らくがき 2(CJ)
*1
「今晩、やらせろ」
欲しいと頼んでいた資料を手渡すついでに、すっと身を寄せるとぼそりと呟いて行ったチョウは、ジェーンの答えなど聞く気はないらしい。言うだけ言うと、もう背中を向けている。
珍しくジェーンは、真面目に事件の背後について取り組むつもりになっていて、さぁ資料が来たと、近付くチョウよりも、手の中の書類の方に気をとられていたのだ。いきなり気を殺がれ、何事なんだと、むっと顔を顰める。
もう机に座って電話をかけ始め、全く、チョウが振り返ろうとしない、チョウの固い肩が、余計にジェーンをいらいらさせた。
ブロンドの見目麗しい僕相手なんだ。
「やらせてくれないか?」もしくは、「やらせて下さい」だろと苛立ちが募る。
だが、幾ら逞しい背中に、怨みがましい念波を送っても、霊能者でも超能力者でもないジェーンの思念は、全くチョウに届かなかった。
「で、いいんんだな、今晩」
解決の糸口を掴むまでに時間がかかったせいで、とっぷりと暗くなった駐車場でチョウが言う。
「……僕、すごく、お腹がすいてるんだ。いいけど、先にご飯を食べに連れて行ってよ……」
(終)
*2
ゴムを外したものを前に、眉を顰め、ジェーンは神妙な顔でそれを眺めている。
「……いいか?」
「え? ああ、」
白濁したぬめりが、ぬとりと幹を濡らし垂れてくるのが気持ち悪く、チョウはそれを拭いたかった。
「……あ、ちょっと、待って!……いや、いい。うん、拭いて。さすがに、それは自信がないから」
何がしたいのか、ジェーンは身を乗り出して止めておきながら、今度はティッシュを引き出すチョウのすることをじっと見守っている。
何度か引き出し拭ったものをぐしゃぐしゃに丸め、チョウはぽいっとごみ箱へと放るが、ジェーンは、じっとチョウのものを見つめたままだ。
いくら何度も寝ているとはいえ、パンパンに腫らしていたものを出し切った後の大人しくなっていくものを、じっと見つめられ続けるのは、さすがにチョウでもバツが悪い。
「……何なんだ?」
金髪は、思いつめたように、神妙だ。
「それさ、……舐めてあげるね」
言うと、怖々といった態で、大きく口をあけて、顔を近付ける。
だが、ストップがかけて欲しいのか、金髪は口は大きく開けたままだが、なかなか咥えようとはしない。
とうとう、口を開けたまま、ちらりと伺うように青い目が見上げてくる。
確かに、勃たなかったせいで、ジェーンはまだ出していない。チョウだって、ジェーンの腿を使っただけだ。
「したいのか?」
「よかったよ……」
ほっと安堵のため息をつき、かわいくもないのに、ジェーンはチョウの腿へと甘えるように顔を摺り寄せる。
「きっとすごく味がするだろうし、舐める勇気が出なかったんだ。チョウの察しがよくて助かるよ」
(終)
*3
「ねぇ……っ、どうして? 僕の、誕生日は違うし、……君、の、ぁっ、誕生日でも、ないはずだ……んっ……ぁ、よね、あ! ……っ」
ジェーンの尻は、チョウの顔の上を跨ぐようにして開かれており、しかも、チョウが舌を差し込んで舐めている穴からは、かすかな電動音をさせるコードが垂れ下がっていた。
「なんで、こんな、ぁ、っことしてくれるの……?」
ゆるく肉を付けた腰を絶えず落ち着かなくうねらせ、きつく瞑った目元を赤く染めているジェーンがうわ言のように呟いている。
