赤ずきん
むかしむかし、あるところにショーンというたいへんかわいらしい女の子がいました。
ショーンは、いつも赤いずきんを被っていましたので、たまに、彼女をあかずきんちゃんと呼ぶものもいました。
今日のショーンは、ジョン・リス母さんに言いつけられ、クリストファー・リーおばあさんのところへ焼き菓子とワインを届けるところです。
実は、ショーンは、ちょっと行きたくない気分です。
おばあさんは、ショーンを大層可愛がってくれるのですが、ショーンは、大きくて、いかめしく、その上口うるさいリーおばあさんが苦手でした。
厳しい上に、ちょっと、人付き合いの悪いリーおばあさんには、吸血鬼じゃないか。という噂や、スパイじゃないかという噂だってありました。
本当は、リーおばあさんのお父さん、つまりショーンのひいおじいさんが、どっかの軍隊の大佐だったかなんだかだそうです。
それが、ねじくれて、変な噂になったのです。
でも、年寄りのくせに、かくしゃくとしたリーおばあさんは、そういわれても不思議ではない人間離れした雰囲気がありました。
ショーンなんかより、ずっと、ずっと元気なリーおばあさんは、ぺらぺらと外国語をしゃべり、とてもインテリジェントで、怠け者のショーンのことを、いつもじろりと睨みました。
母国語だってなまるショーンは、いつも笑って誤魔化しています。
生まれてこの方、笑顔にだけは、けちをつけられたことのないショーンは、いつも、その手で誤魔化して生きてきたのです。
「ショーン、どこへ行くんだい?」
ふらふらと、飛ぶ蝶などを余所見しながら歩いていたショーンに、声をかけるものがいました。
森に住む、狼とあだ名があるヴィゴです。
ヴィゴは、どことなく風貌が、狼に似ていることと、森の中で一人、一匹狼のように暮らしていたことから、そんなあだ名がつきました。
「ああ、ヴィゴ。リーばあさんのところだよ」
ショーンは、手に下げたワインの入ったカゴを見せて笑います。
笑顔のキュートさといったら、この辺りで適うものなど一人も居ません。
ヴィゴは、くらりと目眩を感じました。
貧血ではありません。
緑の目を細め、顔をくしゃくしゃにして笑うショーンのかわいらしさに、やられてしまったのです。
おまけにショーンときたら、赤いずきんの下には、ミニスカートです。
この辺りの女の子と言えば、大抵こんな格好なのですが、ショーンのミニは、目に毒です。
柔らかそうな太腿がヴィゴを誘惑してやみません。
ヴィゴは、精々誠実に見えるよう、ショーンに笑いかけました。
ショーンは、首を傾げて、待っています。
「ショーン、おばあさんの所に行くんなら、こっちの道から行くといい。こっちには、とても綺麗な花が咲いていた。
白い花だ。リーおばあさんの静謐な雰囲気に、とてもぴったりの素敵な花だったよ」
ヴィゴは、ショーンが、リーおばあさんを苦手としていることを知っていました。
けれど、ショーンが、リーおばあさんをとても大好きなことも知っていました。
「そうか。いつもながら、ヴィゴは、女の好みを熟知しているな」
そこまで、気の回らないショーンは、リーおばあさんの気を反らす、とてもいいアイテムを手にいれることが出来ると、ガッツポーズです。
リーおばあさんは、とてもおしゃれで、ショーンが、着たきりすずめだったり、髪を伸ばしっぱなしで放ってあることを、直ぐに、指摘します。
つまり、口うるさいのです。
ショーンは、狼ヴィゴの助言に従うことにしました。
狼ヴィゴは、なんだかとても嬉しそうに笑います。
ショーンは、ヴィゴに言われたとおりの道を行き、素敵なお花畑にたどり着きました。
そこは、とても、気持ちよく若葉が生い茂り、適度に、日陰もあり、なんというか、休憩するには、ぴったりの場所でした。
ワインを飲むにもぴったりです。
ショーンは、ちょっとだけのつもりで、ワインの口を開けました。
一口だけのつもりでした。
けれど、ちょっとだけと言って、ちょっとですむのは、余程心正しいものだけです。
