置き換えられる欲望 3

 

ショーンの肛門に当てていた指を外したディヴィットは、ショーンの様子をつぶさに観察していた。

ショーンは俯き、強く唇を噛み締めていた。

長くしている金髪が汗で額に張り付いている。

髭の間を汗が滴っていく。

「どう? 大丈夫?」

心の中でディヴィットは先ほどショーンのために数えていたカウントを続けていた。

今のカウントは、10。

ショーンが強く掴んでいるシーツにはキツイ皺が寄っていた。

白い腹は、不自然にせり出している。

垂れ下がるペニスは、残念なことにノンエレクト。

「っ!……ぁっ!……デイヴ!」

ショーンが、がくりと腕から力を抜いてベッドへと倒れこんだ。

その直前にはぼこり、と、腹が動いたのをディヴィットは気付いた。

「はじまった? ショーン」

「デイヴ! デイヴ! デイヴ! もうだめだ !デイヴ!」

すぐさま泣き言を口にしたショーンは、大きな声で叫びながら、つかめるだけのシーツをかき集め、ぎゅうっとそれにしがみつく。

薬がショーンの腸をいたぶり始めたのだ。

今、ショーンは、強制的に腸に煽動運動が起こり、肛門が熱くなるほどの排泄欲求に悩まされている。

「……ぅっ!んんっ……デイヴ!」

大きく開かれた目は、瞬きすら忘れて、すがるようにディヴィットを見つめていた。シーツにぼたぼたと零れ落ちた涙が吸い込まれていく。

尻には、必死の力が入っている。

「まだ、我慢してください」

カウントは、13。

うつぶせのまま腹を抱えこむようにして丸くなっているショーンの背中をディヴィットは撫でた。

ショーンは苦しそうに身体を捩り、やはり、スプリングの柔らかいベッドは、ショーンの身体を揺らした。

身じろぎするたびに、ベッドにやさしくショーンの体を揺する。しかし、それは、排泄を堪え、少しで体を安静に保ちたいショーンには辛いだけだった。

排泄欲には波があるのだが、ショーンがそれをやり過ごしても、身体を揺する振動が、また、波を引き寄せる。

このベッドはやはり、特殊なプレイを楽しむのには向かない。
ディヴィットの予想通り、ショーンはとても苦しそうだ。

ショーンの下腹は、ひくひくと動き続けている。

ひっきりなしに腹を痛めつけられ、金髪は、見も世もなく泣き出している。

「……デイヴ!もう、出る……我慢できな……デイヴ……デイヴ!」


カウントは、15。

本来であれば、もう少し、ディヴィットはショーンに耐えさせたい。

腹の奥底まできれいにしておきたいのだ。

だが、ショーンは、耐えられそうにない。

「許して……デイヴ。……お願いだ……っぁ……ぅぅ」

涙まじりの哀願を繰り返す、ショーンは、懸命に尻を引き締めていたが、そこは、もうこんもりと盛り上がっていた。

今にも粗相するのではないかという緊張感がショーンの尻にはある。

これ以上、堪えろ。と、言ったところで、たしかに、ショーンにそれができるとは思えない。

ディヴィットは、丸まってしまっているショーンを抱き起こし、肩へと担いだ。

ショーンがディヴィットにすがりつく。

ディヴィットはショーンに自分で尻の穴を押さえているように言いつけた。

ここで出してしまうか、さもなければ、自分の指を突っ込んで栓をしてしまいたそうな金髪は、まともに歩けもしなかった。

ぼたぼたと、涙を絨毯に吸い込ませながら、体を震わせるばかりだ。

襲った腹痛に悲痛な声を上げながら、腹を抱えこむ。

ディヴィットは、ショーンを引きづり、バスルームへと向かった。

ショーンを便器の上へと座らせる。

 

「出していいですよ」

声をかける前に、もう、ショーンは漏らしていた。

小気味いいほどの大きな破裂音と、陶器を叩く液体の音。

はぁはぁと、安堵の息を吐き出しながら泣きじゃくる金髪の温かく湿った体温。

「……ああっ、はあっ、あぁ……っぁ」

狭い空間は、二人を閉じ込め、そこにはなぜか幸福な空気すら漂っていた。

深いため息をついたショーンが鼻をすする。

 

