僕はきみのもの

 

きれいに片付いているわけでも、乱雑に散らかったわけでもない人の部屋の中の物の隠し場所を、どうして、ジェーンが知っているのかという腹だしさを含んだ問題について、チョウはもう、考えるのをやめていた。

欲しいものがあれば、ふらりと部屋の中を歩き回り、勝手に探し出してくるジェーンは、いっそ、警察犬の仲間入りでもしたらどうだという鼻の良さで、チョウが隠しておきたいものを見つけてくる。

今も、貸してやったTシャツの下には下着一枚の姿で、両手に、エロ本と、DVDを持って、上機嫌に笑っている。

チョウにとっては、スポーツチャンネルさえあれば、夜は長くないが、横に座るジェーンがすっかり飽きているのに気付いたのだ。面倒くさいとは思ったが、それほど盛り上がる試合でもなかったから、他に何か見るかと退屈そうな金髪に聞いた。

そうしたら、僕ね、見たいものがあるんだと、ソファーから立つとすたすたと歩いて行き、寝室から人がせっかくしまっておいたものを持ってきた。

「雑誌の号数が少し古いのが、ちょっとうれしいかな。僕と付き合うようになってからは、使う必要ないってことだよね?」

いい年の男なんだから、そんなものがベッドの脇にあったとしても、恥ずかしいとも思わないが、わざわざ持ち出されるのには腹が立つ。一緒に見たいなと、ジェーンは笑っているが、それを見て、抜きたいから、では、なさげなのが、鬱陶しいのだ。

「そんな気はしてたんだけど、僕ってチョウの好みそのままだよね。巻き毛のブロンドにブルーアイ。胸やお尻の大きさより、顔の整った子の方がチョウは、好きだよね?」

どうしても開き癖のつく雑誌は、人の観察に長けた金髪にとって、情報の宝庫に違いない。

そして、にやつくジェーンを前に認めたくはないが、確かに、チョウの目が行くのはどうしても、金髪とブルーアイだ。だが、残念なことに、好みそのままの容姿の人間と付きあったことは、今までない。

「ねぇ、一緒に見ようよ」

胸を突き出しているブロンドがパッケージのDVDを差し出しながら、ソファーの上のさっきまでの場所にジェーンは滑り込んできた。クッションの位置を直しながら、チョウに、DVDを手渡す。

「僕も、こういうの見るの久しぶり。勃たなくて、どうしようかなって思ってた頃は、結構色々見たんだけど」

AVを一緒に見るのなど嫌で、チョウがパッケージを持ったまま顔を顰めているのを、胸もアソコも隠していない女の子たちがセクシーなポーズをとっているグラビアをペラペラと捲り始めていたジェーンが、どうしたの?と、言った顔で覗き込んでくる。

「普通っぽいのかと思ったけど、すごく特殊な内容だとか? 大丈夫だよ。本当に、結構色々見たから」

励ますように、優しげに何度も頷かれて、チョウは、もうげんなりした気持ちになり、デッキへと乱暴にDVDをセットした。

いきなりの激しいファックから始まるのは、こうものでは、ありがちだが、何度か見たことのある内容は、たとえ大きく喘がれようと、その気でもないチョウにとってつまらなかった。

ジェーンも、雑誌を捲りながらの鑑賞だ。

「胸、大きいね」

腕を掴まれ、バックからがんがんやられて、いい、いいと喘いでいる金髪は、胸がゆさゆさと揺れている。

「……そうだな」

深くソファーに掛けるジェーンは、テレビ画面にも目をやっているくせに、やはり、チョウがその雑誌で一番気に入っていた金髪を探しだしていた。立てた膝と腹の間で、そのページを開けたままにしている。

