豆、子豆、プー、SW、クマ、ごちゃ混ぜです。ご了承下さい。
*愛って……。
アナキンは、時に、自分はオビ=ワンに愛されていないのではないかと、疑ってみる時があった。
今日の今日こそは、その証拠を掴んだと、アナキンは思った。
それはもう険しい山肌を、オビ=ワンとアナキンは、張り付くして移動していたのだ。
足を滑らせたオビ=ワンを助けようとしたアナキンは、辛くも師の救助には成功したのだが、自分が谷底へと落ちることとなってしまった。
全身の痛みに、呻くアナキンに上から声が降ってきた。
「なぁ、アナキン。そこのすぐ側に川が流れてるだろう?」
確かに川は流れていた。動くことも適わないアナキンの下半身は、そこに浸かっている。
「上がってくるついでに、水の補給をしといてくれ。私は、先に行くからな」
*おつかいアナキン
その日は、酷い嵐の日だった。
空には稲妻が走り、暴風が、木々をへし折ろうとするかのように吹き荒れている。
屋根に穴をあけるがごとく突き刺さるように降る雨粒は、一家先のドアさえも姿を見せないような勢いだった。
天候のあまりの悪さに、キャンディーショップの経営者は、店を閉めようとシャッターに手をかけていた。
そこに一人の男が飛び込んでくる。
「すみません。クッキーを一袋」
キャンディーショップの経営者は、何かに騙されているような気持ちになった。
「なんだって?」
外は、歩けは、吹き飛ばされるような嵐なのだ。
「あんた、こんな天気にクッキー一袋を買うためにここに来たっていうのかい?」
「ええ、どうしてもだと、言われまして」
ぐっしょりと濡れたフードを脱いだアナキンに、店主は、ああ、と頷いた。
アナキンのブレイドから、水滴が落ちている。
「その髪型は、修行中のジェダイだな。ジェダイって奴は、本当に命知らずだ」
いや、違う、アナキンはたかだか、クッキーのために命を落としたくはない。
しかし、師匠が、アナキンの命の価値をクッキー以上だとなかなか理解してくれないのだ。
*花と子豆
夕食の時間が近づいていた。
久しぶりに手料理を作る約束をしていたのというのに、食材が足りないことに気付いたオーランドは、子ショーンを連れて慌ててスーパーへと駆け込んだ。
「なぁ、オーリ」
「うん。お菓子なら好きなの買ってくれていいから。えっと、調味料……調味料のコーナーは……」
子ショーンの用は、そんなことではなかったのだが、オーランドからの許可に、背伸びした子ショーンは、遠慮なくカートにスナック菓子を放り込んでいく。
しかし、子ショーンは、自分の話も伝えたい。
「なぁ、オーリ」
「うん? 何? 何でも買っていいよ」
「違うんだ。オーリ!」
「え? 何? アイス?あっ、でも、ちょっと待って。溶けちゃうから、できればそれは最後にして。ええっと、それよりも、アレだよアレ、アレは、どこにあるのかな……。ほんとにもう、何でも揃うのはいいけど、店がでかすぎる……」
「なぁ、オーリ……」
「う〜んと、ほんと、ごめん! ショーン。少しだけ黙ってて、買うもの忘れちゃいそうなんだよ。ええっと……」
必死に慣れない店内を巡るオーランドと、子ショーンに、たくさんの女性が微笑みかけた。中には、声をかけたそうにしていた女性もいた。
「なぁ、オーリ。もう、しゃべってもいいか?」
買って貰ったアイスを舐めながら、ジュニアシートの助手席に座るショーンに、ハンドルを握るオーランドがやっと笑った。
「ごめんね。ずいぶん待たせちゃったね。ショーン。用はなんだった?」
「あのな。オーリ。お前、ジーンズの前が開いてるぞ。すっげぇ恥ずかしいから、今すぐ上げといた方がいいぞ」
店内で、やたらと女性たちが微笑んでいた理由をオーランドは理解した。
急ブレーキを踏んだ車の中で、ハンドルに顔をうずめ唇を噛むオーランドの隣には、アイスを鼻にべったりとつけた子ショーンが、もう少し後で言えばよかったと、後悔しながら座っていた。
*藻と子豆
隣の部屋からは、物語を読むヴィゴの声が長い間聞こえていた。
それを、聞くともなしに息子はレポートを片付けていたのだ。
一時間もたった頃、ドアが開いた。
「ご苦労さん。やっと昼寝したの?」
「しーっ! やっとヴィゴが寝ついたんだ」
毛布を引きずる子ショーンは、大人張りのため息をついた。
「あ〜。疲れた。ねぇ、牛乳頂戴」
*血と子豆
ブラッドと、子ショーンと暮らすことになり、一番煩かったのは、ブラッドが一度もあったことのないような遠縁の奴らだった。
セレブと呼ばれる生活は、華やかさの裏に、煩わしさが付きまとう。
どこをどう突き止めてきたのか、またもや、一緒に暮らす子供は養子にしたのか、その子に財産権があるのかと、喚く電話を叩き切ったブラッドに、革張りのソファーに座る子ショーンがにやりと笑った。
「愛に障害はつきものなんだよ」
