今日の妄想2
会議室で新しいホームズの衣装を見せられている最中に、違いを比べるために用意されていた前の衣装をくれないかと持ちかけたのは、ロバートだった。もう着ない予定のそのホームズの衣装は、何着も同じデザインのものがあり、ヒット映画の主役の希望は、簡単に叶えられた。
ジュードのワトスンの衣装まで手に入れたロバートが嬉しそうに言い出したのは、ワトスンと、ホームズごっこだ。
ジュードが衣装を着るのを手伝ったロバートは、少し離れた位置まで下がり、目を細める。
「私のワトスン君だ」
照れ臭くて、ジュードが少し笑いかけると、ロバートは、せっかく着ていた自分のホームズの衣装を、下だけいそいそと脱ぎ始める
「え?」
「お前は、脱いじゃだめだぞ、ジュード。俺が、乱したところだけだ」
そして、ワトスン博士の前だけを乱したロバートは、もう力を持ち始めているものを握ると、久しぶりだし、十分ご奉仕さしあげてからでなければ、これは、貰えるものじゃないからなと、一人にやにや笑いながら、御馴染のジュードと同じサイズのバイブを取り出してくる。
自分で尻へと嵌めながら、ジュードのものをしゃぶる。
「……あなたって人は……」
身体の熱で頬を赤くしているくせに、年上は澄ましたものだ。
「なんだい? ワトスン君?」
ロバートはバイブを嵌めたまま口の周りを汚してジュードのものを頬張っている。それはかなり扇情的な眺めで、ジュードも、舌でぺろぺろと舐めていたはずのロバートに急に吸い上げられたりすれば、思わず呻きが漏れてしまうほどだった。
ストイックなワトスンの衣装を身に着けたジュードのものを咥えたまま、上半身だけが衣装のままのロバートは四つん這いでしきりに腰を揺すっている。むずかるようなその動きに、ジャケットの背中には大きな皺ができている。
「ん、んっ」
僅かに、シャツの裾に隠れながら、バイブを咥えて低音のモーター音をさせているつやつやとした丸みの尻の落ち着きなさは、さっきから本当に酷くて、ジュードは、ふと思い当って、ロバートの股間へと手を伸ばした。
「っ、ん」
やはり、ぷりぷりとした丸い先っぽにある小さな穴からはとろとろ、粘液が漏れていて、もうあまり間をおかずに、爆ぜてしまいそうになっている。
「んっ、……ジュード」
甘えたように、サイズの大きなワトスンのシャツの裾の中の股間をロバートはジュードの手へと擦りつけてくる。
「べとべとじゃん……」
吐き出す息に、自分の声がかすれるのが、少しジュードは恥ずかしかった。だが、ロバードは満足そうに息を乱すワトスン博士を見上げている。
服装だってなんだって、ロバートの方が、乱れているというのに、全ては完全に年上のペースだった。ぺちゃぺちゃとわざと水音を立てて舐め始めたロバートは、いかせてくれと強請るように潤んだ大きな目で見上げている。ん、んっと鼻声を上げるロバートは、ジュードがそうすると信じている態度だ。
だが、手の中に握ったものを、そのまま扱いていかせてやるのが、ジュードはしゃくになった。
年上のくちにペニスを突っ込んだまま周りを見回せば、衣装をいれていた箱が開かないよう縛ってくれた紐が落ちていた。いいことを思いついたと、ジュードは身を折り曲げて、それを取ると、ロバートの目の前でひらひらと振って見せる。自分の頬はきっと赤く染まっているはずで、さぞ好色な顔をしているだろう。
「バイブなんかで、いかないよね、ロバート?」
返事を待たなかった。
「いかせる気はないから」
口を開かせ、濡れたペニスをずるりと引き抜くと、ロバートの衣装の裾をめくり上げて、大きな尻の真後ろに立つ。
バイブを飲み込むなめらかな尻の狭い穴は、咥え込んでいるもののサイズに広がり縁がひくひくと小さく蠢めいていた。腹に向かって緩やかに立ち上がっているものと、垂れ下がったボールを手に掴み、それに紐を絡ませる。
「……何する、気だ?」
さすがに、ロバートが不安そうに振り返る。
「もうちょっと、ロバートに舐めてて貰いたいから、我慢できるようにする気」
先端を濡らして硬く勃ちあがっているペニスとボールを一緒にしてに縛ってしまった。