豪華な金髪が覆う顔立ちが意外な程知的なのがよかった。その上、気の強さを窺わせる青い目が挑発的にカメラに笑う。それから、彼女の、長く細い手足も好みだった。

チョウの視線に気づいたジェーンが、どう?と、ページを見せる。わかっていて、にこりと笑いかけてくるから、金髪のやることは、腹が立つのだ。

チョウは顔を背け、テレビ画面に集中する振りをした。

だが、そんな馬鹿馬鹿しい状況でも、振り立てる腰を捩るブロンドの陰毛や、大きく開かれた口から洩れる喘ぎといった刺激を視覚と、聴覚に受け続ければ、勃つのだから、男という生き物は単純だ。

「ねぇ、チョウ」

下着を盛り上げる前に、ああ、くそっと、チョウが間の悪さを感じているというのに、ジェーンが、ずるずるとソファーの背をずり下がっていき、終いには、足をソファーの上に上げて横になり、チョウの膝の上に頭を乗せる。

チョウも、後は寝るだけだと、ジェーンと同じ下着一枚に、Tシャツだけの格好なのだ。腿にのるやわらかな髪が擽ったい。

だが、構わず、ジェーンは、画面に視線を向けている。

「あの子、かわいいね」

そのかわいい娘は、膝立ちで、男のものをおいしそうに頬張っている。

はぁん、はぁんと喘ぐ合間に、じゅぶじゅぶと大きな音を立てている。そそられないと言ったら嘘だ。

だが、それを見るジェーンはと言えば、興奮は全く見えず、勃ってもいない様子だった。

けれども、真剣に見入っている。

そんなので、楽しいのかと呆れながら膝に乗っている頭を見下ろしていると、画面に目を据えたまま、ジェーンがチョウの手を取って、自分の頭に持っていく。横着な金髪は、画面に見入ったままそれ以上、何もしなくて、撫でろということかと、チョウが髪に指を絡ませていると、もう一度ジェーンに手を掴まれる。

今度は、手が連れていかれたのは、ジェーンの頭を越えた、軽く勃った自分の股の間だった。

「どうぞ」

青い目が見上げてくる。

「……何をだ……」

「遠慮しないで、僕は、僕で楽しく見てるから」

悪戯に笑った目元は、くるりと頭の位置を返すと、柔らかな唇が、チョウの腿をかぷりと噛んだ。

「ちょっと、嫉妬しちゃうけど、僕は、心が広いから、君があの娘でしても、許すよ」

そう言うくせに、ジェーンは、軽く腿へと歯を立ててくる。

口を使う行為が心地よかったのか、それからしばらく、唇を腿に押し当てたり、甘噛みしてみたり、自分の唇でチョウの身体に触れるのを、大人しくジェーンは楽しんでいたが、不意に金色の頭が上がった。

「あ、それより手伝った方がいい、チョウ?」

あいかわらずの悪魔のひらめきを思いついた金髪は、身体を起こして、ソファーの上に大きく足を開いた膝立ちになると、青い目の目元を細めて、挑発的ににやりといやらしく笑う。

やわらかく温かなジェーンの唇で、腿の深いところを際どく触れられるのは、画面の派手なファックを見ているのなどより、ずっとダイレクトにチョウを刺激し、下着の前の盛り上がりは、さっきまでの比ではなくなっていた。