「……っぁ」

腹の中に残っていた空気がブヒっとはしたない音を立てて押し出され、ショーンが真っ赤になった。

ディヴィットは、汗で濡れてしまっているショーンの髪を優しく撫でた。

「落ち着いた?」

ショーンが顔を上げる。

恥ずかしさのためもあるだろうが、懸命に排泄した今、ショーンの顔は火照っている。

顔中汗で、びっしょりだ。

表情は、苦難の終わりに、とても幸福そうだった。

きっと今なら、キスに応える。

ディヴィットは、ショーンの顎を持ち上げると、身をかがめて、あまりに激しい呼吸を繰り返したせいで乾いてしまっている唇へとキスをした。

「ショーン。ここまでよくがんばりましたね」

「……デイヴイー……」

安堵のあまりショーンは甘えて、ディヴィットの唇を吸い返す。

 

水洗のレバーを押したディヴィットは、ショーンの尻をウォシュレットで軽く洗ってやり、その間も何度かキスを繰り返した。

「さぁ、ショーン。あと、ちょっと、中に薬が残ったままにならないように、流すことだけすませましょうね」

 

 

疲れきったショーンの身体を優しくきれいにしてやり、ベッドにショーンを連れ帰ったディヴィットは、そっと背中を撫でてやった。

ショーンは、足を閉じることもせず、ベッドでうつぶせに転がっている。

浣腸されていた間は、縮こまっていたショーンのペニスや、ボールも、弛緩し、従来の大きさを取り戻している。

 

「ショーン。少し休憩してからにしますか? それとも、今、やりたい?」

どちらかといえば、これから先は、ショーンのために行われるためのことなので、ディヴィットは、ショーンの準備が万端なのかどうかを尋ねた。

尻の穴に腕を突っ込むという作業は、突っ込む方の征服欲を満足させるという部分はあるが、しかし、実際には、突っ込まれている方の充足感のために行うようなものなのだ。

恐がる相手を言葉巧みに誘導しながら行うのであればまだしも、して欲しがるショーンのためにディヴィットが腕を沈めていくは、奉仕の意味合いが強い。

 

ゆっくりと頭を持ち上げたショーンが、言葉を探すように瞳を動かした。

ディヴィットは了解し、ジェルのボトルを取り上げる。

プラスティックの先をショーンの肛門へと差し込めば、先ほどの液体よりもずっと重い感触のはずなのに、ショーンは上手く体の力を抜いている。

少し突き出された白い尻は、物欲しげにぱくぱくと口を開く。

「……はぁっ、ん……」

中を満たしていくジェルに悩ましく捩られた腰をディヴィットはくすりと笑った。

これなら一本分でも飲み込むのではないかと、思いながらも、たっぷりと入ったジェルのノズルをショーンの穴から引き抜く。

ねちょりと、ショーンが尻の穴からジェルを溢れさせる。

「締まりがないですよ。ショーン……って、そのくらい、力を抜いててくれないと、怪我をするから、そうしてて欲しいですけど」

 