ジュードの手の中のものは、いびつに捩れる。肉に紐の食い込んだ男のシンボルは痛みを想像させるみじめな姿だ。
「痛い?」
わかっていることを確認するために聞く。
「……痛い」
だが、そうされて、しっとりとロバートの瞳は濡れた。瞬きの多くなった目は、ジュードの視線をさけるように伏せ目がちになる。
いつも欲しがると言う程ではないが、それでも、ロバートは痛みが嫌いじゃなかった。だが、残念ながら、それほどジュードは痛みを与えることに興味が持てない。
しかし、今日は二人の気持ちが一致した珍しい日だ。
弱々しい態度を取りながら、痛みを期待して、息を弾ませ始めている人に、じわりと、ジュードの腰に熱いものが湧きあがってくる。
しっかりと紐を食いこませた勃起と、ボールを手の中で優しく撫で、ジュードはロバートの前へと位置を戻した。
「さぁ、もう一回おしゃぶりをしてくれる?」
ワトスンのベストの裾を払ったジュードに、ロバートは、小さく震える舌を伸ばして、硬く勃ったものへと触れてきた。
だが、おずおずと舐めていたのは最初だけで、次第にむしゃぶりつくようにして頬張り始める。
ぬるりと濡れたロバートの熱い口内を、ジュードは満喫した。舌がくねりながらしつこくペニスに絡みつき、ロバートの鼻から洩れる湿った息は、ジュードの下腹を擽っている。バイブを咥え込んで震える尻は、相変わらず、色っぽくくねくねと落ち着きなく動きまわり、気を抜けば、それに目を奪われたままロバートの吸い上げにやられてしまいそうだ。だが、今日、ジュードは、ロバートの口に出す気はなかった。顎が痺れるほど舐めさせて、それから、ホームズの衣装なんかつけてふざけているロバートを床に這わせて、欲しくてたまらなくなっている尻にいれてやるのだ。
「……ジュー、」
口一杯頬張っているせいで、ん、んっと鼻から声を漏らしていたロバートの声が、いつのまにか、涙声だ。舌の動きも鈍くなっていて、ジュードは両手でロバートの顔を挟んで上を向かせた。
驚いたことに、大きな目は、完全に潤んでいた。もう、涙は零れ落ちる寸前だ。そんな真っ赤な顔で、ロバートはまだペニスは口に咥えている。
「どうしたの?」
頬張ったものを健気にも吐き出しもせず、ロバートは苦しそうに息を吐いている。
「……痛、い……、痛くて、もう、我慢できない」
少し前とは全く違う様子で、くしゃりと歪んだ顔から、涙がぽろりと零れていった。
「あそこ?」
「……ん」
ぽろぽろと涙をこぼして、ロバートはジュードに助けを求めた。あんなに色っぽく動いていた尻が、痛みのためか、丸めこまれ床に着きそうになっている。その辛そうで、みじめな様子に、ジュードは、ぞくりと感じるものがあった。
「見てみるね」
後ろに回って確認してみれば、腫れあがったそこは、ぎちぎちに紐を食いこませていた。赤みも強くなっているかもしれない。
「外す?」
「……ん」
ロバートは、痛みに顔を顰め、今にも床へと伏せてしまいそうになりながら、それでも尻をジュードに向かって上げている。頬に涙を伝わせながら、鼻を啜っている。
「それより、先に、バイブを抜いた方がいいかな?」
尻の中からブルブルと伝わる振動に、糸のように先走りを垂らしながら、ペニスがぴくぴく動いていた。ジュードは、困惑する振りで焦らしながら、腫れたようになっているペニスを触り、そこに伝わる振動に目を細める。
「……わからない」
だが、とにかく、ロバートが今すぐ紐を緩めて欲しそうに見つめていて、仕方なしに、ジュードは、紐の縛り目へと手をかけた。触れられた痛みにロバートが短く悲鳴を上げて、身を硬くする。
ジュードは手早く紐を緩めた。
はち切れそうに縛り上げられていたものが、ふるりと解放される。
しかし、それは、縛り上げていた紐が外れると、それは一気にしぼむように小さく項垂れていってしまった。管の中に溜まっていたカウパーだけが、情けない姿になったペニスの先からとろとろと溢れ出る。
ひくりと、情けなく、ロバートがしゃくりあげた。
「これは、そうとう痛かったみたいだね」
あんなにヨガっていたバイブの効果も今はないようだ。バイブを嵌めた尻を晒して、はぁはぁと息をしながら寝そべるように床へと伏せてしまった背中をジュードは撫でた。
