マスターチーフ、ハム編です。
マスターチーフに呼び出しを受けたハムは、むっとした顔でトレーニングルームに現れました。
ハムは、自分は事務職だから、決して再訓練を受ける必要などないと思っています。
花みたいに、とりあえず表面だけでも、素直な性格ってわけでもないんで、顔全体に不機嫌と書いて登場。
最初から、マスターチーフに喧嘩を売ってます。
「私は、現場の人間じゃないんですから、訓練は必要ないと思います」
トレーニングウエァーに着替えるわけでもなく、スーツ姿で現れたハム。
マスターチーフは、にやりと笑います。
「おや、もと陸軍のポープでも、海軍仕込の訓練は、厳しい?リタイアしたいと、そう言いたいのか?」
マスターチーフ、いつもマゾ集団の教祖様してたんで、鼻っ柱の強いタイプは嫌いじゃありません。
こういうのが、必死になって訓練に取り組むようになる姿を、愛でる趣味があるんです(笑)
「君は、ダヴルオーたちと同じだけの資質があると、調査票にはあったんだが、これは、記入ミスだったのかな?」
ハム、マスターチーフと比べたら、若いですからね。
喧嘩を売られちゃ、勿論買ってしまいます。
「必要ないと言っているんです。私は、資料室の人間です」
「ああ、君は、射撃の腕は、ジェームズに劣っているようだな。それが、ここの女の子たちに、露呈するのが恐い?」
マスターチーフ、何度もハムの周りをぐるぐる回りながら、ハムの顔を覗き込むようにします。
ハム、むかつきます。
スーツの上着を脱ぎ捨てながら、マスターチーフを睨みます。
「あなたは、怒りによって人を操るという手法に卓越していらっしゃるようだ。それは、軍隊において、悪くない方法だとわかります。しかし、訓練校では、同じ方法を繰り返せばいいのかもしれませんが、ここでは、どうでしょう。技法として洗練されたあなたの操縦術は、多くの人間に見破られると思います。少なくとも、私が、あなたのやり方に付き合うのは、これ、一回だけだ」
ハム、自分の銃を構え、射撃の的の前に、立ちます。
立て続けに銃を撃ち、しかし、的には一つしか穴が開いていません。
つまり、玉は、同じところに命中したというわけです。
「ジェームズの射撃的中率が、私より低いということを、私が知らないと思っていましたか?」
「いいや」
マスターチーフは、笑います。
「君が、ここの人間を全てデーターとして押さえていることは、上から聞かされているよ。でも、私は、そのほかに、君の気が短いということに気付いた。それが、頭のいい君の唯一の欠点だろうとわかっていたんだ。どうだ?俺の前で、銃の腕前を披露せずにはいられない自分のことを反省したい気持ちにならないか?今なら、たっぷりしごきなおしてやるぞ」
ハムも、性格が悪いですが、マスターチーフもねじれてます。
これが、有望な人材に対する、マスターチーフの愛情なのです。
ハム、マスターチーフに銃を向けます。
それでも、マスターチーフは、にっこりと笑います。
マスターチーフに怒ってしまったハムは、自分が言った付き合うのは、1度だけだという台詞を、もう破ってしまいました。
マスターチーフは宣言します。
「私の勝ちのようだな。
それでは、まず、腕立てからいこうか。腕立て、200回!きびきびと!一瞬たりとも休むんじゃない!」
哀れ、ハムも、マスターチーフの餌食です(笑)
End