S1 16話の失明ネタ
「……チョウ、悪いけど、そこの頭の悪いコンサルタントを連れて帰って、面倒をみてくれる?」
「……了解です。ボス」
CBI本部の駐車場という場所で、爆破が起きるなどという最悪に不名誉な事件は解決にはまだ程遠く、情報収集の段階で、全職員が忙しかった一日は、通常の終業時刻などとっくに過ぎていた。
犯人からの予告メールを貰った凶悪犯罪班のコンサルタントは、爆破に巻き込まれた影響で、目が見えなくなっているせいで、周りの景色を見ることはできないだろうが、窓の外は、ずいぶん前から暗い闇だ。
「え? 僕、ここに泊るつもりだけど?」
寝そべっていたソファーの背に手をかけ、ジェーンは身を起こした。
見えてないはずなのに、声の位置だけで正確にリズボンの立つ方向へと顔を向けるのは、さすがだが、彼は、忘れている。
「悪いけど、私は、疲れているの。こんなところに泊りこんで、あなたの面倒をみる気はないわ」
差し入れられたドーナッツを軽く摘みはしたが、地元テレビ局への会見や、州知事室への事件に関する報告、現場検証に、情報収集、それに、爆破被害に巻き込まれた車の持ち主たちからの保険絡みの相談までやることは事欠かず、事件の担当となっている凶悪犯罪班のメンバーは全員、まだ夕食にさえありついていない。
それなのに、失明状態で勝手に退院してきたコンサルタントに、見えてなくても食べられるものを用意し、ソファーといえ、寝床の用意をしてやって、もしかすれば、夜中に状態が急変するかもしれない彼に付き添い、その対処もする。そんなことは、したくないと、はっきりと告げられ、ジェーンは顔を強張らせた。
「僕は、大丈夫……」
言おうとしていた言葉の途中で、チョウにいきなり腕を取られ、立ち上がらされ、ジェーンは、何事が怒ったのかわからぬ不安と恐怖で、身を竦ませた。
身を強張らせ、急に口を噤んだジェーンを、リズボンが心配げに見つめる。
「ほら、今のあなたは、誰かに何かされても、何の対処もできないんだから、チョウに面倒を見てもらいなさい。これ以上、面倒はかけないで」
だが、言うことは相変わらず辛辣だ。
確かに、自分は、人の手を借りなければ、どうにもならなかったのだと、今、ジェーンは思い知らされている。
「ほら、ゆっくり、少しだけ前に進め、ゆっくりだ」
食事も、確かに、チョウに購入の手間をかけさせたし、片付けも一人でさせた。
だが、食べやすさを考え、選んだバーガーは、チョウの手を借りることなく、一人で食べることが出来た。
しかし、これは、無理だった。
「わっ」
膝に便器の陶器の硬さと冷たさを感じ、思わず声を上げたジェーンを、背後からチョウの手が支える。
「大丈夫だ。ジェーン、そこが、便器の位置だ。後は、普段の距離後ろに下がれ」
排泄の困難さは、予想内のことだったから、できるだけ水分の摂取を控えていたのだが、やはり、一日中トイレに行かないというのはできない相談だった。
ふらりと立ち上がったジェーンが、覚えている間取りを頼りに、バスルームを目指したところで、チョウに捕まえられた。
「本部に泊りこめば、あんたは、男子トイレの便器周りを尿まみれにして、ボスに掃除をさせる気だったんだぞ」
「一人でだって、できるよ」
「俺も、夜中に汚れた便所の掃除なんて御免だ」
それでも、手を出してくるチョウを押しのけながら、ジェーンは一人でバスルームまでたどり着いたのだが、やはり、見えない目では、間違いなく便器を狙って放尿することは難しく、ジェーンは、チョウの付き添いを拒めなかった。
「……ねぇ、これで、汚さないかな?」
酷く恥ずかしくて、腹が立つほどだが、下がった位置から上手く便器を狙えているのかも自信が持てなくて、ジッパーを下ろし、取りだしたペニスを握って、ジェーンはチョウに聞くしかない。
「大丈夫だろ」
じっと見ているだろう相手の前で、排泄することは、かなりの勇気のいることだったが、管の中を、膀胱をパンパンに膨らませていた尿が通り抜けていくと、その快感に、ジェーンの口からは、はぁっと息が漏れ出し、身体からは徐々に力が抜けていった。
