らくがき 1

 

(ちょうじぇん)

嘘寝だとすぐわかるわざとらしさで、だが、しっかりと目を瞑り、チョウのベッドに足を投げ出した。こんな自分を見て、チョウが何をするのかを知りたかった。脱いだジャケットを手に、チョウが部屋に入ってくる。目を瞑っていても、この程度のことは気配でわかる。まず、クローゼットに服をかけたチョウは、それからジェーンを見下ろした。大きな体積と人の熱をもった持ったものが、ふわりとジェーンに近付く。目を開けたかったが、我慢した。唇に柔らかなものが短く触れる。それが離れた後、ジェーンは目を閉じたまま口を開いた。「ねぇ、セックスしてもいいよ?」(お誘いジェーンちゃん)

 

(リグジェン)

彼のベッドで目を閉じていたら、リグスビーはどうするのかと思ったのだ。ジャケットを手に大股で部屋に入ってきたリグスビーは、ジェーンの存在に気づくなり、動作を止めた。ベッドの上の自分をかなり意識しているのは、目を閉じていても十分にわかる。だが、リグスビーは、ジャケットをクローゼットにかけるわけでもなく、だからといって自分にも近づくこともできずにいる。リグスビーが動揺していることが手にとるようにわかるだけに、ジェーンはわざとらしい寝たふりを続けたままイライラと彼の決断を待った。しかし、リグスビーは迷っている。とうとうジェーンは額に皺を寄せ、目を開ける。「こういう場合はさ、とりあえずキスでもしたら、どうかな?」声をかけられるまで判断できなかった自分を恥じるように、情けなくリグスビーの眉が寄る。だが、彼は肩を窄めたままベッドに近づいてきた。そして、まだ情けなく眉を寄せたままだというのに、許しが出たキスには、いきなり舌を突っ込んできた。(余計なことはするリグv)

 

(チョウジェン)

「僕のズボンをむしり取った君は、冷たいままの指でジェルをあそこに塗りたくって、大きく開かせた足を腰に抱かえると、勃起して硬いものを、もういきなり準備もできてないあそこに宛ててくるんだ。アレが硬いのをいいことに、濡れてるだけのあそこを強引にこじ開けてずるずると中に入ってくる。僕が懸命に息をしてるってのに、自分が満足するだけ奥までいれると、声もかけずにいきなり動き出すんだ。それも、強く、早くね」シャワーを浴びて、髪を拭きつつ戻ってくると、ソファーで目を瞑り寝ているとばかり思っていたジェーンがいきなり口を開いて、チョウは驚いた。「……要望か?」ジェーンが青い目を開ける。手を伸ばしてきて腕に触れると笑う。「違うよ。十日後のプラン。だから、今晩は気持ちがよくって、僕が楽しめるセックスをしてね、チョウ」

 

(りぐじぇん)

自分を抱き込んでいる重い腕が重いと感じて目が覚めた。「あのさ、」「……んん?」リグスビーの目は深く眠りこんでいるせいか、なかなか開かない。枕に埋められた寝顔には、きついことを言うにはすこしばかり気がとがめた。ジェーンはそろりと腕を撫でる。「おしっこに行ってくる。手をどけて欲しいんだけど」無言のままゆるゆると手がどけられて、ジェーンはシーツの中で動き出そうとした。だが、その前に、眠そうにしたままリグスビーが身を起こした。目をつむったまま大きなあくびをしながら、床へと足を下ろした彼は、ベッドのまわりを回ると、ジェーンのそばまでやってきて、大きな手で腕を掴む。「いそがなくていい。ゆっくり起きろ、ジェーン」リグスビーはジェーンの手をひきながら、また大あくびだ。だが、あくびをしながらも、ジェーンがベッドの脇に足を下ろそうとすると抱き寄せるようにして、そっと立たせてくれた。「一人で行けるか?」「……え? ああ、もちろん」眠そうにした顔が頬へと擦りつけられ、口づけられる。「無理させたから。気をつけて行けよ」「そうだね、君はがっつき過ぎだったよね?」と、皮肉に返しながらジェーンが歩き出すうちに、リグスビーはもう、もぞもぞとベッドの中へと潜り込んでいる。

腹の中がすっきりと軽くなり、ジェーンが暗闇の中ベッドに戻ると、一瞬目覚めたリグスビーがジェーンを引き寄せ、腕の中に抱き込んだ。少し冷えた自分の身体を大きな温かな身体が包み込む。腕が重い。だが、ジェーンはそっと満足の息を吐いた。「……悪くない……かも」end

