ワトずきんちゃん

 

昔、むかし、あるところに、ジョン・H・ワトスンという名のハンサムなお医者さんがいました。

お医者さんは、この田舎の村に越してきたばかりです。ちなみに、この田舎の村にワトスン先生が落ち着いたのは、ちょうど前の医者が突然いなくなったとかで、居抜きの上、開業資金も格安だったからです。ちょっとばかり旨すぎる話でしたが、基本的にワトスン先生は世の中を疑うことをしない善良な人です。

さて、今日の朝のワトスン先生は、ちょっと忙しそうです。

「……本気で言っているのか? クラーキー?」

「ええ、先生、森の中を歩く時には、この服装をする決まりでして」

村でたった一人のお医者様ともなれば、時には、森の奥に住む患者の家へも往診に出かけなければなりませんでした。しかし、駐在所のレストレード警部から、森の奥に住むという、おばあさんが病気になったとの報を受け、往診に出ようとしたワトスン先生を、止めるものがいました。

レストレード警部の部下であるクラーキーです。クラーキーは、フードのついた赤いマントと、ひざ丈のスカート、そして、白のブラウスとひらひらのエプロンをワトスンに差し出します。それは、かわいらしい少女が着るような代物です。30代も後半に差し掛かり額がセクシーな感じに広くなっているお医者さんは困惑しています。

「……これは、少女……」

サイズを考えて、お医者様は言いなおしました。

「いや、女性ものじゃないのか……?」

「いいえ!」

クラーキーはきっぱりと否定しました。しかし、ふわりとした真っ赤なミニスカートに、ひらひらのエプロンです。そんなのを着ればどう見たって変態です。

「近頃、森には狼がでるのです。猟師が警戒をしていますが、間違って、人間を撃つことになってはならないと、森に入る時はこれを着る決まりができまして。……実は、それは、この村の祭りのダンスで男が着るものなのです。なのでそうそう簡単には袖を通せるものではないのですけれど、この場合、命を最優先ということで」

全く嘘です。この村で育ちましたが、クラーキーは一度だって、こんなロリコスなんて着たことはありません。ですが、レストレード警部から、往診に向かうワトスン医師に必ずこれを着せろと厳命されていましたので、精一杯クラーキーは頑張ります。

身の危険を守るため、伝統ある民族衣装を着ろと言われれば、越してきたばかりの新参者ワトスン先生は、嫌とは言い出せませんでした。

一応、着てみました。……が、自分でも、髭面に、フリルの白エプロンは痛い感じがしました。赤色のマントは、かろうじて似合っている気はしますが、膝の見えるスカートは足元がスースーします。スカートの中がパンツ一枚なのもものすごく頼りない感じです。というか、すね毛が激しく気になります。必死に目を逸らしているような、クラーキーが笑いに耐えるように震えているのも気になります。

しかし、

「気をつけて、いってらしてください。ワトスン先生!」

往診かばんも、クラーキーに藤カゴを持つのが、正式な格好なのでと、中身を入れ替えられてしまいました。篭の中には、クラーキーのおばあさんが焼いたというケーキにワインまで突っ込まれています。

「……本当に、君も毎年この格好で?」

ワトスン先生は、やはり、ミニスカートからちらちらと覗く、自分のたくましい太股が気になってしょうがありませんでした。

「ええ、毎年祭りには必ずです。それに近頃は、森に入るたび、毎回」

そう言われては仕方がありません。ワトスン先生は、クラーキーや、レストレード警部が、これを着て踊る時の姿を想像し、この村の祭りには参加すまい……と、嫌な気持ちになりながらも、おばあさんを訪ねて、森へと入って行きました。

 

 