「我慢しすぎだ」
「頼むのが、恥ずかしかったんだよ」
陶器の表面を撃つ尿の音がいつまでも切れなくて、ジェーンは、今だって恥ずかしい。
やっと、ぶるりと身体が震えて、尿威が弱くなったのを感じたところで、チョウの声がまた聞えた。
「し終わったら、ついでに、身体を洗うぞ」
リズボンが、リグスビーではなく、チョウに、自分の面倒をみることを頼んだことに、ジェーンはかすかに感謝していた。
チョウとの間に、セックスを介した、ある意味あけすけな関係にあるせいで気安いのもあったが、チョウが自分の世話をするのにあまり手をかけようとしないことに、ジェーンは、ほっと息がつけるのだ。
身体を洗ってやるといったチョウは、確かに、ジェーンが服を脱ぐのを待つと、シャワーコックを開き、身体をごしごしとスポンジで擦りはしたが、身体の表面だけを極簡単に擦っただけで、スポンジをジェーンへと手渡し、後は、自分で好きにしろと言う。
勿論、足の指の間は元より、脇も、内腿も、耳の後ろだって洗ってはくれない。
これが、リグスビーの家に来ていたのなら、彼は、恥ずかしさとやり方のわからない困難さで、最初からジェーンを一人でバスルームに置き去りにするか、もしくは、反対に、愛犬でも洗うように、熱心にジェーンの身体を撫で回し、いたせりつくせりで、股の間まできれいにするかどうかを聞き、居たたまれない気持ちにさせたはずだ。
「チョウ、ちゃんと、側にいてよ。僕が、転ばないかどうか、見ててよ」
だから、ジェーンは、シャワーパイプを握ったままスポンジを使いながら、チョウに甘えたことを言えた。
あまりに、チョウの態度がそっけないせいで、現在、不便な者として当然の要求をしているだけだと、弱音を吐くのが楽なのだ。
自分が見えていない大胆さで、ジェーンが、チョウの目の前だというのに、大きく開いた股の間にシャボンをつけた手をくぐらせ、ペニスとボールとを洗っていると、チョウが近づく気配を感じた。
手は、濡れるのも構わず、ジェーンの腰に触れ、そこから、丸みに沿って尻へと触れていく。
「やだな。チョウ、これは、君のためのショウでも、なんでもないんだけど」
指が、尻の谷間の狭い道筋を伝い降りていくのに、ジェーンが顔を顰めている間にも、チョウは、きゅっと皺を寄せ閉じた窄まりをこじ開け、指先を潜り込ませようとした。
まさか、本気でそんなことをするとは思わず、驚きで息を飲んだジェーンは、チョウの身勝手な、遠慮のなさに、呆れ、腹を立てた。
「チョウ、僕は、今、目が見えてないんだよ。そんな気分じゃない」
「だろうな。だけど、俺の方は、そんな気分なんだ」
チョウは、尻穴の内側を、まるで洗うように、浅い部分ばかり指で捏ねまわし、その後、簡単にシャワーで身体についていたシャボンを洗い流されたジェーンは、連れてこられたベッドに不服顔で寝そべっていた。
さっさとやればいいだろと、放りだされたままのうつ伏せで、剥き出しの尻を晒して、足まで開いて、枕に顔を埋めている。
チョウが簡単にタオルで拭いただけだから、身体についたままだった水滴が寝そべるシーツを濡らしていたが、それをいい気味だとジェーンは、緊張に固い自分の身体を忌々しく思う気持ちを怒りへと転化させ、そのことばかりを考えている。
ぎしりと音がして、見えないものの、かなりの熱量のあるものが、自分の側にあることをジェーンは感じた。
確かに、チョウは近づいている。
泊めて貰うんじゃなかったと、再度思った。
死ぬかもしれない窮地から助かったからと言って、映画みたいに、愛が高まって、セックスしたくなるわけじゃないというのを、枕に顔を埋めたままジェーンは実感している。
それどころか、したくないと、抵抗することの難しい今の状態は、どう考えてもフェアじゃなく、そんな状態の自分に興奮し、したがるチョウが、鬱陶しい。
せめて、さっさと終わらせてくれと、腹立ちの中に、ジェーンは諦めを紛れ込ませ、チョウに無防備な背中を向けている。
