選り好み

 

オーランドの家のドアが叩かれたのは、ずいぶん遅い時刻だった。

オーランドは、驚いた顔で、ドアまで走った。

ドアを開けて、もっと驚いた。

ショーンがドアの外に立っていた。

「どうしたの?」

オーランドは思わず、ドアの前に立ちふさがった。

「来ちゃ、ダメだったか?」

暗がりの中で、ショーンが顔を上げた。

「全然、そんなことはないけど・・・」

自分の態度に気付いたオーランドは、慌ててショーンのために、体を引いた。

しかし、すぐ思い直して、腕を広げ、ショーンの首に抱きついた。

「すごく、嬉しい。昼間に顔を合わせられただけでも、結構ハッピーだったのに、まさか、こんな幸運が訪れるとは思わなかった」

オーランドは、ショーンの頬にキスをした。

ショーンもオーランドの頬へとキスを返した。

ショーンは、本国でしなければならない別の仕事を済ませるため、2週間ほど、オーストラリアから離れていた。

ただいま、と、言いながら、ショーンは、照れ隠しのような苦い顔をして、頭を掻いた。

「お前に、土産を持ってきた」

「ほんと?仕事忙しかったんでしょ?よく、俺のことなんて覚えてたね。実は、それ、ショーンが自分用に買ってきたんだろ。本当は、俺んちを訪ねる口実に、持ってきただけじゃじゃないの?」

早口でまくし立てたオーランドは、ショーンが逃げ出さないように、急いでドアを閉めた。

ショーンは、少し目を逸らしがちにしながら、茶葉の包みをオーランドへと差し出した。

それは、きれいにラッピングされたものではなかった。

オーランドは、傘たての上に、ぽんっと、包みを置いた。

「後で返してあげるね」

オーランドは、ショーンの顔を両手で挟み込むと、顔をぶつけるような勢いで、思い切りキスをした。

オーランドが思っていた反応と違い、ショーンは、キスに応えてきた。

オーランドは、柔らかなショーンの唇を強く吸った。

「会いたかった。ショーン」

「ああ」

ショーンの返事は短かった。

しかし、ショーンのキスは、鼻がつぶれるほど、唇を押し付けるものだった。

オーランドは、真剣になって、ショーンのキスを受け止めた。

ショーンの金髪に指を突っ込んで、髪をかき混ぜた。

「んんっ、ショーン」

すでに、オーランドの巻き毛は、ぐちゃぐちゃだった。

年上の恋人は、繊細とは言いがたい。

ショーンは、乱暴な手つきで、オーランドの頭を抱き、噛み付きそうな勢いのキスをオーランドにくれた。

「ショーン、ショーン」

オーランドは、ショーンの顔を動かないように固定すると、目の上に口付け、頬に口付け、髭の伸び始めている顎にたくさんのキスをした。

キスの封じられたショーンの手は、オーランドの腰を撫でた。

ショーンの長い指が、オーランドのTシャツのなかに潜り込んだ。

「会いたかった。ショーン。すごく、会いたかった。ショーン」

せっかちな恋人の態度に、オーランドの気分は盛り上がった。

会えて嬉しいとは、言わないショーンの代わりに、オーランドは、たっぷりと、甘い台詞を吐き出した。

オーランドは、ショーンを引きずるようにして、後ろ向きにソファーへと向かった。

キスを続けたまま、ソファーになだれ込もうとしているせいで、オーランドの足は、いろいろなものにぶつかった。

 

