鶴の恩返し

 

昔、昔、その昔のお話です。

あるところに、戦争から帰ったばかりで貧乏なお医者さんがいました。

お医者さんの名は、ジョン・H・ワトスンといいます。顔だけはやたらハンサムです。

 

このお医者さんが、朝から、お散歩がてら、ふらふらと歩いていた時のことです。

おかしな格好をした男が一人、路上に転がっていました。男は、なんで、そんな格好をしているのか、腕には作りものの翼を括りつけ、頭には、くちばしのついた鳥顔帽をかぶり、尻には尾羽。全身にはまばらに鳥の羽根がくっつけてあって、どうみても珍妙です。

近くにいる浮浪者だって、彼からは視線を外しています。

平穏と秩序を愛するワトスン医師も、ぜひとも見て見ぬふりで通り抜けたい気持ち満載でしたが、医師としての正義感が、その気持ちを打ち破りました。気の毒な性格の人です。

「おい、君、おい、気は確かか?」

ワトスン医師の呼びかけには、男の正気を疑う気持ちが、つい、顔を出しています。でも相手は無精ひげもまばらな鳥人間です。まぁ、それは、しょうがないでしょう。

「おい、おい、君、大丈夫か!」

もう一度揺さぶった勇気のワトスン医師は、もし、このまま男が目を覚まさなければ、見捨てるというのもありかもしれないという悪魔のささやきが聞こえてきます。なぜなら、この鳥人間、何日も風呂に入ってない匂いがプンプンします。伝統的英国美形のワトスン先生は、きれい好きです。

「おい、君! 君!」

目を覚まさない男に、仕方なく、ワトスン医師がきれいな顔を歪めながら、男の鬱陶しくも大きな翼をせめて外してやろうと悪戦苦闘していると、不意に、レストレード警部率いる警官たちが出現し、二人を取り囲みました。

鳥人間の仲間だと誤解される自分が、善良な市民だと思ってもらえるかどうかと慌てたワトスン先生は、自分の身柄を証明しようと急いで口を切ります。

「僕は医者だ。彼は」

が、レストレード警部は、いきなり大声を出して遮りました。

「お医者様! なんと、そちらはお医者様でいらっしゃいますか。なるほど、そして、彼の友人!」

ワトスンは、決して、鳥人間の友人などと名乗った覚えはありません。

しかし、レストレード警部は、ブンブンと手を振り回し、ワトスンと握手します。そして、ワトスンが口を挟む間もなく続けます。

「よかったです。ホームズさんが、路上に倒れているという報告を受けて、慌てて駆け付けたのですが、いやー、あなたのような立派な御友人がいらっしゃるとは、ああ、よかった! ええっと、彼の名は、シャーロック・ホームズ。ベーカー街に住む、ロンドン1の探偵です。いやいや、ああ、そんなこと、御友人のあなたに説明する必要はなかったですな。住所は、ベーカー通り221Bの下宿。いやー、また、余分なことを申しました。お医者様、そうですか、それは、よかった。お医者様、なるほど、お医者様、それでは、こんな路上で倒れているような人間を見捨てる真似もできませんな。ましてや、それが、御友人なら!」

直ちに、警部は警官たちに引き揚げを命じます。

「さぁ、帰るぞ!」

「えっ、あ、ちょっと!」

どうやら、この奇人変人を押しつけられそうな雲行きを感じたワトスン医師は、慌てました。

レストレード警部は視線を戻しはしました。けれど、二コリと笑った顔には、鉄の意思が感じられます。

「ホームズさんのことは、お任せいたしましたよ、先生! あ、ちなみにお名前は?」

「ジョン・H・ワトスンですが……ちょっと!……おい、ちょっと、待っ!」

「ワトスン先生。そうですか、ワトスン先生、良いお名前ですな。では、ごきげんよう、ワトスン先生!」

 

厄介ごとを押し付けたと言わんばかりに駆け帰っていく、晴ればれとしたレストレード警部の背中を見送るワトスンの腕のなかには、薄汚れた鳥人間がぐったりとしています。帽子に書かれた鳥の顔がやたらと陽気そうな笑顔なのが、青い目の医師の心にさらに冷たい風を吹かせます。

 

 

