ドッグ・スタイル(後篇)

 

大きなストップの声に、飼い主から突然のお預けの叱責を受けた犬のように、ロバートはびくりと動きを止めた。

ふさふさの犬の尻尾をお尻の穴から生やして、ジュードのものもまだ口に加えたまま、いやらしく自分のものまで握っているロバートはひどく驚き、大きく見開かれている目は、長い睫毛だけが、さっきまでの余韻でしっとりと濡れている。

ロバートの脇へとぐいっと腕を差し入れると、ジュードは、強引にその身体をソファーの上へと引っ張り上げた。

口に含んでいたペニスを引き抜かれそうになれば、とっさに手を伸ばして掴んでくるあたりが、ロバートのチャーミングなところだ。

だが、ジュードは、自分の行動がどれだけこの場にふさわしくなかろうと、どうしても、今、少しばかり真面に話がしたかった。煽られるままにセックスしてしまった後ではなく、今。

だから、急き立てるような劣情をねじ伏せた鉄の心情とはうらはらに、正直にも年上の行為にすっかり興奮し、ロバートの手の中でひくひくと揺れている間抜けなペニスは、解放してくれるよう、ロバートに頼んだ。

「ごめん、手を離してくれる?」

「……これから、か?」

突然の中断を、不可解に、僅かに右へと首を傾げたロバートは、不思議そうにジュードの顔を大きな目でじっと見つめている。なかなか離されない手に、ジュードが唇を尖らせば、ますます不思議そうにする。

「どうしたんだ、ジュード?」

ジュードは、自分のものから溢れだしたもののせいで、いやらしく濡らしているロバートの唇に、ちゅっと唇を合わせ、優しくその汚れを舐め取った。

「俺が結構涙脆いの、あなた知ってるでしょう?」

「……え?」

予想もしていなかったことをジュードは言い出し、もっとキスしようとしていたロバートは、肩すかしをくらった。

「こういうことするのに、俺だけじゃなくってあなただって興奮してるってのはわかってるけど、でも、だめだ。あなたがユーモア好きで、サービス精神旺盛だってことも知ってるけど、でも、こんなことされると、俺、せつなくて、泣きそうだ」

真剣に眉を寄せ、ジュードは言う。

「だって、ロバートがこんなことするのは、一週間、自分がいなかったせいだろう?」

ロバートはわからなかった。

「……楽しく……ないのか?」

「違う」と、ジュードは、顔を顰めて自分の髪をぐちゃぐちゃとかき混ぜた。

「そういうことじゃなくて、」

ロバートを抱き寄せ、肉付きのいい尻の谷間へと咥え込んでいる尻尾をぐっと握る。ロバートの喉が、あっと、声を上げて、身体が強張った。

「こんなのつけて迫られれば、すごく興奮する。あなたが、こういうの使うのに、興奮できるってのもわかってる。でもさ、この尻尾、突っ込んだ姿で、俺のこと誘ってみようかって思ったのは、俺がDVDを観たからだろ?」

ジュードは、ロバートの様子を覗いながら、大きく尻の穴を広げる犬の尻尾の軸を、慎重に引き抜き始めった。衝撃への怯えに、ロバートの腕が、ぎゅっとジュードの肩にしがみついた。濡れた内膜の中で抉るように動くものに、ロバートが息を詰める。ジュードは、キスでなだめながら、盛り上がるシリコンのストッパー部分を長く飲み込んでいた内壁が傷つけないよう、ふさふさと長い尻尾をゆっくりと回しながら引き抜いていった。赤い内膜をみせながら、ジェルでぬるりと濡れたストッパーが抜ければ、まるで元からそこに生えていたようだった尻尾は、ロバートから分離して、開いた足の間に落ちた。

「ジュード……!」

詰めてきた息を、大きく吸いこんだロバートはジュードを睨んだ。

「ごめん……でもさ、聞いてよ。俺はあなたが好きだよ。知ってるだろう? ねぇ? なのに、何で、あなたがこんなことをするわけ? 俺のこと好きだからってのはわかるけど、俺のこと大事なら、こんなことするなよ。せつないよ。俺、泣きそうになる」

だからと言って、ジュードは、本気で泣くつもりなど決してなかった。しかし、言い募るうちに、勝手に想像したロバートの不安に胸が締め付けられて、本当に涙が目尻から伝っていた。

