いただきます

 

盆の上のコップがかたかたと揺れるのに注意しながら、オーランドは、寝室に向かっていた。ミルクとパンの簡素な朝食だ。しかし、覗き込んだ冷蔵庫のなかで、オーランドの手に負えるものといったら、このくらいしかなかった。せめてパンが昨日の焼きたてであることだけが、救いだ。

若手俳優の冷蔵庫の中には、オレンジジュースだってありはしなかった。

理由は呆れるくらい明瞭だ。このところ仕事がきつくて、家でなにかを食べるなどということが、オーランドには不可能だった。冷蔵庫の中に入っていた食材、あれも、しばらく前に遊びに来た仲間たちが押し込んでいったものなのだが、入ったままの食材に、オーランドは、腐っているかもしれないと触ることすらしていなかった。

触らなくても、平気だった。

朝4時に起きて朝食を用意する気になどなれなかったし、夜の9時によれよれになって戻って、にんじんを刻むなんて真似がオーランドに出来るはずはありはしなかったのだ。

盆の上には、賞味期限ぎりぎりのミルクと、柔らかいパンだけ。それでも、朝食の真似事には、充分だ。

「おはよう、ショーン」

オーランドは、蹴り飛ばすようにドアを開けて、ベッドルームへと侵入した。

オーランドのまぁまぁ広いベッドには、金の髪をしたずっと年上の男が眠っていた。

男は、オーランドの侵入に呆れるほど簡単に目を覚ました。オーランドに少しの楽しみも与えない気だ。

「おはよう。よく眠れた?」

オーランドは、盆を抱えたまま、ショーンに向かって、微笑んだ。

ショーンは、身を起こすと大きく伸びをして、目を擦り、オーランドに微笑む。

「おはよう…珍しいことになってるな」

ショーンは、オーランドを見て、驚いたような顔になった。寝起きにしては、表情の変わり方が素早い。

オーランドは、口元を吊り上げ、にやりと笑って、ショーン寝るベッドに腰を下ろした。

「どう?朝食をお持ちしたよ」

「ああ、ありがとう。だけど、オーリ」

「メニューが気に入らない?もっと食べたきゃ、後で、買いに行こう。冷蔵庫の中は、やばそうなんだ」

「いや、メニューは、いいんだが」

ショーンは、オーランドの顔をまじまじと見つめた。

「なに?あんまり見つめられると照れちゃうよ、ハニー」

「いや…なにが始まったのかと、思って」

オーランドは、ショーンにシンプルな朝食が乗った盆を押し付け、自分の着るエプロンを引っ張って見せた。

「これ?」

「そう、それ」

オーランドは、ジーンズの上に、白いシンプルなエプロンを着けていた。当然のことながら、普段使うようなことは無い。勿論、オーランドのものでもない。

「この間、うちに来た誰かの忘れ物」

「ああ、えっと、誰だっけ、確かに、エプロンをしてたな」

「うん。だけど、誰のだかは、わかんないんだよね。あの時、女性は、殆どエプロンを持ってきてたから。まぁ、誰も忘れたっていいださなかったし、俺も、忘れ物があったこと忘れてたし」

「で、なんで、急にそれを着ける気になったんだ?」

「…なんでだろうね」

オーランドは、ますます口元を引き上げてにやにやと笑った。わざとらしく、エプロンの紐を引っ張り、自分の乳首を晒してみせる。

ショーンは、ほんの僅かに目を伏せた。

それがどんなにオーランドをそそる恥じらいの表情なのかなんてことは、気付いていないに違いない。

オーランドは、心の中で舌なめずりをした。

「ショーン、こんなしかないんだけどさ、とりあえず、腹に入れようか」

オーランドは、ショーンの視線を意識しながら、手を伸ばして、ショーンの膝にのる盆の上から、コップを取った。

鏡の前でエプロンを着けた自分を見たとき、かなり滑稽な格好ではあったが、ヌードよりもより裸だという効果があることは確認した。腕や喉、別に素肌であることが不思議でもなんでもない部分が、エプロン一枚で、おかしな位、ナマな視覚効果を表すのだ。

