リラックスタイムコミュニケーション
「こいよ」
誘ってみたら、少し困ったように笑ったくせに、意外と待たせることなく、バスルームへとジェーンが姿を現し、温かい湯気の中でチョウは満足な気分を味わった。
シャツのボタンを外しながら、ジェーンが、シャワーカーテンを開けたままの浴槽の方を覗き込む。
「誘ったわりに、狭いくないかい?」
足を伸ばして、湯に浸かっていたチョウは、見下ろしてくるブロンドを気分良く眺めた。困っているのか少し眉が寄っている。だが、こうやって、外見だけを眺めた時、ジェーンの容姿は、本当にゴージャスだ。
「狭いのは知ってただろう?」
「うん……まぁ、知ってたけど」
一人でなら、ジェーンも、何度かこのバスルームを使ったことがあるのだ。
二人で一緒に浴槽に入るという行為にためらいがあるらしく、服は脱いだものの、まだ、未練がましく下着はつけたままでジェーンが、チョウを見る。
ジェーンの好みの細身のシルエットのスーツに合わせ、この金髪が身につける下着は身体にぴったりとしたものだ。
身体のラインに密着したやわらかい布地は、身体の凹凸を隠さない。
脱いでない今でも、サイズに合わせ前を盛り上げるペニスの形も、その下の袋の重さも教え、チョウの目を楽しませている。
チョウは、眉を寄せたまま、こちらを見ているジェーンを浴槽の縁へと腕を乗せたまま眺める。
「その格好でも、かなりそそられるって教えてやったら、お前、脱ぐか?」
はぁっと、肩を竦め、大きく息を吐くと、ジェーンがチョウに呆れたような目をくれた。
「チョウってさ、いやらしいよね」
「そうでもない。おまえの、よく肉のついたその腰のラインが俺にこんなことを言わせるんだ」
チョウが唇に笑みを刻むと、ジェーンは、もう本当に呆れたよと言いたげな色を青い目の中に浮かべてチョウを眺め、勢いよく、下着を下げた。
丸みのある盛り上がったなめらかな尻が剥き出しになる。
下着が形のいい膝骨を通り過ぎれば、金色の陰毛が、普段より大きさを増しているペニスを取り囲んでいるのも見える。だが、ジェーンのペニスは勃ち上がってはいない。
ジェーンは、浴槽に近づくと、チョウの腕を浴槽の中へと突き落とし、一旦、湯の中に手を入れ、温度を確かめると、そろそろと白いバスタブの縁を跨ぐ。
窮屈にチョウの足を挟む形で両足を湯の中に入れた。
自分の腿を挟むバスオイルでぬるぬると滑る脛の滑らかな感触に、チョウは、ジェーンがまた馬鹿にした目をするに違いない笑みを口元に刻んで、金髪を見上げる。
「やっと入る気になったのか」
「絶対に狭いと思うんだ」
ジェーンは、チョウの挑発など、聞いてもいないという態度で、困ったように、落ち着かなく青い目を動かしている。
「そうだな。二人で入ろうとするなら、工夫が必要だな。……こいよ。ジェーン」
湯で濡れた右手を差し出せば、さっきから自分に主導権のないことが面白くないのかジェーンは顔を顰めたが、すぐ後に、自分から両手を伸ばしてきた。
湯の中のチョウの腿の上へと座り込みながら、ジェーンが両手を湯気で濡れたチョウの首へと回す。
重みも、身体の全ても、預けられ、チョウは、深い満足と共に、滑らかな肌をした身体を全て受け止めた。
一人用の浴槽の中に、男二人だ。
容量はとっくに超えており、さすがに窮屈だ。
少なめに張ってあった湯が、それでも少し溢れだし、ジェーンの背を抱きとめているチョウの腕を擽りながら、流れ出ていく。
ぴったりと胸を合わせたジェーンの頭は、肩に埋まり、やわらかい金髪がチョウの耳を擽っている。
「やっぱり、狭いよ。すごく窮屈だ」
これだけ肌が密着した状態なら、金髪の鬱陶しい嫌味も多少は気にならなかった。
バスオイルのいい匂いをさせている湯の温度は心地よく、それ以上に大人しく腕の中に収まっているジェーンの身体のやわらかな感触は気持ちがいい。
