さっきよりずっと、オーランドは息苦しくなる。

ショーンはすっかり眠っていて、体が熱くなっていた。

僅かな汗がショーンの匂いをオーランドに運ぶ。

胸元へと引き寄せられたオーランドは、鼻先に押し寄せるショーンの匂いに、大人しく眠った振りもしていられなくなった。

オーランドは、それでも、幸せそうな寝顔のショーンのために、しばらくの間我慢をしていた。

ショーンの寝息がまた、すっかり同じリズムを取り戻し、オーランドが動いても目覚めなくなるまで、大人しく腕に抱かれたままになっていた。

その間ずっと、ショーンの匂いがオーランドを包み込んでいた。

煙草と、昼に食べたピザのチーズの匂い。それに、ショーンだけ飲んだビール。

もっと、オーランドを誘惑するショーン自身の匂い。

そう、オーランドを誘惑して止まないショーン自身の匂い。

オーランドは、抱きしめる腕の力も弱くなったショーンから抜け出すと、くしゃくしゃにされた黒髪をかきあげながら、穏やかな寝顔の恋人に苦笑を漏らした。

 

オーランドは、眠っているショーンの邪魔にならないよう、静かにジーンズのジッパーを下ろすと、下着のなかから、ペニスを取り出した。

それは、ショーンに抱かれている時から、少しだけ固くなっていた。

ショーンの髪の匂いをかぎながら、ゆっくりと手の中に握り込む。

穏やかに弛緩した恋人の身体は、オーランドを誘惑して止まなかったので、オーランドはその誘いを断らないことにした。

それでも疲れているショーンを邪魔しないよう体のどこにも触れない。

目でショーンを犯し、鼻で彼の匂いを奪い取っていく。

ショーンの体に触れるすれすれの部分で、何度も息を吸い込んで、寄せた顔にショーンの熱を感じて満足した。

ショーンの寝顔は穏やかだ。

そのショーンの誘われて、Tシャツだけ着た肩の丸みや、盛り上がった胸の筋肉、今は曲げられている足や、それに、とても素敵なお尻を眺めながら、オーランドは、自分のものを扱いた。

ショーンが寝返りを打つ。

「…ん」

小さな寝言が口をつく。

オーランドがいなくなって、すこし肌寒いのかもしれない。

ショーンは、自分の腕を枕にするように身体を丸め込んで眠っていた。

けれども、オーランドは、上掛けをかけてやったりはしない。

捲れあがったTシャツから、ショーンの腰の部分と背中が見えていた。

滑らかな筋肉の盛り上がりに、オーランドは、いっそう熱心に自分のものを扱く。

無防備な背中に顔を寄せて、穏やかな呼吸を確かめながら、ショーンの眠りのベールの中に鼻先だけを突っ込む。

邪魔しないように。

餓えた唇がショーンに触れて起こしてしまわないように。

「…ショーン」

小さな声で名前を口にした。

3日前くらいに触れた恋人の柔らかな肌や、汗の味を思い出して、扱く速度を早くした。

すこしだけ、恥らってみせたショーンの脚を大きく開かせて、尻の下に手を差し込んで持ち上げた重さが手に甦った。

中にねじ込んで、うめかせた熱さを脳で再現した。

いまだ、ショーンは、ペニスを挿入する時に、眉を寄せて辛そうな顔をする。

オーランドは、急にショーンの顔が見たくなって、ショーンの上に覆い被さった。

恋人は、軽く口を開いて、無防備な寝顔を見せていた。

オーランドは、その顔に覆い被さり、小さく名を呼ぶ。

熱い息だけで、恋人を犯す。

 

ショーンがいきなり手を伸ばして、オーランドの顔を押しのけた。

 

