10
*食事療法のすすめ
「頭が痛いし、体の調子も悪いな……」
独り言のように呟いたハウスの言葉に、ハウスの弟子たちは、またかと顔を顰めた。
「今日サボったら、カディ先生に何言われるかわかりませんよ」
ペンを置いたキャメロンがそれでもハウスに声をかける。
椅子を引いてフォアマンが立ち上がった。つかつかと近づくフォアマンに、ハウスの方が一歩引く。
「なんだよ。本当に、体の調子が悪いって言ってるんだ」
「なるほど。じゃ、俺はちょうど医者ですし、診ましょうか。はい、あーん。口を開けて、では、舌を伸ばしてあーって声を出してください。確かに、ちょっと喉が赤いかな? これは、厳重な食事療法が必要ですね。肉は避けてください。上等な食べ物も一切取るのを禁じます」
「は? 何、言ってるんだ、お前?」
「そうして、せっせと金をためて、さっさと、俺に金を返してください。はっきり言っときますけどね、俺は、ウィルソン先生ほど気が長くないですから」