接続回路

 

広いオフィスに通され、ライリーは、ベン・ゲイツの後ろで、下を向いていた。

足元の絨毯は、ライリーのすっかり汚れたスニーカーで踏むには高価すぎるもののような気がして、居心地が悪かった。

所作無げにすっかり肩を竦めたライリーは、小さな体が更に小さく見える。

 

「・・・そして、これが、これから、俺の手伝いをしてもらうことにしたライリー。ライリー・プール。こう見えて、天才的なハッカーだ。これまでの資料作りにも参加してもらってきた。ライリーこちら、イアン・ハウ」

目の前ののっぽが、一通りの挨拶を済ませ、ライリーを紹介した。

ライリーの目の前に、すらりと長い指をした大きな手が差し出される。

「はじめまして」

低めの声が、耳に柔らかく響いた。

差し出された驚くほど美しい手を見ること、5秒。

それから、意を決して顔を上げたライリーの目の前には、豪華な金髪に彩られた顔が、にっこりと笑いかけていた。

「ああ、はじめまして。ミスター・・・」

ライリーは、見上げる位置にある穏やかな顔の華やかさに息を呑みながら、それでも、クールな自分を演出するため、口元を引き結び、作り笑顔を顔に貼り付け手を差し出そうとした。

しかし、出そうとした手が、この僅かな間に汗ばんでいた。

ライリーは慌てて手をズボンへと擦りつけた。

その動きに、笑っていた男の顔が、僅かに動いた。

緑の目に意地の悪い表情が浮かび、それは、この上なくイアン・ハウという男を魅力的に見せた。

ライリーは、機嫌悪く口元を引き締め、イアンの手を強引に掴むと、ただの握手にしては、強すぎる握力で握った。

ますます、イアンの緑の目が面白そうに笑う。

手を離したライリーは、自分のパートナーであるベン・ゲイツを見上げた。

「この人、性格悪いね」

ベンは、驚いた顔をしてライリーを見た。

「ライリー・・・」

たしなめる響きのベンの声は、しかし、ライリーの言葉を否定はしていなかった。

なるほど、ライリーは、ベンの夢への出資者というだけのイアンという人間を、ベンがどう評価しているのかは、まだ聞いたことがなかった。

「違うの?」

「・・・お前・・・」

困ったように、大きな目を伏せ目がちにしたベンに、イアンが近づいた。

肩へと手を回し、気にしていないと軽く撫でる。

「ライリー。私の性格が悪くとも、私の出す金までは性格が悪くなったりはしない。出来れば、出資者として、それなりの待遇で接して欲しい」

「たった、一つのことを証明するために、5通りもの仮説の提出を求めなければ、もう少し考慮するよ」

イアンは、ベンの肩へと手を置いたまま、自分の肩を竦めた。

「それは、この間のこと?ライリー、私は、君に、随分迷惑をかけたのかな?」

「いや、別に。ただ、そこの自称天才が、人のことを電源さえ入れればずっと動いてるコンピューターかなんかと間違えて、不眠不休の状態でこき使おうとするから、資料の提出には、できるだけ余裕のある日程を組んで欲しいね」

「ああ、なるほど。でも、私の方は、提出の日時を設定したりはしないんだよ。ベンが、とても熱心なんだ」

イアンは、なぁ。と、ベンの目を覗き込んだ。

その視線に誘い込まれるように、無意識だろうが、ベンの体が一歩イアンへと近づいた。

このイアンのという男は、自分の魅力を十分に知っていた。

その魅力を自分のために活用することにも躊躇いがないようだ。

目の前にぶら下げられた餌に反応したベンの前で、更に餌を振ってみせる。

「しかし、あのレポートは、すばらしかった。私は、ますます自分がこれから先の歴史において天才と呼ばれるだろう人間に金を出しているんだと、嬉しくなったよ」

ライリーは、ただの出資者にしては、胡散臭すぎる男を眼鏡の奥から睨んだ。

その視線を敏感に捉えたイアンが、また、僅かに口の端を上げた。

美しいグリーンの目が、何だ?と、ライリーに詰問した。

 

 

