*今日のお勉強
その日のフェニックス空港は、いつもの空気と違っていた。小さな子供たちが、空港で働く人たちのことを学ぼうと社会見学に来ていたのだ。
人当たりのいいジャックと、若いからいいだろうとの理由でクルーズが、管制官代表として子供たちの案内役だ。
「さて、そろそろ僕からのお話は終わりだ。どの位皆がわかってくれたか、じゃぁ、質問をしようかな?」
子供たちに向けて話すジャックの笑顔があまりに優しくて、クルーズは少しばかりジェラシーだ。
しかし、そんなことに気付かぬジャックは、狭い休憩室へと押し込められている子供たちの顔をにこにこと楽しそうに見回す。
「じゃぁ、質問するからよく聞いて。飛行機のパイロットに、着陸の場所を命令する人は誰だろう?」
はい!っと、勢いよく手があがった。
「すごいね。じゃぁ、答えて」
「ハイジャック犯!」
「確かに、それも……ある」
あっけに取られた顔のジャックの隣で、クルーズはその子に深く頷いてやった。