ジェイク×ダウニ

 

こいつに手を出したのは、間違いだったかなと、毎回ロバートは、ちょっとばかり後悔するのだ。

 

「ねぇ、舐めて?」

人の尻を掴んで、好き勝手に十分に突っ込んだ後のはずなのに、自分だけ気持ちよくシャワーを浴びて戻ってくれば、チュっとキスしたロバートの頭をそのまま股間へと近付けていく。股間を覆う少し癖のある滑らかなブラウンはソープのいい匂いだ。だが、静まっていてもでかいものを、若造から言われるままに口に咥えてサービスする気には、さすがになれない。強引すぎないのだが、遠慮もないやり方で、頭を押さえつけているジェイクを、ロバートは前髪の間から、見上げてやる。

「お前だけかよ?」

「ロバートもするの?」

不思議そうに覗きこまれて、ロバートはバツの悪い。確かに、さっきまで、もう勃ちもしないペニスをぶら下げたまま、突き上げられるままに、ひいひい喘いでいたのは、ロバートだ。もう、許してくれは、10回は言った。もう、やめろはその倍は言ったはずで、だが、そう言いながら、汗まみれの身体でジェイクにしっかりしがみついて、尻を開いていたのも自分だ。とにかく、ロバートのものは、ジェイクとセックスを始めた最初の一時間の間に、さっさと中身を撃ち果たし、もう、その後は、若造の独壇場だった。だが、まだ若造は、やりたりないと、舐めろと言う。

「芯の通ってないのって、ふにゃふにゃしてて、気持ちいいから、べつにいいけど」

ロバートのものが、もう勃たないことを前提にジェイクはロバートの股間へと手を伸ばしてこようとする。

フェラしてやると言われても、全く反応しないものを触られるのはやはり嫌で、ロバートは、年下の腕を掴むと、自分の背中に回させた。ジェイクは、気まぐれな年上の行動を鷹揚な笑顔で受け止める。ロバートは、この笑顔に自分が騙された自覚ある。やたらと広いくせに、混乱する程物の溢れる撮影現場で出会ったジェイクは、人見知りするのかと思わせる恥ずかしそうに笑う顔の合間に、時々、若いくせに、包容力のある魅力的な顔をみせた。そして、ロバートに慣れれば、悪乗りには、すかさず追随してした。それも、ものすごく楽しそうな顔でだ。

 

ジェイクの大きな手が、背骨を辿るようにして、項へと上がってくる。ロバートが口を開けて、重い頭を擡げようとしている太い肉棒を咥え込むと、耳を触っていた指には、正直に、下へと押さえつけるような力が加わる。

「……すげ、気持ちいい」

舌が動きづらいほど、大きく口内を占めるジェイクのものは、太さだけでなく、長さも、張りもあり、フェラするだけなら、はっきり言って迷惑だ。口の端から、唾液が伝い、ソープのいい匂いをさせている陰毛が濡れ汚れていく。ざまぁみろと思うが、子犬が鳴くような、ふんふんという音を出して、懸命に鼻で息をしながら、口内を一杯に占拠しているものを舐めているのだから、全く様にならない。

ジェイクの手が、髪を撫でる。

「ねぇ、気持ちいいんだけどさ、ロバート、ねぇ、もしかして、怒ってる?」

絶倫の若造のために、だるい身体で年寄りがフェラしてやってるというのに、手抜きだとでもいう気なのかと、すっかり大きくなったものを口の中から吐き出して、文句を言ってやろうと思ったら、上げた顔を両手で掴まれてしまった。心配げにジェイクが瞬きしている。

「……怒ってない」

ロバートは、この年下のナイーブな表情に弱いのだ。思わず、目をそらしたら、まるでひざ裏をカクンとやられるかのような思いを味わった。いきなり年下は、人の弱みを抉ってきたのだ。