「…びっくりした」

ショーンは、オーランドの顔を大きな手で押しやりながら、目を開いていた。

「酷い、ショーン」

オーランドは、ショーンに押しのけられ、顔を横にねじっていた。

「急に影になったから、何が起こったのかと思った」

押しのけた物体がオーランドの顔だと分かってほっとした顔のショーンは、口から長い息を吐き出した。

目が覚めた瞬間固くなった体が、また、くにゃりと弛緩した。

こちらも、驚きをやり過ごしたオーランドは、ショーンの手の平にキスをしながらにこりと笑った。

「怖い夢になっちゃった?」

オーランドの手は、まだ、ペニスを握ったままだった。

力強く立ち上がっているペニスは、目を開けたショーンに構わず、扱かれていた。

くちゅり、くちゅりと水音が部屋に響く。

オーランドは、ショーンの掌をぺろりと舐めた。

ショーンが、おそるおそるオーランドを見た。

「…オーリ、お前、何してるんだ?」

立てる音に気付いたのだろう。

昼寝の余韻でぼんやりしていたショーンが、眉を寄せてオーランドをみた。

「何って、聞かなくてもわかるでしょ?ショーンの邪魔しないように、一人で処理中」

「寝てる横でか?」

ショーンの皺が深くなった。

「そう、寝てる横で。ショーンの体を見ながら淋しく。だって、ショーン、相手してくれないし」

オーランドは、見せつけるようにペニスを扱きながら、有無を言わせず、ショーンに覆い被さってキスをした。

舌で、閉じている唇を舐め回す。

「ショーン、危ないとこだったよ。よだれが垂れそうだった。口開けて寝てたからさ、もうちょっとで、きっと垂れてたな」

口角に溜まったよだれを舐め取りながら、オーランドは、くすくすと笑った。

「…お前」

ショーンは、唖然と、笑うオーランドを眺めていた。

「どうした?なんだったら、もうちょっと寝ててもいいよ。俺は、このままさせてもらうけどさ」

オーランドは悪びれもせず、ショーンに向かってペニスを扱いた。

「…オーリ」

情けない声を出したショーンは、下を向いて動きつづけるオーランドの手を見ていた。

オーランドは見せつけるようにショーンへと腰を突き出した。

挑発されたと感じたショーンは、むっと唇を引き結んだ。

しばらくオーランドのショウをじっと眺め、それから、諦めたようなため息を一つ落すと、ショーンは、眠気をすっかり払い落とし、オーランドに向かって手を伸ばした。

もともと、ショーンの方が、オーランドよりこういうことに長けているのだ。

ショーンは、オーランドの着ていたTシャツを捲り上げ、手を胸に這わせ、抱きしめて首筋にキスをした。

オーランドが舐めたせいで、濡れている唇で、首筋を擽った。

「続けて、オーリ」

滅多に使わない誘う響きの極上の声でオーランドの耳に甘く囁くと、オーランドの乳首を指先で捏ね回した。

「え?」

驚いたオーランドの手が止まった。

「続けて、オーリ。俺も手伝ってやるから」

ショーンの指が、オーランドの乳首を摘み上げた。

肩にキスを落としながら、指先で僅かな痛みを与えた。

「…ショーン」

ショーンの唇が、オーランドの髪を噛んでいった。

長く滑らかな指が、オーランドの胸の上で、さ迷い歩いた。

背中を抱きしめられ、ショーンの手が、ジーンズの尻の中に入れられると、オーランドの心拍数が上がった。

ショーンの手が、オーランドの尻を掴んで優しく撫でる。

「オーリ。手がお留守になってるみたいだけど?」

「ショーン…あんたさ、いきなりこうするのって、どんなだよ」

「なんで?気持ちがいいだろう?」

ショーンは、オーランドの腰を抱いたまま、何度も頬から首筋へとキスを繰り返した。

さっきまで眠り込んでいたとは思えない仕事振りだった。

オーランドの首でたわんでいるTシャツをやり過ごすと、胸にもキスをして回る。

ペニスを掴んだまま動かなくなっている腕にも唇を寄せると、下からオーランドを見上げ、にやりと笑った。

「どうしてしないんだ?もっと手伝ってほしい?」

オーランドは、ふざけたようにペニスの先に音をたててキスをしたショーンが、ひょいっと顔を上げると、その頭を掴んで、きついキスをかました。

「ショーンってば、意地が悪いな」

オーランドは、唇に噛み付いて、背中が反り返るほどショーンのことを抱きしめた。

「オーリほどじゃない。寝てる俺をネタにするなよ」

ショーンは、笑いながら、2人の間に隙間を作ろうと手を割り込ませていた。

「だって、起こして付き合えってたら、あんたものすごく不機嫌になるだろう?」

オーランドはじろりとショーンを睨んだ。

ショーにも自覚があるのだろう。

何も無い天井を見上げ、2人の間に割り込ませた手を、オーランドのシーンズの前に突っ込んだ。

ショーンの長い指が強引にペニスを握り込む。

「お手伝いさせてもらおうか?」

ショーンは、両手を体の間にねじ込むと、片手で睾丸を柔らかく撫で、もう片手で棹を扱いた。

刺激に思わず目を閉じたオーランドの唇に自分からキスをする。

ショーンは、耳を甘く噛みながら、急ぎすぎないペースでオーランドを追い上げた。

洋服を着たままなら、ショーンは、体全体を使うことを躊躇わない。

触れ合っている太腿で、オーランドを刺激して、オーランド一人に感じさせることを、いとも容易く成し遂げると、得意そうに笑いながら、オーランドの目尻にキスを繰り返した。