だが、足首を掴まれ、いきなりひっくり返されて、思わず、ジェーンは、情けない悲鳴を上げていた。
「……見えないって言ってるだろ!」
上げた声の大きさが恥ずかしくて、睨み上げた先の顔が、自分をじっと見下ろしているのを感じた。
チョウの視線は強く、見えていた時でも、時々、肌で感じる時があった。
ぼそりとチョウの声が真上から降ってくる。
「……キスさせろ」
珍しいことを言われた気がして、ジェーンはぽかんと見えてもいないチョウを見上げた。
「……どうしたの、チョウ?」
「後だと、お前、嫌がってさせないだろうから、今、しておくぞ」
チョウが言っていることが、まるでわからないまま、ジェーンは抱きすくめられ、いきなりのその動きは、やはり不安を煽りジェーンに身を竦めさせた。
だが、構わず、チョウは、身を縮こまらせているジェーンの唇を奪い、あまつさえ、舌で唇をこじ開け、口内を舐め尽くす。
「……っ、何、どうして?」
チョウの顔の熱を感じる強引なキスを無理矢理されているジェーンの頭に浮かんだことといえば、自分が感じることのできなかった、危機にあった恋人の生還に激しい愛情を燃え上がらせるというドラマティックな感情が今、チョウの胸の中にはあるのかもしれないという、ちょっとしたナルシズムと、それより多くの混乱だった。
抱きしめてくる腕の力強さは、いつもと変わりない気がするが、もしかしたら、いつもより、力が入っているのかもしれない。いや、抱きつぶす程の勢いで抱きしめたいのに、あえて、それを、耐えているという高等技を、チョウは披露中なのかもしれない。
しかし、その感動のシーンも、目が見えない身では、微細な部分までは読みとるのが難しく、今現在も、そういう目が見えないという不自由さを味わっているジェーンにとって、あんな爆発を側で味わいながら生きていられたことには感謝する気持ちはあるが、チョウのハイテンションには付いていくのは難しかった。
目が見えない分、肌の温かさや、いつもより強く感じているチョウの体臭に、抱きしめられている安堵感は得られていたが、だからと言って、せわしなさのあまり、飲み込み切れなかった唾液で喉が詰まりそうになって、相手を咳きこませるようなキスをし、しかも、ジェーンが咳いた後だというのに、まだキスをやめようとしないチョウの妄想に付きあって、馬鹿馬鹿しくも足を広げて強請ってみせるサービスなんてする気にもなれなかった。
「落ち着こうよ。……ねぇ、チョウ?」
ジェーンは、チョウの短い髪を撫でる。
すると、なぜか、それにチョウが笑ったのを感じた。
「ジェーン、見えてないと、自分の表情に気付きにくいらしいな。お前、今、必死に嫌がってる顔をしてたぞ。なかなか見れない、いい顔だった」
「……どういう……?」
意味だと聞こうとすると、チョウの身体が、自分の身体の下の方へと移動したのを感じた。
腿を掴まれ、膝が胸に着くほど、足を押し上げられる。
大きく開かされた股の間を無防備に晒すことも気になったが、それよりも、ジェーンは大きく叫んでいた。
「ちょっ、チョウ! いきなり入れたら、許さないよ!」
返事はなく、無言のままに時が過ぎることに、ジェーンが落ち着きなく腹で息をしている間に、生温かくぬるりとしたものが、窄んだ尻穴の上へと押し当てられる。
「チョウ!! 本気で怒るよ!」
やっぱり入れる気なんだと、思い切り、足を振って暴れようとしたら、舌打ちの音が、自分の股の間から聞えた。
吐き出された生温かい息も腿に当たるのを感じる。
自分が置かれている状況が掴めないジェーンのためらいに抵抗が止むと、もう一度、ぬるりと濡れたものが、ジェーンの尻穴に触れた。
それには、ペニスの固さや、力強さはなく、ただ、柔らかい。
それが、ぎゅっと寄った皺の表面を擽っていく。
あり得ない場所の肌に触れるものの感触は、濡れて温かで、柔らかいのに、なぜか、ざらりともしている。
「……ねぇ、……もしかして……」