ショーンは、伸ばされた腕をじっと見つめていた。

いつもと変わりのないオーランドの手だ。24時間前もそうだったし、ショーンをこの部屋に連れ込んだ、6時間前とだって、なにも変わっていない。

しかし、気になるのだ。白い布から突然生えたような腕は、肌色が目にきつい。

オーランドは、ショーンに見られていることを意識しながら、コップを傾けた。喉仏が動くのを、わざとらしくない程度に見せつける。

「ショーン、ショーンも食べなよ」

ショーンは、オーランドの声に、我に返ってパンを手に取った。盆の上には、パンとミルク、それだけだ。バターひとつ付けられていない。

「俺の年を考えてくれてるってわけ?」

ショーンは、オーランドから目を反らし、苦笑するとパンに噛り付いた。パンは充分においしかった。しかし、ショーンは、オーランドにつっかかった。落ち着かない心臓を気付かれないために、大袈裟に言い掛かりをつける。

「うーん。ショーンが、ここに来たはじめから入ってるバターでいいってんなら、取って来るけど」

オーランドは、傾けていたコップから口を離し、片目を瞑って困った表情を見せた。

首が傾けられ、肩から続く肌がショーンの目に飛び込んでくる。意識するまいと思っても、目が吸い寄せられてしまう。

ショーンは、自覚のないままに眉を寄せた。

「この間、誰かが新しいバターを持ってきてなかったか?」

「うん。確かに冷蔵庫には、3個もバターが入ってる。だけど、どれが、新しくて、古いんだか、俺には皆目わかんないんだよ」

オーランドは、盆に載るパンへと手を伸ばした。

前屈みになりながら、腕を伸ばすと、胸当ての部分がたわんで、胸が曝け出された。

ショーンの視線を、胸に感じた。滑稽なエプロン姿が、オーランドの狙いどおりの効果を表した。

ショーンは、エプロンからのぞく喉から胸のラインをじっと見つめていた。それから慌てたように、オーランドの褐色の乳首から視線を反らした。不自然にバターの話も打ち切りになった。

オーランドは、気づかない振りで、パンをちぎって口の中へと放り込んだ。

「結構おいしいじゃん」

オーランドは、ショーンに向かって笑いかけた。戸惑い気味に、ショーンが笑顔を返した。

「この位で我慢しなって。いっくらウエイトを維持しなくちゃならないからって、身体を壊すような食べ方は良くないと思うよ」

「…ああ、そうだな」

ショーンの口の中へと消えるパンの量が目に見えて減った。オーランドは、ショーンの分まで、盆に手を伸ばして、パンを消費する。

その度、オーランドの肌はショーンの目に晒される。ショーンは、益々居心地わるそうだ。

オーランドは、最後の一個までパンを食べ尽くし、ショーンの分までコップを空にした。

「よかった?」

ショーンの視線が、喉下に張り付いているのを承知で、空のコップを振ってみせる。

「いいよ。そんなに腹ペコってわけじゃない」

ショーンは、力の無い笑みを浮かべてオーランドに微笑み返した。

そのまま伏せられる目に、オーランドは、確信した。

オーランドは、ショーンの膝から空になった盆を下ろした。そのまま、ショーンに乗り上げた。

足を開いて、ショーンの腰の上に乗った。熱くなりつつある部分に尻を押し付けた。

ショーンの硬い感触に、オーランドの口元が緩んだ。

ショーンは、諦めたような顔で、オーランドを見上げている。

「なんで俺がこんなのを着ているか、教えてやろうか?」

オーランドは、ショーンの頭を抱かえこんで、ミルクくさい口でショーンの唇を舐め回した。キスは、6時間ぶりだ。夕べ、ベッドに潜り込んで、意識が無くなる間際に、一度だけ唇を重ねた。