落ち着かないのか、ジェーンの胸は、鼓動の音を早くしていた。
気付かれないようにと、意識して呼吸の回数を減らしているようだが、ときどき、チョウの肩口では、詰めた息を大きく吐き出され、求められるまま、一緒に入浴し、その身体を跨いでいる自分の恥ずかしい状態に、ジェーンが緊張しているらしいことは、強張った身体の状態だけでなく、チョウに伝わる。
チョウは、まだ顔を上げようとしないジェーンの、湯気でカールが緩くなりつつある頭を、ゆっくりと撫でた。
「チョウ、……すごく、恥ずかしいんだ」
くぐもった声がすれば、その声を発している唇はチョウの肩を擽る。
「みたいだな」
はぁっと、ジェーンは俯いたまま、息を吐き出す。
「だって、こんなことしてるなんて、なんだか、僕ら、愛し合ってる恋人同士みたいだ」
二人での入浴に対するロマンチックなジェーンの感想は、思いもかけないもので、つい、チョウは笑っていた。
「俺は、ただ、お前の裸が見たかっただけだ」
もう一度、大きくジェーンが息を吐き出した。それも力強くだ。
「チョウは、そういう男だって、知ってたけどさ」
やっとジェーンが顔を上げ、間近にある不満そうなその唇を、チョウはすかさず捕えた。
普段のジェーンはキスが好きだったが、さすがに気分がのらないらしく嫌がって逃げようとする。
しかし、狭いバスタブの中なのだ。
腕の中の身体を逃がすほど、チョウは間抜けではなかった。
ジェーンに抵抗らしい抵抗もさせず、何度も唇を重ね合わせる。
とうとう、ジェーンは大人しくなった。
キスをやめれば、湯の温度で温まり赤くなった頬と、キスで濡れた唇のまま、金色の頭はまたチョウの肩へとうずまる。
「やだなぁ。こんないやらしくて恥ずかしい要求に応えちゃうなんて、僕が君に骨抜きみたいじゃないか」
つぶやくジェーンは、それでも、まだ嫌味を忘れなくて、チョウは、やはり笑ってしまった。
「黙っているってことができない男なんだな、お前は」
チョウの手は、ジェーンの首を触り、凝っているそこを、マッサージし始めた。
温かい湯を、何度もかけてやりながら、項を揉みほぐす。
しばらくすると、ジェーンの口からは、深い息が漏れ、感謝を示すキスを、チョウの顎に返してきた。
「うまいね。こんな風にしてもらえるなら、一緒に入ってもいいな」
キスは、顎から頬へと移動し、最後には唇へと移ってきた。
先に舌で悪戯を仕掛けてきたのは、ジェーンだ。
誘いかけてきたくせに、するりと奥へと引っ込んで逃げる舌を、チョウは、性質が悪いと思いながら、何度も捕えに行く。
ジェーンの口が笑う形に変わっていた。
「チョウって、キスするの嫌いじゃないよね」
確かに、気持ちのいいジェーンの唇に触れるのは、嫌いじゃなかったが、そんな風に思われるのは、不満だった。
「キスもなしに、いきなりやらせろって言って、お前、やらせるのか?」
おやおやと、青い目が面白がるように見開かれる。
「僕のお腹に硬いのが当たってるのは、やっぱり、間違いじゃなかったんだね」
チョウのものが硬く勃起したままなことなど、とっくに知っていたくせに、今更、わざと押しつぶすように、ジェーンが身体の位置を動かした。
温かい身体に圧し掛かられ、押し潰されたそこは、鈍い痛みを感じていたが、それよりも、密着した肌の間に感じるざらりとした陰毛の中で、揺り動かしたくなる衝動の方を、チョウは強く感じていた。
ジェーンの動いたことで、浴槽の縁からは、また、少し湯が溢れ出る。
湯気が、バスルームの中全体を温かくしていた。
「勃ってない方がよかったのか?」
ジェーンは、首をかしげる。
「どうかな? まぁ、魅力的だって言われてるようで、悪い気はしないけど」
ちゅっと、音を立てて、ジェーンがチョウの頬へとキスをした。
「でも、ゴムもなしに、入れるなんて真似はさせる気はないよ」
