小さな幸福

 

オーランドは、ショーンの足の間に抱きこまれ、ベッドの上に座っていた。

オーランドのTシャツを着た背中には、裸のままのショーンの胸がくっついていた。

テレビは、今日、二度目のサッカーの試合を流していた。

日曜日の午後の時間は、ゆっくりと過ぎていた。

 

ショーンの視線は、ずっとテレビに吸い付いたままだった。

このビデオは二度目だというのに、一度目と全く代わらない集中力だった。

一度目の時よりも、試合の流れがわかる分、もっと夢中になっているかもしない。

背中も、腰もぴったりとくっついていた。

指は、絡み合っていた。

ショーンの顎が、オーランドの肩に乗っかっていた。

 

ショーンは、お気に入りの選手がゴールに向かって走り出すと、絡めた指にぎゅっと力が入れた。

真剣に画面を見入るショーンは、だんだんと前のめりになり、重みが、オーランドを、すこし、息苦しくさせた。

ベッドの上には、飲み散らかしたビールの缶と、スナック菓子の袋が散らばっていた。

ベッドの下には、ショーンの脱ぎ散らかした洋服がくしゃりと山になっていた。

 

外の天気は今日も晴れだったが、この家唯一のクーラーのあるこの部屋は、肌を寄せ合うのにちょうどいい温度だった。

 

「ショーン」

試合は、後半戦に入り、ますます重みをかけてくるショーンに、オーランドは、すこしだけ身体を倒して欲しくて、名前を呼んだ。

ショーンは、画面に見入ったまま、返事をしなかった。

けれど、オーランドと絡めていた指を離すと、オーランドの腹に腕を回して、自分の腰に乗せるように身体を引き寄せた。

全く隙間なくオーランドとショーンは、くっついた。

太腿も、背中も、ぴったりと、くっついていた。

ショーンは、オーランドの腹に手を回したまま、しっかりと拘束していた。

ショーンの腕に力がはいった。

画面のなかで、歓声が湧いた。

オーランドは、苦しくなるほど抱き締められた。

ショーンは、嬉しそうに笑うと、オーランドの頬にキスをした。

「見たか?すばらしいゴールだ」

オーランドは、笑って、ショーンにもたれかかった。

 

END