いわゆる、お休みのキスだ。それ以下でも、それ以上でも無い。

労働はますます苛酷になりつつあり、恋人にサービスをするだけの余裕がなかった。

薄い上唇と、下唇を交互に挟み込んで、何度もキスを繰り返す。

ショーンは、大人しくオーランドのキスを受け入れていた。僅かに唇を開き、オーランドの可愛い子に成り下がってくれている。

「ショーン、抱きしめて」

オーランドは、ショーンの唇を舐め回した。口角の柔らかい粘膜を舌で押し広げた。

ショーンの手が、ゆっくりと背中へ回った。裸の背中を優しく撫でる。

オーランドは、ショーンの頭を抱え込んで上からキスをし、大きく口を開けさせた。舌を差し込んで、歯の裏や、上顎を何度も舌でなぞり上げた。

ショーンの背中がびくりとしなった。

オーランドの背中に回されている手が、エプロンの紐を掴んで握り締めた。オーランドは正直な反応に、嬉しくなった。

「ショーン、久し振りだし、したくない?」

オーランドは、キスで赤くなっているショーンの顔を覗き込んだ。上から覗き込まれ、額に掛かる髪も後ろへと撫で付けられ、ショーンは、顔を隠すことが出来ない。

視線だけが、恥ずかしそうに、オーランドの顔から外された。

「俺は、したいんだけどな」

オーランドは、ショーンの頬にキスをして、自分の手をエプロンの下へともぐりこませた。

ショーンの視界に入ることを意識しながら、エプロンの裾をたくし上げ、ジーンズのボタンを外す。

ゆっくりとジッパーを下ろして、下着を着けていない部分を明瞭にしていく。

「下着なし、なんだよね」

見ればわかることを言葉にした。

ショーンの視線は、オーランドの手元に集中している。露になるヘアーと、そこから続く、若いペニス。

ショーンの喉がごくりと鳴った。

オーランドはそそるような表情を大袈裟に作って、挑発するように自分の唇を舌で舐める。

下ろしきったジッパーから手を入れて、大きくなったペニスを掴み出した。

「これで、ショーンのこと可愛がってあげたいな」

オーランドは、片手でエプロンの裾を持ち上げ、はっきりとペニスを見せつけた。

握るもう片方の手を、上下させる。

ショーンの目が釘付けになっているのを確認して、わざとエプロンを手から落とした。

ペニスは、清潔な白の中に隠される。

手の動きに、布が揺れる。

ショーンの目が、隠された部分へと残されているのを知りながら、オーランドは、ショーンの腰に、自分の尻を擦りつけた。ショーンのものは、最初よりよほど硬くなっている。

布の中の手は動かしたまま、ショーンの耳を噛み、息を吐きかけた。

「ねぇ、いいでしょ?」

ショーンは、オーランドの背中を抱き締めた。唇を開けて、オーランドに噛み付いてくる。

オーランドは、大袈裟に痛がってみせて、ショーンから逃げた。

ショーンは、オーランドを追いかけ、頭を掴んで、キスを繰り返す。

舌が絡み合い、唾液がお互いの口の中を行き来した。

オーランドは、ショーンの着ていたTシャツを頭から抜かせた。

キスは続行中だ。鼻も、額もぶつかった。