きらりと目の端を光らせて、ジェーンが下から睨んでくる。
チョウは、強情そうな唇に、一つ短くキスを落とした。
「嫌なのか?」
「嫌だよ」
「そうか、じゃぁ、仕方がないな」
あっさりと引いたチョウを、怪訝そうにジェーンが眺めていた。
チョウは、自分の上に乗りかかっているジェーンの腕を首から外し、浴槽の中から立ち上がる。
「……チョウ?」
浴槽のなかに取り残されたジェーンは、冷たく見上げる。
「やらせないとわかったら、出ていくんだ」
チョウは、置いてあったタオルで、身体を濡らす水滴を拭った。
「違う。ゴムを取って来る」
ぴたぴたと、水の音をさせて、タイルの上を歩くチョウに背中を、ジェーンの笑い声が追いかける。
「ご苦労なことだね。そんなにまでしてやりたいのかい?」
今度は、浴槽の中で、悠々と寝そべっていたジェーンの両脇にチョウが足を入れることになった。
眠ったふりで目を開けようとしないジェーンの頬を軽く叩き、チョウは場所を開けさせる。
無理矢理目を開けさせたことを、不満そうにした青い目が、実は、正直過ぎるチョウの身体の一部の状態を楽しんで笑っていることは、金色の睫毛が影を作る青い目の色の明るさから見分けることが出来た。
腕を掴んで、ジェーンに身体を起こさせると、身体の位置を入れ替えようとしたが、嫌だと、ジェーンが首を振る。
「覆いかぶさってるのって、結構大変だから、嫌なんだ」
あれだけ、体重を乗せてきていたくせに、まだ、文句のある金髪に、それは、お前が身体を鍛えようとしないせいだと顔を顰めながら、チョウは、仕方なく、ジェーンを押し潰さないよう気を付けながら、浴槽の縁へと頭を載せている金髪の胸へとキスし始めた。
「ねぇ、なんで、チョウは、僕の胸にキスするのが好きなの?」
ジェーンは、緩くチョウの短い髪を撫でている。
正直なところ、バスオイルに濡れたジェーンの身体は、まずかった。
「乳首を吸いたがるのなんて、全然、理由がわからない」
だが、そう言うが、乳首を吸われれば、ジェーンは感じる。
唇に含んで、小さな肉の塊を舌で捏ねまわしてやれば、それは、次第に硬く勃ち上がってくるし、小さなあえぎをジェーンは漏らす。
そうやって感じるのであれば、チョウが吸わない理由はない。
今だって、チョウの舌が、湯の温かみで乳輪を広げたピンクの上を、円を描くように這っていけば、もっとというように、胸の位置は少しずつ上がってきている。
ただの肌の部分よりも、感じやすい濃い色の部分を、舌で押しつぶすようにしたあと、口に含んで吸い上げてやれば、ジェーンは、んっと、閉じた口の中で、快感の声をくぐもらせた。
「っ、んっ、ママが恋しいのかな? 乳離れできてないから?」
ただし、乳首を恥ずかしいほど勃たせて、感じていようと、ジェーンの口は減らない。
もともとチョウも、ジェーンの減らず口になど、相手をする気はないから、金髪が口でなんと言っていようと、もっと素直な態度をみせている身体の具合に合わせて、愛撫を先に進めていく。
抱きしめた背中にゆっくりと指を這わせながら、唇を使って、しつこく胸へのベティングを繰り返す。
勃ち上がった小さな乳首は、気が済むまで、左を舐めれば、今度は、右を集中的に攻めていく。
右が後なのは、ジェーンが、右の胸の方が感じるようだからだ。
こういうセックスをするようになってから、ジェーンの自慰にはバリエーションが増えたらしく、自分でも胸を弄るくせのついた金髪の利き手は、右だ。
右手で、アレを握りながら、残った左手で自分の乳首を弄っているジェーンを想像するのは、チョウを少し楽しませる。
だが、絶対にそうしているに違いないというほど、最初の頃と、ジェーンの身体は変わっていた。
して欲しがって、焦れた身体をジェーンがもどかしげに捩るのを楽しんだ後、舌先にくるむようにして小さな右の乳首を吸い上げてやる。