イアンは、体を寄せてきたベンを軽く拒むと、するりと元いた自分の位置へと戻った。

ベンを見上げ、にこりと口元を引き上げる。

「ベン、悪いが、外の連中に言って、飲み物を用意させてくれないか?いつもの店のが飲みたい。と、伝えて欲しいんだが」

イアンの体温が遠ざかるのを追うように、ベンの体が向き直った。

「それは、どこの店なんだ?近くか?」

ベンという男は、気さくだ。

「ああ、この建物から、3軒先なんだ。・・・もしかして、ベンが行ってきてくれるのか?」

申し訳のなさそうな顔をしながら、イアンは、自分からベンの行動を規定する言葉を発して誘導した。

勿論、と、ベンは頷く。

ライリーは、ベンを追い出したイアンが何をしようとしているのか不安になり、思わずうつむき眼鏡を押し上げた。

「ライリー、お前は何がいい?」

自分に自信があるせいか、いつも陽性なベンは、ライリーの感情には気付かず、もうドアの方向へと歩き出している。

「・・・何でも・・・」

行かないでくれとは、流石に言えず、ライリーは、ドアを開けるベンを見守った。

イアンは、ドアが閉まると、にこりとライリーに笑いかける。

ベンがいた時に比べ、随分と雰囲気が変わった。

笑う唇の角度が違うわけでもないのに、邪悪な顔をした。

「改めて、はじめまして。ライリー。俺に言いたいことが?」

今度の金髪は、手を差し出そうとはしなかった。

ライリーも挨拶を返さなかった。

「・・・・・・別に」

うつむき加減のライリーは、コミュニケーションの苦手なシャイな学生のように見える。

「本当に?・・・今までも、ベンからちらりと君の名前は聞かされていたんだ。政府機関が君のために席を用意してもいいと打診してきていたんだろう?天才ライリー。それなのに、あのベン・ゲイツと組んで、仕事をしようとするなんて、君は、才能をどぶに捨てるようなものだと思わなかったのか?」

イアンは、自分が金を出資しているプロジェクトに対して、酷い評価を下した。

そして、何故か親しげな顔をしてライリーに対して微笑みかけた。

ライリーは、ただでさえ、鎧の厚い心の警戒心をかき集めた。

「何が言いたいんだ?」

「その質問は、私がしたんじゃなかったか?」

机へと尻を乗せた金髪は、たばこを取り出し、口にくわえた。

金の掛かっていそうなライターを取り出し、火をつける。

「・・ああ、でも、君はシャイなようだから、私から言い出した方がいいのかな?」

不自然な程気さくな目をしてライリーを見上げたイアンは、髪をかき上げにやりと笑った。

「ベンから、ちらちらと君の名前が出始めた時点で、いろいろ調べさせてもらったんだ。君の学歴。家族。思想。犯罪歴。そして、思った。冒険家と一緒に組んで仕事をするには、現実的で、その上、気持ち小さい君が、ベンと組んで仕事をしてもいいと思ったわけは何だろう?ベンの言うひと一人で背負うには大きすぎるという宝の山に、目が眩んだ?いいや、ライリー・プールという人間は、そんな財宝なんかあるはずがないとどこか冷めた心を持ってる。そうじゃないんだ。ライリーが、本当に気持ちを惹かれたのは・・・」

たばこをくわえた口元を楽しげに歪ませたイアンは、目を細めライリーを見た。

ライリーは、屈辱を感じながら、その視線に晒されていた。

顔を伏せていても、イアンの視線が体を舐めていくのがわかった。

「・・・何が言いたい」

ライリーは、汚れたスニカーのつま先を見つめながら、小さな声を出した。

「何って、君の変わりに代弁してやってるだけだろう?ライリー。天才ハッカー、ライリー・プールが本当に欲しがってるのは、財宝なんかじゃなく、ベン・ゲイツという人間の肉体だって」

「・・・・・誰がっ!」

顔を上げたライリーが見たのは、ベン・ゲイツを誘惑する時にみせていた甘い微笑を浮かべたイアン・ハウの顔だった。

ライリーの怒声は、いささかの動揺もイアンに与えなかった。

イアンは、ごく自然な動作で、体を捻り、机の上に置かれた灰皿の上で、たばこをもみ消した。

それから、ライリーに向き直ると、ちろりと唇を舐めた。

「ライリー。ベン・ゲイツは、どうやら、年上の金髪がお好みのようだ」

「だからっ!」

「私は、まもなくベンをベッドにご招待することができるだろう。そう、もし、私から、言いだしさせすれば、今晩にでも。でも、そうされたら、困るんじゃないのかな?ライリー」