「痛いって」

笑うオーランドを、ショーンは、繰り返すキスで大人しくさせた。こんなにがつがつしているのは珍しい。

オーランドの手が、ショーンの身体をはい回る。

寒さではなく、立ち上がっている乳首を掴んで、指先で捏ね回す。

ショーンは首を振った。いまは、そこじゃ、ないらしい。

オーランドは、ショーンの背中に指を走らせた。時々、強く撫で、ショーンに声を漏らさせる。

「俺のこと触らないの?」

ショーンの手は、エプロンの上以上に侵入しなかった。オーランドは、エプロンに隠れた乳首を擦り付ける。

「ショーン、胸を揉むんじゃなかったの?」

オーランドは、ニヤニヤ笑って、ショーンの目をのぞきこんだ。

ショーンは、不信な顔をして、オーランドの頬に繰り返していたキスを止めた。

「後ろを向いてあげようか。なんか、そういうシュチエーションだったよね」

ショーンの目が呆れたような色を浮かべた。オーランドは、にやりと笑うと音を立てて開いたままの唇にキスをした。

「…オーリ、そういう訳か」

ショーンは、疲れ果てたような表情をしている。

「そういうわけです。そそるんでしょ?サービスだよ。胸だろうが、尻だろうが、揉みたいだけ揉んでいいよ」

オーランドは、自分から胸を摺り寄せ、ショーンの手をエプロンから侵入させた。

「ほらほら。どうぞ。小ぶりで申し訳ないんだけどね。感度は悪くないと思うから」

オーランドが上機嫌に笑うと、ショーンは、自分の乳首に触らせようとしているオーランドの手をつねった。

「ろくなこと考えないな」

「そう?でも、ショーンは、こんなサービス、自分からはしてくれないでしょ?だったら、俺がしなくっちゃね」

ショーンは、大きなため息をついた。

「楽しくない?昨日、みんなでしゃべってたじゃん。馬鹿みたいだっていいながら、この格好が、人気ナンバーワンだったし」

ショーンは、げんなりとした顔をしている。

手も、エプロンから脱出してしまった。

「それに、皆に言われてたじゃん、間違いなくショーンは、そういうシチュエーションを体験したことがあるって。あんただって、否定しなかったろ。俺も、この位サービスしとかないと、飽きられちゃっても困ると思ってさ」

オーランドは、カメラの前で決めるようなウインクをした。このごろ忙しくって、ラフなセックスが多いし。と、乱れたエプロンと相まって、下世話なほど、決まったセクシーポーズで唇を突き出す。

ショーンは、突き出された唇に自分も唇を尖らせ、キスを返した。

オーランドの髪に指を差し入れて、額を寄せる。

「オーリ、胸を揉んで、エプロンをめくって、尻に入れさせてくれるってわけか?」

ショーンは、オーランドの目をのぞきこんでにやりと笑った。

スクリーンの中で見るような、脅しているような表情だ。でも、目が笑っている。

オーランドも、ショーンの目をのぞきこんで、嬉しそうに笑った。目尻が下がっている。オーランドは、ショーンの尻へと手を伸ばした。それから、顔の前にあるショーンの唇とぺろりと舐めた。