すれ違う人、すれ違う人、全てに、奇妙なものでも見るように見つめられながら、苦労して鳥人間をベーカー通りの下宿まで引きずったワトスン医師は、その奇妙な探偵を平然と見下ろすハドスン夫人の指示で彼を部屋まで運びこみました。

この道中、誰一人、鳥人間を抱きかかえ歩むワトスンに手を貸すものはなく、それどころか、鳥人間の仲間と見られたのか、子供にかわいく手を振られたワトスンは、真っ当に生きてきたこれまでの歳月を思うと、たまらない気持ちを味わっていました。

しかも、何を見込まれたのか、ハドスン夫人が、この鳥人間とルームシェアした場合の家賃について、階段を昇りながら、説明します。

「あなたのような友人がいらっしゃるとは、知りませんでした」

ワトスンだって、彼と友人だったなんて、なんて知りません。

「これで、この下宿ももう少しまともに……」

本や、奇妙な実験道具で足の踏み場もない鳥人間、いや、どうやら、シャーロック・ホームズという探偵の部屋に辿りつき、彼をどさりと下ろしたワトスン医師は、もう帰りたい気持ちでいっぱいでした。

 

「う〜ん」

しかし、ワトスン医師の判断は遅すぎました。

大変残念なことに、ホームズが目を覚ましてしまったようです。

「おい、君、大丈夫か?」

思わず医師としての意識を取り戻してしまったワトスンは、くちばし付きの鳥顔帽を被る相手に親身な態度を取っていました。

男は、作り物の翼の括られた手で、目を擦ります。

「ここは? おや、僕の下宿じゃないか。君は? ああ、自己紹介はいいよ、君。君にしみついている匂いを嗅げば、君が医者だってことはわかる。そして、この僕をここまで運んでくれたんだ。君は馬鹿がつくほど、親切な人間だってことも、僕にはわかる」

ワトスンは、鳥人間の口上など、聞き流しながら、診察を始めました。

そして、目を開ければ、この男が、意外にも知性あふれる、男ぶりであることに気付きました。

シャーロック・ホームズは、澄まし顔で、ワトスンに握手を求めます。

「診察をよろしく頼む、ハンサムな元軍医殿」

 

 

その後、ワトスンは、医師としての配慮から、ついホームズを見舞ううちに、彼のたった一人の友人としての地位を得てしまっていました。

そして、そのうちには、ホームズが本当に、英国の宝と言っていいほどの素晴らしい推理脳を持った探偵だということを納得しました。

ついでに言えば、そんな時、お茶をだしてくれるハドスン夫人の無言の圧力に負けて、下宿さえも、ベーカー通り221Bに移ることとなっていました。

 

ところで、なぜ、ホームズがあんな格好をしていたかといえば、情報を得るために、見世物小屋に自由に出入りするためだったとのことですが、どれだけ、ホームズが偉大であろうと、その考えは全くワトスンには理解できません。

「鶏や、白鳥じゃ、普通すぎて、彼らの気を引かないだろう? だから僕は、美しい渡り鳥の鶴の仮装と凝ってみたんだ。どうだった、ワトスン君?」

全然、全く、理解したくもありません。

 

 

しかし、一緒に住んでみると、謎の多いホームズという男は、悪い奴ではないのかもしれないとワトスンは思い始めていました。

「ワトスン君、面倒な事件に関わっていたから、遅くなってしまったんだが、助けてくれた君には恩返しをしなくてはならない」

思わず、ワトスンは、ホームズがいい人間なのではないかと思ってしまったのです。

ですが、それは、ワトスンの幻想でした。やはり、ホームズは奇人です。

 

ホームズは、まず、医者の助手を務めてやろうと、どこで調達してきたのか、退役軍人病院の看護婦の衣装を身に着けました。

頭には、十字のついたナースキャップ。白いエプロンは、清潔そうですが、絹のストッキングの中で渦巻く剛毛の足に清楚なスカートは、目を背けたくなる有様です。

その頃には、もう、ワトスンも、ホームズが人並み以上に魅力的な顔立ちをした男だということも理解していましたが、

「さぁ、入ってください。ワトスン先生がお待ちです」

無精ひげで、怪しくほほ笑むナースキャップの看護夫を見れば、いくらワトスンが腕のいい医者だろうと患者は逃げ出します。

「いや、……ホームズ、気持ちだけ、受け取っておく……」

 