知っていて、その熱を持った部分にじっと視線を据えたジェーンは、自分のシャツの中へと、焦らすようにじりじりとゆっくり手を入れていく。

腰を前へと突き出した膝立ちは、欲しいと男を煽ってみせるの定番のポーズだが、テレビ画面とも、全く同じ角度だ。

やはりジェーンは、物事の本質を掴んで真似るのが上手いと思いながらも、前を硬く勃たせたままのチョウに出来たのは、顔を顰めることだけだ。

「結構だ」

「なんで? 僕じゃ、ダメ?」

Tシャツの下の手は、左胸を揉みしだいている。自分でしているそれに、薄くジェーンは唇を開けて顎を反らし、喘いでみせる。そして、ちらりと視線を投げかける。

「乳首、勃っちゃった」

指の間に小さく勃った乳首を挟んで胸を揉むジェーンは、開けた口の中で赤い舌を遊ばせながら、軽く腰を前後に揺すり出す。

腕の動きで、Tシャツの裾から見える肌の色に、チョウの視線が釘付けになれば、にやりと口元を卑猥に曲げた。

「見たいの、チョウ?」

「見せたいの、間違いだろ、ジェーン」

ジェーンは手を伸ばして、チョウの頬に触ると、にこりと笑い、その手で、今度はじわじわと下着を押し下げ出した。

頭髪よりは、色の暗い金色の陰毛が滑らかな下腹をうっすらと覆い始めた辺りで、ジェーンは、チョウに視線をよこす。

そして、チョウの視線が、卑猥なそこに張り付いているのを認めると、嬉しそうに笑って、下着から手を離してしまった。

隠れてしまったそこに、チョウを軽く失望させたくせに、ジェーンは、またすぐに、下着の中へと手を滑らせた。

手の形に膨らんだ前は、そこで行われているいやらしい動きを、布越しにチョウに教えた。

小さな胸を揉む手も止まらず、喘いでみせながら、ジェーンは腰も大胆に揺すり続けている。

下着の中で行われているオナニーに、下着は腹の半分までずり下がった。

腰を大きく前へと突き出したまま、自己の快感を追うようにジェーンは目を伏せ、喘ぎを漏らす。

だが、合間に、金色の睫毛をちらちら動かし、うっすらと目を開けては、チョウの様子を窺っている。

完璧にコピーされた官能的な表情よりも、その挑発的な目付きの方にチョウが興奮すると言ったら、ジェーンは、面白がるに違いない。

だが、ジェーンの方は、チョウの前で、いやらしく自慰してみせることで、本当に興奮でも感じたのか、勃ってなかったものがゆっくりと反応しはじめたようで、押えようとしているが、かすかに息を潤ませ始めていた。

「……っん……」

青い目も、うっすらと潤み始めている。

だが、本当に興奮し始めると、大胆に揺れていたジェーンの腰が、遠慮がちに動きを留めるようになり、手だけがもぞもぞと下着の中で動くようになっていく。

チョウは、ぎしりとソファーを軋ませ、ジェーンに近づくと、耳元に口を寄せた。

着替える前に浴びたシャワーで、ジェーンは同じソープを使ったはずなのに、鼻をくすぐるのは、それよりも格段にいい匂いだ。

「……何、チョウ?」

尋ねるために唇から洩れた息が湿っていた。

「ジェーン、お前、準備してこいよ。いつもより、きれいに洗って戻って来い」

 

え?と、ジェーンは大きく目を開けたが、チョウが耳を甘噛みしながら、押し切るように、してきてくれと丁寧な言葉で要求を言いなおせば、しばらくのためらいの後、はぁっと息を吐き出して、しょうがないねと、チョウの頬にキスをした。

バスルームからの戻りが遅いのは、「それ」が、ジェーンの予定に入っていなかったからだろう。

自分を納得させるだけの時間を使い終えた後、ジェーンは肩と腰にタオルだけを巻いて戻って来た。

チョウは、その身体を抱きしめる。顔にも水を被ったのか、髪が濡れている。

チョウは、濡れた巻き髪の先に口づけ、そのまま頬に、そして、唇へと、自分の唇を滑らせて、キスしていった。

ジェーンがバスルームに消えている間に、用意したジェルを、身体の上に抱いたジェーンのタオルで隠された丸い尻の間に塗り込めていく。

「冷たい」

軽い睨みを、チョウは抱きしめた。

「すまん」

水気を残したジェーンの身体は、まだ緊張に硬く、狭い入口は、指を容易に飲み込もうとしない。

チョウは、ジェーンをなだめるようにうつ伏せた背から腰の間を撫でながら、慎重に、執拗に、ジェルでそこを解していった。

「もう遊ばないのか?」

派手な喘ぎ声の続く、テレビはもう消していたが、さっきまでの大胆さと、今とでは、ジェーンの様子が違い過ぎた。今は、しおらしいほどの大人しさだ。

からかうようなチョウの声に、すがるようにしがみついていたチョウの首からジェーンが、むっと顔を上げる。中を開くために動く指の感覚に慣れられず、狭肉の中で行われている掘削の動きに、眉の間へと皺を寄せているのがかわいらしかった。