「んんっ、ぁっ」
唇に力を入れて、しばらく熱心に吸っていると、うっとりとジェーンの頬のラインが緩んでいった
自分の胸に乗るチョウの頭を撫でる手も、柔らかだ。
チョウは、そろそろいいかと、浴槽の中で、四つん這いに這わせようと、ジェーンを抱き起した。
だが、そんな風だと、膝が痛いから嫌だと不平を言う。
仕方なく、滑らないよう、しっかりとシャワーのパイプを掴んでいろよと言って、風呂の中に立たせた。
できるだけ大きく足を開かせて、後ろから抱きすくめる。
腕の中で身じろぎするオイルで濡れた肩が、いつもより艶めいてみえた。
緩く巻いている後ろ髪を軽く持ち上げ、項に唇を落とすと、突き出させた大きな尻を両手で割り開き、ペニスを埋めさせてくれる、気持ちのいい場所を、湯気の中に晒した。
右の尻上の方に小さなえくぼが寄るほど、ジェーンが身体に力を入れる。
きゅっと口を窄めた表面を、指の腹で撫でると、入り口は、もっと小さく窄み、緊張と羞恥とをみせる。
穴の中心へと力を入れ、皺を寄せ、はかない抵抗をしてみせるそこに触れるチョウは、下腹で気持ちを急き立てているものを宥めすかしながら、たっぷりと時間をかけて、皺を寄せて閉じた小さな口を撫でてやる。
執拗に優しく撫でる指の感触に、ジェーンが、もうここを開くしかないのだと諦められる時間の分だけだ。
力の入った肩に、何度かキスを落とせば、固くパイプを掴む手から、少しだけ力が抜け始めた。
勃った硬い下腹をジェーンのまるい尻にぐいぐいと擦り付け、湯で温かく濡れた柔らかな肉の感触を楽しみながら、チョウは、ゴムを取りに行ったときに、一緒に掴んできたジェルをタイルから取り上げる。
濡らした指を、小さな窄まりの中へと潜り込ませていった。
中の熱さは、湯気で火照っている外側とは比べ物にならなかった。
みっしりとした肉の筒の中へと、ずるりと指を奥へと突っ込み、逃げられないよう肩を押えたまま、チョウは、ジェーンの中を解しはじめる。
突き入れ、引き抜く動きに、指につけたジェルが尻穴の縁から溢れ出ていた。
ジェーンは、眉の間に皺を寄せ、歯を食いしばっている。
「リラックスだ。ジェーン」
尻の間にジェルを絞り出し、冷たいジェルの感触に、ジェーンをぶるりと震えさせる。
うっすらと生えた股の間の毛が、ジェルまみれだ。
「悪いな。冷たかった」
だが、おかげで、ジェーンの中を穿つ指の動きは楽になった。
きつい肉輪をさらにこじ開け、チョウは二本の指を、ジェーンの中に埋めていく。
「……っぁ、あ、」
また身体を中から広げようとしていくみしみしとした圧迫が強くなり、ジェーンがつらそうな声を上げる。
チョウは、自分の股間にそそり立つもので、指が犯している温かなジェーンの肉洞の中を犯したくてたまらなかった。
濡れた肉壁の中へと埋めている指は、中を穿つ度、抵抗しようともがく肉襞にくるまれ、きゅうきゅうと締めつけられている。
けれども、不安もある。
「……チョウ、本当に入れる気なの?」
元から持っているアナルセックスへの抵抗感の上に、バスオイルでつるつると滑る足場の悪さで、指をあそこに咥え込んだまま、ジェーンも不安そうに目を揺らして、チョウを振り返る。
指は、少し熱いくらいの温度の中で、気持ち良く包み込んでくる肉壁に締めつけられている。
指を緩く動かせば、濡れた肉襞はせつなそうに蠢き、チョウを絞り込んでくる。
チョウは、足元の湯に音をさせながら、ジェーンの背に覆いかぶさった。
「前を向いていろ。危ないから、手を離すんじゃないぞ」
従順に従い、壁を見つめるために前を向いた金髪の項に齧り付きながら、チョウは、大きく広げさせていたジェーンの足を、膝を使って、狭めさせる。
「痛いよ。噛まないでよ」
立てた歯に、パイプを握りしめたジェーンが文句を言った。
「少し位のことは我慢しろ」