ディヴィットは、慌てて尻の穴を引き締めたショーンに笑いかけながら、薄い手袋の中へとふっと息を吹き込んだ。

そして、手を差し込む。

事務的にてきぱきと作業を進めながらも、ディヴィットはショーンに声をかけ続けた。

「ショーン。こないだしたのって、いつでしたっけ?」

この行為には、信頼関係が重要だ。

前回の成功をショーンに思い出させながら、ディヴィットは手にラテックスを馴染ませる。

会話だってあったほうが無いよりもリラックスできる。

ディヴィットは、手袋にボトルのジェルを塗りつけ、ショーンに微笑みかける。

「ずいぶん前ですよね?」

手袋だけでなく、手袋の切れる肘のあたりにも入念に。

ディヴィットの体毛がジェルまみれになる。

「……半年は、……経ったか?」

それでも、ディヴィットの準備が進む音に、ベッドに横たわるショーンの内腿にはじんわりと汗が浮き始めていた。

期待と不安で、ショーンは、鼓動を早くしている。

「そんなに前だったんだな。じゃぁ、ショーン。俺のことものすごく恋しかったんじゃないですか?」

ショーンの股の間に腰を下したディヴィットは、わずかに白い尻を持ち上げ、ゆっくりと穴の周りをマッサージし始めた。

「夢にみました? それとも、抜いた? ショーン。あんまり太いオモチャでオナニーしてると、締まりが悪くなりますよ」

軽口を叩きながら、ディヴィットは、両手でショーンの尻を掴み、広げた肛門の中にいきなり親指を二本同時にもぐりこませた。

「あっ!」

「ショーン。大丈夫。リラックス」

ディヴィットの言葉に、ショーンは、大きく息を吐き出し、肩に入っていた力を抜く。

ディヴィットは、そのタイミングで、尻を掴み挙げていた片手を鳥のくちばしのように窄め、ずるりと、ショーンの中へともぐりこませた。

手袋越しとはいえ、温かな温度にディヴィットは包まれる。

ぎゅっとショーンの尻穴が窄まる。

ディヴィットは、角度を調節するため、ゆっくりと指を動かす。

「あっあっ、あっ!」

ショーンがシーツにしがみついて喘いだ。

「入れてますよ。ショーン。わかるでしょう?ほら、もう4本入った」

定期的にパートナーとの肛門性交の機会を持っているショーンだから、指までならば、割合苦労することなしに入れることが出来る。

だが、広くなる手の甲の部分を入れようとすると、どうしても引っかかってしまった。

デイヴィットは、そこで暫く待つ。

「ショーン。お尻に皺がなくなっちゃってますけど、そんなんで恥ずかしくないんですか?」

 

「や……だ。デイヴ。そういうことを……言うな」

項を赤くしたショーンがシーツに額をこすりつけている。

長く動かないディヴィットに焦れだしたショーンが腰を回す。

しかし、動きがぎこちない。

尻の穴を広げているのは大きな男の手なのだ。どうしたって無理が生じる。

肛門の周りの皮膚は、引き伸ばされ、可愛そうなほどだ。

それでもぱくぱく口を開け、尻の穴は懸命にディヴィットを受け入れようとしている。

「ショーン……」

ディヴィットは、勢いをつけて、ごぼりと、ショーンの中へと突き進んだ。

まず最初の難関である甲の一番広い部分をショーンの中へと埋め、そのままの勢いで添えた親指をねじ込む。

信じられないほど大きくショーンの尻穴が広がった。

「おおぅっ!」

ショーンは獣のような声で吠えた。

ベッドが弾む。

ショーンの体が揺れる。

内壁は、ディヴィットの指を強く圧迫し、デイヴィットに押すことも引くこともさせないばかりの収縮を見せた。

だが、そこまでが一番問題で、そこが入ってしまえばあとは、手首まで難なく押し込むことが出来るのだ。

それよりも、このままの位置で留まる方が、ショーンにとってダメージが大きい。

呼吸にあわせ、キュウキュウと、ショーンは、腸壁を収縮させる。

その合間を上手く使って、ディヴィットは、ずるりと手首までショーンの中へと自分を押し込む。

 

「デイヴ……デイヴイー……デイヴイー」

手首までずっぽりと収まると、赤くした胸を喘がせているショーンが潤んだ目で振り返った。

まだ、デイヴィットは、ショーンの中で何のサービスも行っていないのだが、人の腕を自分の尻に飲み込んだことで、ショーンは、激しく興奮していた。

これから、その腕は、自分の腸を擦り上げるのだ。

いつものペニスによる刺激などより、ずっと荒々しくて、何も考えられなくなるほどの快感。

限界を超えてぴったり嵌められる充足感。

人として求めてはいけないのだろう肛門からの快感を、求める浅ましい自分がされるにふさわしい扱いをディヴィットはした。

 

ディヴィットはショーンの尻に腕の一部を食われたまま、身体を少し移動させ、興奮に顔を赤くしている金髪の髪へとキスを一つした。

さっき湯を使ったばかりだというのに、もうショーンからは汗のにおいが立ち上っている。

「見て。ショーン。あなたのお尻に俺の手首が埋まってる」

そういいながら、デイヴィットは、ショーンの中の前立腺をそっと擦った。

「っぅんっ!!……っぅあ!」

潤んだ目で、すっかり顔を赤くしているショーンは、狂ったように頭を振った。

白い尻が何度も弾む。

「ほら、すごいでしょう? 俺の手、全部がショーンの尻の中なんですよ」

ショーンは、懸命に目を見開いて、手首をくわえ込む、自分の尻に視線を当てた。

視覚的な効果の結果か、きゅっと、切なくショーンの尻はディヴィットを締め付けた。

正直それは、痛いほどだ。

ディヴィットは、注意深くショーンの様子を見守りながら、締め付けてくる尻の中で伸ばしていた指をぎゅっと握り始めた。

ショーンの眉が寄る。

苦しそうに開かれた唇は震え、瞳は瞬きを忘れて、体内での動きを追っている。

「ショーン。この位は我慢できますよね。もっと、奥まで入れて欲しいんでしょう?」

 