こうなってしまうと、取り返すことの難しいリードを、どうして取り戻そうかと思いながら、オーランドは、ショーンを抱きしめた。

このままとびっきりの快感を貰うだけで、満足しておくべきなのか。

ショーンは、確実にその方が面倒が無くていいと言うだろう。

「昨日のお詫びをしなくちゃって、感じだね」

嫉妬を含んだ言葉はショーンの苦手とするものだ。

オーランドは悔し紛れに嫌味を言って、ショーンの頬に齧り付いた。

ショーンが身体を逃がす。

嫌味を言われても仕方のない自覚はあるようだが、唇を尖らせて、軽くオーランドを睨んだ。

ショーンの切れ上がった目付きの鋭さに、オーランドはぞくりと腰にくるものを感じた。

こういう顔もできるショーンだから、オーランドはショーンが好きなのだ。

ショーンは、まだ、熱心にオーランドのペニスを扱いていた。

手の平で包みこむようにして、くりくりとペニスの先を撫で摩る。

「もっと、全部を扱いて」

オーランドが恭順な笑みを浮かべて注文すると、ショーンは、唇の端を引き上げて笑い、オーランドの望みをかなえた。

ヘアの中まで指を突っ込んで根本から握り、先の部分は別の手で優しく撫でる。

「…気持ちいい」

オーランドが、ショーンの肩を抱きしめると、ショーンは、肩を震わせて笑いながら、そりゃぁ、良かったと、言った。

オーランドが自分のやり方で満足していると、安心していた。

もう、これで夕べの朝帰りも帳消しだと思っているようだった。

オーランドは、にやりと笑った。

ショーンの背中へと腕を回し、するすると背中を下へと辿っていくと、ショーンのチノパンの中へずぼりと手を突っ込んだ。

オーランドの手が、ショーンの尻を掴む。

尻の肉は、やわらかくオーランドの手に余っていた。

「オーリ!」

ショーンが身を捩って、後ろを振り返った。

その不安定な姿勢を利用して、オーランドは、ショーンをベッドへと転がした。

ベッドの上で、ショーンが弾む。

「ショーン、ショーンも脱いでよ」

手を離して逃げようとしたショーンを捕まえ、オーランドは、無理やりショーンの下だけを脱がした。

なかなかの早業だった。

ショーンは、慌てて脚を揃えて、手近にあった枕を掴もうとした。

「ダメ!」

一瞬早く枕を掴んだオーランドは、枕を部屋の隅まで投げた。

「それも、ダメ!」

次は、ショーンが掴むより先にシーツを両手で丸め込んで、ベッドの下へと投げ落とした。

その合間に、ショーンの下着は、脚で蹴り落した。

もう、ベッドの上にはショーンが身を隠すことが出来るものがなくなった。

「いいじゃん。ショーンは、見せてくれるだけでいいよ?その格好で、俺のを触ってよ」

ショーンは、盛大に顔を顰めた。

わざとらしく足を揃えるかなにかすると思ったのに、そのままの格好で、オーランドを蹴った。

足は、オーランドの腹に当たった。

腹を蹴られて、オーランドは驚いたが、その足を掴んで、高く上に吊り上げた。

ショーンは、片足だけ上へと引っ張り上げられたセクシーなポーズになった。

口が茫然と開いていた。

くったりとうなだれているショーンのペニスが、それでも、少しだけ大きくなっているのが、オーランドを調子付かせた。

「なかなか、いかすね」