「こんなの、僕、立っていられないよ」
噛まれた首を竦めたまま、ジェーンが言う。
「大丈夫だ」
チョウは、足を揃えさせたジェーンの尻と腿との隙間にできた小さなデルタゾーンに硬く猛ったペニスを捻じ込む。
「あっ、……え? チョウ?」
硬いもので、閉じた股の間を擦りあげられる、ごつごつとして感触に、ジェーンが驚いて声をあげた。
チョウは後ろからジェーンの股の間に垂れた柔らかなボールを突き上げるように、何度も腰を突きいれる。
チョウの動きに、湯がぱしゃりと音を立て、壁を打つ。
「ねっ、いい、の?……チョウ、こんな、ので、いいの?」
揺さぶられる身体をパイプに縋ってなんとか態勢を保ちながら、ジェーンが振り返ろうとする。
チョウが掴んだよく肉の付いた腰は、さっき垂らしたジェルのぬめりもあって動きは悪くなく、たっぷりと肉をつけたジェーンの腿の感触は、全く悪くなかった。
「じゃぁ、お前、ここを使わせる気があるのか?」
口を窄めて締めあげる場所に、捻じ込んだままだった指を、ぬるついた肉襞を抉るようにして中でぐるりと回しながら、奥へと押し込めば、ジェーンは、あっ、と、快感に濡れた短い音を、湯気の籠ったバスルームの中に響かせた。
「……君が、どうしても、って言うんだったら、……僕も、」
そうして、無理をして、浴槽のなかで足を滑らせて転ぶか、上手くいったとしても、ひ弱なコンサルタントの筋力では、オイルで滑る浴槽の中で態勢を保つのは生半なことではなく、明日、筋肉痛で歩けなくなるのが落ちというわけだろうと、チョウは、腰の動きを止めず、いやらしく濡れて締めつけてくる肉襞の中への指の抽送も続け、あ、あ、と、短くジェーンに喘がせる。
揺すりあげられ、突き入れられる股の間から、垂れさがるボールごと緩く勃起したペニスの根元を擦り上げるようにして刺激されているジェーンは、足元をずっと温めている湯のせいだけでなく、頬を赤くしている。
「いいから、ちゃんと、パイプを掴んでいろ」
チョウは、後ろを弄りながら、もう片方の手を前に回す。
勃起しはじめているものの先端を掴まれ、ジェーンがくぐもった音を喉もとで立てる。
チョウは、手の中に先端の丸みを包み込み、ぐりぐりと撫でてやる。
ペニスは湯気で湿ってはいたが、まだカウパーが漏れ出すほどではなかったから、後ろから突き出した自分のペニスを濡らすジェルを取って、擦り付ける。
指先に摘まんで、張り出した亀頭のくびれを軽く押し潰すようにして擦ってやれば、腕の中のジェーンが、切なげに身をよじった。
あっと、喉元を鳴らすように、セクシーな喘ぎを聞かせるジェーンのペニスを根元から握り込み、皮膜ごと扱いてやる。
後ろから突き入れたもので揺すりあげながら、扱いてやれば、ジェーンのものは、もうジェルの助けなど必要もないほど、ぬるぬるといやらしげな液を漏らして、腰を突き出してくる。
後ろの穴が、きゅうきゅうと、咥え込んだ指を締めつけ、もっと中を犯してほしいと言いたげに、誘いこむような蠢きをみせていた。
「中を、もっと弄って欲しいなら、もっと尻を突き出せ」
肉筒の中から引き抜いた手で、よく肉のついた尻をパンと促すように叩いてやれば、ジェーンがきゅっと身を竦ませる。
「チョウ、叩くのはやめてよ」
そのくせ、チョウが握ったペニスから、どぷりと先走りが溢れだしていた。
「触っただけだ」
痛いのが苦手なジェーンは、薄く目尻に涙を溜めて、睨んでいる。
「それで、どうするんだ? もう、尻の中は弄らなくていいのか?」
チョウは、掴んだ腰を大きく揺さぶり、ジェーンの腿肉の間にペニスを突きいれる快感に眉の間へと強い力を入れた。
ジェーンのものと一緒に握り込んだペニスは、よく肉のついた気持ちのいいジェーンの腿の感触で擦られることで、もう精液を吐き出したがっている。
パイプを握り込んでいたジェーンの右手がそろそろと下に下ろされた。