チョウが少し笑ったのに、ジェーンは苛ついたようだ。

違和感を嫌って曲げていた口を軽く開け、あっと喘いだ。いや、喘ぐ真似をした。

少し腰を上げて、チョウの指を好んで受け入れているようなポーズを取ると、目を伏せ、奥を穿つ指の動きに合わせ、もう一度、あ、あっと、喘ぐ。

チョウは、それを笑って見上げながら、狭い肉路を拡げて行くだけの動きから、ジェーンが感じることのできる浅い位置での緩やかな挿入に指の動きを変えた。

絡みついてくる濡れた肉を、掻くようにして、ジェーンに中で感じさせる。

湿った肉の中の軽く盛り上がった部分の側ばかりを、ゆっくりと何度も指で辿ってやれば、ジェーンの腰がゆらゆらと揺れ始めた。

二本合わされて動かされる指は、いつものものよりずっと細くて、とうとう観念したジェーンはリラックスしはじめたようだ。

そこを触って欲しいと、急かすようにチョウの首を抱いた腕の褒美に、焦らしていた一番感じるところを触ってやれば、指を飲み込んだままの尻を揺らして、本物の、軽い喘ぎを喉元で漏らした。

「……ぅ、んんっ」

 

もう、ジェーンは、3本の指を飲み込み、身体を揺すっている。ジェルで濡れそぼったあそこは、ヌルヌルで、指が激しく挿送されても嫌がらない。

チョウは、ジェーンにソファーの上へと伏せさせると、腰を高く持ち上げて、ずぶりと自分のものを埋めていった。

「あ、っぁ、待って、チョウ!」

びくびくと内腿が引き攣る中は、熱く、ずぶずぶと容赦なく穿っていくペニスに肉襞は、やらかく絡みついてくる。

「……っは、あ」

衝撃を受け止めるために、繰り返す、ジェーンのせわしない呼吸に合わせ、ドクドクと粘膜が蠢くのも鮮明に感じた。

ヌルヌルの肉襞は、僅かに動いたチョウの太いペニスをきゅっと締めつけ、自分の意思ではないその動きに、ジェーンがあっと、声を漏らす。

濡れた熱い肉のあまりの感触の良さに、チョウが、堪えきれず、馴染むのも待たず、二度、三度と、ジェーンを突きあげると、しなやかなジェーンの背が反り返った。

「あっ、待って、待って、チョウ!」

力の入った右尻肉の高い位置にきゅっとえくぼが寄る。

締まりのいい慎ましい尻は、チョウがずぼりと引き抜けばきゅっと口を閉じ、また、最初から肉の壁を突き破り、処女地のような場所を穿って、男のものを埋め込んでいってやらなければならない。

肉襞は、チョウのペニス全体を包み、きついほどに甘い圧迫をかけてくる。その上、蠢いて締めつける。このままでは、すぐ暴発しそうだと、チョウは、ジェーンの背に覆いかぶさった。

太く硬いものが、深い位置へとずるりと動き、ジェーンは呻いた。

だが、チョウは、更に奥へと押し込んだ。

ぴったりと重なった身体の体温を感じながら、ジェーンの前へと腕を伸ばし、散々指で後ろを弄っている間に、硬く勃っていたものをめちゃくちゃに揉みしだく。

ジェーンの腰が波打つようによじられた。

目を強く瞑り、顎を上げて、ソファーをきつく握ったままのジェーンが喘ぐ。

「ぁ、んっ、んん、っぁ」

だが、散々後ろを指で弄られて感じていたジェーンは、これだけの快感の波すら、やり過ごすことができず、きゅっと後ろを締めて、あっけなくチョウの手の中に埒をあけてしまう。