チョウは、それには答えず、狭く湿った肉道の中へ伸ばした舌をぐりぐりとさらに奥へと押し込みながら、頭の上のたっぷりと肉をつけた腿が内側に入ろうとしているのを、もう何度目か、もとの位置まで開かせた。ついでに、息苦しいほど押し付けてきているジェーンの大きな尻を一つ叩く。
「あっ!」
きゅっと力の入った尻はぶるりと震え、高く位置を上げた。頬を快感で赤く火照らせ、ほとんど泣き出しそうに目を潤ませたジェーンが自分の尻の下にいるチョウを見つめている。
「重いぞ。もう少し自分で支える努力をしろ」
「……無理、だよ。だって、すごく、……気持ち、いいっ」
熱くぬめっていた舌が離れて、塗り広げられた唾液が冷たく感じる尻を、正直にジェーンは、まだ舐めて欲しいとチョウへと押しつけてきた。
押し付けられた股の間からは、濃くジェーンの匂いがする。
チョウは、皺を寄せて小さく窄まった口に舌を押し当て、周囲をぐるりと一周舐めていった。
いやらしい肉襞の中の小さな盛り上がり当たる位置に押し込んだローターは、物足りないほどの振動しかしていないはずだが、ジェーンはこれがいいらしい。
中へと咥え込んでいるローターのせいで小さく震えながら、健気に小さな穴はきゅっ、きゅっと細いコードを噛んでいる。
「ね、っ、なか」
ねだり声を上げて身体を揺する金髪の注文通り、窄まりをこじ開けていく舌の動きに、がくがくとジェーンは身体を震わせ、あっ、あっと、喉の奥でくぐもった音を立てた。
肉壁に締めつけられた細いコードを避けながら、ぬめる赤ピンクの肉を舌で掻き回すように舐め回すと、チョウの顔の上の大きな尻は、堪えられないとばかりに赤く染まり、きゅっと捩られる。
「んん、っ、ぁ、出そう……んっ」
ぐっ、ぐっと、繰り返し舌を突き入れていると、ジェーンが、情けない声で、弱音を漏らす。
だったら、いかせてやると、リモコンのメモリにチョウが手をかけようとすると、ジェーンは嫌、嫌と尻を揺すった。
「それ、嫌、だ。……っ、さっき、すごく、辛かっ、た……っ、ん、だ。ね、っ、嫌、だよ、チョウ」
真っ赤に目元を火照らせて、涙目で見つめてくるジェーンに、面倒な奴だとチョウが小さな器具から手を放すと、ジェーンは、チョウから目を反らしたまま、一つごくりと唾を飲み込み、そろそろと濡れた自分のペニスへと手を伸ばしていった。ためらってみせたのは、最初だけで、貪欲に高ぶった身体は、ジェーンから恥じらいというものを奪っていったようだ。
熱心に自分の手で扱きながら、何度も唇を舐め、あ、あっと声を上げている。
剥き出しの尻は相変わらず、チョウの顔へと押しつけられたまま、たっぷりと肉を付けた腿はがっちりとチョウの頭を挟み込んで放さない。
「……いくっ、……も、いきそう、だ。……いくっ……んんっ!」
まだ、内部でプルプルと震えるローターの低い振動を伝えるジェーンの白い尻は、射精後の脱力でチョウの上にべったりと乗ったままだ。
「……あ、ごめん。……今、退くから」
とろりとだるそうにしたジェーンが、のろのろとチョウの頭を跨ぎ越えようとする。
だが、その前に、汗で濡れた髪をかきあげながら、ジェーンが下にいるチョウを覗き込む。
「ねぇ、……なんで、こんな風によくしてくれたのかな? ……初めて会った日だとか、初デートの日だとか、そういう記念日をチョウが大事にするとは思えないし、……僕、何か、忘れてるかな? 何か、僕、君に褒められるようなことした?」
「理由がいるのか?」
チョウはいつまでも自分の上から退かない大きな尻をパチンと張る。
「……いらない……かも。……ねぇ、チョウ、僕のお尻、簡単にパンパン叩くのやめようよ!」
(終)