「ジュード……?」

ジュードは、手の甲で目を擦りながら、鼻をすすった。ジュードは、たった一週間の不在の間にも、恋人の気持ちがブレるのを怖れて、ロバートがこんな奇策を思いついいたんだと気付いてしまった。せつなかった。

だが、この気持ちをロバートに、理解してもらうには、まだまるで説明の言葉が足りないともわかっていた。涙で歪んだ視界の中では、ロバートが狼狽に目を揺らしている。

しかし、一度涙がこぼれてしまえば、唇は震え、ジュードには言葉が紡げそうにもなかった。

「ごめん。ちょっと、タイム。待って、……今、説明する」

気持ちは焦るのに、感情の高まりに涙はどんどん溢れてくる。

「気に入らなかった……のか?」

「違う。……違うんだ。あなたをリラックスさせてあげられない俺が悪い」

鼻を啜りあげる音ばかりだ。

腕を伸ばしてロバートが抱きしめなければならないほど、ジュードの目から涙があふれている。

それでも、懸命にジュードは言葉を続ける。

「悪いのは、俺だ。でも、こんなこと楽しそうにやって、俺を興奮させるあなたも悪いよ。あなたが大事なんだ。でも、あなたはセクシーだし、俺は、ダメだってわかってるのに、こんなことされちゃ馬鹿みたいに興奮する。だけど、こんなことはするべきじゃないだろ? あなたは、俺の犬なんかじゃないし、俺も、犬みたいなあなたなんて、望んでないはずなんだ」

「犬、好きじゃなかったのか? お前、犬も猫も好きだって言っただろう?」

いきなり泣きだしたジュードが何かに不満を感じていることだけはわかったが、展開が突然過ぎた。ロバートの首は、不可解にひねられている。

「犬も、猫も好きだ。でも、違うんだ。そうじゃない。おれとあなたが、一緒に、この尻尾を着けようって決めるんだったらいいんだよ。あなたが一人で決めて、俺だけを興奮させようっていうのは駄目だって言ってるんだ」

ロバートにはジュードの言葉が理解しがたかった。

「……つまり、俺がこんなことをしようと思いついたことがいけないってことか?」

ジュードの説明はもどかしく、どうも、ロバートは、奇抜なプレイを実行した自分が責められている気がした。

違うと、首を振るジュードの若い頬を、また涙が伝う。

確かに、年下のこの男は、感情的になりやすくて、泣かない男ではなかったが、それでも、目の前でこうも泣かれれば、ロバートはどにかしてやりたくて、心がざわめいた。

「……わかった。悪かった。謝るよ。ジュード。お前の気に入らないことをした俺が悪かったんだな。すまない。お前と決めればよかったんだ。お前のいう通りだ」

興奮に赤くなっているジュードの耳を、ロバートの唇が癒すように触れた。はやく、泣かずにすむようにしてやりたかった。

「ごめんな。許してくれるか、ジュード?」

ジュードは、ロバートが誤解しているんだと言いたかった。謝る必要もない。

だが、もうロバートはあやすようにジュードの額へと何度も唇を押し当てる。何がしたい? お前のしたいようにしようと、また、ジュードを泣かせる。ロバートの言うのは、ジュードが言おうとしていたことを理解しているかのようだが、違うのだ。

 

抱きしめてくるロバートの少し萎えたものが、そっとジュードの腿へと押し当てられた。大きなロバートの目が、心配げにジュードの表情を伺っている。

目が合うと、ロバートは口元だけでにこりと笑う。

「その、仲直りしないか?……喧嘩をして、そのままにしておくってのが、俺は苦手なんだ。……ダメか?」

遠慮がちな、そのずうずうしい問いかけは、あまりに即物的だった。そのロバートらしいおかしさに、思わずジュードは吹き出していた。

緩んだ空気に、ほっと肩から力を抜いたロバートがジュードの頭を抱く。

「泣き虫坊ずの考えることは、全く俺にはわからん」

そして、ジュードの髪をぐちゃぐちゃとかき乱すと、天辺へとちゅっとキスをして、おどけた表情でジュードの視線を下へと誘導した。そこにあるのは、いまの出来事で力なくしたジュードの股間だ。

