コンサルタントの出勤簿14 (リグじぇん風味)

 

 

*だから、俺は触ってない!

 

たまたまぶつかったリグスビーの手が、ジェーンの尻を触ったとか、触らなかったとか、そんなどうでもいいことで揉めながら、二人は歩いていたのだ。だが、たまたま、今、探っている事件の犯人のうちの一人と行き合ってしまった。

「待て!」

しかし、犯人は抵抗し、リグスビーとジェーンは激しく銃弾を撃ち込まれた。

「ジェーン、隠れてろ!」

納屋の家具を影に、リグスビーが銃で応戦する。

運よく、リグスビーの撃った弾が、犯人を仕留めたようだ。銃弾が止む。

「こっち、こっちに来い。ジェーン!」

「何、威張ってるんだい、君の方が震えてる」

隣に滑り込んだジェーンは、頑張ったリグスビーをからかった。

「応援なしで、お前が守れるか不安だったんだ……手を握ってもいいか?」

まだ荒い息を吐リグスビーは、もうジェーンの身体を抱き込まんばかりにして手を握っている。

もう落ち着いてきた、ジェーンはくすりと笑って頷いた。

「ずっとでもいいよ……君の手の行き場がはっきりしてて、その方が僕も安心だし」

 

 

*本意?

 

昼休みで人気のなくなった廊下にジェーンは呼び出されていた。

「なぁ、ジェーン、俺は、誰かと付き合うと決めて、付き合いだしてからは、いままで一度だって浮気はしたことがない。お前は、同じこと言えるか?」

「言えるけど、……リグスビー、君みたいに真面目腐った顔で言うのは無理かなぁ」

 

 

*プレゼントの催促

 

「なっ、ジェーン、お前、俺のことどう思ってる?」

ジェーンをアパートメントまで送ったリグスビーは、車を止めると、ちらりとジェーンを見た。

「今は言えないよ」

ジェーンは、するりと車を降りながら、にこりと笑う。

「でもね、クリスマスが済んだ後なら、教えてあげてもいいよ、リグスビー」

 

 

*危険物

 

午前中に市内へ出たリグスビーはチームのためにとゼリーを買って冷蔵庫に入れておいた。

口のいやしいジェーン避けに、大きな文字で「このうちの一個は毒入り」と書いておいた。

午後、冷蔵庫を開けると、ゼリーはなくなっていなかった。

だが、「今は2個だよ」と、ジェーンの文字が書き足してあった。

 

 

*え?

 

「なぁ、一つ、二つ、聞きたいことがあるんだけど、……なぁ、こうやって質問するのも、お前が霊能者時代だったら、かなり高額だったって本当か?」

ソファーに寝転ぶジェーンは読んでいた雑誌の影から、面倒くさそうに額に皺を刻んでリグスビーを見上げた。

「本当だよ。で、どうする? 君、まだ、質問を続ける?」

 

 

*ダメなの?

 

ジェーンの眠るソファーの周りを、さっきからチームのメンバーたちが何度も通り抜けている。

いつの間にか捜査資料が机の周りにうず高くなっていることは、忙しい凶悪犯罪班にはありがちなことだった。だが、そのまま放置したのでは、仕事の効率は悪い。

部下たちに余裕がないことは承知だったが、リズボンがぎろりと睨みをきかせたのだ。

「お前は、いいぞ、ジェーン」

起き上がろうとしたコンサルタントの肩をチョウはファイルを手に押さえた。

「お前にやらせると、ボスがうるさい」

しばらくすると借り出していた資料を返すため歩きだそうとしていたヴァンペルトが、また立ちあがろうとしたジェーンの肩に手を触れ、押しとどめる。

「こんなのは私達の仕事ですから、ジェーンさんは座っててください」

そしてしばらくして、また、ジェーンがソファーから立とうとすると、今度は、段ボールを抱えるリグスビーだ。

「お前さ、ほんとに座ってろよ、気を使うなって」

力強く押し戻されて、ジェーンはリグスビーを睨み上げた。

「……僕、トイレに行きたいだけなんだけど、行っちゃだめのかな?」