ついーとのCJ 10(S2−19話 リズボンの代行を務めたその後の話)

 

「チョウ捜査官、あなたにリズボンの夏季休暇の間、チームをまかせたのは、あなたにジェーンを管理できる能力があると思ったからよ。ジェーンを今すぐ呼んでとは言ったけど、こんなのを貼るなんて、あなたを見込んだのは、私の間違いだったかしら?」

にこりと優雅に笑いながら威圧をかけてくるハイタワーが手に握るのは、局内にチョウが貼ったジェーンを探しているという旨の写真付きポスターだ。使用されている写真の金髪は、やたらとにこにこと映りがいい。

チョウは書類から目を挙げ、上司を見上げる。

「期待にそえず、申し訳」

かけられるプレッシャーをモノともしない、かなり適当なチョウの謝罪は、大きな声で遮られた。

「チョウ!」

顔を赤くしてプリプリと怒っているコンサルの登場だ。

「なんだよ。コレ!僕を探すなら、君が足で動きまわればいいだろ。僕のこと、まるで迷子の犬か、猫みたいに!」

チョウは、ちらりと入り口の金髪に目をやる。

「効果はあった」

ジェーンは駆け寄る勢いだ。

「恥ずかしすぎだよ!駐車場でも、廊下でも、皆が僕に君が探してるって!」

実際、駆け寄っている。

「……なるほど、これがあなた流というわけね。ごめんなさい。もういいわ。ジェーンがつかまりさえすれば、どんな方法を取ろうと、それはあなたの自由よ」

ハイタワーは、にこりとチョウにほほ笑みかけた。

「ありがとうございます」

礼を言う声までチョウが適当なのに、ハイタワーは本当に笑いそうになる。

「ジェーン、部屋に来て。捜査依頼があったの。チョウ捜査官、あなたもよ」

「はい」

この部下は、返事だけはいつもいい。扱いの難しいコンサルタントが馬鹿になついているのも、不思議だ。

「このままだと、すぐ探せるようにって、君に、首に鈴でも付けられそうだ」

後ろに続く二人は、まだ揉めている。

「検討中だ」

「じゃぁ、その時はリボンを青にしてよ」

「目の色と合わせるのか?」

「そう。おしゃれでしょ?」

 

END