「せっかく俺が大きくしてやったのに……」

全く空気が変わろうとしていて、ジュードは焦りを感じた。

「ロバート。わかってくれるとうれしいんだけど、俺は、あなたのことが好きなんだよ。ロバート、俺はあなたが好きだって言ってるんだ」

ジュードは、ロバートの唇へと唇を押し当てた。ロバートがキスを返す。

「俺もお前が好きだぞ。せっかく勃たせてやったものをこんな風にしたとしても、許してやってもいい位お前が好きなんだから、相当だろ?」

だが、もうロバートは話をお終いにしようとしていて、にやにやと笑いながら萎えてしまっているジュードのものを掴んだ。何度もキスを仕掛けてくる恋人のやわらかい手で丹念に擦り上げられれば、さっきまで熱を持っていたジュードのものは、すぐに力を取り戻す。

大胆な行動を取っているくせに、ロバートの肌が、いつもに比べれば遠慮を残しているのにジュードは気付いた。かわいそうになって、ジュードは、ぎゅっと恋人を抱きしめた。本当は、こんな思いをさせたいわけじゃない。この寂しがり屋に自信を与えたいのだ。

「俺の言うのわかる? 好きなんだよ?」

「だから、俺も好きだって言ってるだろう?」

ロバートは笑顔だったが、どこかぎこちなかった。ジュードが、深く口づけると、ロバートは肩に顎を乗せて胸をぴったりと密着させてきた。ちいさく勃った乳首が擦れる。はっきりとした仲直りの確証を得たがってロバートの手が、ジュードの股間でせわしなく動く。

 

ジュードは、摺り寄せられている頬に音だけのキスを送って、片足を自分の腿の上へと引き上げると、開いた股の間に腕を潜らせた。

あっと、ロバートが小さく声をあげた。ジュードにしがみついてくる。

指先が触れた場所は、犬の尻尾なんていうオモチャを咥え込んでいただけあって、やわらく解れ、濡れていた。

無遠慮に、二本の指を緩んだ穴に突っ込んで、中で広げても、内膜は柔らかく広がり受け止める。ぬるつき絡みついてくる肉壁の中で、ゆるく抜き差しを始めると、そのリズムで腰を揺らしながら、半勃ち以上に回復したものをロバートはジュードの腹に擦りつけ、もっととねだった。体内の感覚を追うように、目を閉じたままのロバートが唇に啄ばむようなキスを繰り返す。

「気持ちいいの?」

閉じられた長い睫毛が小刻みに震えていて、ジュードは、まず、この人を安心させてあげる方が先だと、説得は今度の機会にしようとため息を飲み込んだ。

「ああ、気持ちいい……」

キュウキュウと指を締めつけながらの素直なロバートに、ジュードはくすりと笑った。

「だろうね、こんなに緩んでるもんね」

意地の悪いジュードの言い方は、ロバートの眉間に深い皺を刻んだ。

勢いよくロバートはジュードの肩から顔を起こす。

「お前のその口の悪いのは、どうにかならないのか。せっかく人が気持ちいいと思ってるのに、気分が萎えるだろ!」

眉を顰め、小言を言う口に、ジュードはキスした。わからず屋の愛しい人に、意地悪がしたかった。

「ねぇ、俺の嫌いなとこ、もっと言って」

「もっと?」と、ロバートはさらに眉を寄せた。ジュードは頷いた。すると、

「……泣き虫なところだろ。人見知りもするだろ。好みのタイプがいると、恥ずかしいくらいちらちら見るところに、一回笑いだすと止められずに、何テイクもミスするところだろ」

困ってくれるかと思っていたというのに、容赦なく次々とロバートは嫌いなところを上げていき、さすがにジュードは顔を顰めた。

「まだ続く?」

これでは、誰が意地悪をされているのかわからない。だが、ロバートは、指の動きに甘く鼻を鳴らし、身体を震わせジュードの胸へと胸を擦りつけておきながら、まだ笑う。

「ああ、まだ続くぞ?」

「酷いな。さすがに、傷付く……じゃぁ、好きなところはある?」

拗ねたジュードの鼻に、ロバートは唇を押し付けた。

「そうだな……あるか?……って、嘘だよ。まず、すぐ泣くところがかわいいだろ。それから、誰とだって上手く握手するくせに、実は人になかなか慣れないところに、バレるから見るなって言ってるのに、馬鹿みたいに俺のことばかり見てるところも嫌いじゃないぞ。それから、俺の冗談にマジでうけて、いつまでも笑い転げてるところも悪くない。……あと、その指の動かし方も好きだぞ」

耳元で官能的に囁くロバートの甘い声に、ジュードが抵抗できるはずもなかった。押しつぶす勢いでロバートに覆いかぶさり、その身体をソファーへと埋めた。ジュードの腰を挟んで開いていた太股を抱えあげ、尻を大きく開かせる。楽に指を咥え込んでいたやわらかな場所に、ぬるりと濡れた硬い先端を押し当て、力を入れて、ぐっと突き入れた。