「胸を揉んでくれていいし、エプロンもめくっていいけどね。いれるのは、ショーンにしようよ。そのほうが、お互いに気持ちよくなれちゃうでしょ」

ショーンは、口を開けて、オーランドの舌に噛み付いた。甘い噛み方に、オーランドは、表情を崩したまま舌を差し出している。

「いいじゃん」

「なにがいいんだ。お前が抱かせてくれ泣くから」

「泣きたくなるくらい、ショーンのこと抱きたいんだよ。なんだったら、今も泣くよ。そんなんで許してくれるんなら、今すぐ泣く」

オーランドは、ショーンの尻を掴んだまま、顔を離して、目を見開く。

瞼を閉じるのを我慢すれば、おのずと涙は溜まってくる。目尻に盛り上げリ、頬を伝う。

ショーンは、苦笑してオーランドの涙を舐めた。

「俺がショーンに勃たなくなったら、役割の交代をしよっか」

ショーンは、おおげさに、ため息をついた。

「そんなになったら、俺は、お前と別れるよ」

「ショーン、俺のセックスの虜?」

「馬鹿が」

ショーンは、オーランドをゆっくりと押したおして、その上に伸し掛かった。

ベッドが音を立てる。

体温がオーランドを包み込む。

「やっぱり、こういうのって、感じちゃう?」

エプロンをめくって、ショーンの手が、オーランドのジーンズに侵入した。オーランドは、伸し掛かるショーンの背中に腕を回す。

「ねぇ、いつもより燃える?したくなっちゃう?」

首筋にキスをしながら、オーランドは、ショーンに尋ねた。

ショーンは、オーランドのペニスを握りながら、戯れかかる唇に首を竦めた。

ゆっくりとジーンズからはみ出しているものを、扱き上げる。

乱れたエプロンから見えている乳首も、唇で挟む。

「気持ちいい」

オーランドは、ため息と一緒に、穏やかな声を吐き出した。

オーランドは、ショーンのカーゴパンツの中へと手を潜り込ませた。

下着の中まで入り込んだ手が、尻の肉をつかむ。左右に大きく開かせる。

「久し振りだよね」

「そうだな」

オーランドの手は、ショーンの尻を揉みしだき、開いた中央部分に、指を伸ばす。

ショーンは、湧き上がってくるの羞恥心を理性で捻じ伏せた。

「ここ、いれられるの嫌?」

オーランドの指が、窪んだ皮膚の部分を緩く押す。

指は、ショーンの中へと僅かに入り込む。

「嫌だったら、お前のベッドに連れ込まれるような真似はしないよ」

ショーンは、オーランドのペニスを扱きながら、彼の唇にキスを繰り返した。

「欲しいって、言えってのか?」

「そうだね。言ってくれると感じちゃうかな」

オーランドは、無理に侵入しようとはせず、周辺を指先で辿った。

ショーンの擦る手が早くなってきている。

摺り寄せるようにする首から、ショーンの匂いが立ち上ってきている。

「若いのに、そんな焦らすような真似をするな」

ショーンは、オーランドのペニスから手を離して、腰を擦り付けた。

「年寄りなのに、そんなに焦んないでよ」

オーランドは、ショーンの尻を掴んで、自分からも腰を擦り付けた。

ショーンが、オーランドの鼻を掴んでその上、噛み付く。

「痛い」

「当たり前だ。爺に感じる変態のくせに、おかしなテクニックばかり覚えるな」

「ショーン、自分で、爺だなんて」

ショーンは、オーランドのエプロンをめくりあげて、彼の体の上をずり下がった。

ペニスを前に、オーランドなどかすんで消えてしまうような、いやらしい顔をして、舌で自分の唇を舐めて見せる。

オーランドの喉がごくりとなった。

「こっちは、老い先短いんだ。さっさと楽しませろよ」

ショーンが、オーランドのペニスを飲み込んでいった。

オーランドは、焦ったような声を上げた。

ショーンは、笑って、口の中のものを吸い上げた。

「本気出し過ぎ。いったらどうすんだよ」

「一回だけで終わりか?」

ショーンは、緑の目で、オーランドを覗き込んだ。

薄い唇から舌が伸びて、オーランドのペニスを狙っていた。

長い指が、オーランドのペニスに絡みついていた。

「そりゃ、若いからさ、二回でも、三回でも、サービスするけど、早すぎるのは、嫌でしょ」

オーランドも、上半身をおこして、ショーンの目を覗き込んだ。

ショーンの髪に指を差し入れ、緩く撫でる。

「お前って、おかしな位、面子に拘るのな」

ショーンは、笑って、ペニスを銜えなおした。オーランドは、なんとか届く位置にある、サイドテーブルの引き出しを開け、中からチューブとコンドームを取り出した。

その間も、ショーンは、オーランドのペニスに顔を埋めていた。

「もしもし、ショーンさん、あんまり本気出されると、いっちゃうからね。ここんとこあんたとセックスできなくて、俺は、いますぐにでも、あんたの顔にぶちまけたいんだから」