「じゃぁ……こっちは、……僕が」
喉元で喘ぎながら、ためらいがちにジェーンの手が、硬く勃ったペニスをチョウの手の上から握る。
緩く動かすから、煽るように、チョウはジェーンの耳の後ろへと幾つものキスを浴びせかけた。
「あっ、チョウっ、ねっ、耳、やだ、……ね、やだってば」
感じやすい耳は、ジェーンの弱点の一つだった。パイプへと縋ったまま、身を捩って逃げようとするのをきつく抱き寄せ、耳殻を舐め、軽く歯を立てる。
自然と突き出され、チョウの下腹へと擦りつけるようにして振られる大きな尻は、指を中にぐちゃぐちゃと突き立て、犯してやる。
「怠けてないで、手を動かせ、ジェーン」
耳の中へと声を吹き込めば、ぶるりとジェーンの身体が震えた。
「や、だよ……もう、ねぇ、チョウっ!」
鼓膜を震わせる声に、赤くした身体を竦ませ、ジェーンは悶える。
「俺は、もういけるぞ。お前、自分はいけなくても、いいのか?」
怨みがましく青い目を潤ませて振り返ったジェーンは、やだよと言うと、ゆるゆると手を動かし始めた。だが、自分のものだけを扱くのと違い、勝手が違うのか、どうにも不器用だ。
「ちょっと、待ってろ。ジェーン」
チョウは、ジェーンにもう一度足を揃えさせると、尻と腿との僅かな隙間の間を、ずぶずぶと硬いペニスで犯していく。
激しい抽送に、パイプに縋っていても揺れるジェーンの身体を、腰を掴んで支え、チョウは、ジェーンのペニスの裏を擦り上げたまま、精液を吹き出した。
はぁっと、背中に頭を押し付けたまま重く息を吐き出し、ジェーンの早い鼓動を聞いていたチョウは、自分の息が収まると、今度は、ジェーンのペニスを握りながら、もう一度、尻の割れ目へと指を這わせた。
今までの指の挿入で、緩んだ尻穴は、チョウの指をするりと飲み込む。
だが、中は相変わらずきゅうきゅうと潤んだ肉が締めつけてくる。
軽い盛り上がりのある部分を指の腹で押さえつけるようにしながら、絡んでくる肉襞を突き破るように奥を穿てば、ジェーンはパイプを掴んだまま、大きくのけ反った。
「あっ……あ!……そんな、……っ、あ、んっ!」
身悶える身体を押さえつけ、喜ぶ部分を更に抉る。
「っ、や、……んっ、ん!!」
突き出された大きな尻の奥を穿つために、ぐりぐりと指の付け根まで突っ込み、挿入を続けると、ぎゅっと尻穴が締まり、引き抜こうとするチョウの指は食いちぎられそうに締めあげられる。
「あ、ねっ、……もう、っ」
チョウの手の中のペニスをぶるぶると震わせながら、ジェーンが喘ぐ。
「……っ、チョウ、ゴム、取ってっ、来させたのに、……っ、ごめん、っぁ!」
目尻にきつい皺が寄るほど、目をぎゅっと瞑って、謝りながら、ジェーンはいった。
火照った身体に、ぬるい湯を頭からかけてやって、汚れを流しながら、チョウは、コンサルタントの足に触り、強張った筋肉の状態を調べている。
だが、それを、ジェーンは誤解したようだ。
「も、無理だから」
顔は笑っているが、ジェーンの身体が浮かべる表情は疲れ果てている。
のろのろとジェーンの手がチョウの身体を押しやろうとしていた。
「違う。……先にベッドにいって転がってろ。足、マッサージしてやる。……よく、立ってたな」
がちがちに強張ったジェーンの足を撫でたチョウは、俯いてしまっているジェーンの唇へと下から掬いあげるようにして、唇を合わせた。
湯気で湿った唇はいつもより柔らかい気がした。
チョウは、濡れたジェーンの髪の上へとタオルを被せる。
力が抜けたのか、ジェーンは浴槽の縁へとぺたりと腰掛ける。
白いタオルの下から、金色の髪と、青い目が見上げてきた。
「うん。疲れた……今度は、チョウの上に乗せてもらうことにするよ」
それでも、ジェーンの口は減らなくて、チョウは、ジェーンの背を押し、さっさとベッドに追いやった。
END