「ロバートのが勃たないって言ったせい?」

悪気がないのは、十分承知だ。ただ、ほんの少し、ジェイクは、年上に対する気遣いが足りないだけだ。

「坊主。それ以上言ったら、噛むぞ」

だが、許せるかと言えば、それとこれとは、話が別だ。しかし、ジェイクは、もう一発繰り出してくる。

「ねっ、お尻、弄ってあげようか?」

ふにゃりと見る方の気持ちがほどけるような笑顔でしてきた提案は、フェラ奉仕だけよりは、ずっと魅力的だが、勃たないならとセットでは、心情的に受け入れにくい。

「……黙ってろ」

「なんで? 俺、ロバートのお尻、弄るの好きなのに。……あ、それ、好き。みんな、俺のフェラするの嫌がるのに、ロバートだけ、すごく優しい……っ」

両手と、口内全部、そして、自分の持ちうるフェラ技術を全部持ち出して、やっとジェイクは口を閉じた。股間に顔を埋めるロバートのやり方がいい、気持ちいいと、呻くような喘ぎを聞かせて褒めてくるジェイクの声を聞いているのは、やっとこの若造をやり込めているようで正直気分がいい。

「……っ、ロバート、いい、」

さっさといかせて終わりにしようと思っていたのに、調子にのったロバートは、つい、ぴくぴくともういきそうになっているものを口の中から出して、舌の先だけで、焦らすように舐めた。

しかし、本気で焦れだしたジェイクが、ロバートの手を掴んでくる。大きな手は、ロバートに太く節だった自分のものを掴ませ、扱かせる。

「……お前な」

「あ、いきそう」

手の中の硬く太いものがビクリと震えて、ロバートの顔には、べたりと生温かなものがかかった。

ビクビクしているものをまだ、ロバートに握らせたまま、ジェイクは、はぁっと、満足のため息を吐き打している。

「……ジェイク、……俺の尻の中に、出しただけじゃなく、顔にまでひっかけて満足か……?」

「え? 飲みたかった? ごめん、俺、」

早くいった方が、いいかと思ってと、本気で申し訳なさそうな顔をするから、ロバートは、ジェイクの股間を渾身の力で一握りする程度で、許してしまうのだ。

「痛いよっ!」

「そりゃぁ、痛いさ、でも、さすがのお前ももう今日、撃ち止めだろ? 明日には、その位のダメージ、どってことない」

ロバートが顔についた精液を拭った手をシーツに擦りつけている間、大きな身体を丸め股間を押えて、かばっていたくせに、なぜか、急に自信を取り戻したジェイクは、ロバートは、ライオンのようにゆっくりと鷹揚な動作で、覆いかぶさってくる。

「それは、明日もしたいってこと?」

悔しかった。だが、

「……そうだ」

ロバートを押さえつけるように覆いかぶさったまま、ジェイクはぷっと笑った。笑うと、途端に目尻が柔らかくなる。

「しためとくって感じ? 悪いけどさ、ロバートの相手の中じゃ、俺が一番だろ?」

ジェイクは、優しげに笑うが、勿論、それじゃなかった。

ロバート好みに、この若造の闘争心は相当のものだ。自分も知っている相手を見下す目をして、自信満々だ。

……困ったことに、それは、間違いではない。

 

「俺、一人に絞らせてやろうか?」

 

どうする?と、キスしてくる男は、まるで自分に選択権があるように図々しいことこの上ないが、ロバートは、にこりと笑って、切り返した。

「坊主、捨てるぞ?」

甘いキスをしてやる。

 

「……なぁ、とりあえず、俺を風呂に連れていけよ。お前のせいで、髪が精液臭い」

抱き上げようと腕を伸ばしてきたジェイクの鼻にちゅっとキスする。-

「風呂場で盛るなよ」

ちらりと、ジェイクの股間に視線を向ければ、そこは、さっきのダメージなど全く見受けられない。

「……げっ」

ジェイクは照れ臭そうに笑った。

「努力はするけど、それは、約束できないよ?」

 

 

 

その後、泡まみれになりながらの、口腔奉仕を、ロバートは体験した。

 

 

 

END