ペニスなんかよりも、ずっと、細かい仕事に適した、濡れて柔らかなものの名が、脳裏には浮かび、ジェーンは恥ずかしさのあまり、きゅっと身体には力が入り、肌は真っ赤に染まりあがった。
「嘘だ。……もしかして、チョウ、舐めてる!?」
皺の寄った窄まりの表面を舐めていく濡れた舌は、ざらざらとした表面を持っているせいか、柔らかなのに、ちょうどいい刺激を与えながら、敏感な薄い肌を擦っていく。
否定の言葉が得られなくて、思わず羞恥に逃げようともがいた足は、そんなのは予測済みのチョウにきつく掴まれ、阻まれた。
咄嗟にジェーンは、見えてもいない自分の目を覆い、たまらない恥ずかしさから逃れようとする。
痛いほどの熱で、頬が火照っていた。
「やめてよ、チョウ! やめてようよ!」
チョウは、舌先を使って、細かく舐めて、擽ったいような快感を味あわせ、身悶えさせたかと思うと、舌全体を押し当て、その感触で、ジェーンに自分が何をされているのか、はっきりと意識させたりする。
器用な舌先は、窄まりのきつく結んだ口を解こうとするように、時々ぐりぐりと突き立てられる。
中の粘膜を舌が舐めいく優しい感触は、異様で、だが、驚くような心地よさだった。
「あっ! あ! あーっ!」
「ここを舐められるのは、初めてらしな」
思わず、足がびくびくと震えると、くぐもった声が、自分の股の間から聞こえて、信じられない恥ずかしさで殆ど何も考えられない頭の状態だったが、それでもジェーンは、言い返した。
「当たり前だよ! だから、僕は、君ほど、さばけた性生活は送ってないって!」
「自分でもしなかったのか? 保守的だな」
チョウの唇が、腿の付け根に移り、関節のやわらかな皮膚を噛んでいく。
その辺りまでなら、何度かチョウに口で触れられたことはあって、そうやって肌のひ弱な部分を唇で触れられるのも、ずいぶん気持ちいいのだが、つい、ほっとして、詰めていた息がジェーンの口からは、大きく漏れていく。
腿を掴む、チョウの力は強く、抵抗したところで元から勝ち目はなくて、目の上を覆ったジェーンの手ひらの中では、眉間に大きな皺が寄っている。
腿に優しく口づけられながら、ジェーンは虚空に、文句をぶつける。
「……舐めるなら、そんなところじゃなくて、ペニスの方が舐めて欲しいよ」
「それは、したくない」
はっきりと、チョウは拒絶し、舌はまたジェーンを羞恥で身悶えさせる尻穴の上へと戻っていく。
舌がそこに触れるのは、たまらなく恥ずかしいのに、嘘みたいに気持ちいいのが、余計にジェーンの身体を熱く火照らせた。
すっかり濡れた皺の表面をまだ唾液を絡めた舌が舐め、そこに、チョウは指まで参加させ始めた。
べたべたと濡れた唾液の助けを借りて、穴の中に潜り込んできた指は、しかし、奥を目指すわけではなく、広げた穴の中に、舌を誘いこむ。
内壁をぐるりと舌で舐められ、ジェーンは、腰をよじりながら、思わず顔を隠すのも忘れ、強くシーツを掴んでいた。
「あっ、あ、っ、チョウっ!」
「お前は、今日、辛い目にあったんだから、一つ位いいことがあってもいいだろ」
想像もしたことがなかった舌での愛撫は、確かに、とても気持ち良く、しかも、初めてチョウがしてくれたことだった。
いいことと言えるのかもしれない。
チョウの舌が、引っ張り伸ばされた穴の縁と粘膜との境目を擽る度に、ジェーンの尻には強く力が入り、がくがくと足が震える。
熱い舌が、穴をほじるようにして熱心に動けば、感じすぎる粘膜がぴくぴくとチョウの舌を捕え締めつけようと動き、ジェーンの足も、無意識にチョウの頭を引き寄せようと腿に強く力が入っていた。
「んっ、んっ、んん! ん!」
だが、その力も、舐めていく舌が気持ち良すぎて、同じようにはしていられない。
今のが気持ち良くてもっとしてほしいと思っても、その快感の大きさに負けて、ジェーンの足は動いてしまう。
まるで自分からもっとと求めるように、胸につくほど、足を引き寄せたかと思うと、今度は反対に、大きく開いて足を伸ばしてしまう。
ただ、その動きには共通点があって、慎みが、欠落している。