オーランドは、足首を掴んだまま、ショーンのペニスを握って、扱き出した。

あまりにも恥かしいのか、ショーンが、頬を赤くして目を瞑った。

「オーリ、俺はしなくてもいいと…」

ショーンは、じたばたと脚を動かして、逃げようとした。

けれども、ペニスをきつく握られているので、思うようには抵抗できない。

「なんで?だって、ショーン、その格好で、俺の触ってくれないじゃん」

オーランドは、やる気のなさそうなペニスを可愛がりながら、ショーンに向かってにやにやと笑った。

「触ってやる。触ってやるから…」

ショーンが、情けない顔をして譲歩した。

オーランドは、もう一度にやりと笑う。

「じゃ、フェラして。その格好で、俺の上にのって、俺の咥えてくれるかな?」

「……オーリ」

ショーンは、心底嫌そうな顔で、オーランドを睨んだ。

オーランドは、手の中のペニスを弄んだ。

「いいんだよ?このまま無理やり突っ込んで、ショーンも一緒に楽しむ時間に突入しても。でも、そういうのはしたくないらしいショーンのことを考えて、俺が譲歩してやってるんじゃん。どう?昨日、俺のことすっぽかしたお詫びもかねて、俺の上に乗りなって。そりゃ、少しは、キスしちゃうかもしれないけどさ、それ以上のことは求めないから」

オーランドは、ショーンのつま先にキスをしながら、手の中のペニスをぎゅっと握った。

嫌そうな顔を見せているわりに、ショーンのペニスは、先ほどより、すこしばかり大きくなっていた。

 

ショーンは、Tシャツだけ着た格好で、オーランドの上に逆さまに被さっていた。

ショーンの鼻先が、オーランドのジーンズを擦っていた。

口の中は、育ちきったオーランドのペニスが占領している。

ペニスの先に上顎を撫でられ、ショーンは、軽い鼻声を漏らしていた。

ただ、奉仕するだけならば、ショーンを支配するのは、口内にある緩やかな快感だ。

オーランドは、約束どおり、ショーンのペニスにキスを繰り返したが、それ以上何も仕掛けてこなかった。

ショーンは、羞恥に耐えながら、足の間にあるオーランドの顔を足で軽く挟み込んだ。

顔を上下させて、オーランドのペニスを吸い上げる。

ぎりぎりまで口から出す時に舌でペニスの先を舐め上げる。

支える必要も無いものを手で支えながら、横からペニスを舐める。

根本をヘアと一緒に緩く噛む。

熱心なサービスだった。

ショーンの顔は、口から零れ出した唾液で濡れていた。

オーランドは、嬉しそうな声を上げて、ショーンのペニスにキスを繰り返した。

「ねぇ、本当に、ショーンのはしなくていいの?」

オーランドは、わざと音を立てて、ショーンのペニスの先に口付けを繰り返していた。

ショーンは、ペニスを先から辿り、裏側を舐め下りて、オーランドの重い睾丸に優しくキスをした。

「今したら、もう、夜しなくてもいいか?」

ショーンは、愛撫を続けながら、答えの予想できる質問をした。

案の定、オーランドが首を振る。

オーランドの髪が、ショーンの太腿を擽る。

「ダメ!昨日遊び歩いてたのは誰さ。今晩は、昨日の分もするもんね。今から始めてもいいよ?それでも、俺は構わない」

「俺が嫌だよ。そんな気力はない。とりあえず、今はお前を抜いてやるから、大人しく寝転んでろ」

ショーンは、もっと熱心にオーランドのペニスを口に含んだ。

 