勿論、頭のいいホームズは、失敗から、学ぶことのできる男でした。

しかし、人間、向き不向きというものはありまして、頭はいいもののホームズという男は、実務向きとは言い難いようなのです。

その後も、では、せめて、掃除をと、自室の汚さは放っておいて、ワトスンの部屋を掃除しようとし、様々な物を破壊し、ただでさえ貧乏な医者に損害を与え、そして、手作りの料理を振る舞うと階下に降りれば、ハドスン夫人を1週間、カンカンに怒らせたあげく、美貌の医師の腹を3日ピーピーにしました。

 

とうとう、ホームズは神妙に言い出しました。

「ワトスン君。僕は、間違っていたのかもしれない」

便座にすがりつくようにして座りながら、医者は、なぜ、もっと早くそのことにホームズに気付かせてくれなかったのだろうかと、神を恨んでいます。

あっ、紙も切れそうです。

「でも、僕は、君の役に立ちたいんだ!」

では、今、まさに、役にたって欲しくて、医者は力の入らない腹で、なんとか声を振り絞りました。

「……じゃぁ、ホームズ、ちょっと紙を……」

しかし、

「ここは、奇抜な方法ではなく、昔からの定番通りにやることにするよ。僕流なんてものを目指したのが、僕の驕りだった。じゃぁ、さっそく準備に取り掛かるよ」

ホームズの足音は遠ざかっていきます。ワトスンに残された紙は、あと5センチです。

 

 

恩返しに定番なんてものがあることすら、ワトスンは知りませんでしたが、と、いうか、やっと腹の治ったワトスンはもうホームズに恩返しというものを、本気でやめて欲しかったのですが、それから、ホームズは、自室に籠るようになり、全く姿を現さなくなりました。

探偵からの嫌がらせにも似た恩返しの被害を受けなくなったワトスンは、ほっと胸をなでおろしています。

「……ワトスン君……」

しかし、ある日、すっかりやつれた様子のホームズが久しぶりに部屋から現れました。

そして、レースを手渡します。

彼の説明によると、それは、英国レース界に、今、旋風を巻き起こしているノッティンガム技法で織られたものだということです。図面を見てその構造を理解した探偵は、職人に指示を与え、この革命的な機織り機を作らせたということです。ホームズは、機織り機を披露しながら、自分が加えた改良点を得々とワトスンに語ります。そして、言いました。

「君は、懐具合がよくないんだろう? このレースを市場に売りにいくといい。これからも、僕は、君のために何枚も作るつもりだ」

しかし、おしいかな、機織り機は、最高の出来栄えですが、レースは散々です。

絡まった蜘蛛の巣にも似ています。

本当にホームズは、そのあとも、部屋に籠っては、絡んだ蜘蛛の巣よりもまだ酷いレースを何枚も織りあげました。

絶対的に向いていない作業に立ち向かう探偵は、レースを編み上げる度、やつれていきます。

けれど、レースは、売れそうにもない代物ばかりです。

「ホームズ、君、そんな無理を続けないでくれ。もう恩返しは十分だ。君の身体が壊れてしまう」

医者は、気持ちの持って行き場がなくて、泣きたい気分です。

「ワトスン君、そんな目をして僕を見つめないでくれ。君にそんな潤んだ目で見られると……」

 

その時、何が起こったのか、咄嗟に医者は理解できませんでした。

いきなり床へと突き飛ばされた医者の腹の上は、ホームズが乗っています。

息を荒くするホームズは、ワトスンのズボンに手をかけます。手は、前立てをさぐっています。

その時、雷に打たれた如く、自分の現状にワトスンは気付きました。

犯されるのだと!