呼吸を合わせようと、息を吐いていたロバートの腹に力が入り波打つ。ずぶずぶと太いペニスを飲んでいく場所は、しっとりと濡れて熱かった。はかない抵抗をみせ、絡みついてくる肉襞を押し分け、ジュードは、奥へと突き入れる。

ソファーの上へと磔になったロバートは、はぁっと呻きながら、背を反らしてその衝撃を受け止めた。

勢いのままに腰を動かそうとしたジュードは、伸びてきたロバートの腕で絡め取られて抱きしめられた。

ドキドキとせわしなく胸を打つ鼓動が重なっている。急ぎがちなジュードの腰は、心地よく締めつけてくるロバートの中で動きたくて、小刻みに揺れるが、ロバートは強くジュードを抱きしめ、その動きさえも許さない。

「俺が好きなんだって? ジュード?」

熱く湿った息がジュードの耳を甘く、噛む。

「すごく、好きだよ。なぜ?」

「じゃぁ、お前に仕事だ。すごく愛されてるんだって俺に感じさせてくれ」

ぴたりと寄り添った胸の、ロバートの心臓は、壊れそうな程せわしなく打っていた。ジュードは、込み上げてきた感情の激しさに震えた。

両手で愛しい人の顔を挟みこんで、強く、強く唇を押し当てると、腰に絡んでいたロバートの足を抱かえ直し、最奥へと情熱の限り、愛の証を打ちこんだ。

ぴしゃり、ぴしゃりとジュードの腹がロバートの大きな尻を打つたびに、開いたロバートの唇からは、短く歓喜の声が飛び出した。

「ロバート、ロバート。どのくらい、俺があなたのことが好きなのか、あなたは思い知ればいいんだ」

「っ!……っ、は、」

音がするほど尻へと打ちつけられる衝撃で、ロバートは、喘いだ。

「っ、アっー! ぁああー!」

その声を聞いて、ジュードは、さらに激しく動き出す。ロバートのやわらかくウェーブした陰毛と、ジュードの縮れた陰毛は分かちがたく擦れ合い、腹の間の狭い場所に挟まれたロバートのものは、漏らしたように蜜を零した。高く声を上げることを恥じもせず、声を出して喘ぐロバートが、小舟のように揺すられる身体をとどめようとしがみつくのが、ソファーではなく、自分の肩であるのに、ジュードは繋がっていてすら、まだ激しい接合の欲求に突き上げられ、熱く締めつけている場所をさらに深く占拠するために突き入れた。

「……んんっー!」

硬いジュードのペニスは、愛しい年上の快感で蕩けた肉筒の中を、ずぶずぶと、何度も出入りする。何度も、何度も。きついほどに締めつけてくる肉筒の中に、硬く太いものが抉り込むように嵌まっているのが、二人ともをたまらなく感じさせていた。

「ロバート、っ、いい? 感じてる?」

「あ、……っ、っん、あ、あー!」

ジュードから伝った汗が、せわしなく喘ぐロバートの胸を濡らしている。

最奥へと打ちこんだ腰をまだ突き出し、尻の谷間に股間を擦りつけながら、ジュードはぽちりと腫れているロバートの胸の赤い実を吸った。

「ハッ、ぁ、ん、……んんっー!」

 

ロバートの背骨にぼぉっと熱く溜まっていく快感の熱は、次第に体内でこらえているのが難しいものになっていた。突き入れられるのも、ぬるぬると濡れた中を掻きだされるのも、たまらなくて、力強く掴まれている太股がひくひくと震えた。ジュードは、まだ、ロバートの中を占領しようと、汗で滑る腿を引き寄せ、腰へと抱え直している。ロバートの喉からは、声というよりは、ただの音が飛び出していた。ジュードとセックスするたび、ロバートは、こんなのは初めてだ……思った。突き入れに、じんっと腰が痺れた。

「ひ、っ、あ、……っア!」

背を弓なりにしてよじった腰を、がっちりと掴んで引き寄せたジュードは、ロバートの尻が踏んだふさふさとした犬の尻尾を邪魔だとソファーの下へと払い落す。

すっかりロバートの乳首を唾液まみれにしたジュードは、胸から喉を伝って、顎へと舌を這わせ、干からびた喉を潤すように、ロバートの唇を吸いつくした。ハッ、ハッと吐き出されるジュードの息を、ロバートも酸素が足りないかのように吸い込み、潤んだ瞳で、もっとジュードの唇を求めた。