はぁはぁと喘いでいたジェーンのうっすらと涙の水膜で覆われた青い目が、息が落ち着いた途端、疑うように、チョウを見た。

「ねっ、チョウ……」

チョウは、着ていた自分のシャツで手を汚す精液を拭いながら、青い目を見つめ返してやった。

「なんだ?」

「君、ゴム、つけてないだろう」

「わかるのか?」

腹の奥で軽くペニスを動かせば、俯いてしまった赤くなっているジェーンの耳をチョウは噛んだ。

「違うのは、わかるよ。……その、どうって、言われると、言えないけど」

でも、ゴムの時の方がもう少し入れるとき痛いと、小さな声が答えていたが、だが、ジェーンが本当に言いたかったのは、別のことだったようだ。もう一度上げられた顔の中では、青い目が眇められている。

「どうして?」

咎めるように質す金髪の赤い耳をチョウはもう一度噛甘噛みする。殊更甘く耳の中に囁いた。

「お前に種付けするためだ」

聞き慣れない言葉を聞かされたジェーンの目は大きく見開かれた。

「生で出して、これから、お前を本当に俺の女にする」

「……何? ……チョウ?」

身体の下から本能的に逃げ出そうとする身体を強くチョウは押さえつけた。

足を絡めて、ジェーンを動けなくすると、繋がっている部分を軸に、ぱんっとチョウは腰を突き出す。

ジェーンが、ひゃんっ!と、場違いな声をだし、踏みつけられている足を痛がる。

だが、チョウは、構わず、濡れた肉筒の中へと挿抽をはじめた。

揺さぶられる身体を支えようと、ジェーンがソファーにしがみつく。

「っ、ぁ、……や、だっ、ねっ、嘘……だよねっ、っ?」

緊張に硬くなった背中を見下ろしながら、チョウは柔らかな尻を叩くようにして、腰を動かす。

「……チョウ、っ、しない、ぁっ、よ、ねっ? ……」

焦ったジェーンの声が、チョウに制止を求めたが、チョウは無視し、掴んだ腰を離さず、ぐりぐりと奥を穿つ。

何度も繰り返される強い挿入で、どくりと硬くなったものに、ジェーンは悲鳴に近い声を上げた。

中に、生で射精されるのかと思うと、ジェーンは恐怖で、パニックになった。

「やだっ、チョウ、嫌だっ!……嫌っ!!」

チョウとセックスしていたが、性交中に、尻の穴から精液を注ぎこまれるなんていうことは、想像もしたことがなくて、孕める女でもないのにそんなことをされたら、自分がどうなるかわからず、ジェーンは怖さに身体を震わせた。