 

(りぐじぇん→チョウ)

現場のモールは非常線が張られ、物々しい雰囲気に包まれていた。だが、その中を事件現場まで歩いて行く金髪のコンサルタントは、まるで日曜にふらりと買い物にでも来たように気楽な歩みだ。きょろきょろと商品を眺めながら、ゆっくりと歩いていた足がいきなり止まった。「ねぇ、」指差した先に何があるのかと、同行の捜査官たちの足が止まる。だが、チョウはジェーンが指差した先にあるものが目に入るなり、金髪を待つ足をさっさと動かしだした。だが、ジェーンは、止まったまま、ぽかんと口を開けて黒のパンツを身につけた下半身だけのマネキンを見ているリグスビーに囁く。「君、ああいうの似合うと思うよ。近頃、鍛えててお腹も締まってきてるし、きっとセクシーだ」「……そ、そうか?」ぴっちりと下半身のラインがでる下着が似合うと恋人から言われ事件現場に向かう途中だというのに、少し照れ気味にリグスビーが頭をかいている。いくら待っても追いついてこない二人に、ずいぶんと先を行っていたチョウが踵を返し、苛立ち気味に戻って来た。「何してる、さっさと来い。ジェーン」ジェーンはするりとチョウの隣に並ぶ。足早な歩みに懸命についていっているくせに、口は閉じない。「ねぇ、それで、チョウはどんなの履いてるんだい? 僕ねぇ、チョウなら白のブリーフの愛好者でも全然不思議じゃないと思ってるんだけど、実際のところは、どんなの履いてるの?」(リグと付き合ってても、先輩の下着に興味津津のじぇんちゃん)

(つづき)

チョウは無視したまま、現場にたどり着くと、さっそく鑑識の側に屈みこんだ。ジェーンはそんなチョウに目をやりながら、ついでにぐるりとまわりを見回す。腕を組んで仁王立ちのリズボンと目があったから、ひらひらと手を振って愛想を振りまいた。地元の刑事に呼び留められていたリグスビーが大きな背を丸めるようにしてせかせかと近づいてくる。「リグスビー、さっさと事件を解決してさ、さっきのアレ、買って帰ろうね」ジェーンは場違いな程華やかに微笑み、リグスビーを慌てさせ、リズボンに顔を顰めさせる。そして、自分もチョウの隣に屈み込むと、死体を覗き込む。「やぁ、これは、酷くやられてるね」怯えたように顔を顰めて割れた頭をしげしげと眺めると、顔を上げ、チョウと間近で目を合わせる。「でさ、チョウは、いったいどんな下着を履いてるの?」息をのむほど近い青に、チョウが一瞬言葉を飲み込む。「……トランクスだ」「……なんだ。つまんない」ジェーンは検視医に、死体をひっくり返してほしいと頼んでいる。「じゃぁさ、チョウ、トランクスが好きな理由はなんで? 解放感?」検視医が慎重に裏返した血みどろの身体の下に銃があって現場は色めきたった。だが、チョウが銃を取り上げる最中にも、ジェーンは顔色ひとつ変えることなく答えを待っている。「それが、この事件と関係あるのか……?」チョウの顔は渋くなる。「あるわけない。じゃぁ、色の好みは?」「……なんで知りたい?」「……なんとなく?」「……あんたたち、なんで、死体を目の前にしてずっとパンツの話ばっかりしてるわけ? 仕事しなさい、ジェーン!」おわり。(やっぱり、先輩のパンツに興味のあるじぇんちゃん)

 

(チョウジェン)

「ねぇ、チョウは、僕のお尻を舐めて、仲良くちょっと気持ち良くなるのと、僕に帰れって言うのとどっちが好み?」シャワーの後、コップに水を注ぎながら、ジェーンが何でもないことを聞くように尋ねてきた。そういうジェーンの金色の巻き毛は濡れてウェーブを弱くしている。まだ湯の匂いさえしそうな相手なのだ。元々選択肢などないような質問をわざわざしてくるところが、プライドが高くて頭のいいジェーンの面倒くさいところだとチョウは思う。「お前がシャワーから出てくるまで、ずいぶん待った。やらせろ」