それが、好きな酒なら、尚更です。
一口が、二口になり、三口になります。
すっかり、気分の良くなったショーンは、ワインをラッパのみにして、ついでに、ジョン・リス母さんが焼いた焼き菓子もむしゃむしゃと食べ出してしまいました。
ジョン・リス母さんは、料理上手です。
甘いのも、辛いのもいけるショーンは、すっかり上機嫌です。
こういうことを繰り返しているから、すこしずつ、おなかが出てくるのです。
それが、また、マニアなファンを作っているとも知らず、ショーンは、すっかり幸せです。
満腹になったショーンは、眠たくなってきました。
ショーンは、そのまま、昼寝を始めてしまいました。
リーおばあさんの家に先回りし、苦労して、リーおばあさんを縛り上げ、クローゼットに押し込めたヴィゴは、いつまでたっても、ショーンがやってこないことに、首を捻っておりました。
あののんき者のこと、途中でひらひらと飛んでいる綺麗なチョウチョ(女の子)に目を奪われていても、全く不思議はないのですが、これは、いかにも遅すぎました。
もしかして、誰かも襲われでもしたかと、ヴィゴは、森へと飛んで帰りました。
ショーンは、白い花畑のなかで、幸せそうに眠っています。
ワインの壜は、空っぽ。
焼き菓子の包みは散乱。
ショーンは、大きな口を開けて、大の字になっています。
ヴィゴは、体中の力だが抜けそうになりました。
けれど、幸せそうに眠るショーンは、つい見ているものが幸せになってしまう眺めでもありました。
仕方なく、ヴィゴは、自分の家へと取って返し、ナッツやら、チョコレートやら、自分のおやつをショーンのカゴに詰めました。
勿論、ワインも用意しました。
そして、汚い字で、『ショーン、早く行かないと、おばあさんが心配するよ。君を愛する狼より』と、したためると、ショーンの肩を小さく揺さぶりました。
そして、ショーンが目覚める前に、計画とおりことを進めるために、素早く森を抜けていきました。
ショーンは肩を揺さぶられたことにより目覚め、ヴィゴの親切に感謝しました。
自分のやった失敗を、リーおばあさんに、どんなにくどくど叱られるかと、少し心配になりながら寝ていたので、実は、夢見が悪かったのです。
この位のワインでは、ショーンは気分が悪くなったりはしません。
酔いの残るショーンは、いい気分で歩き出しました。
真面目に歩けば、おばあさんの家は、直ぐ近くです。
あっ、ショーン、花を摘むのを忘れてますよ??
まっ、いいか。
ショーンが、おばあさんの家に着きました。
おばあさんの家は、いつもきちんとしているのに、今日は、なんだが、様子が変です。
窓が割れ、ドアが半分取れかけています。
カーテンだって、引きちぎられています。
まるで、格闘の後のようです。
けれどもあまり、注意深くないショーンは、取れかけのドアを思いっきり開け、とうとうドアを壊してしまうと、困ったように笑いながら、部屋の中に入っていきました。
「ばあさん、お使いにきたよ。ショーンだ」
ショーンは、叱られるのではないかと、何度も瞬きを繰り返しながら、にこにこと機嫌を取る笑いを浮かべました。
「おお、よく来たね。ショーン」
しかし、おばあさんは、何故だか、破れて水鳥の羽が舞い散る布団を被って寝ています。
布団に顔を隠していて、ショーンが壊したドアを見ようともしません。
「どうした?今日は、ちょっと、声が若いようだが」
ショーンが尋ねました。
「そうかい?私は、常日頃から、若いんだよ」
「ああ、確かに、あんたは、年を取るのを忘れてるとは思うけど…」
ショーンの微妙な誉め言葉に、クローゼットの中で、ドカンと、大きな音がしました。
ショーンは、びくっと、振り返りましたが、それ以上音がしなかったので、気にもしませんでした。
ショーンは、ヴィゴが用意してくれたワインと菓子の入ったカゴをベッドの隣の机に置きました。
しかし、いつもなら、なんだかんだとショーンに教訓を垂れながら、かくしゃくと紅茶の用意をしてくれるリーおばあさんは、ベッドに寝たきりです。