オーランドは、自分が先に、ソファーに倒れこみながら、ショーンのシャツを脱がしていった。

上に覆いかぶさるショーンの足を両足で挟み込んだ。

見え始めたショーンの胸に、キスを繰り返す。

「ショーン、大好き」

オーランドは、ショーンの首に腕を回して、唇を合わせるキスをした。

キスを続行したままバックするオーランドを、誘導したショーンは、オーランドに腰を押し付けていた。

生地の硬さではない塊が、ショーンのジーンズの中には押し込められていた。

それが、オーランドにぐいぐいと押し付けられた。

「ショーン・・・」

オーランドは、ショーンの目を覗き込んだ。

さっきまで、この目は、一生懸命オーランドの後ろを見ていた。

オーランドをソファーに導くために、大きく見開かれ、しかし、キスは、続行中だった。

今も、キスは続行中だ。

「久しぶり。ショーンの体」

オーランドは、ショーンの背中に指を這わせ、その感触を楽しんだ。

ショーンの背中は、相変わらず、美しいラインを描いて、柔らかくオーランドの手を楽しませた。

オーランドは、ショーンの肩を愛しげに撫でた。

その動きに、ショーンが、かすかに眉を寄せた。

「・・・なぁ、オーリ」

ショーンは、オーランドが繰り返す、キスの合間に、声をかけた。

何かを思い出したように、キスだけに集中していた緑の目が表情を浮かべた。

オーランドの唇は、逃げるショーンを追って、顎に鼻にとキスをした。

「ちょと、待て。オーリ」

「嫌だ」

ショーンは、キスを仕掛けるオーランドの口を押さえた。

「ちょっと、待てって。なぁ、俺、そんなに物ほしそうな顔をしてるか?」

ショーンの顔はまじめだった。

オーランドは、ショーンの手にキスをしながら、目がなくなるくらいにっこりと笑った。

「してるかも」

ショーンの眉が寄った。

「本当か?」

「実際に、今、してるじゃん」

「本当に?」

ショーンは、不安そうな顔になった。

オーランドは、笑った。

「嘘」

オーランドは、ショーンの手を押しのけた。

心配そうな顔のショーンを抱きこんで、体の位置を入れ替えた。

ショーンの髪を撫でながら、眉の寄った額にキスをした。

「なんで?ショーン。誰かに、何か言われた?」

「・・・ああ、今日撮影所に寄った時、ヴィゴが肩を抱いて、俺はどう?って」

ショーンは、困ったように眉をひそめた。

ショーンの恋人がオーランドであることはまだ、誰にも打ち明けられていなかった。

ショーンは、そう言われるようなヘマを自分がしたという覚えがなかった。

優しいからかいを含んだヴィゴの声に、ショーンが、まず、疑ったのは、オーランドだった。

「オーリ、お前、ヴィゴに何か言ったのか?」

オーランドは、口を尖らせた。

「何も言ってない。ショーンの思い違いじゃない?しかし、ショーン、あんた、油断ならないなぁ。帰ってきて、すぐかよ。そりゃぁ、お仕置きものだよね。お仕置きしなくちゃね」

オーランドは、にやりと笑った。

 

 

オーランドは、ショーンの服を脱がし、ソファーの上で、大きく足を開かせた。

体重をかけて、太ももを押さえつけた。

そのまま、ショーンの勃起しているペニスを握り込んだ。

そこまでされても、ショーンは、反撃しなかった。

くちゅくちゅと扱かれるペニスに、目は逸らされたが、唇は、早い息を吐き出した。

オーランドは、ペニスを扱きながら、ショーンの陰毛を親指で撫でた。

「ショーン、大好き。ショーンも、俺のこと好き?」

オーランドの質問に、ショーンは、腕を上げて、顔を隠した。

「キスしてほしいの?」

オーランドは、見えたわきの下に鼻を突っ込んでキスをした。

多少の汗のにおいを、オーランドの舌が舐めとった。

くすぐったそうにショーンが身をよじった。

オーランドは、ショーンを押さえつけ、しつこく脇の下を舐めた。

「オーリ!」

「いいじゃん。ショーンの匂いがして、好きなんだもん」

オーランドは、脇の下にチュッ、チュッ、とキスを繰り返した。

オーランドの左手は、ショーンのペニスを掴んだままだった。

オーランドは、ペニスを扱いた。

濡れた音がした。

「あっ、もしかして、早くこっちに触ってほしいってお願い?」

オーランドは、指を伸ばして、後ろに垂れ下がる玉にも触れた。

柔らかく手の中で逃げる玉を、オーランドは、くにくにと優しく握った。

ショーンは、瞼を閉じた。

「・・・そうだって言ったら?」

声がかすれていた。

「くそう!かわいいんだから!!」」

オーランドは、ショーンの足を思い切り開かせた。

 

 