ベッドにジェーンを連れ込んで、着なくてもいいのに着込んでいたジェーンのズボンをはぎ取り、チョウはなるほどと思った。なるほど、これのせいで、ジェーンは時間がかかっていたわけかだ。うつ伏せにしたジェーンの尻の穴の周りに生えていた毛が剃られている。さすがに驚きで、チョウも目を多少見開いたかもしれない。敏感にそれをジェーンは感じとってわざわざ口を開く。羞恥で身を竦ませ、赤くなっているくせにだ。「……気に入った?」

チョウが返事をしないでいると、ジェーンは居たたまれないのか、尻を捩ってチョウの手から逃げ出そうとした。チョウは、その尻に一つキスを落として、まぁ落ちつけと軽く宥めると、ジェーンの望みを叶えてやるため、きれいに剃られた尻を抱き込んだままベッドにあおむけに転がり、顔の上へと大きな尻を引き寄せた。元々ジェーンのそこは、薄いほうだったが、剃られて無毛になった場所に舌を伸ばした。つるりとしたそこは、小さな口にぎゅっと力を入れて皺を寄せている。舌先が触れると、ジェーンの尻が逃げるように顔の上から浮いた。腿に力が入っている。どうしたと言いながら、チョウは白い尻を引き戻す。「念入りに舐めて欲しくて、わざわざ剃ったんだろ?」(剃毛と顔面騎乗 笑)

(つづきっていうか、毛を剃ってるじぇんちゃん)

「ほんとに、なんでこう、やりにくいかな」ジェーンは自分がしていることの馬鹿馬鹿しさに多少イラつき気味だ。シャワーに時間がかかり過ぎていることを不審に思われないよう湯を出しっぱなしにしたバスルームの中は籠った湯気で息苦しい。柔らかいとは言い難いジェーンの身体は、こんな作業には向いていない。チョウとセックスするようになってから、今までに体験したことのない準備をする破目になったが、こんなことまで自分がするようになるとは、ジェーンは自分で自分が信じられない思いだ。尻の穴の周りに短い毛が生えていることを気にしたことなど、成人した後には一度もない。そこが毛深いかどうかなんてことは、思いついたことさえない。なのに、今は、剃刀を手にこのザマだ。見えにくい場所へと剃刀を当てるのに、怪我をするんじゃないかとひやひやしている。尻を掴んでもっと大きく谷間を広げる。引き攣れる皮膚の痛みに、本当に自分が馬鹿じゃないかと思う。だが、チョウの熱い舌でここをくすぐられるあの気持ちのいい感触を、もっと強く感じたい。薄くて敏感な皮膚を舐め尽くす器用な舌先が、自分の穴をこじ開けて潜り込んでくるときの、腰骨をぞくりとさせるあの快感を、もっと楽しみたいのだ。ジェーンは欲張りな自分の欲望に、軽い舌打ちの音をさせ、恥ずかしい作業の続きに戻る。「ああ、もう、ほんとに!」剃ったここを目にした時のチョウの反応を思えば、それも羞恥の極みだった。(おわり)

 

(ちょうじぇん)

大きく口を開いて、吸いついてきたかと思えば舌を動かしながら、懸命に鼻で息をしている。柔らかで温かな舌が自分のペニスに絡みつくのを、心地よく感じながら、下腹に顔を寄せるジェーンを見下ろすチョウは、癖のある金色の巻き毛を指先で撫でた。褒めるようなそのしぐさを嬉しげに見上げてくる目は、意志の強さを感じさせる印象的な青だ。自尊心をくすぐられることを心地よさ気にした目は、チョウを見上げて目尻に皺を寄せにこりと笑うと、また、自分の楽しみでもある作業へと戻っていった。口の中にあるものをかわいがるのがジェーンは嫌いじゃない。それが自分の思い通りに快感を訴え、大きくなり、限界へのカウントダウンを知らせてくる時など、楽しいおもちゃで遊んでいるときほどにも夢中になってしゃぶっている。今も熱心に吸い上げている。舌をどう動かせば、このペニスが追い詰められ、自分の思い通りになるかと金髪は意地の悪い楽しみに夢中だ。(ちゅーちゅー、もぐもぐじぇんちゃん)

(舐めてるじぇんちゃんのつづき。)

