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*食事療法のすすめ

 

「頭が痛いし、体の調子も悪いな……」

独り言のように呟いたハウスの言葉に、ハウスの弟子たちは、またかと顔を顰めた。

「今日サボったら、カディ先生に何言われるかわかりませんよ」

ペンを置いたキャメロンがそれでもハウスに声をかける。

椅子を引いてフォアマンが立ち上がった。つかつかと近づくフォアマンに、ハウスの方が一歩引く。

「なんだよ。本当に、体の調子が悪いって言ってるんだ」

「なるほど。じゃ、俺はちょうど医者ですし、診ましょうか。はい、あーん。口を開けて、では、舌を伸ばしてあーって声を出してください。確かに、ちょっと喉が赤いかな? これは、厳重な食事療法が必要ですね。肉は避けてください。上等な食べ物も一切取るのを禁じます」

「は? 何、言ってるんだ、お前?」

「そうして、せっせと金をためて、さっさと、俺に金を返してください。はっきり言っときますけどね、俺は、ウィルソン先生ほど気が長くないですから」