優しい陽の光が差し込む森の中は、蝶が舞い、鳥が歌うばかりで、誰一人、居る様子はありませんでした。

もとから人口の少ない村でしたから、それは当然のことですが、自分の格好に違和感の拭えないワトスン先生は、ほっとする気持ちです。

ひらひらとスカートを翻しながら、足早に俯いて歩くワトスン先生は、ぶつぶつ独り言をつぶやいています。

「平気だ。ワトスン。あのクラーキーだって、この衣装で毎年祭りに出るんだ。クラーキーよりは、多分、お前の方が似合っている……」

白エプロンと、ミニスカが、大分医者にダメージを与えているようです。

ですが、森を奥へ奥へと進んでいっても、本当に誰一人とも村人と会わず、医者も、ようやく落ち着いてきました。

「なんだ。これなら安心だ」

すると、ちょっとお医者様にも、遊び心が湧いてきました。

とりあえず、スキップなんかしてみます。ゆらゆらと揺れるスカートがなんだかいい感じです。幼いころ憧れたかわいい少女のドレスの裾の優しい感じを思い出します。あ、なんだか、お医者様の髭面がほころんでいます。つい、調子に乗ったお医者さまは、くるりと回ってみました。ふわりと広がるスカートは、ダンスの時を思い出させて、30も後半のワトスン医師の心を弾ませました。

解放感は、なんと、ワトスン医師に、少女趣味めいた花摘みまでさせました。病気で一人、寂しい思いをしているおばあさんのためだとワトスン医師は思っているようですが、花を摘む自分に、どこかうっとりとナルシスティックその顔は、その言いわけをどこまで通用させるのか、疑問の余地が残る感じです。だって、小指が立っているのです。

そして、まわりときょろきょろと見回し、とうとう、髭面30うん才のワトスン先生は、禁断の行為に踏み出しました。

お医者様は、自分で短いスカートの裾を掴み、…………えいっ!

「きゃぁ。いやん!」

スカートめくりです。

……………………男のロマンです。

ここは深い森の奥で、周りには誰もいないのですから、許してやってください。

しかし、自分でめくったスカートを押え、ぺたんと女の子座りで座りこんでいたワトスン先生は、森の中をがさがさと動く音に気付いてしまいました。

「誰だ!」

口ひげを蓄えた男らしい口元からは、鋭い声が飛びます。

けれど、返事はありません。ですが、茶黒い毛皮が、がさがさと森の中を駆けて行きました。

「狼だ!」

もう、30うん才は、スカートめくりなんかして、遊んでいる場合ではありませんでした。

ワトスン先生は、慌てて藤カゴを掴むと、森の中を駆けていきました。もう、大分、森の奥へとはいっています。ここからだと、診療所へ戻るより、おばあさんの家へ避難した方がよさそうです。

 

「こんにちは。おばあさん、僕は医者です。往診にきました。入りますよ」

短いスカートを翻し、はぁはぁと息を荒げながらも、無事、おばあさんの家にたどり着いたワトスン先生は、礼儀正しく挨拶をすると、フードを払い、ベッドに眠る患者に近づきました。

「おばあさん、お加減が悪いそうですが、どこが悪いのですか?」

真っ赤なミニスカ姿で、ワトスン先生は、至極真面目に診察中です。手は、藤かごのなかの聴診器をさぐっています。しかし、問いかけに、おばあさんの反応がありません。もしや、死んでしまっているのではと、慌てて医者は、患者の様子にじっと目を凝らしました。

布団からのぞく髪は、茶色のもしゃもしゃです。

「いいですねぇ。おばあさん、髪がふさふさしてらっしゃる」

お医者さんは、自分の頭髪の行く末について、少しばかり気にかかっているのです。

髪を褒めると、少し布団がずらされました。

のぞく大きな目は、濃い茶色で、きらきらとしています。

「おばあさん、若い頃は、さぞ、おモテになったんでしょうね。とても魅力的な大きな目だ」

「いやですよ。先生。……でも、ハンサムな先生を見るためには、この目はぴったり」

「また、そんな」

世間話を上手くできるのも開業医の心得の一つです。しかし、おばあさん、ぱっちりのお目々で、お医者さんを見ながら、ワトスン先生のミニスカ女装姿については、何も言いません。剛毅な人です。