拳を握りこんだデイヴィットは、ショーンに枕を抱かせ、尻がきちんと浮き上がっている状態を維持させた。

緩くくりかえされた抜き差しに、ショーンのペニスは、大きく腫上がり、だらだらとカウパー液をこぼしている。

開いたままのショーンの唇からも唾液が零れている。

ディヴィットは、熱く絡みついてくるショーンの中から腕を引き抜く。

「っぅあ!……っひっ……っぃ」

 

自分の腕を全方向から包み込む肉の中から引き抜く作業は、たとえそこがジェルまみれであってもそれほど容易ではない。

緩い。緩いと、ディヴィットは、ショーンをからかうが、実際ショーンの尻の締まりは、いつだってディヴィットに悪い予感を抱かせるほどで、だから、余計にディヴィットはショーンの腸内をカラにしたがるのだ。

ショーンとヴィゴのカップルが、普段どれほど礼儀正しいセックスを行っているのか。いや、多分、あの情熱的なヴィゴをしてそれはないだろうから、元々ショーンの体のつくりがそうなのだろうが、ショーンの性器は経験が少ないのではないかと思わせるほど道が狭い。

その中にディヴィットの腕が差し込まれているのだ。

「ショーン」

拳を尻穴ぎりぎりまで引き抜き、そこから、ずぼりと激しくデイヴィットは腕を押し戻したいのだが、それは、ショーンには無理なので、ディヴィットは手首まで引いた腕を、肉を押し分けて、ぐぶぐぶと沈めていく。

温く心地よくディヴィットを包み込む肉の壁は、抵抗感がものすごい。

それでも、望むショーンのために、ディヴィットの嵌めた手袋は、もうとうにショーンの中へと埋まっており、ディヴィットのナマの肌がショーンの粘膜に触れている。

「……っひっ……っぅぁ……ぁっふ……っんん」

引き抜いた際にあふれ出したジェルで股の間をべったりと汚すショーンは、しがみついた枕にしきりに腰を擦りつけ、漏らしているカウパー液でますますカバーを汚すことに夢中の様子だった。

だが、雄らしく懸命に腰を振るショーンの快感の源は、尻の中に差し込まれたディヴィットの腕が生み出している。

ぐぶりと、ディヴィットは肉を押し分ける。

「っはぁ……ん……デイヴ。デイヴイー。もっと、……もっと」

出来もしないくせに、尻を揺ってもっと奥をとせがむショーンに、ディヴィットは抜き差しのスピードを速めた。

ずずっと、ショーンの肉を引きずって腕を引き抜き、内壁がその衝撃を吸収仕切れていないうちに、ぐっと拳で肉を掻き分けていく。

「っぃ!いい!……デイヴ! デイヴ!」

 

「もっと、……デイヴイー、もっとしてくれ。……頼む」

ショーンの髪が白いシーツを叩いている。

いつもディヴィットはこの正直さを何故、ショーンが恋人に見せないのかと思うのだ。

背中まで赤くして、懸命に尻を開いてヨガるこの様子は、友人だとラインを引いているディヴィットでもかなりぐっとくる。

たかが、フィストだ。

最愛の恋人にこんな風によがられるのであれば、男にとって、決して出来ない行為ではない。

 

「お尻を腕でズボズボやられるのが、ショーンはいいんですか?」

「そうっ!……デイヴイー、もっと」

ショーンの舌が震えている。

 

「あなたの中に入ってるのは、ペニスなんかじゃないんですよ。俺の腕。こんなに太い腕で尻の中かき回されるのが気持ちいいの?」

「んっ、デイヴイー、いいんだ。……そうされると、すごく気持ちいい……っぁ!」

 

「ショーンのお尻、ぱくぱく開いちゃってますよ。淫乱。こんなドスケベな人は、ペニスなんかじゃ物足りないんですよね。腕じゃないと、満足できないんでしょう?」

「ああ…んっ、デイヴイー、お願いだ。意地の悪いことをしないで、……っ、もっと奥……っはん!」

捩る腰のラインへと集まった肉にむんとする色気があった。

 

「淫乱だって、認めますか?」

「認めるっ!認める!……認めるから!」

 

ディヴィットは、ショーンの様子に目を細めた。

「切なそうに尻を振っちゃって」

ディヴィットの唇が、大きく揺れるショーンの尻へと触れる。

 

「ショーン・ビーンは、友人であるディヴィット・ウェンハムに尻の穴をほじられてよがる淫乱です」

 