「ん?」
その言葉は、さっきまで観ていた映画に出てきた。
「でさ、やっぱ、皆殺しに行く?」
マシンガンをぶちかました主人公は、残念ながら死刑になった。ハッピーエンドじゃない映画だから、勿論マイナーだ。
マシンガンを構えた振りの小生意気な子ショーンに、ブラッドがにやりと笑った。
「ショーン。よし、じゃぁ、お前はガキだからまけてやる。皆殺しの罪により、くすぐりの刑だ」
寝た振りで、大人の映画を見たがる子ショーンを、ブラッドは許してやらない。
*プン!(アナオビ 僕の好きなマスターバージョン)
事前の打ち合わせが上手くいっていなかった。
パーティーに紛れ込んだアナキンは、ターゲットの女性に近づくと、会話を始めた。
「あそこにいる男性をご存知ですか? 僕は、あいつ程嫌な奴を知りません」
女性は、苛立つアナキンを見上げた。
「あら、何故?」
アナキンが話しかけている相手が間違っていることに気付いたオビ=ワンが、必死になってジェスチャーを送った。
しかし、もう遅かったのだ。
女性は機嫌が悪い。
「あれは、うちの主人なんですよ」
「ええ、だからです。あなたのような美しい方を独り占めしようとする、そういうところが許せないんです」
すばらしい交渉術で鳴らすオビ=ワン・ケノービの弟子であるアナキンは眉一つ動かさず夫人に答えた。
美しい青年が自分に熱を上げているのだと誤解した奥方は、べらべらと夫の情報をアナキンに漏らす。
情報収集は、予定の相手にするよりはるかに成果を上げた。
しかし、アナキンのこの交渉のやり方に機嫌を損ねたオビ=ワン・ケノービはその後しばらく弟子と口を利かなかった。
*クマ、強盗になる。
「手を上げろ」
強盗に扮しているクマは、男の背後に立っていた。
「金を出せ。さもなくば、別のモノを出せ」
「……別のものって?」
戸惑ったアナキンは、背後のクマを振り返った。
「ねぇ、マスター、ここは、交渉の場じゃないんですから……」
真っ赤になったクマが、ライトセーバーを振り回した。
「うるさい! ちょっと間違えただけだ! お前相手だから、つい、気が緩んだんだ!」
「ねぇ、強盗役、俺がやりますよ。……無理ですって。振り返って、そこにいるのがマスターだったら、誰も本物の強盗だと思ってくれませんって」
クマはぬいぐるみによく似たツヤツヤふかふかなのだ。
ぷんっと、膨れたクマが要求した。
「アナキン、抱っこだ」
膨れていようがかわいらしい師の様子に、苦笑しながら望みを叶えた弟子の首へと、クマはライトセーバーを近づける。
「アナキン。私は強盗だ。財布をだしたまえ」
クマはその愛らしい顔を裏切って、にやりと人悪く笑う。
アナキンはため息をつきながら、財布を出した。
「マスター……。ええ、多分、その方が成功すると思います」
*花豆と藻
「へぇ。……そりゃ」
ヴィゴがにやにやと笑っていた。
オーランドは、照れくさそうにしながら、嬉しそうにまだ話を続けようとする。
そのテーブルへと休憩になったショーンが近づいた。
話題に盛り上がっていたオーランドとヴィゴは、ショーンに気付かなかった。
「何をしゃべってるんだ!!」
真っ赤になったショーンは怒鳴り、ヴィゴの足を蹴り飛ばすと、オーランドの首根っこを引っつみ、ずるずると引っ張っていった。
テーブルに残されたヴィゴに、イライジャが、そっと尋ねる。
「ねぇ、なんであんなにショーン怒ったの?」
「いや、ショーンの予想以上にオーランドの語彙が豊富で驚いたからじゃないか? ……なぁ、リジ。おねだりする時のショーンは、かなり不埒らしいぞ」
*プー豆
プー豆たちは、アマゾンへの冒険の旅に出た。
スケッチブックを持ったクリストファー藻と、暑いと、文句を言い出したプー豆。
ここがアマゾンだと理解しているのは、ライフルを持ったウサギのオーランドだけだろう。
そんな3人の旅なのに、アマゾンの脅威は、例外なく襲い掛かった。
いつの間にか姿を消したクリストファー藻を除く二人の前には、ジャングルの猛獣、虎がいる。
ウサギのオーランドは震えながらも照準を虎へと合わせていた。
「なぁ、あそこの木の上、あれ、蜂の巣じゃないか? 蜜が一杯溜まってそうだ」
不意に戻ったクリストファー藻がプー豆に声をかける。
腹の減っていたプー豆はオーランドからひょいっとライフルと取り上げると、蜂の巣を狙ってライフルを発射した。
蜂の大群と、虎。
とにかく逃げるしかなくてオーランドは涙目だ。
「どうしてあんたたちって!!」
しかし、状況は悪くなかった。
蜂の巣は、ちょうど虎の上に落ち、虎は、蜂達に追われて逃げ出した。
すぐ近くの地面には、蜜たっぷりの蜂の巣が落ちている。
「畜生!あんたたちって!!」
涙目のオーランドは地団駄を踏んで怒っていた。
5月29日現在、拍手にはお礼小話は入っておりません。