ついーとのCJ 6

 

「七夕に雨が多いのは、激しい自分達の逢瀬を人に見られたくないからかもね」

聞いたばかりの七夕の逸話と、ヴァンペルトが調べた過去10年の天気データーの画面をみながら、にこにこと笑顔でその関係性を解釈し、皆の前で、ねぇっと視線を寄越したジェーンのあてこすりに、チョウはかすかに顔を顰めた。

昨夜は、眠かったのだ。疲れていた。隣に潜り込んでこられても、瞑った目をわざわざ開けたくはなかった。ねぇっと、すり寄ってきた金髪の首の下へと腕を差し込み、自分に引きよせると、落ち着けと肩を撫でた。それでも、股間を腰に押し付けられて、チョウは、仕方なくジェーンを抱きしめると、背中を撫で、軽く唇にキスをすると、顔を擦り寄せた。

触れた頬が柔らかく温かで、一瞬で意識がなくなったのは、仕方のないことだと思う。

 

舌打ちの音が聞こえ、擦り寄せていた顔を乱暴に押しやられて、一瞬眠りから浮上した。

「……どうしたんだ?ジェーン?」

腕の中の体を抱き寄せた。

もう一度、舌打ちの音がした。

「チョウ、君、寝てたよ。僕の顔の上で……5分。重いんだけど」

きついジェーンの声が、耳元で文句を言っていた。半ば眠りの中だったが、文句の訳に、思い当った。

「ああ、そうか……セックス、か……? したいのか?」

チョウは、ジェーンの胸に手を伸ばし、胸を捏ねるように、撫でた。手のひらの中の胸は肉厚で触り心地よく、柔らかで気持ち良かったが、本当に眠かった。

「……チョウ。ねぇ、チョウ! 手が止まってるよ。君、寝てるよ」

 

しばらくすると、溜息とともに、ジェーンの声がした。

「寝れば?……寝た方がいいよ」

「……ありがとう」

 

寝てもいいと言ったのは、ジェーンの方だ。

早く寝た分、朝早く目が覚めて、昨夜の罪ほろぼしをしようとジェーンを揺さぶったが、起きなかった。

しかたなく、寝ているジェーンのシャツをめくって、胸にキスを始めたが、やめてよと、頭を叩いてきたのは、ジェーンだ。

眠いとごねたのもジェーンだ。

 

「ジェーンさん、せっかくのロマンティックなお話をそういう下品に解釈するのはやめてください」

「え? でも、一年ぶりに会うんでしょ? しない方が不健全じゃないかい?」

「……ジェーン、今すぐ帰るか、その口を閉じなさい」

「えー? リスボン。厳しいな。じゃぁ、帰ろうかな。あのさ、今日、車の調子が悪いんだけど、誰か送ってくれないかな?」

いつのまにか、我儘を言いだした時の金髪のお守役は、チョウの仕事で、皆の視線がさりげなく集まり、チョウは舌打ちすると、ジャケットを手に取った。

手を振るリグスビーに手を振り返し、歩きながら、しゃべる。

「7月7日なんだ。皆もデートなんだよ。迷惑かけて悪いね。チョウ」

「本当に、まったくだ」

 

もう少し歩いた。

「……リベンジする?」

「する」

 

END