おかしいです。
ショーンは、ちょっと、顔を曇らせました。
あまり難しいことを考えない頭にも、病気の二文字が頭に浮かびました。
リーおばあさんが寝たきりになったら、こんな森の奥に一人で住まわせておくことなんてできません。
口うるさいリーおばあさんと同居することになり、寝たきりのおばあさんの介護で、ジョン・リス母さんが疲れ果てたとしたら、ショーンは、きっと、いままでのように、好きなだけスポーツ中継を見ていることが出来なくなるでしょう。
お家の仕事だって手伝わなければいけません。
ショーンは、家事が苦手です。
そして、寝たきりの老人に、テレビを譲らなければならないのは、必至です。
心優しいジョン・リス母さんが、リーおばあさんを大切にしないわけがありません。
大好きなチームが上り調子な、この時期に、ちょっと、それは痛いです。
なんとしても、リーおばあさんに、元気でいて欲しいショーンは、慌てて、ベッドに縋りつきました。
おばあさんの身体は、なんだか、いつもとちょっと違います。
「ばあさん、ちょっと縮んだか?」
いつもはもっと大きく感じるおばあさんの体が、ちょっと小さく感じます。
「そうかも、しれないね。やっぱり、年だからね」
おばあさんは、声は、若返り、けれども、身体は、縮んだそうです。
ショーンは、不思議な気持ちがしました。
「髪の色も違う気がする」
「染めたんだよ。気分が変わるからね」
白髪を自慢にしていたのに、これまたおしゃれなことです。
「なんか、毛深くないか?ばあさん、もうちょっと、体毛が少なかっただろ」
布団を掴んでいたおばあさんの手が、にゅうっと、伸びて、ショーンの腕を掴みました。
その腕を見て欲しかったヴィゴでしたが、ショーンは、布団から少し見えた目の色に注目してしまいました。
「あれ?目の色が違う。どうした?とうとう、コンタクトをすることにしたのか?カラーレンズとは、また、粋だな。さすが、ばあさんだ」
あまりに、のんきなショーンの言葉に、狼ヴィゴの方があきれ果てました。
この調子では、お約束のセリフをいつ言えるのか、検討もつきません。
ヴィゴは、強引に、展開を早めることにしました。
がばっと、布団から起き出し、ショーンを抱きしめました。
「目は、可愛いお前を見てるから、ぎらぎらしてるのさ。大きな口は、お前を食べちゃうため。どうだい、ショーン、俺が怖いかい?」
ショーンは、ビックリした顔で、ヴィゴに抱きしめられていましたが、弾けるような大きな声で笑い出しました。
「どうして、ここにヴィゴがいるんだ。リーばあさんと、俺を嵌めるためにこんな冗談を?あの、ばあさんにこんな悪戯心があるとは、知らなかった」
全く警戒もせず、大笑いしながら、ヴィゴの腕の中にいるショーンは、きょろきょろと周りを見回します。
「で、どこにばあさんは、隠れてるんだい?俺は、また、ばあさんが寝たきりになったんじゃないかと、心配したぜ」
見当違いの安堵ばかりしています。
そして、サッカーの試合が見られなくなるんじゃないかと困ってたんだ。と、ヴィゴの腕を叩いて悪戯だったことを喜んでいます。
ヴィゴは、頭の悪い金髪を、思わず何度も撫でてやりました。
「リーおばあさんは、ちょっと出かけてるんだ。俺がその留守を任された。ショーンがやってくるはずだからと、あんたのことを歓待してやってくれと頼まれたんだ」
ヴィゴは、ショーンに嘘をつきました。
ショーンは、すんなり騙されます。
それどころか、それじゃぁと、ヴィゴがショーンに持たせたワインと菓子をテーブルに広げ、ヴィゴに進める真似までします。
「こういうときは、なんて言うんだ?御持たせですが。は、この場合あんたが言うのか?でも、これは、あんたが、俺に持たせてくれたのだから、それも、変だよな」
リーおばあさんの教育の賜物なのか、変なところで、礼儀を知っているショーンは、嬉しそうに笑います。
ワインの栓を抜きながら、にこにこと笑っています。
絶対に飲む気です。