おばあさんの手は、布団を引き上げるために外に出ています。医者は気付きました。

「あれ、意外ですね、手がかなりがっしりしていらっしゃる。それに、毛……も?」

「まぁ、嫌だわ。森の女は不作法なんです。はずかしい」

ベッドの中の老女は身悶えます。医者は胡乱な気持ちになりかけています。けれど、開業医はガッツです。

「あの、顔色を見たいので、お顔を見せていただけませんか?……できれば、診察したいので、お体も」

「まぁ、やだっ! いきなり身体をみせろだなんて、先生、私のことをどんなはしたない女だと……」

はしたないも、くそもありません。髭面のミニスカ医師は、ただ、診察しようと思っているだけです。しかし、ベッドが激しく動き出しました。

「でも、そんなに君が望むなら……!」

聞えていた声が野太くなり、いきなり、がばりと布団はめくられました。

カモンと、腕を広げるもしゃもちゃ頭のおばあさんには、無精髭がありました。パジャマの下には、すね毛もボーボーです。百歩譲って、それは、いいです。いいですけれど、ワトスンは、医者です。どう見ても、ベッドに横たわる骨格は男です。

「さぁ、ワトスン君、僕の胸に飛び込んでおいて」

ミニスカ姿の医者は、凍りつきました。

ばしばしの睫毛に取り囲まれた茶色のつやつやした目をした男は、いつか、ワトスンがなくしたと思っていたパジャマを着ているではありませんか!

 

「どうしたんだい、ワトスン君……?」

腕を広げて、ミニスカ医師が飛び込んでくるのを待ち受けていたホームズは、固まってしまっている医師に怪訝な顔になりました。

「ははん。君は、どうして、おばあさんがいないのか不思議なんだな?」

ホームズは頷きます。

「君を騙して悪かったよ。僕は、どうしても二人きりで君と会いたくて、こんな芝居を打ってしまったんだ。僕は、ホームズ、探偵だよ。君は、ワトスン君。僕は探偵だ。勿論名前なんか知ってるさ。君は、戦争から帰って、この村に越してきたばかりのお医者様だね。それから君は、レストレード警部に言われて、この森に診察にきたはずだ。そして、その格好は、クラーキーに着るように言われたんだね。なんで、僕がそんなことを知ってるかというと……」

ですが、まだ、医者は動き出しません。

「ん? そんなことより、なぜ僕が、君に会いたかったのかを知りたいのかい? それは、君を愛しているからだよ。 一目ぼれしたんだ。格好いい君が大好きなんだ。ワトスン君」

大きな目を熱く潤ませ、探偵は、髭面ミニスカ姿の格好いいお医者様を見つめましたが、それでも、まだ、医者は動き出しません。

「ふぅ……。ワトスン君、君って奴は、君が好きだっていう証拠が欲しいのかい? 知ってるさ。君が慎重な性格だということぐらい。そうだね、では、もっとも、最近のことを君に話して聞かせるよ。ちゃんと聞いていておくれよ」

 

探偵の言うもっとも最近のこととは、先ほどの森の中でのことのようです。

ちょっと時間を巻き戻してみましょうか。

 

あ、探偵が真っ裸です。どういうことなんでしょうか!?

もう少し巻き戻す必要がありそうです。

 

それは、ワトスンが、ふわふわと広がるスカートの裾にうっとりとしながら、小指を立てて、花を摘んでいた頃のことです。

そこから、ずずーっと、左に視線を動かすと、木の影に、狼が隠れていました。

その狼は、やたらと熱っぽい目をして、自分の女装にうっとりのワトスンを見つめています。

いえ、それは、狼ではありませんでした。狼の毛皮を着て、変装しているホームズだったのです。

ホームズは、毛皮に作っておいた特別ポケットから、こっそり手を入れ、自分の股間辺りをまさぐっています。

「はぁはぁ、なんて、素敵なんだ、ワトスン!」

ワトスンは髭面のミニスカです。金色のすね毛もまぶしいです。……でも、まぁ、いいです。現在、自分の女装にうっとり気味のようですが、ホームズの言葉にウソはありません。医者はハンサムです。

ワトスンは、摘んだ花から、花弁を一枚、一枚と摘みあげ、花占いの最中のようです。

「……ラブリーチャーミングが一着……対抗馬シリウスムーンが一着……」

あ、最後の一枚が思い通りでなかったようで、せつなそうにため息を吐き出したお医者さんは、もう一輪、やりはじめました。

「シリウスムーンが一着、ラブリーチャーミングが一着……ああ、もしかして、サンデーミリオンが一着……?」

勝ち馬を予想中のお医者様は眉間に皺を寄せ、混迷を深めているようですが、

「かわいい。かわいい……!」

ホームズは、毛皮の中でごそごそとはしたないことをしているだけでは、もう辛抱たまらんとばかりに、毛皮を毟り取り、裸になってしまいました。いくら深い森のなかでも、それは、危険な行為です。