キスするために寄せてくるジュードの顔が、恐いほど真剣だった。だから、

「……お前、っ、ん、……顔、が、卑猥っ」

唇が離れると、ジュードが顔を顰めた。

「なんだよっ、じゃ、うつ伏せにしてやる、ロバート」

ずっと嵌めていたい硬いものを、ずぶりと引き抜かれ、ひっくり返された身体は、乱暴にソファーへと押しつけられた。膝を立てようとする間もなく、尻を掴まれ、引き上げられる。まだ閉じることもできずにいる場所に、ずぼりと、重く重量のあるものが突き立てられた。

「っ、あ!!」

それは、腹の前を内側から強く擦り上げて、ロバートの正気を粉砕してく。

「っ、んっ、んんっ、んー!!」

 

「あ、あ、あっ、……っぁ、アアー!」

 

「ん、んんうぅー!……アッ、っあー、ああー!」

「どっちが、卑猥なんだ。こんな身体して」

ぬるつき、火照ったロバートの肉筒は、ジュードが突き入れる度、きゅっ、きゅっと貪欲に、締めつけてくる。

ジュードは、全身で感じているロバートが、気がおかしくなるほど愛しく感じて、狭い肉筒の中へと激しく腰を打ちつけながら、抱きしめた身体の前に手を回すと、べたべたと濡れたペニスの先端も、睾丸ももみくちゃに撫でまわした。

「卑猥なのは、ロバートだろ。誰だよ。こんなに、漏らしてるのは?」

いまにもいきそうに、ビクビクと、ジュードの手の中にあるペニスは脈打っていた。

あ、あ、と、甲高い音を立て、ロバートは腰を揺する。

「くそっ、好きだ。ロバート、好きだ」

「もっと、……っ、ジュー、」

「……もっと、好きだって、っ言ってくれ」

くぐもった唸り声を上げて、ジュードは、ロバートを押さえつけると、逃げられない尻へと獰猛な掘削を繰り返した。

「んっ、ヒ、ぁ、ハっ、はー、んんー!」

ロバートの背中や、肩を、若い男の歯が噛んでいく。

「好きっ。好き、だ。っ、ロバート」

 

「…………っ、あ、あっ、あーーあ、っ!!

 

「っあ、っ、んんんんー!」

 

いくとも合図できない間に、ロバートのものは膨れ上がり、精液を吐き出していた。数度に分けて、白いものを勢いよく吐き出しながら、まだ、それは、ジュードの手の中でビクビクと震えている。

だが、高くロバートの尻を高く持ち上げたジュードが、末期の勢いで腰を打ちつけ出し、ロバートは、強すぎる快感に歯を食いしばりながら、涙で濡れた睫毛をソファーに擦りつけた。

 

「ぁ、あ、んっ、んー、んんっーー!」

 

「っう、ん、んっ! っぁあ、んー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「この尻尾、なかなかの出来だね?」

ぐったりとソファーにうつ伏せたままのロバートの腰を撫でながら、足先に触ったオモチャの感想をジュードは口にした。

「いまなら、がばがばだから、好きに差し込んでいいぞ」

返って来た答えは投げやりで、ロバートの声はかすれていた。

だが、口の達者な恋人は、顔を起こすのも大儀そうにしながら、すぐ付け足す。

「なんだよ。ジュード、犬ごっこは嫌いだったんじゃないのかよ? なんだ、お前がやりたいって言うんだったら、そうだなぁ、次は、首輪でも……あ、そうか、そうだったな。坊やは、二人で決めなきゃ、ダメだったんだったよな。どう? ジュード、お前、俺に首輪して引き摺ったりするのに興味ある?」

口ばかりは回るが、だるそうにゆっくりと身体を横向けたロバートは、汗で額に張り付いた髪を掻きあげながら、性感の満足に赤く火照った顔をジュードに向ける。

ふさふさとしたやわらかな尻尾の毛が足裏に触るのを楽しんでいただけのジュードは、ぴしゃりと、張りのあるロバートの尻を叩いた。

「何をっ!?」

「本当に、あなたって人は……!」

全然わかってない。

 

 

全然、ジュードの気持ちをわかってはくれないけれど、酷く自分を愛してくれているロバートが愛しくて、ジュードは、ロバートが痛がるほどぎゅっと強く、抱きしめた。

 

 

 

END