ここに来るまでに飲んだ、一本のことは、忘れ去ってしまっているようです。
「まぁ、いいか。このワイン美味そうだ。あんたも飲むだろう?さぁ、飲もう。美味いつまみもあるんだ」
ヴィゴは、自分の家から持ち出した、ナッツやら、チョコレートやらをつまみに、ショーンとワインを開けました。
ショーンは、飲むと、眠くなる性質のようでした。
すっかりワインの壜を空にしたショーンは、自分から、ヴィゴの横になるベッドに潜り込んできました。
リーおばあさんにあわせ、特注のベッドは、大きく、2人が横になっても全く問題ありませんでした。
ショーンは、ヴィゴの肩に顔を埋めるようにして眠ろうとしています。
そんなことされて、ヴィゴに我慢が出来るわけがありません。
「赤ずきんちゃん、狼さんが、食べちゃうよ」
ショーンは、くすくすと笑います。
ヴィゴが、子供に読み聞かせるように、節をつけてセリフを言うからです。
「ほんとに、ほんとに、食べちゃうよ。こんなかわいい赤ずきんちゃんを食べないでいられる狼なんていないからね」
うとうとと、金色の睫を閉じ始めたショーンにヴィゴは覆い被さります。
ショーンは、とうとう狼に口をぱくりと食べられてしまいました。
「ん?ヴィゴ?…なに?」
ヴィゴのキスが、ショーンの口内を荒らしまわり、気持ちよく夢に落ちかけていたショーンは、ゆっくりと睫を開きました。
その間に、もう、ショーンのトレードマーク、赤いずきんは、脱がされています。
「かわいいショーン。君を食べちゃうって言っただろう?」
眠たいショーンは、ヴィゴからの刺激を嫌がるのですが、酔っ払っているため、その抵抗は曖昧です。
ヴィゴの手は、ミニスカートの中にもするすると入っていきます。
「…やめろよ。くすぐったいだろう?」
笑いながら、そんなことを言われて、止められる男がいたら、顔が拝んで見たいものです。
ヴィゴは、勿論、止まりません。
スカートの中の下着に手を入れ、中に隠されている柔らかいペニスを撫で回します。
「…や…だ。ヴィゴ!」
とうとう、事態の切迫性に気付いたショーンが、抵抗を始めました。
その時、クローゼットが大きな音を立てました。
どん!
どん!と、体当たりを食らわすような音です。
けれども、鍵が掛かっているのか、クローゼットは開きません。
「なんだ??」
ショーンが大きな音に怯えました。
ヴィゴにレイプされかかっているというのに、そのヴィゴにすがり付いています。
「ねずみでもいるんだろう」
しゃぁしゃぁと、ヴィゴは、言い放ちました。
「怖いんなら、俺に掴まっているといい。そんなこと分からなくなるくらい、気持ちよくしてあげるから」
繰り返される大きな音に、ねずみより、ポルターガイストを心配したショーンは、ヴィゴにべったりとくっつきました。
部屋がこんなに荒らされているのも、それのせいではないかと思ったのです。
『お化けは、エッチなことをしていると、寄って来ない』
どこで、仕入れたのか、そんな知識がショーンの頭に浮かびました。
ショーンは、自分から、ヴィゴにキスをしました。
人間の心というのは、不思議なもので、あまりに激しい恐怖心のドキドキを、たまに恋のときめきだと、勘違いしたりします。
クローゼットはまだ、大きな音を立てています。
超常現象の嫌いなショーンはとっても、ドキドキしています。
抱きしめてくれるヴィゴは、とっても、頼りがいがありそうです。
恐怖のドキドキが、恋のドキドキじゃないかと、誤解が生まれます。
すっかり盛り上がったショーンは、最初っから盛り上がっているヴィゴにリードされて、ついつい、その気になっていました。
下着は足首までずり下げられて、後ろの穴には、ヴィゴの指が入り込んでいました。
脱げかけの、ヌードより色っぽい格好の胸は、ぷっくらと膨らんだ乳首が、ヴィゴに吸ってもらうのを待っています。
ヴィゴは、丁寧で、それにテクニシャンだったので、ショーンは、いつの間にか、素敵な声を上げるようになっていました。
あまり、慎み深いといえない声は、家の外にもこぼれ出ていました。