ほら、本物の狼に探偵と、医者が狙われてはまずいと、実は隠れて護衛をしていたクラーキーがむっちりとした探偵の大きいお尻に鼻血を吹いています。

「……ホームズさんっ!」

あ、でも、クラーキーはあまりこの場面に関係がありませんので、記述は割愛させていただきます。

さて、花園で花占い中のお医者様をストーカー中で全裸のホームズですが、その手は、自分の胸と、勃起したアソコを弄っていました。

アレは、ヌルヌルの完勃ちですし、小さいながらも乳首も、ぴんと勃って、ピンクに染まっています。

「はぁ……ぁ、……はぁ、はぁ」

しかも、そこで、きょろきょろとあたりを見回したお医者様が、ご自分のスカートをめくっていやんなんてやらかしました。

ちらりと見えた真っ白なパンツは衝撃的で、思わず、探偵の腰には、耐えがたい熱が集まりました。

「……ふっ、うぅっ……!!!」

白いものが、樹皮を汚します。二度、三度と、ぴゅっ、ぴゅっと、白いものが飛びましたが、それでもまだ、むっちりとしたホームズの腰はガクガクと震えています。

ついでに言えば、我慢しきれずワトスンのパンチラで、射精してしまったホームズの、はぁはぁとせつなげな様子は、色気に満ちていて、クラーキーのアソコも、ピクピク頭をもたげてしまって、純真な警官を困らせています。あ、クラーキーのことはどうでもいいんでしたね。そうでした。それで、えっと、そうだ。ホームズです。ホームズは、あまりに気持ち良くいってしまい、つい気が抜けてしまって、木に手をついてしまったのでした。

がさがさと木の葉が揺れます。

「誰だっ!」

鋭く問う医者の声がして、慌ててホームズは、狼の毛皮を纏いました。

逃げ出していく背中に、狼だっ!と叫ぶ医者の声が聞こえます。

 

と、いうわけで、野外オナニーするくらい君が好きなんだと、ホームズは、真摯にワトスンへと告げたわけですが。

「なんで、君は僕のパジャマを着ているんだ!」

医者のこだわりはこっちだったようです。

いえ、パジャマにこだわって、ホームズを気色ばませたミニスカ医者は、実は、生々しいオナニーの告白の間も、じっくりと自称探偵を観察していて、一つの結論を出していました。

まるで物慣れた態度で、ホームズはワトスンを狙っているようでしたが、ワトスンには、男ばかりの軍隊にいた経験があるのです。

やたらと顔がいいばかりに、こうして狙われた経験は過去にも幾度かあって、相手がどのくらい本気かくらいは見抜ける目をもっていました。

ホームズは、余裕を装っていましたが、笑う頬が強張っていました。ワトスンを抱きしめるつもりなのか、伸ばされた手も、緊張しています。

こういう手合いは、大抵、口で言うほどの勇気は持ち合わせておらず、堅物に見えるワトスンが、ではと行動に出れば、驚いて逃げ出すのが関の山でした。

今回のこのおかしな男も、きっとワトスンから行動にでれば、驚いて逃げ出すに違いないと、医者は考えました。

だから、医者は、ミニスカの裾をめくったのです。

そして、ベッドに足をかけると、パジャマに隠れたホームズの腿を大きく割りました。

 

無言で医者がぐっとホームズの腿を開かせると、ホームズは、息をのみましたが、まだ逃げ出そうとはしませんでした。強情な男だと、ワトスンは、万が一、急に襲いかかられた時のことを十分に注意しながら、ホームズに圧し掛かって行きました。身を固くするホームズは、パジャマの裾をめくり上げれば、中に下着はつけておらず、男のたわごとを信じるならば、オナニーしたばかりのやけに生々しい感じのそこに、医者は、すこしばかり、この男の本気度を計り間違えたかと、弱気になりかけました。なぜなら、陰毛がまだ少し濡れた感じです。