ディヴィットは、口にした言葉がしっかりとショーンに聞き取られるのを待ち、その間、腕の動きを止めてしまった。

しかし、長い間、ショーンは言葉を繰り返すことができず、ディヴィットは、少し強めに内側にあるショーンの快感のスポットを押し促す。

ショーンのペニスが、びくりと跳ねた。

また、枕が汚れる。

「ほら、ショーン」

「……ショーン・ビーンは、……友人である……ディヴィット・ウェンハムに……尻の穴をほじられてよがる……淫乱です……」

 

ディヴィットは、ショーンの望みどおり、震える尻にずぶりと嵌っている腕を大きく動かしてやった。

「いい!……デイヴ!いいっ!」

ショーンが懸命に腰を揺する。

普段どれだけのストレスを溜めているのかと思うほど、ショーンは、フィストされ、激しく興奮する。

全身が波打つ。

色づく肌は、ばら色だ。

「ほんと、ヴィゴの仕込みがいいもんだから、すっかり尻だけでよがれるんだから。ショーンは」

 

呆れた声を出しているが、全身で快感を示すショーンの姿の迫力に、ディヴィットも股間を高ぶらせていた。

ショーンの中は、熱く絡みつき、ペニスを突っ込んだならば、きっと気が遠くなるほどのうねりをディヴィットに与えている。

つい、ディヴィットの行為にも熱が入る。

「……デイヴイー!いいっ!もっと、もっと!」

熱い肉の狭間を、ディヴィットの腕がかき分けていく。

「……デイヴイー……ぁっふ……っん……デイヴイー」

「……いい……っぁ、もっと」

 

そろそろ苦しそうに喘ぎだした金髪のために、ディヴィットは、慎重に注意しながらも、本当にずっぽりと肘までをショーンの尻の中へと埋めてしまった。

その衝撃に、「ひぃぁっ……あっ、あっ、……っは」と、苦しいような声を上げて、ショーンが全身に激しい痙攣を起こす。

小便でも漏らしたよう、ショーンのペニスからは、精液がだらだらと零れていく。

枕は、ショーンの精液ですっかり濡れてしまっていた。

 

「はい。おしまい」

ディヴィットは、おどけた声でショーンへの特殊なサービスの終了を告げると、さすがにだらしなく緩んでしまっている尻の穴から腕を引き抜いた。

指は、最初のくちばしの形にと、細く伸ばされていたが、それでも、甲の部分を引き抜くときには、ショーンが苦痛の声を上げる。

「大丈夫ですか? ショーン」

はぁはぁと、激しく胸を喘がせている友人の顔をディヴィットは見つめた。

ショーンが照れくさそうに目をそらす。

「今更ですよ。ショーン」

ディヴィットは、ショーンの腸液の臭いがする手袋を手から外しているのだ。

手から抜いたラテックスをディヴィットは手際よく裏返す。

それは、ボウルの中に残っているグリセリン液の中へと投げ捨てられる。

ショーンは、項を真っ赤にして枕に顔を埋め、息を喘がせていた。

ショーンのよがりっぷりに高ぶってしまったペニスをどうにかする必要のあるディヴィットとしては、満足そうなショーンの顔をもっとじっくり見つめたい。

「顔見せてくださいよ。今だけ、俺の恋人になりません? ショーン」

ディヴィットは、笑いながらジーンズの前を押し上げる高ぶりをショーンの尻にこすりつけた。

ショーンが慌てて顔を上げる。

「それはダメだって言っただろう! デイヴ!」

だが、腰に力が入らず、ショーンはへたりとベッドへと沈む。

「嘘ですよ。こんな緩んだ尻、使う気も起きません」

ディヴィットは友人の腕はよくて、ペニスはダメというショーンの恋人に対する誠意の見せ方に今日も笑う。

友人であるショーンの唇へとディヴィットは甘いキスをする。

ショーンもそっと吸い返す。

「ねぇ、ショーン。やっぱり、ヴィゴとすればいいんですよ。ヴィゴなら、フィストの後でも、緩いショーンのここに、入れたがるかもしれませんよ?」

 

 

 

 

「あっ、もしもし。デイヴ? なぁ、お前、なんか、こっちに来るらしいじゃないか。少し時間はとれるか?」

「……ショーン。まだ、ヴィゴに言い出せずにいるんですか?」

「いや、だって……」

「いっそ、俺に乗り換えなさい。そしたら、好きなだけフィストしてあげますよ。ああ、でも、時間かぁ。取る努力はしてもいいですけど……」

 

 

                                        END

 

 

結構長く楽しんでいた妄想……。