オーランドは、ショーンのカーゴパンツをずらし、剥き出しになった尻を両手でなで回した。

ショーンのサービスが一層熱心になった。

舌が、途切れなくオーランドのペニスを舐め回した。

「だから、やりすぎると、ほんとに出すよ。飲む?飲みたいの?」

オーランドは、ショーンに、腰を突き出した。

ショーンは、喉の奥に突き入れられたものに、体を硬くしたが、柔軟にオーランドにあわせてきた。

オーランドは、酷くならない程度に、ショーンの口を自由にした。

「飲みたい?ほんと、出しちゃうけどいい?」

ショーンは、口を離さず、オーランドを吸い上げた。オーランドは、そのままショーンの口の中を擦り上げた。オーランドの身体が緊張する。

ショーンは、唇をすぼめ、オーランドの精液を飲み込んだ。

オーランドは、ショーンの頭を抱かえ込み、満足げなため息を漏らす。

「やらしいの。ショーン」

エプロンの裾でショーンの頭を隠して、オーランドは、耳に息を吹き込んだ。

ショーンは、布の下で、オーランドのものをまだ、舐めていた。

随分おかしな眺めだった。

しかし、そそる光景ではある。すくなくとも、オーランドには効果があった。

「セックスは、腹ペコってことでいいのかな?」

オーランドは、ゼリーのチューブを手にとって、自分の指に搾り出した。

白い布の中から顔を出した、ショーンの足を捕まえ、大きく開かせる。

その勢いで、ショーンの体がベッドに倒れこんだ。

オーランドに足を掴まれ、ショーンは、頼りないような顔をして目をさまよわせた。大きく足を広げた格好もそそるが、誰も知らないはずの表情は、オーランドを果てしなく満足させた。オーランドは、膝小僧にキスをして、長い足を二つに曲げた。

ショーンの体に力が入る。

もう一度、足にキスをした。それから、ぬめる指を穴へと近付けた。ショーンは、息を詰めて、オーランドの指を待っていた。

「ねぇ、した?自分でもした?」

「しない」

指が入り込むと、ショーンは、軽く息を吐いた。

オーランドの指は、抵抗にあいながら、中へと進んでいた。肉がオーランドを締め付け、取り込むような、追い出すような動きをした。

「気持ちいい?」

「…まだ、かな?」

ショーンは正直に返事をした。自分のなかの快感を探るように、目を閉じ、オーランドの指を感じている。

オーランドは、指を前後させた。ショーンの体に力が入る。

ショーンは、曲げた足を一層自分に近付ける格好をした。オーランドは、慎重にショーンの様子を観察しながら、中を広げていく。

「増やすからね」

入り口を広げながら、何度も中を抉るうちに、ショーンの軽く繰り返される息が、熱いものになっていた。オーランドは、指を引き抜き、もう一度、ゼリーを塗りたくって、ショーンの中へとねじ込んでいった。