イアンの声は、からかうような響きだった。

ライリーは唇を噛んだ。

「・・・俺はっ!」

「ライリー。正直に。ここにベンはいない」

諭すように言うイアンに、ライリーは強く唇を噛み、眼鏡の奥の目をつり上げた。

「・・・・・だから?」

怒りのこもったライリーの声に、イアンは、おやおやと肩をすくめた。

「意外に気が強いんだな。でも、そろそろ正直に話しをしようじゃないか。もう、ベンも帰ってくる」

イアンは、ドアへと視線を流した。

ライリーは、イアンの言葉にひやりとしたものを感じた。

 

「この話題は、ベンが戻ってきたら、終わりになるのか?」

ライリーは、ドアの外に近づく靴音を聞き分けようと耳を澄ましながらイアンに聞いた。

緑の目は、にこやかな表情のまま口元を撫でる。

「どうだろう?試してみるか?」

「・・・イアン、あんたの望みは何なんだよ?」

「ライリー。自分より、でかい男が好みなのか?」

イアンは、たばこの好みを聞くように聞いた。

はぐらかすようなイアンの言葉に、ライリーは思わずくそ意地の悪いブロンドを見た。

イアンは、おもしろそうな表情をしたまま、小さく首を傾げて見せた。

「すこしばかり、君に興味があるんだよ。私は、君と違って、ああいったやたらとセックスアピールに溢れた男は好みじゃなくてね」

「・・・それが言いたかったのか?」

「そう。君がもっと友好的に接してくれれば、もっと話しやすかった」

ライリーは、自分の髪をぐしゃぐしゃとかき回し、豪華なシャンデリアを吊した天井を見上げると大きく息を吐き出した。

しかし、ライリー・プールという人間は、打たれ弱そうな外見よりももう少し強い。

「トレジャーハントの出資者として、俺は、あんたを遇しなければならない・・・・んだったっけ?」

イアンは、もう一本、たばこを取り出しくわえようとした。

ライターの火を近づけ、すこし考えるような顔をした。

「そうだな。ベンの持ってきた話には、とても興味をそそられてるよ。でも、あまり私の機嫌が悪くなるようなことがあった場合、ハントにかかる全額の出資は見合わせることになるかもしれない」

「・・・くそったれ」

「まぁね」

イアンは、楽しげに笑うと、私は性格が悪いんでね。と、嘯いた。

「いつ?」

ライリーは、もういつ開いてもおかしくないドアに視線を向けたまま、イアンに聞いた。

「今晩、9時。場所は、私の自宅でどうかな?それとも、自分の毛布がないと眠れない性質か?」

イアンから漂うたばこの煙が、ライリーの視線を動かした。

「別に。ただ、金髪とは、朝まで同じベッドにいないことに決めてるんだ。俺の好みは、ブラウンだから」

ライリー眼鏡の奥の瞳に力を込めて、イアンを睨み付けた。

イアンはライリーに手招きをした。

「坊や。キスの味だけ先に確かめさせてくれ。自分の目には自信があるつもりなんだが、たまに外れることがあるからな」

挑発的なイアン言葉に、カッとなったライリーは噛みつくようなキスをブロンドの薄い唇に与えた。

すると、ブロンドは、満足そうに笑って、ライリーの髪を撫で、とてつもなく柔らかな舌を与えライリーを翻弄した。

 

 

イアンによって渡された住所のメモを頼りに、ライリーが訪問すると、そこは、普段から住処を構えているといった雰囲気ではなく、別荘でもあるかのようだった。

「イアンに言われて来たんだけど・・・」

ドアを開けたスキンヘッドは、ライリーが視線を逸らしながら口にすると、憮然とした表情のまま、体を避けた。

スキンヘッドの体からは、獰猛な怒りがにじみ出していた。

ライリーは、その隣を、壁に沿うようにして通り抜けた。

 