ですが、ここでやめては、このおかしな男をつけ上がらせます。

医者は、ミニスカの下で、下着の中からごぞごぞと、自分のものを取り出し、気力と根性でしゅっ、しゅっと擦って大きくすると、むっちりとした男の尻の谷間へと押しつけました。

大きな尻は、緊張にきゅっと、堅くなります。

しかし、窄まりに触った先端は、ぬめりを感じ取りました。大きな目を見開いて、じっとワトスンを見つめる男の準備の良さに内心呆れながらも、ワトスンは、どこまでこの男が本気なのかを、すっかり試してやる気になっていました。

か弱い窄まりに押しつけた先端にぐっと力を入れます。

「いいんだな、ホームズ?」

クリームにぬるついた肉を割り裂いて進む、肉棒は、肉壁の道が酷く狭いことに困惑しながらじわじわとこじ開け進みました。

男がワトスンの赤いマントの首をぎゅっと掴んでいます。縋るようにしがみつく、男は、食いしばった歯の間から、懸命に息を吐こうとしています。

「……初めて、なんだ……。ワトスン、もう少しだけ、優しく、して、くれ」

ワトスンは愕然としました。

男は、目尻にたっぷり涙をためて、鼻をすすっています。

ワトスンは、思わず、汚してはまずいとめくり上げていたスカートの裾を取り落としました。

精液で湿った男の陰毛にスカートの裾が触れてしまいました。

「なんだって……!?」

医者は、男の顔に嘘がないかと、しっかり見極めたかったのですが、ワトスンの先端を尻へと挿されたままのホームズは痛がり、コアラのようにワトスンの首へとぎゅっとしがみついています。くぐもった声が聞こえます。

「……何が?」

「君は、初めてだと、今、言ったか?」

ワトスンは、男の肩をがくがくと揺さぶりたい程、動揺しています。あ、代わりに腰が揺れてしまいました。ホームズがひっと、息を飲み、動きを止めようとワトスンの腰にカニ挟みで足を絡めます。

探偵は、涙でぐっしょりと濡れた目をおそるおそる上げて、ワトスンを見つめました。

「ああ、そうだよ。だって、君は、僕が初めて好きになった人だし、僕は、好きな人とでなければ、こんな、僕に不向きな感情的な行為をしようとは思わないんだ」

ロストバージンがよほど痛いらしく顔から落ちそうなほど、大きな目は涙で潤んでいます。

「ホームズ、君は、僕が好きなのか……?」

「だから、さっきから、何度もそう説明してきたはずだが……だってね、君、君が格安でこの村に住めたのは、僕がこの村の持ち主だからで、なんで僕がこの村の持ち主なのかと言えば、頭脳明晰である探偵の僕がイギリスの王室に絡んだ事件を解決したその報償として貰ったのであって。そもそも、君が、ここへ来ることになったのだって、レストレード警部に僕が頼んだからで」

説明をするホームズはじっとワトスンを見つめます。止めどもなく口は名誉に満ちた自分の履歴を垂れ流していますが、痛みのために、茶色の目はすっかり潤んでいます。ホームズは、落ち着き先を探す候補としてこの村をワトスンが訪れた時、一瞬で一目ぼれしたのだそうです。面食いです。

しかし、言われてみれば、痛いほどにきゅっとワトスンの先端を噛む、肉の固さは、バージンのものなのでした。

驚きのあまり、急に壊れ物でも扱うかのようにワトスンが、ホームズを抱え直したせいで、ぬちゃりと肉と肉との結合が深まり、硬いワトスンの先端はまたホームズの奥をこじ開け、探偵を呻かせてしまいました。