「もう少し、リラックス」

久し振りの挿入は、二本目の指を受け入れるのさえ困難だった。

ショーンの目は、困ったようにオーランドのエプロンをみつめた。

顔が赤かった。不必要な力を抜こうとしても、身体が勝手に指を締め付けてしまう。

オーランドは、指を入れたまま、伸び上がって、ショーンの額へとキスをした。

ショーンは、目の前にある、オーランドのエプロンを少し噛んだ。

体内では、オーランドの指が、中を広げようと、動いていた。重い質量感。指が抜けるときに感じる排泄感。

オーランドは、次第に開く場所に、もう一本をもぐりこませようとした。

ショーンは、オーランドの体を押した。

「もう、すこし待ってくれ」

「まだ、無理?」

「焦りすぎだ」

「さっきは焦らすなって、言ったくせに」

オーランドは、エプロンをめくって、立ち上がったペニスをショーンに見せた。

ショーンは、その滑稽さに笑いが漏れた。

「若いってか」

「まぁね。ショーンに天国を見させられる状態に回復してんだよ」

オーランドは、立ち上がっているショーンのものに、自分のを擦りつけた。

指は二本のままで、中をかき混ぜ続けた。

ショーンの息が次第に速くなっていく。腰が、ゆっくりと指に合わせて動き出す。

オーランドは、手早く自分のものにゴムをかぶせて、ショーンの足を抱え込んだ。

ベッドからショーンの腰が浮き上がった。オーランドは、ショーンの顔を覗き込んだまま腰を進めた。

ショーンは、微笑み、オーランドを受け入れてくれたが、受け入れる口は、オーランドを押し返した。

「痛いかな?」

「多少なら我慢してやる」

「大丈夫?切れたりしない?」

「いいから、早く入ってこいよ」

オーランドは、唇を突き出し、ショーンにキスをしながら、中へと押し入った。

ショーンの額に皺がよった。内臓が開かれ、重苦しくオーランドが進入してくる。粘膜を擦られる快感とは、別に、胃を押し上げられるような息苦しさがショーンを襲う。

ショーンの腕は、オーランドの首に回された。何度も息を吐き、自分から大きく足を広げる。

「平気?」

「苦しい。しばらく動くな」

ショーンのなかは、熱く、オーランドを駆り立てたが、オーランドは、じっと我慢した。

びくびくと動くショーンの中を感じながら、ショーンの髪を撫で上げる。

ショーンは、オーランドにしがみついたまま、何度か息を吐き出した。この耐えている姿を見ると、いつも、自分の限界まで気持ちよくしてやりたいような狂おしい愛しさが湧いた。

しばらくして、ショーンが大きく息を吐き、オーランドに許可を与えた。

オーランドは、もう一度ショーンの額にキスをして、ゆっくりと腰を動かす。

オーランドの腰の動きが、次第にショーンに、快感を与えるようになった。いままでの苦しさとは、まったく違う、どこに隠れていたのかというような身体の中心から湧き上がる感覚。いつのまにかペニスで感じるものより大きく自分を支配するようになった、快感。

中にあるものが愛しくて、ショーンは、オーランドの腰に、足を絡めた。

オーランドは、肩頬が引きつったような、余裕のない顔で、ショーンに笑いかける。

ショーンは、自分から、腰を揺すった。まだ違和感は残っていたが、オーランドの顔は、ショーンを煽った。身体だけでなく、心の中が熱くなって、ショーンの動きは止まらない。オーランドは、ショーンの動きに合わせて、的確に快楽のポイントをつついた。そのたびに、ショーンの足が、オーランドの腰を締め付ける。

寝室に、たくさん、ショーンとオーランドの呻き声が落ちていた。

ショーンは、オーランドの尻を掴んで、自分へと引き寄せた。オーランドのペニスが、ショーンを深く埋めた。オーランドは、余裕の無い顔つきのまま、目を見開いて笑う。

「もっと、奥まで入れて欲しい?」

「…オーリお前に、届くのか?」

オーランドは、ショーンの口に噛み付いた。ショーンも負けずに噛み返した。

歯がかちかちと音を立てた。オーランドの歯は、ショーンの顔中を甘噛みした。

オーランドは、ショーンの腰を高く上げた。足首を掴んで、腰を打ち付ける。

息が詰まって、ショーンは、何度も目を閉じた。腰が痺れるように感じている。

瞼を開くたび、オーランドのエプロンに隠された自分のペニスが揺れているのが目に入った。

「…邪魔…」

喘ぎの途中で、何とか言葉を吐き出して、オーランドのエプロンを掴んだ。

「ほんと、邪魔くさい」

オーランドも、焦ったような動きで、頭からエプロンを抜く。

オーランドは、改めてショーンの身体を嘗め回した。首筋も、腕のくぼみも、乳首も、耳の穴もオーランドは、遠慮なく舐めていった。すべてショーンの弱いところだ。舌が向かうたび、期待するような気持ちで背筋にぞくぞくするものが走る。

声を上げるたび、噛み付かれ、その上、突き上げられた。

体の中が勝手にオーランドを絞り込んでしまう。大きさも硬さも、いやになるくらいリアルだ。その上、それが、恐ろしいくらい気持ちよくて、これを取り上げられるといわれたら、泣いて縋ってしまいそうだなのだ。