ホームズは、ワトスンの尻をピーピーにしただけでなく、蹂躙しようとしているのです。

思わず医者は必死で抵抗しました。

「ホームズ! ホームズ!」

「僕は、君が、好きだ! 君に会って、初めて、この感情のどうしようもなさも学んだ。どれだけ、自制しようと、君を好きになる気持ちは止められない!」

自制という言葉を、奇行の人、ホームズが知っているとは、ワトスンは驚きました。が、そんなことより、今はズボンをずり下げようとしているホームズに抵抗する方が先決です。しかし、拳闘までするアクション派の探偵は、強く、しかも、ワトスンの悪い左足すら踏みつける容赦のなさです。

「ホームズ!」

「ワトスン……!」

とうとう、ズボンは、大の男二人によって、綱引き状態で引っ張られ悲鳴を上げています。

強姦者の探偵は強く、ワトスンの尻を守るのは、薄いパンツ、一枚という風前の灯です。

「落ち着け、ホームズ!」

「君が好きなんだ。ワトスン! 君が、君だけが好きだ。ワトスン!」

ホームズの手は、ワトスンのパンツにかかっていました。勿論、ワトスンは抵抗していますが、引っ張られ、ゴムがびよーんと伸びて、残念にもワトスン君がこんにちはをしてしまっています。

「君は、奇妙な仮装をした僕を避けもせず、助けてくれた。今も僕と暮らしてくれている!」

「避けもせずって、君、あれは、レストレード警部が……。それに、ここに住むのは、ハドスン夫人が絶対に出て行くなと目を光らせているからであって!」

「照れないでくれ、ワトスン! もし、僕の推理が正しければ、君が僕を思ってくれている。でなきゃ、この僕となんて一緒にいてくれるわけがない! 君は、何をためらう!」

そこまでをホームズは、怒鳴るような大声で喚きました。

しかし、はっと、顔をこわばらせると、急に探偵は震えだしました。

「……いや、これは、僕の傲慢、……違う。都合のいい妄想だったのか? こんなに君は嫌がっている。そうだ。例え、君が多少、僕のことを好いてくれていたとしても、この僕を、君が抱きたいと思うはずが……」

え?

どうやら、ホームズの狙いは、ワトスンの尻ではないようです。

事態の急展開に、ついていけない医者は、自分へと乗り上げるホームズを呆けたように見上げるだけです。おまけにホームズは、思いあがっていた自分が恥ずかしくなったのか、顔を苦く朱に染め、うつむいたまま睫毛を湿らせはじめました。羞恥に震える身体は、その震えの強さを、ワトスンに伝えます。

辛く、せつなそうなその姿は、ワトスンに、ホームズが人を魅了してやまない存在だったことを思い出させました。面倒を見るのは、留置所にいる間だけにしてほしいようですが、レストレード警部ですら、ホームズの魅力は認めています。事件の手助けをした時には、警察内に、ホームズファンクラブがあることをワトスンは知りました。

レース製作のため籠りきりだった探偵は不潔な匂いがしましたが、なんというか、その、湖面のように打ち震える瞳が美しいと、ワトスンは思ってしまったのです。

まだ、探偵は、魂を絞り上げるような告白を続けます。

「僕は、君が好きだ。そうだ。僕が君を、好きなだけだ。……君はそうじゃない。……それなのに、どうして、君がこの僕を君が抱いてくれるなんて、思ったんだ……」

ぼとりと、探偵の目から涙が零れ落ちました。それは、ワトスンの傷を負った足を伝っていきました。

ワトスンを好きだと言って泣く探偵は、酷くかわいそうでした。

ワトスンの心は、じわりと熱が集まりつつあります。ついでに言えば、アソコにも。

「そんな、君、僕は、君が嫌いなんかじゃない。ホームズ……自分を卑下する必要など……」

それは、全く嘘ではありません。

自分の尻が無事だとわかると、ワトスンは、というか、ホームズがパンツのゴムを引っ張ったままなので、こんにちはしたままだった、ワトスン君は、俄然やる気をみせていたのです。

うつむいていたホームズの視線が、その一点を捕えました。

「ワトスン……?」

「……その、ホームズ、あまり、見られると恥ずかしい……」

「いや、ワトスン君、君は、決して恥じる必要などない。これは、平均よりもはるかに」

知識が豊富な探偵なので、少し話題がそれました。

「いや、でも」

「その、僕の方が、なんだか心配になってきた……つまり……、その、君のものが入るか、どうか……」

なんと、兇暴な強姦者だったはずのホームズが、いざ、戦闘態勢のワトスンの実物を前にすると、もじもじと尻ごみはじめました。

そして、逃げられそうになると、つい追いたくなるのが男の性です。

 