だが、どれだけ、暴れようと、きつく腰を掴んだチョウの手は緩まず、尻には、何度もチョウの腰が当たる。

中を抉っていくものは、今までで一番硬く感じられ、深く埋められると、息すらできないような気持ちになった。

腰を振って、懸命に逃れようとしても、チョウの手は、ジェーンの腰を痛いほど強く掴み、上から押え込むように、腰を叩きつけてくる。

「いやだ、抜いて、チョウ、抜いて! 抜いて!」

捻じ込まれた奥で、更に腰を突きあげられると、このまま出されるんだと、とにかくそれが怖くて、ジェーンの恐怖は、限界に近かった。

額には汗が滲み、食いしばる歯は砕けそうな程だ。

「チョウっ、嫌ッだ!」

だが、容赦なく、チョウは、硬いものでジェーンの最奥を抉り続ける。

あまつさえ、尻たぶを開いて、晒したそこに、ぐりぐりと下腹を押しつけ、もうこれ以上ない深さで、ジェーンを揺する。

ひ弱な粘膜を、硬いチョウの陰毛がざりざりと擦っていた。

「やだ、っぁ! お願い、だから、チョウ、抜いて……っ、中に、出さない、でっ」

しかし、どれだけ、懇願しようと、深く肉壁を穿っていく、力強いチョウの動きには、変わりはない。

腰を持ち上げ直し、はっ、はっと息を吐きながら、ずぶずぶと、チョウは弱々しい柔肉を抉る。

引き抜く度に、絡みついてくる充血して腫れた粘膜に、また、チョウは、ペニスを捻じ込む。

包み込んでくるやわらかな肉襞の感触をたまらないと思いながら、チョウは、震える白い尻に、容赦なく突き上げを繰り返す。

「ジェーン、大人しくしろっ」

挿抽を嫌がって、振られる尻には、力が入り、思いもかけない時に、きつく締まるのも、チョウの勃起をさらに硬く、熱くさせた。

「や、だっ、お願いっ、……お願いっ!」

さすがに生の挿入では、濡れて締めつけてくる肉襞の感触が、あまりにも気持ち良すぎ、もう限界を感じたチョウは、ジェーンの尻を自分へと引き寄せると、嫌だ、嫌だと、逃げようともがいている白い尻へと思うままに腰を、パンパンと打ちつけた。

ジェーンは、必死に逃げようともがいている。

 

 

「ぅっく」と、いう呻きとともに、激しかったチョウの動きが止まり、ジェーンはひしゃりと中に広がるものを感じた。ドクドクと脈動するものから、注ぎこまれるものは、じわりとジェーンの中に広がり、満たしていく。

気持ち悪さに、ぞわりと、背中が冷え、思わず、目から涙が零れていた。

出された瞬間、何か大きなものがジェーンの中で挫かれた。

まだ、ジェーンの肛口を開きそこを我がもの顔で占領するものは、大きく硬いままで、ジェーンに肉の竿を噛ませ、ドクリ、ドクリと精液を噴射し、濃い液体を体内へと溜めさせ続けている。

種付け時のストッパーでもあるペニスの先の大きな張り出しに、肉路を塞がれているジェーンは、啜り泣きながら、身体を穿つものからの射精を受けとめるしかすべがない。

とうとう征服されたショックで、涙は、ぽとぽとと、顔を伝った。

「……酷い、よ……」

だが、同時に、なぜかジェーンは、心が軽くなるのも感じていた。

腹を満たしていくものが熱い。

自分を形作っていた枷が粉々にされた今、自分がただの容器にでもなった気分だ。

けれど、チョウに強く執着される器だ。

チョウが、背に覆いかぶさって来た。

掠れた声がする。

「俺と、この先もセックスする気があるんだったら、我慢しろ」

 

 

 

「さっきのAVだね? ……そいうえば、出して、出してって、言ってたね」

抜かれた後も、涙が止まらず、しばらく茫然としていだが、ようやく自分を取り戻したジェーンは思い当たった。そのからくりの単純さは、悔しい程で、ため息が出る。

「お前が見たいって言ったんだ」

ソファーから起き上がることもできずにいたジェーンを、一度も慰めようともしなかったチョウは、濡れた前も隠さず、床に座り込んでソファーに凭れている。

「それで、本当に、出すなんて……」

ジェーンは、ショックがまだ抜けない。

「嫌だって、あんなに言ったのに……」

「言ったか?」

ジェーンは一つ、チョウの頭を叩いた。

「本当に、ショックだったんだよ。チョウ」

チョウが見上げてくる。叩かれたはずなのに、満足そうな顔つきだ。

「だろうな……やめるか、ジェーン?」

実は、この甘い解放感は悪くないと思っているは、さすがに言いたくなくて、ジェーンは、チョウの頭を、もうひとつさっきより強く叩くと、何度も撫でた。

 

 

END