「あ、ねっ、チョウっ、っぁ、ん!」
あまりの良さに、チョウにペニスも触って欲しくなって、ねだろうとしたジェーンは、先に伸ばした自分の手が触れたものが、それほど硬くも大きくもなっていないのに、落胆した。
こんなに気持ちがいいのに、どうしてこの身体は!という思いがジェーンにはある。
だが、そんなジェーンの身体の状態に慣れているチョウは、気にした様子もなく、ねだられるままにやわらかく半勃したペニスを握り込んだジェーンの手を上から握り込み、緩く動かしだす。
「いいんだろ、ジェーン?」
「……うん、っ、すごく、っ、気持ち、いいっ……ぁ」
ジェーンの口が、素直に開く。
目が見えないということは、ジェーンにとっても、自分にとっても、良いことではないチョウもわかってはいたが、視覚を一時的になくしたジェーンは、いつも客観的に自分を見つめている冷静な目までなくしたようで、普段に比べて、表情が多く、思わず引き込まれていた。
思うように勃たないペニスに失望の色を顔に隠さず、アヌスを舐めていく舌には、大胆に足を開き、自分をよくしてくれるチョウの愛撫をもっとして欲しがり、引き寄せようと身を捩って悶える。
目が見えないということは、自分を取り巻く世界を理解しづらいことで、耳の聞こえ悪い老人が人の声を聞き取とりたい気持ちから、自然と大きな声を出すように、ジェーンも普段は計算ずくで押えている反応を、自然と大きく返してくる。
大きな尻をチョウの顔へと押しつけてくる素直な求めに、チョウは、より熱心に、ジェーンの小さな穴を舐めていた。
皺の表面を丁寧に舌先で擽り、指で広げた粘膜を啜るようにして舌全体で舐め上げる。
舌で濡らし広げた肉壁の中へと、ペニスを挿送するように、指をぐっぐっと出し入れしてやる。
「あっ、あ、……っ、どうしようっ、……すごくっ、いい、……チョウっ、チョウっ!」
ガクガクと身体を震わせるジェーンのペニスは、柔らかいまま、チョウの手のひらの中でだらだらと精液を零し始めていた。
丸い大きな尻を抱え持ち上げ直し、狭い谷間全体をべろりと舌で舐め上げながら、チョウは、指と一緒に舌を捻じ込む。
きつく締めあげようとしてくれる肉襞を、奥へと舐める。
「あっ、……あ、あ!!」
後ろを舐めてやりながら、扱けば、ペニスは、柔らかいまま、とぷり、とぷりと漏らしている。
チョウも、ここまで、ジェーンが尻の穴を舐められることに感じるとは予想外で、こんなに感じるのならば、もっと前からしてやればよかったと思わなくもない。
だが、こんなところまで舐めてやってもいいと思えたのは、チョウにとっても久々のことだった。
指で赤い粘膜を晒してそこを舐めてやるのに、苦しそうに、はぁはぁと、激しくジェーンは胸を喘がせている。
「も、おしまいっ……っ、ぁ、チョウ……ぁ、もう、いい……っ、やめて……も、きついっ」
ジェーンが肘をついて懸命に身体を起こし、そこに、チョウの顔でもあると思っているのか、自分の股の間に訴える。
「もう、やめに、してっ」
確かに、チョウは、そこにいたが、チョウと、ジェーンの視線は、絡み合わなかった。
まだ、チョウの舌が、敏感な粘膜を舐め上げるのに、快感に目元を潤ませ、真っ赤な顔でジェーンが懇願する。
「お願いだからっ、……も、う、おしまいに」
快感にきれいな顔をせつなく歪めたジェーンをたっぷり堪能すると、やっとチョウは、卑猥な谷間の奥へと伸ばしていた舌を口の中に戻した。
それでも、しばらくジェーンは、その姿勢のまま、強い快感に身を強張らせ激しく胸を喘がせていたが、チョウが、完全に手を引いたことを感じたのか、急にばたりとシーツの中へと倒れ込んでいった。
べっとりと濡れた腿の間のいやらしい場所を隠すことも忘れて、ジェーンは、ただ息をしている。
閉じた睫毛が、息をする度に、ぴくぴくと動き、ピンクに色づいた頬を掠めている。
「……死にそう、だよ……」
だから、くしゃくしゃに髪を縺れさせたジェーンを見下ろしながら、チョウは、濡れた顎を拭うと、タオルを取って来るためにベッドから立ち上がろうとしたのだ。