「ホームズ、どうしたことだろう。僕には、君がとてもかわいらしく見える……」

「馬鹿を言うんじゃない。そういう言葉は、幼女にでも使うものだ。こんな僕を捕まえて、かわいらしいなんて」

ワトスンは、かわいらしいなどと言われ照れ臭いのか逃げようともがくホームズの腕を掴んでいました。

「いや、勿論、君の容姿がかわいらしいなんて言うつもりじゃない。君は懸命に僕に恩返しをしようとしてくれたり、……その、言うのは苦しかったに違いない告白をくれて」

「……迷惑だったはずだ」

ホームズが濡れた睫毛を伏せました。

「いいや、決して迷惑なんかじゃ、」

ワトスンは言葉が真実だと、はっきり形にして示しました。

ホームズにわからせるため、医者は、掴んでいた探偵の手を、股間へと連れ去り、元気なアレをぎゅっと握らせたのです。

ホームズが頬を染めます。

「ワトスン……」

「ホームズ……」

探偵よりも、ずっと実務に長けた医者は、たった3秒で、ホームズの下半身から、ズボンをはぎ取りました。

 

「っ、ん、んっ、……あ、」

勿論、医者がはぎ取ったのは、ズボンだけでなく、シャツもだったので、初めて胸をしゃぶられる探偵は、朱に染めた身体をせつなくよじらせています。

器用な医者は、小さく勃った乳首を舌で弄りまわすだけではなく、ホームズの股の間のものをも、手を抜かずしつこく揉みしだくので、あまり我慢のきかない探偵のものの先からは、白っぽい液体が滲み出ています。

「あっ、駄目だ。ワトスン、そんな」

しかし、ワトスンはホームズの頼みを聞き入れず、手の中に握ったものを更に扱き、ホームズの腰を震えさせます。

しかもそれだけでは飽き足らず、腫れたように赤くなった乳首をやっと解放した医者は、喘ぐホームズの唇に唇を押しつけ、愛しそうな目で見つめると、するするとその身体をホームズの下方へと移動させました。

先端をぬとりと濡らし、熱く震えていたものを口に含まれ、ホームズの腰が激しくわななきました。

「あ、……そんな、舐めないで、くれ……んっ」

懸命に探偵は、医者の頭を掴んで止めようとします。

実は、医者的に、頭髪は、ちょっと微妙な分野です。

けれど、今は、そんなことを構っている場合ではありません。

「出そうなのか、ホームズ? 一度、出すか?」

いやらしく囁いた医者は、大きく口を開いて吸いつき、ホームズのものをかわいがることをやめませんでした。

こらえきれず喘ぎを漏らすホームズは、涎を垂らしたようなものをワトスンにしゃぶられながら、赤い目で医者を睨みます。

「酷い、んっ、ワトスン、っ……僕ばかりだ。……僕にも君の、」

探偵が、ねだります。

「君のが……、っん、欲しい、っ」

 

で、まぁ、挿入となると、医者が医学的見地から腸内をきれいにしてからにしようと、言い出したりもして、ひと悶着あったりもしたんですが、

 

「どうしたらいいんだ……すごく、気持ちがいい、君の中は、とても気持ちがいいんだ、……ホームズ」

「っ……んッ……ん!」

医者に腰を打ち込まれる探偵は、こんな行為は初めてのことで、もう自分を取り繕うことすらできませんでした。

「……っん……ぁ、あ!、っ、アア!」

「ホームズ、かわいい、君がかわいい」

ワトスンは、性感に悶え、ただ喘ぎ続けるホームズの髪を何も撫で、キスを繰り返します。

そして、腰を突き動かします。

その上、甘く囁きます。

「君が好きだ。ホームズ、君が好きだ!」

「……はっ、んっ、っ、んっ!!……」

 

 

 

どうやら、探偵は、恩返しのお返しとして、ワトスンを手に入れたようです。

 

 

 

 

 

と、いうことは、鶴の恩返しは、お返しまでもらって、ハッピーエンドということのようです。

 

 

では、セオリー通り締めくくらせていただきます。

 

 

 

 

それから、二人は、末永く仲良く暮らしましたとさ。

 

めでたし、めでたしv

 

 

 

 

 

 

……笑って許していただけると、ありがたいです。