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*名医の判断
経験に基づく判断も勿論のこと、名医であるならば、常に学ぶ心を忘れず、外来患者一人一人に対しても真摯な診察をするようきつくカディから命令されたハウスは、例の如く、作り笑だとすぐわかる、けれど憎みきれないキュートな笑顔を浮かべると、病院の責任者であるカディ医師に返事を返した。
「へいへい」
ハウスの口からは、キャンディのスティックが覗いている。
「……今日の診察には、私もつきあうわ」
「それで、どうして病院へ?」
「あの、……右手が痛くて……」
大人しい風貌の30代の男は、腕組みして壁際に張り付く美人医師と、杖をついて洗われた強面の医者の視線を一身に浴び、落ち着かない様子だ。
「なるほど……」
ハウスは、患者に頷くと、ひょこひょこと足を引きずるようにして棚に近づき、その中に並べてある医学書という医学書を引き抜き、読み始めた。
あっちを読み、こっちを読み、腕についての障害が病変について調べるハウスは、一時間もしたころに、顔を上げた。
「もしかして、前にも痛んだことがありますか?」
「……あ、はい。……去年の夏に、」
「わかりました。では、再発したんでしょう」