「くそ、もっと、したいのに!」

オーランドは、ショーンの足に歯を立てて、舌打ちした。

自分の満足を伝えるために、ショーンは、オーランドの背中に背を回し、何度か撫でる。

オーランドは、鼻の頭に皺を寄せるような笑い方した。

オーランドは、ショーンのペニスを擦り上げながら、腰の動きを早くした。ショーンは、オーランドに振り回され、硬く目を瞑った。

「いい?満足できてる?」

のぼせ上がったような声が、ショーンの耳に届いた。

ショーンは、擦り上げるオーランドのペニス以外に考えることができなくて、何度も強く頷いた。

背筋を絶え間なく駆け上がる熱い感覚に、頭の芯が痺れている。

オーランドは、ショーンの足首を掴みなおし、深くまで、ショーンに快感を与えた。

ショーンは、うめく声を抑えられない。

「…届く…だろ」

「…深…すぎ…」

実際その刺激は、強すぎて、ショーンには快感なのかどうか分からなかった。

なのに、ペニスは勝手にはじけて、折り曲げすぎた体位のせいで、ショーンの首にまで精液が飛び散る。

「おしい…もうすこしで、顔にかかったのに」

オーランドは、苦しそうな顔で笑って、ショーンの中を抉りつづけた。

今のほうが、よほど、気持ちがいい。

ショーンは、押さえもせず、何度か声を上げて、オーランドの首に抱きついた。

速い動きで、ショーンを揺すり、オーランドも、腰の動きを止める。

中で、ピクピクと動く感覚を与え、オーランドは終わった。

二人で抱き合ったまま、収まらない息を吐き出しつづける。

オーランドは、ショーンからペニスを引き出し、ベッドの上へとごろりと横になった。

ショーンも足を伸ばして、大きく息を吸い込み、吐き出す。

「ねぇ、裸エプロンの効果はあったと思う?」

自分の下に引き込んでいるエプロンを引っ張り出して、オーランドは、ショーンに悪戯な目を向けた。

「お前、自分で感じた?」

ショーンは、目の上に手を乗せて、僅かにオーランドに視線を送る。

「今度は、ショーンが着てしてみようか」

「洗濯して、綺麗にしてからなら、考えてやる」

オーランドは、笑って、先走りで汚れたままのエプロンをショーンに投げつけた。

ショーンは、エプロンを避け、ベッドの上をオーランドに向かって転がる。

転がったついでに、オーランドを腕の中に抱き込んだ。胸の中に収めて、髪を撫でる。

「今、何時かなぁ?」

「さぁ、お前何時から?」

オーランドは、心地よさに目を瞑った。ショーンの手は飽きもせず、髪を撫でつける。

「お前、何時に起きたの?」

「6時。出るのは、9時。」

「じゃ、そろそろ、シャワーでも浴びて、なんか食ってから行こう」

気持ちのいい体温が背中から離れた。

ショーンは、ベッドから下りた。オーランドは、まだぐずぐずしていた。

ショーンは、眉を顰めてオーランドを見下ろした。

「ほら、ゴムはずせ。さっさとシャワーに行こう」

全く男らしい態度で、ベッドの下に落ちたエプロンを足で蹴り上げて手に掴んだ。本当に無造作に、胸から首についていた精液を拭っていく。

オーランドは、その筋肉の動きにほれぼれとする。

「洗ってくれる?」

オーランドは自分でも自覚のある甘えた声をだした。これでは、自分の方がショーンの可愛い子チャンだ。

「全身丸洗いしてやる」

「洗わせてくれる?」

「それは、お前が洗うだけで止めるってんなら、させてやる」

ショーンは、綺麗な背中や尻を晒したまま、すたすたとバスルームに向かった。

裸だというとに、躊躇いや躊躇が無い。

「爺、恥らえ」

背中にしっかり視線を吸い寄せられながら、オーランドは口元を緩めて毒づいた。

小声は、しっかりとショーンに届いた。

「散々した後に、どう恥らうんだ」

廊下から声が返る。

「散々してても、する前だけは、恥ずかしいってのかよ」

オーランドも大きな声で返す。

「年よりは、そういうもんなんだ。それより、遅くなるぞ。洗ってやるから、さっさと来いよ」

オーランドは、誰に見せるわけでもなく、オーバーアクションで肩を竦めた。

それから、もう一度、ショーンに、恥らった顔をさせるため、ベッドを降りてバスルームへ駆けて行った。

 

 

END

 

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