ショーンの腹は、たわんだTシャツからすっかり見えていた。

下から覗き込む形のオーランドには、つんと突き出している乳首も見えた。

約束した以上、オーランドは、ショーンに手を出さなかったが、夜に十分楽しませてもらうために、ショーンのあちこちを視姦した。

見られていることをショーンが意識しているのを十分承知で、わざとゆっくり視線で辿った。

少し緊張している太腿や、呼吸するたび、へこむ腹をじっと見つめた。

開かれている足の間には、息を吹きかけて、期待させた。

「ねぇ、ショーン、ショーンのお尻、触って欲しそうだけど、しなくていいの?」

ペニスにキスする振りで、尻の奥へと息を吹きかけると、ショーンの穴がきゅっとすぼまった。

ペニスをしゃぶり上げながら、ショーンは、もじもじと小さく尻が揺らしていた。

「…今はいいよ」

ショーンは、赤くなった目元で、オーランドを振り返りながら、小さく首を横に振った。

「なんで?」

殆どオーランドと目を合わせずに、ペニスへの奉仕に戻ったショーンのお尻を、オーランドは指先でトントンと叩いた。

ショーンが、腰を大きく振った。

「ダメだ。晩飯を食いにいけなくなるだろう?」

「…現実的…」

まだ、昼飯が腹に残っているオーランドは、そんな先のことまでまるで頭が回っていなかった。

「お前に合わせてたら、何もかも放り出して、セックス、セックスだ。それより、集中しろよ。いつまでおしゃぶりさせる気なんだ?もう、終わらせてもいいのか?」

ショーンは、眉の間に皺を寄せると、オーランドの顔をちらりと振り返った。

オーランドがにやりと笑ったのにふんっと鼻をならして、ペニスに向き直ると、喉の奥までオーランドのペニスを咥えこんだ。

口全体を使って締め上げながら、舌でペニスを舐め上げてくる。

舌先で、敏感なペニスの先を刺激する。

その上、手を使って、飲み込めない部分を擦り上げるのだ。

熱い口内が、オーランドを追い詰めていた。

もう、散々ショーンに舐め回されていたのだ。

こんなことをされては、オーランドはイチコロだった。

「ショーン!ちょっと、待った!ちょっと待ってってば!」

オーランドが慌てることを知っていながら、ショーンは吸い上げをやめようとしなかった。

ぐちゃぐちゃと音を立てて指も唇も唾液で汚しながらオーランドを追い上げるショーンは、無慈悲なくらい正確に快感をオーランドへと与えた。

もう、射精すること事態は、我慢の利かなかったオーランドは、足の指を突っ張らせながら、ショーンの尻の間に顔を突っ込んだ。

ショーンの窄まった穴に唇を押し当て、チューッっと吸い付く。

ビックリしたショーンがオーランドのペニスを吐き出した。

そこへ、オーランドの精液が出口を求めてぴゅっと飛び出した。

ショーンの高い鼻がべっとりと濡れた。

頬も、唇も白く汚れて、ぽとぽとと、精液がオーランドのジーンズへと落ちてきた。

ショーンは固まっていた。

オーランドは跳ね起きた。

ショーンの体の下から抜け出し、べっとりと汚れた顔を見つめて、目を輝かせた。

「ショーン、なんて、サービス!」

「…オーリ…お前…」

ショーンは、手で顔を拭って、その濡れた手を、オーランドのジーンズで拭った。

オーランドは、そんなことは気にせず、ショーンの顔を両手で挟んで、濡れていない部分へとキスを降らした。

ショーンは、呆れたため息を落して、体から力を抜いた。

がっくりと丸められた背を、オーランドは抱きしめた。

「…髭も汚れた…畜生…」

ショーンは、まだ、手で顔の汚れを拭いながら、オーランドのTシャツに擦りつけていた。

それだけでは気がすまなかったのか、顔ごとオーランドのTシャツに擦りつけた。

「オーリ、お前、覚えてろよ…」

「え?なんで?だって、俺、キスしかしてないし?」

オーランドは、剥き出しのショーンの尻を撫で、頭を叩かれながら、今晩を思って、ショーンの唇に何度もキスをした。

 

END

 

 

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相変らずの、花豆。

なんだ、かんだ言ってもいちゃいちゃだ。

今回は、とっても素敵な花豆イラストをアップさせているサイトさまを発見し、嬉しくなって、あんな感じの可愛い作品に仕上げるぞ!と、勢い込んで書いてみました。

が、勿論、玉砕。(笑)

でも、入れずに終わらせるという可愛さで努力をしてみたし?(笑)