なんと言っても、この家は、窓が割れ、ドアは取れてしまっていたのです。
屋根は、ついていますが、あまり屋外と違いがありません。
ヴィゴの指でいいところを探られ、ショーンは、ますますいい声を張り上げます。
ぴくぴくと振るえているペニスをヴィゴに吸い上げられると、もう、たまりません。
「ヴィゴ…ヴィゴ!…ヴィゴ」
狂ったように、ヴィゴの名を繰り返します。
ヴィゴは、すっかり指がショーンに馴染んだのを確信し、自分も服を脱ごうとしました。
今まで、紳士にも、我慢していたのです。
まぁ、結果として、これは、ヴィゴの命を守ったかもしれません。
ショーンの腰を脚で挟んで、上体を起こしたヴィゴは、まず、上着を脱ごうとしました。
そこに、とてつもない速度で、弓矢が飛んできました。
弓矢は、ヴィゴの上着の肩を貫き、後ろへとヴィゴをふっ飛ばしました。
ヴィゴはベッドから、転がり落ちました。
驚いて、立ち上がると、そこに次々と弓が射られました。
ヴィゴが、死ななかったのが、不思議でした。
ヴィゴは、上手い具合に洋服の余った部分に矢を射られ、リーばあさんを押し込んだクローゼットに貼り付けにされました。
身動きなどとれません。
弓の位置は、皮一枚というのが、本当にちょうど。という正確な位置に射られています。
弓の先が、クローゼットの中にも食い込んでいるのでしょう。
クローゼットから、小さな悲鳴が聞こえました。
ドンドンと立てていた音も止みました。
ショーンは、蒼白な顔で、ヴィゴを見ていました。
開いた足は、そのままに、膝を曲げ、すっかりあそこが丸見えです。
そんな場合ではないのですが、ヴィゴの喉が、ごくりと鳴りました。
「ショーン、大丈夫?」
猟師のオーランドが家の中に駆け込んできました。
この辺りで、一番の弓手です。
まだ若く、ものすごい人気者であるにも関わらず、オーランドは、ショーンに惚れ込んでいます。
オーランドは、ドアのあった位置から、すごい勢いで走り込んでくると、ベッドの上で、しどけない格好のショーンを見つけ、その勢いのままベッドに飛び乗りました。
ショーンの上に覆い被さります。
「どうしたの?ショーン?どうされちゃったの?ショーン?大丈夫?」
若いとは、こういうことかと、ヴィゴが変な感心をするほど、オーランドは、勢いよくショーンの服を剥いていきました。
情緒というものがありません。
ショーンに返事をする間も与えず、怪我の確認とでも言い訳するつもりなのでしょうか。ショーンの足を広げ、その間をしげしげと覗き込み、ひっくり返し、尻の間を広げて見ています。
「ああ、よかった。まだのようだね。間に合ってよかったよ。あんな狼にショーンを食べさせるなんて、絶対にそんなのはダメ!」
オーランドは、ショーンを抱きしめ、チュッ、チュッと、顔じゅうにキスの雨を降らせます。
「油断しちゃダメだって、もう!ショーンっては、お間抜けさんなんだから」
そのお間抜けなところにつけこんで、ショーンの足首を掴んでいるオーランドに、誰だって、そんなことは言われたくありません。
オーランドは、ショーンを観察した時に、ヴィゴによってショーンの準備が出来ていることを確認していました。
こんなかわいいショーンを前にして、オーランドの準備ができていないはずはありません。
「ショーン、愛してる。俺が、一番、ショーンのことを愛している」
しつこいようですが、恐怖のドキドキと、恋のドキドキは、似ています。
ショーンの目の前では、ヴィゴ殺人事件が起きそうになっていたのです。
ショーンの小さなハートは、壊れそうにドキドキしていました。
あまり、オーランドが、ヴィゴを犯罪者のように言うので、もしかして、オーランドに危ないところを助けられた?とかも、ちょっと、誤解しそうです。
真実、レイプ犯が、ヴィゴから、オーランドに変わったに過ぎないのですが、ちょっと飲みすぎていて、判断力の危うくなっているショーンは、目の前の急展開についていけません。