「んっ」鼻にかかったくぐもった声を出しながら、ジェーンは夢中になって口の中のものをしゃぶっている。薄い色をした形のいい唇が、ごつごつと血管の浮き出た醜いものをためらいなく奥まで咥え込んでいる。さっきまで下着の中だったそこは、一日溜めこんでいた体臭が匂うのか、時々金髪は、ピクピクと陰毛の中で鼻を蠢かしていた。口内にわざとためたぬるついた唾液が、口から零れ、きれいな顔を汚していた。「っは、んん」苦しいのなら、咥えたペニスを離せばいいものを、ジェーンはかぶりついたまま、舌を使うのをやめようとしない。青い目を隠すように睫毛を閉じて、夢中になって口を使って吸いついてくる様子は、そんなにもこの硬くて太いものをしゃぶるのが、気持ちがいいのかとチョウの興奮を刺激した。ジェーンは舌先でペニスの先を包んで、ちゅぱちゅぱと音をさせて吸い上げてくる。思わずチョウの腰がぶるりと震えると、目を閉じたままのジェーンの口元がにんまりと笑った。大きく口をあけて奥まで咥え込もうとする。温かでやわらかい口内と舌だ。それが、チョウの太く硬いペニスを締めつけ、ドクドクと脈打つものにぬめぬめと絡みつく。唇も、その周りの肌も、口から溢れだしたものでべったりと汚れているというのに、ジェーンは、また、んんっと呻きながら、顔を前後に動かしだした。(おわり)

 

(まっしゅばーんじぇーん)

「あっ、あ、あっ、あ!」自分が恥ずかしい声を出しているのは、わかっていた。だが、止められない。「あっ、や、いいっ、……もっと、ぁ、ん、……もっと、もっとして」与えられる刺激は単調で、はしたなく開いて強請る股の間を割り裂くマッシュパーンのたくましい腰だって、なにも強引な動きなどしなかった。だが、たまらなく気持ちがよかった。突き入れられる箇所の肉が熱を持って疼き、もう、その快感以外の何にも意識が集中できなかった。金色の髪を振り乱しながら、太腿の間に挟んだ腰に両足絡ませ引き寄せる。抱き寄せた肩にはぎゅっとしがみついた。「っあ、んっ、……あ、あ、それ、いいっ、……んっ、いい、……っ」ぬるついた肉の奥をもっと擦って欲しいのに、なぜか首を何度も振っている。耳元でマッシュバーンが笑うのにも、ジェーンは何の皮肉も返せなかった。「っは、ぁ、……あ、あっ、……んっ、もっとっ」「日頃の慎み深さはどこにいった、パトリック?」「あっ、だって、いいっ、だめっ、……すごく、っ、いいっ」「これが?」マッシュバーンは殊更ゆっくりと腰を使う。だが、そのゆるい刺激にジェーンの下腹は濡れ、腰はぶるぶると震えた。ジェーンとて生娘あるわけでなし、それどころか、チョウというパートナーがいて、セックスにだって十分に満足している。しかし、マッシュバーンのそれは、まるで違うものだった。物足りないほど優しく肌に口づけ、硬く猛ったもので濡れた肉を押し開く。簡単にいえば、ただそれだけだ。だが、終わりなく執拗に繰り返される挿入は、いつの間にか、ジェーンの身体を熱くし、もう骨までぐずぐずに蕩かしてしまっていた。肉の中をちょうどいい硬さのものに押し開かれ、擦られるのがたまらない。自分が泣き出してしまっていることにも気付かず、ジェーンは力の入らない足で、また、マッシュバーンの腰をもっとと手繰り寄せた。「パトリックが、こんなはしたないことのできる人間だとは思わなかった」涙で濡れた髪を梳きあげながら、耳元で息とともに吹きかけられたマッシュバーンの皮肉にも、ぞくりと腰が震えただけだった。「……きもち、っ、いいっ……ぁ、っ、ああっ!」「それは、よかった。まぁ、君にそう思ってもらうために、俺もここにいるんだしね」「っは、っん、……、っと、ぁ、もっと」「いいね、素直なパトリックは、とてもかわいらしい」

 

「あのさ、……あなたって、若い女の子が好きだよね? あんなセックスを教え込んだら、彼女たち困るんじゃないかな?」「それは、褒め言葉として受け取っていいのかな、パトリック?」ジェーンは、朝日の中で顔を顰めた。(おわり)

 

 

 

読みにくくてすみません。

大半がついったーで書いてたものです。なので、欲望ばっかりが詰め込まれてます(笑)