奥のリビングで、くつろいでいたイアンは、ドアを開けたライリーを振り返り、酒の入ったグラスを上げた。

「こんばんは。ライリー。ベンは、君が出かけることに対して、不思議がってなかったか?」

ライリーは、ブロンドのこぼれるような笑みに、唇を噛んだ。

「・・・別に」

「そう、冷たいね。君のパートナーは」

イアンは、ライリーを手招き、隣に座ることを進めた。

スキンヘッドが、ライリーの開けっ放しにしていたドアを閉めながら部屋に入る。

緑の目は、男の姿へとちらりと視線を投げかけると、冷たく言い放った。

「ショー。邪魔するな」

「でも、ボス」

「でも、なんだ?ショー。こちらの坊やは、あの学者先生と違って、全くのインドア派だ。このライリー相手に、俺の身にどんな危険が迫るっていうんだ?今晩は、側にいたところで、なんの餌もやらないぞ」

イアンは、犬でも追い払うように、ショーに向かって手を振った。

だが、ショーは、ドアから出ようとしなかった。

立ち止まったままのショーの姿に、イアンの目がつり上がる。

「出ていけ。ショー。用があれば呼ぶ」

顎をしゃくったイアンの声に、ショーは、怒りに満ちた目と、食いしばった歯を見せ、きびすを返した。

イアンは、緊張に満ちたやり取りに動けなくなっていたライリーに、座るよう進めた。

ライリーの耳は、「ビッチめっ!」と、ののしるショーの声を拾い上げた。

 

 

「・・・あんた、相当趣味が悪いな」

ライリーは、イアンの隣に腰掛けながら、背中にしょっていたディーパックを下ろした。

柔らかなソファーに座っているというのに、緊張がとけない。

「そうか?ライリー?でも、お前、ショーが混ざったりしたら、役に立たなくなるだろう?」

瞳に好色な色を浮かべ、ライリーの股間を見つめるイアンの腕は、グラスを机の上に置くとためらいなく伸ばされた。

長く真っ直ぐな指が、ジーンズ越しに、ライリーのペニスを撫でる。

「番犬は、外にいて入ってこない。どうだ?これなら、ライリー・プールがただの天才ハッカーじゃないことを証明できるだろう?」

イアンは、予想以上の重量だったライリーのものに満足したように、目を細め、口笛を吹いた。

イアンの行動は、ライリーの予想を遙かに上回り、下品だった。

しかし、その美貌は、すこしも陰ることがない。

ライリーは、イアンの手から逃れようともがいた。

「イアン、あんたもただの企業家じゃない。悪党だろう」

「ネット上で、俺の正体まで近づけた?天才ライリー」

誘うような笑いを浮かべた美貌が逃げるライリーの目を見つめた。

ライリーは、顔を背けたまま、今日、ネットの海から引き上げた情報を口にした。

「あんたの口座は、入金先に不透明な会社が多すぎる。勿論、支払い先も同じだ。あんたの資産だって、あの規模の会社のオーナーにしては多い。金の出入だけ見ていると、限りなくグレーに近い白だ。ベンの持ちかけるような話に乗って来るには、とても相応しい人物としか言いようがない」

ライリーは、どこででも見かけるスタンドコーヒーの紙コップを手に戻ったベンと事務所に帰ってから、パソコンの画面の前を一歩も離れなかった。

しかし、ネット上に現れるイアン・ハウという人物は、投資家であれば、誰でも持ち得る程度うさんくささしか、そこに足跡を残していなかった。

勿論、背の低い若造が好みのタイプである等とは、全くどこからも拾い上げることができない。

「ライリー。口座の金を動かしたりはしなかった?一応、アレも、会社の運転資金として、必要なんだ」

「盗み働かない」

「そう。すばらしいポリシーだ」

イアンは、体を離そうとするライリーの腰を掴んで抱き寄せると、その膝の上に乗り上げた。

「ライリー。俺は、あの口座の金を半分程度使って、学者先生が持ちかけてきた夢に溢れる話に投資している。つまり、君への給与支払い人でもあるわけだ。そろそろビジネスの時間にしようか」

イアンの見下ろす顔は、華やかな笑いを浮かべており、その唇は柔らかだった。

 

 

ライリーは、柔らかく肉を付けた太腿を掴んでいた。

イアンは、色が白い。

強く掴んだライリーの指に、イアンの太腿が赤く色づいていた。

「・・・・っふ・・・うう・・・ライリー・・が、こんなに・・すごい・・とは、思わ・・なかった」

「・・っ期待と違ってて悪かったね」

 