だが、途端に、
「どこ、行くの?」
まだ赤い目尻に涙を溜めたままの顔で必死の表情をしてジェーンがベッドから頭を起こそうと飛び起きるから、チョウは、驚きに動きを止めた。
だが、今のは自分が悪かったと、チョウは、恐がらせないようにゆっくりとジェーンに近づき、顔に触る。
「心配するな。すぐ、戻って来る」
言った途端に、チョウが、今の自分の声が優し過ぎだったんじゃないかと気恥ずかしさを覚えたように、ジェーンも自分が、あまりに緊張しすぎていることに気付いたようだ。
悔しそうに眉を寄せ、見えない目であらぬ方向を見つめたまま、額に張り付いた髪をかき上げる。
「……ねぇ、チョウ、確かに、僕も今日は最悪だったから、いいことが一つくらいあってもいい気はしてたけど、……でもさ、ねぇ、今のあれは、良すぎたんじゃないかな……? チョウ、僕がまたして欲しいって言ったらどうする気なのさ……」
その皮肉交じりの物言いは、ジェーンらしくて、チョウは、目尻を下げて苦笑するしかなかった。
どうせ、見えていないんだと、盛大に、チョウは目を細める。
それから、見えてないジェーンの目と視線を合わせるために、顎を掴んで自分を見させる。
「あんたが、あんなにかわいく悶えるんなら、またしてやるさ」
甘めに囁いてやったら、ジェーンは、途端にベッドに倒れ込んだ。
伸びた足は、チョウを蹴飛ばしたかったようだが、足は宙を蹴っている。
寝ぼけ顔で起き出したジェーンが、徐々にきちんと身なりを整えていく姿を、ずっと見ていられたら楽しいかもしれないというのは、チョウのひそかな思いだった。
そのチャンスは、ジェーンの一時的な失明で、めぐって来たようだ。
誰かに言ったことはないが、チョウは、演出的な隙の部分だけを残して、きちんと身なりを整えたすまし顔のジェーンの姿がかなり好みだ。
ナルシスティックな顔をして、鏡の前でシャツを着、スボンの皺を整え、ジャケットのラインを確かめるジェーンの徐々に準備が整えられていくのを、見られたらば一番よかったが、残念ながら、今日のジェーンは、一生懸命手探りで、今、手に取ったのが、シャツなのか、Yシャツなのか、ベルトはどこにあるのか、靴下は両方そろっているのかと探しながら、それでも、徐々に準備を整えていっている。
その姿を誰にも邪魔されることなくチョウは見ていたはずなのだ。
だが、
「チョウ、僕のこと見てるだろう。 そんなにじろじろ見ないでくれるかな」
しかし、ジェーン自身が、尖った声で見られていることを言い当てた。
「お前のことなんて見てない。俺も、自分の準備が忙しい」
チョウは、手の止まっていたネクタイを結び始める。これ見よがしに、音まで立ててみせる。
「それは、嘘だね、チョウ。君はこっちに立って僕を見ているはずだ」
しかし、ぴしりとジェーンが指差したのは、チョウの位置から右へ30度ばかり、外れた場所だ。
あまりにも堂々とした態度で指差すジェーンが、思わず気の毒になり、チョウは、眉を寄せ、ジェーンを見つめる。
「早く、目が治るといいな、ジェーン」
不審に思ったのか、ジェーンは、今度、左へ15度ほどずれた位置にある椅子に向かって、文句を言いたてている。
「本当だよ。そうじゃなきゃ、僕は、いつまでも覗き趣味でストーカーぐせのあるチョウに、着替えをじろじろ見られることになるんだからね!」
そう言って怒りながら、振り返ると、ジェーンは見えてない鏡を覗き込み、まるで見えているかのように、いつもどおり髪を整える。
だが、
チョウは、ため息とともに、そんなジェーンに近づいた。
「……ジェーン、お前、シャツのボタンを掛け間違ってる。直すぞ」
その一時間後には、リズボンの目の前で、ジェーンの目は見えるようになり、CBIのメンバーは全員、(勿論、チョウも)そのことにずいぶんとほっとしたものだった。
END
最近、ご近所で、ジェーンの失明の回のネタが流行っていたので、私も妄想を詰め込んで書いてみましたv