ショーンは、ソファーにべったりとうつぶせになっていた。

オーランドは、ショーンに押し入りながら、その背中を抱いた。

丸みのある尻が、オーランドの腹を押し返した。

「ショーン、正直に言ってやったらいいのに」

オーランドは、ショーンの背中から、手を離し、肉の厚い尻を押し開いた。

大きく左右に分け、ぐいっとペニスを押し込んだ。

「ああ!」

ショーンの背中が反り返った。

滑らかな動きを見せる筋肉が、うねりオーランドを楽しませた。

「いいでしょ?これが好きなんでしょ?だったら、ヴィゴに言ってやったらいいのに。俺は、好みの幅が狭いんだって」

オーランドは、腰をぐいっと前に突き出した。

ゆっくりと引き出し、また、突き出す。

ショーンは口を開いた。

ソファーに指を立てたショーンは、背中を丸め込むようにして、肩に力を入れた。

オーランドは、大きく開いた尻をそのままに、何度も腰を強く突き上げた。

左右に大きく開かれたショーンの尻に、オーランドのペニスが出入りするさまが、丸見えだった。

ショーンが、ピンクのゴムを被せたオーランドのペニスが、ショーンの尻に突き刺さっている。

ショーンの尻の穴は、オーランドのペニスを飲み込み、そして、抜こうとするときには、すがりつくように、粘膜が赤く内面を見せた。

「んんっ・・・・ああっ・・・ん」

引き抜く動きに、ショーンが尻を突き出す。

尻が、ぬちぬちとクリームの音をさせているのは、ショーンが準備をしてきたせいだった。

オーランドがフェラチオをしている際に、期待するように、高く尻を上げたショーンの穴をオーランドは触った。

指先の滑る感覚に、オーランドは、顔をにんまりとさせた。

「ショーン、ここ、あふれ出てるよ。準備万端ってわけだね」

オーランドは、ショーンがオーランドのために濡らしてきた穴の中に、ペニスをぐいっと押し込んだ。

ショーンが、息をつめる。

「ショーンは、英国産のものが好きだよね。食べ物も。飲み物も。サッカーだって地元が一番だし、人間も英国産が好みに合うんでしょ?」

オーランドは、穴が広がるほど押し開いていた尻から手を離し、ショーンの腰を掴んだ。

指が埋まる腰を掴んで、激しく前後に揺さぶる。

「ショーン、俺のことが大好きだもんね」

かくんと揺れたショーンの首は、うなずいたのかもしなかった。

オーランドはもっと激しくショーンを揺さぶった。

「ショーン、ちゃんと、ヴィゴに言ったら?俺は、ペニスも英国のが好きなんだって」

オーランドは、ショーンの背中にキスを落としながら、ぴたぴたと尻に腹をたたきつけた。

ショーンが大きな声を上げる。

オーランドは、突き上げの速度を落とさないまま、片方の手で、ショーンの肩に手をかけた。

ショーンの上体を起こさせ、下から力強くショーンの尻を突き上げた。

ショーンが、オーランドの足に爪を立てた。

「俺の上に座る?」

オーランドは、逃げようとするショーンの腰を捕まえて、耳にかじりついた。

ショーンが、横に首を振った。

「なんで?好きに動いていいよ?」

「・・・いい。オーリにして欲しい」

首をねじって、振り返ったショーンの目に、オーランドは、我を忘れた。

 

 

ベッドにうつぶせになっているショーンのうえに乗っかっているオーランドは、息の落ち着いてきたショーンの背中にキスをしていた。

「あっ、そうだ。思い出した。ショーンが、いなかった間に、俺、一回だけ、ヴィゴに愚痴ったんだった。俺の恋人、割と自己主張が強いのに、セックスの時、あんまり積極的になってくれないって」

「お前・・・何を・・・」

ショーンは、驚いたように振り返った。

「名前も何もしゃべってないし、平気だと思うんだけど。で、その時、ヴィゴに言われたんだった。どうせ、お前ががっついてるんだろうから、すこしだけ会わないでいたら、きっと夢中で求めてくれるさって」

オーランドは、ショーンの肩にキスを続けていた。

「さすが、ヴィゴ。何でもお見通し」

オーランドの声は、今日の出来事に満足そうだった。

ショーンは、額を押さえて、ため息をついた。

ヴィゴは、確かに、何でもお見通しなのに違いなかった。

これから、ヴィゴをどうかわすか、ショーンにとって、それが問題だった。

ショーンは、呆れた思いで、オーランドを見上げた。

「よかったな」

ショーンは、笑った。

オーランドが笑っていた。

ショーンにとって、オーランドが幸福であることは、自分にとっても、幸福なことに違いなかった。

 

END

 

 

                       

 

ナショトレで日本に来てくれない豆の理由について考えた結果です(笑)