「悪い……!」

「いいさ、……僕が望んだことだ」

痛みに顔を顰めたままホームズが笑って、医者は胸がずきゅんと痛みました。

涙目のまま、ふわりとホームズが笑います。

「君が、僕を懲らしめるために、こうしたんだってことくらい、わかってるけど、僕はうれしいんだ」

医者は動揺しました。

「君は、本当に僕のことが好きなのか……?」

「うん。君には迷惑だろうけど、そうなんだ」

健気な程の即答は、医者の下腹を熱くさせました。ただでさえ、大きかったものが、まだ初物の尻の中でサイズを増して、ホームズが息をのみます。

「あっ……!」

しかし、

「……動くんだろ……?」

ワトスンに大きな尻を抱えあげられた、探偵はじっと健気にワトスンの顔から、何かを読みとろうとしています。

腰へと絡めた足の力を自分から強くしてきました。

「いや、……その、…………あー、申し訳ないんだが、そうだ。出したい。……その、君の中は、かなり気持ちがいいんだよ」

「そうか、……うれしいよ」

最低な医者の言い分でしたが、探偵は幸せそうに笑って、ワトスンの首へときゅっとしがみつきました。

ワトスンが腰を推し進めると、ホームズの背が弓なりにしなります。

「なぁ、……一度だけ、キスを……」

しっとりと温かな肉襞でワトスンを痛いほど締めあげながら、探偵は涙でみっともなく鼻をすすっています。

思わず、ワトスンは、唇を奪っていました。ただ、不作法に誘いかけてきた男を懲らしめてやろうと思っていただけのはずだったのに、ワトスンは、キスにすら慣れていないホームズが苦しがっても、まだ、唇を離す気にはなれませんでした。

「……ワトスン……? っ、あ!」

息苦しくさせていた舌が撤退し、それでもまだ、じっと唇は押し当てられたままで、ホームズは不思議そうでした。

けれど、疑問の声は、転調します。

「っ、ぁ、……えっ、ぅ、ああ」

意図をもって、ワトスンが腰を使えば、うなだれ気味だった探偵のものは、その刺激を快感だと認識することすらまだできないというのに、天を衝いていました。とろりとろりと先端から溢れだすものに、探偵は腰をよじります。

「んっ、……あ、アアっ、あ!」

え? 

……もう、いっちゃったみたいです。我慢が足りなさすぎますが、はぁはぁ、苦しそうに探偵が喘いでいます。ですが、医者のものは、まだたっぷりと力をためて、探偵の大きな尻へと深々と突き刺さっています。

しかし、ふうっと息を吐き出すと、ずるりと、医者は、探偵の尻から、太いものを引き抜きました。

「……っ」

「ホームズ、握れるか?」

医者は、ホームズの腹に、濡れたそれを押しつけます。

「……僕の中に、出さないのか?」

ホームズは、悲しそうな声を出しました。

けれども、医者に言われたとおり、両手を差し出し、太く硬いワトスンのものを握ります。

「いった後じゃ、君は辛いだけだ。初めての君に、そこまで強要するほど、僕は無慈悲な男じゃないつもりだよ」

 

とても男前なことを言っていますが、ちなみに、ワトスン先生、この時、まだ、ミニスカ姿です。

 

 

 

 

こうして、ワトずきんちゃんは、狼であり、おばあさんでもあるホームズに身体の一部を食べられてしまったのですが、……それどころか、今も食べられちゃってる最中みたいですが、幸せそうなので、よしとしたいと思います。

ホームズが妄想を実現させるべく、レストレード警部に言いつけ、そしてまたレストレード警部がクラーキーに言いつけたかわいい赤のミニスカ、ずきん姿を、今だハンター避けだと信じて、森を行く、結構、残念なところもある人であるワトスン先生ですが、意外にも、先生、獣タイプだったようで、ホームズの家につけば、飛びかかるようにして探偵に襲いかかり、未だ二人は、百合ゆりしい格好で、エッチに励んでいたりもしますが、それも、二人がいいんなら、いいんだと思います。

本当に、森には狼がいるものですから、毎回、医者を影ながら護衛して森をついて行き、その後は、エッチする二人のおうちを巡回する職務に励むクラーキーはかわいそうですが。

 

じゃぁ、そろそろ、決め台詞といきましょうか。

 

「ワトスンっ、そこ、いいっ! んっ、ん!」

「ホームズ、足を絡めるな。動けないだろ」

「っ、ん、だって」

 

「来い、ホームズ、キスしてやるから」

「まだ、膝の上に乗るのは、つらい、んだぞ……!」

 

「あっ、ワトスン、好きだ。……好き」

「……僕もだ、ホームズ」

キス。

 

 

 

そして、二人は、末永く幸せにくらました。とさ。

 

 

END