「抜くよ?」
「……うん」
「向いてなかったみたいだね」
ずるずるとバイブの抜けた穴は、中の肉を晒して赤かった。すぐには締まらない口が、柔らかく解けている。ロバートは、急所を責められ、弱り切った様子で尻を見せたまま床に伏せてしまっている。その年上の弱々しい様子に、ジュードの中に、じわりと湧きあがってくる獰猛な衝動があった。ホームズの衣装も乱したまま、啜りあげる音をたてながら、ぜいぜいと息をするロバートを見下ろしていると、それはますます下腹に熱く広がっていった。ジュードは、ロバートの尻の真後ろに移動すると、締まりのない穴の上へと硬く勃起している自分のペニスを押し当てた。押さえ込むようにして圧し掛かっていくと、同じサイズのバイブを咥え込んでいた場所は、抵抗もできずに、ずるりと太いものを飲み込んでいった。衝撃に、ロバートが息を飲み、頭を持ち上げ、強く背中をそらす。丁寧な仕立てのステッチが作るカーブが背徳的だった。力の入った尻を掴み、ジュードは腰を打ち付けた。最初から早いストロークに、ぎゅっと床の上のロバートの手が握りこまれた。だが、長くバイブを咥え込んでいた中は、蕩けるようなホットな肉が、程良く解れぐちゅぐちゅに濡れている。ジュードが思うさまに突き上げるのを、全く阻もうとはしない。それどころか、嵌まっていたバイブを失って、物足りなく思っていたと言いたげに絡みついてくる。
「……っひ、ん!」
それでも、ロバートの口から洩れるのは、悲鳴だ。身体には酷く力が入り、強張っている。
「良くないの?」
いつもなら喜ぶ、奥への突き上げを繰り返しながら、ジュードは犬這いのロバートの背を見降ろした。
「痛い……痛い、んだっ」
真っ赤にした顔をふりふりと振りながら、ロバートが涙声で鼻を啜りあげる。
ロバートの手が、股間をかばうように股の間に伸ばされていて、ジュードもそこを探った。そこは、さっき、あんなに小さく萎えていたくせに、尻の中を擦られる快感で血を通わせはじめ、大きくなりはじめている。
「勃つと痛いの?」
大きくロバートが頷く。背を丸め、股間を庇う年上がかわいそうだとは、ジュードも思った。だが、その怯えた姿が、酷くかわいらしいとも感じてしまったのだ。ジュードは、大きく腰を突き出した。濡れた熱い肉壁がジュードを迎え入れるように包み込んでくる。
「……っあ、あ!」
「完全に勃ったら、少しはましになるかもよ?」
ジュードに揺さぶられて、苦痛と快感の両方を味わっているロバートの顔は辛そうに顰められ、真っ赤だ。股間を包んでいるロバートの手を上から包み込んで、扱いてやろうとすると、流石にそれは、必死になってロバートが嫌がった。子供のように振られる頭の髪はくしゃくしゃだ。
「わかった……じゃぁ、これはしないであげるね」
絡んだ髪にキスを落とすと、涙目のままロバートが振りかえる。
「……酷い奴だ……」
長い睫毛がすっかり濡れて、目だって涙よりもさきに零れ落ちそうなほどだ。
「でも、好きなんでしょ?」
掴んだ尻を逃がさないまま、ジュードが大きく腰を突き出して、突き上げを繰り返せば、本人が泣いているというのにロバートのものは、どんどんと大きくなっていってしまう。
「痛いっ……んっ、ひっ……ジュー、ド、……痛いっ」
「し、ホームズ、静かに」
ホームズの衣装をくしゃくしゃのまま箱に納めるロバートは不機嫌な顔付きだ。その側で、まだスリーピース姿のジュードはいささか居心地悪い。
「ワトスン君、自分の衣装は、自分で片付けてくれたまえ」
ぼんっと音をたてて、ロバートは箱に蓋をする。
「ああ、勿論」
ジュードは、ワトスンらしく少し顎を上げ気味にロバートに返した。目があって、まだ鼻をぐずぐず言わせているくせに、ロバートが、不意にぷっと吹き出す。
「俺の、ジュードはごめんなさいが言えるはずなんだが?」
「……ごめんなさい」
見つめられて、何か、納得できない気持ちを心の端で感じつつも、ジュードは謝った。
「いいよ。悪くなかった」
にやりとロバートは笑う。
なるほど、目なんか、まだ真っ赤の癖に、不機嫌は、ただの意趣返しだ。
だから、この年上には、かなわない。
END