最初にキスをせがんだ欲しがりな金髪は、せっかちにライリーのジーンズのジッパーを下げ、小さく見えた口でライリーのペニスを頬張ってみせた。

ちゅぷちゅぷと音を立て、熱心に吸い上げる。

口の周りを汚す金髪の髪を掴んで、ライリーは、ソファーへと両手を付かせた。

「ライリー。手荒に扱わないでくれ」

イアンは、髪が顔に掛かるほど激しく頭を振って嫌がり、抗議の目をライリーに向けた。

怒りに滲んだ緑の目は、ライリーを刺激した。

ライリーは、体を起こそうとするイアンの頭を押さえつけた。

「ライリー!」

「俺が、でかいのが好きなわけは、手荒に扱っても壊れない頑丈さのせいなんだ」

イアンが唸り声を上げた。

「・・・お前、壊れてるな」

唸り声まで、イアンの場合、甘く聞こえた。

「いい声。・・・ハッカーで壊れてない奴なんていないね」

ライリーは、金髪のシャツをめくり上げ、その背中の白さに思わず舌なめずりした。

頑丈そうな骨格と、体全体を覆う柔らかな肉が、随分と好みだった。

「これは・・・悪くない」

「坊や。自分の立場をわきまえろ」

イアンは、手酷くライリーを払いのけ、体を起こした。

イアンが本気になれば、ライリーに勝ち目などなかった。

まず、第一に、体のサイズが違う。

「実は、坊やが恐ろしく気位が高いということはわかった。だからと言って、お前の立場は変わらない。お前が、俺を満足させなかった場合、俺は、あの学者の先生を誘って満足させてもらう。それとも、援助を打ち切ろうか」

髪をかき上げたイアンは、自分からヌードになった。

全裸の体を惜しげもなく見せつけ、足を開いて、ライリーを誘う。

「ペースは、俺に合わせろ。わかるか?ライリー」

ライリーは、イアンに眼鏡を取り上げられ、素のままの目で、きつくイアンを睨んだ。

イアンは、くすくすと楽しげに笑った。

「ライリー、お前、その気性と、いつもどうやって折り合っているんだ?普段のお前は弱虫にしか見えない」

「尖ってる部分は、全部ネットに接続さ。・・・だから、天才ハッカーなんだ」

金髪は、唇を開いて、ライリーを待っていた。

仕切りなおしまで、キスからなところが、この男の傲慢さだった。

 

 

「・・・くそっ!なんて、尻なんだ!」

自分の身幅よりも大きな尻を抱えているライリーは、吸い付く大きな尻の誘惑に勝つことが出来なかった。

外的な要素から、甘いセックスを期待されがちなライリーだったが、実は、普段表に表れることの少ない激しい気性そのままに、絶対にイニシアチブを握って離さなかった。

それなのに、ライリーの目が、気弱に揺れた。

肉付きのいい尻は、ライリーを締め付け、極上の快楽を味合わせた。

泣き喚く金髪が思い通りになるまで、攻めてやるつもりだったライリーの自尊心を、白い尻は根こそぎ奪い取ろうとしていた。

「っぁあぁあっ・・・ライリー、ライリー!」

ライリーは、ぴたんと白い尻を張った。

「っこんなんで音を上げるつもりなら、最初から、コナなんかかけてくるな」

気の強い台詞を口にすることは、今のライリーにとって必要なことだった。

「・・・っひっ・・・あっ・・んっ・・はぁっ・・」

ライリーの下に這う金髪は、強引に突き上げるライリーに押され、ソファーに頬をこすりつけていた。

ライリーの肉棒は、その幼くさえ見える外見とは裏腹に、とても力強く、慎ましく閉じようとするイアンの肉壁をこじ開け、奥まで強引に押し進んだ。

ぐちゅり、ぐちゅりと音のする律動は、イアンの背中を震えさせる。

 

 