オーランドの慌ただしい勢いにも飲み込まれています。
「ショーン、大好きだよ」
オーランドがぎゅっと、ショーンを抱きしめます。
「ショーン、ショーンも俺のこと好きなんだよね」
オーランドは、畳み掛けてきます。
間に、気持ちの篭ったキスも忘れません。
ヴィゴに気持ちよくされていたショーンの体は、すぐ、快感を拾い上げていきます。
ずっと尖ったままの乳首に吸い付かれ、つい、甘い声で、オーランドに好きだと返してしまいます。
オーランドは、にんまりと笑います。
「嬉しいよ。ショーン。こんな素敵なショーンが俺のものになるなんて!」
確信犯です。
オーランドは、ショーンの太腿を抱き上げると、ばっちりヴィゴに見せ付けるようにしながら、ショーンの中に押しはいりました。
「…んんっ…・オーリ!」
ヴィゴによって、すっかり準備の整っていたショーンのそこは、オーランドを気持ちよく飲み込んでいきます。
貪欲にも、絡み付いてきます。
酔っ払っているせいもあるのでしょう。
自分から、腰を揺すって、オーランドにせがみます。
「オーリ!オーリ!」
ヴィゴは、悔しさにあまり、強く唇を噛みしめ、目を吊り上げていました。
オーランドさえこなければ、今、ショーンを揺すっているのは、ヴィゴだったのです。
いい声を上げさせるのも、いい部分を擦ってやるのも、ヴィゴだったのです。
ショーンは、慎み深さを知りませんでした。
オーランドにいいようにされて、喜びの声を上げつづけています。
見ていなくとも、何をしているのかなど、すぐわかります。
バキ!バキバキ!!!!バキバキ!!!
怒れる大魔人登場しました。
怒り心頭で、縛られた縄や、鍵のかけられたクローゼットのドアを破壊したリーおばあさんは、体中に弓矢を差したヴィゴを冷たい目でじろりとにらみ、ベッドでくんずほぐれつしているショーンと、オーランドを怒鳴りつけました。
「お前ら、ひとんちでなにをしてる!!」
例え、孫であろうと、基本的に、人の恋愛に口を出すつもりのないリーおばあさんのお怒りポイントは、あくまで、私の家で、そういうことをするな!と、いう一点につきます。
驚いたショーンは、つい、イってしまいました。
その時の締め付けに、もっていかれてしまった若いオーランドも、ショーンの中に出しながら、つい、満足のため息など落してしまいます。
ヴィゴは、なんとなく、最後のプライドだけは保たれた気がしました。
ヴィゴなら、ショーンを満足させるまで、自分がイくなんて真似はしません。
「ショーン、早く洋服を着なさい」
「オーランドは、服を着たら、弓矢を拾う!」
「ヴィゴ!ヴィゴは分かっているだろうな。この家の修理。終わるまで、帰れると思うなよ」
やはりとてもかくしゃくとしたリーおばあさんの姿に、ショーンは、怒られているというのに、なんだかほっとした気分になりました。
「ばあさん。ばあさんに叱られると、俺は、ここに来たって、気がするよ。ああ。よかった。元気だったんだな」
ショーンは、太陽のようににこにこと笑って、リーおばあさんを見ました。
おばあさんは、馬鹿だけど、かわいい孫の笑顔に、つい…嫌なのに、ほんとうに嫌なのに、つい、許してしまうのです。
「ショーン、体を綺麗にしたら、ここに来なさい。熱い紅茶をいれてやる。…オーランドと、ヴィゴは、それぞれの仕事!」
号令の峻烈さは、さすが、軍のスパイだと噂されるだけあります。
にこにこと赤いずきんを片手に、シャワーを浴びに行くショーンと、慌てて駆けずり回るオーランドと、ヴィゴ。
こうして、赤ずきんの話は終わります。
残念ですが、この話には、教訓などありはしません。
もし、言う言葉があるとしたら、馬鹿な子ほど可愛い。という一言でしょう。
END
童話ギャク第二弾(笑)
私は、楽しいんですけどね、どうだろ、楽しめましたかね?
今回はストーリ展開が少なくて済む分、エッチを増量したつもりなんですけど…増えてる?(笑)
お願いですから、笑ってすませてくださいね。
全く、悪気はありませんので(笑)