「んんっ・・・はぁ・・・っんあ・・・ああっ・・ああっあぁああ!」

長い指が、クッションを握り締めた。

ライリーのペニスは、イアンの内臓を押し上げるように、力強く、突き上げる。

「・・・っふ・・ん・・・あ・・・」

イアンは床へと膝を付き、ソファーに縋り付いていた。

汗で、自分の頬がソファーへと張り付くのを嫌がっていた。

「・・・いけよっ!・・・ほら、いけっ!!」

ライリーは、白い尻を思い切り突き上げた。

イアンは、甘い声を聞かせ続けてきたが、まだ、ライリーの思い通りにはならなかった。

「・・・んんんっ・・・あぁああはぁ・・・・んっんっ・・・!」

イアンの尻穴がぎゅっとライリーを締め付ける。

その締め付けは、痛いほどだった。

ペニスに集まる血を感じ、ライリーは、イアンの腰に爪を立てていた。

「・・・っいけって、言ってるだろっ!・・・」

「・・・ぁあっ・・・っん、ぁああ・・・っぅあはぁ・・・はぁ・・・ぁああはぁ・・・」

「・・・っくっう・・・・いけっ!この欲張りがっ!!」

息の上がったライリーは、思わず、白い背中に縋りついた。

 

イアンは、背中に掛かる重みを受け止めた。

ライリーは、荒い息をしたまま、イアンの背中に唇を這わせていた。

イアンは、叫び過ぎたあまり乾いてしまった唇を舐めた。

そして、自分を大きく広げているペニスを締め付けながら、小さく腰を揺すった。

「・・・・ぼうや、・・・っどう?・・・・満足か?」

「・・・あんた・・こそ、満足した・・のかよっ・・・」

ライリーは、大きく腰を動かした。

自爆することを覚悟だった。

このまま、イアンに動かれていては、完全に負けが決まった。

「・・・っぁはああっ!・・」

イアンが、高い声を上げた。

イアンの目が強く瞑られていた。

「っいいだろ?・・・っはぁ・・・、あんた、すっげ・・・いい。・・・もう、俺・・・ダメっ」

ライリーの食いしばった歯の間からは、息の漏れる音がした。

「ああっ!っぁああっ!ライリーっ!ライリー!!」

二人は、汗まれで、上半身だけソファーに倒れこんだ。

 

 

裸のままのイアンに、番犬が、水を持ってきた。

「わっ!」

ライリーは、汚れた下半身も拭わないままに、服をかき集め、ソファーの上に飛び退った。

スキンヘッドは、ライリーへなど一瞥もくれない。

だらしなく床へと足を伸ばす金髪を見下ろすと、コップを差し出した。

「サンキュー」

だるそうに手を上げたイアンは、水に口をつけた。

甘えたようなまなざしで、ショーを見上げ、新たな命令を、部下へと与える。

「汗で気持ちが悪い。体を拭ってくれ。ショー」

「はい。ボス」

湿った髪が気持ち悪いのか、しきりに髪をかき上げるイアンは、タオルを取るために部屋を出て行った部下の背を指差しながら、ライリーに言った。

「ライリー、お前の気持ちを優先させたから、勿論、ベッドの用意はない。用はすんだから、いつでもあそこから、出て行ってくれ」

「・・・・・ベンには、言わないだろうな」

ショーが、戻ってこないうちにと、ライリーは慌しく服を着ながら聞いた。

イアンが外し、ソファーの上へと放っておいた眼鏡をかければ、気弱そうな男がそこに出現する。

伏せ目がちなライリーを鼻で笑ったイアンは、もう一度ドアを指差しライリーに言った。

「なるほど、俺は、また一つ、ライリー坊やの弱みを握ったってわけだ。そのうち揺すってやるよ。それまで、大人しくしていてくれ」

イアンは、小さくあくびをした。

イアンの肩には、ライリーがつけた赤い跡がついていた。

それは、ライリーが、イアンに対して執着を覚えた故についた跡だ。

それを知っているイアンは、冷たい声を出し、もう、ライリーを見なかった。

廊下を歩く音が聞こえた。

獰猛な番犬が近づいていた。

「・・やっぱり、性格が悪いな。あんた・・・」

ライリーは、眼鏡を押し上げ、すばやくドアから姿を消した。

 

END

 

 

すっころんで倒れこんでいる姿など、アビゲイル博士より、ずっとヒロインチックだったライリー(笑)

かわいかったので、ハウたんとカップリングしてみましたv

実は、映画を観る前の一押しカプがこれだった。ってのもある(笑)