隊長と呼べ

 

「ずっぽり開いたお口に、ずぶずぶ埋まっていくぜ? 隊長」

「いやだ。言うな」

「何が嫌なんだよ。ここで噛んで離さないのは、隊長、あんたの方だろ? いいのか? いいんだろ?尻がぶるぶる震えてるぞ」

「……っ、っは、……は」

「さっき、シャワーを浴びてきれいにしたばかりのせくに、もう、ねばねばのを零してるし」

「や、やめろっ、デミアっ!……んっ、……そこに、触るなっ、出るっ、出そうになるっ、っは、っ」

「隊長、早すぎだろ。まだ、あんたの尻はもっと俺のを食い足いたいって言ってるぜ」

 

言いながら、デミアは、自分は何を言っているのかと気が遠くなりそうだった。

今日デミアは、職場でゲープに楯突いたわけだが、それでへそを曲げた隊長は、デミアにプライベートですら隊長と呼ぶようにと厳命したのだ。

「普段、ゲープ、ゲープ呼んでるから、お前は上下関係の意識が薄れてきてるんだ。朝起きてから寝るまで、必ず俺のことは隊長と呼べ!」

 

呼び名は、隊長であろうと、ゲープであろうと、それほど支障がないように思えたが、喧嘩をした晩の自然な成り行きというか、仲直りの定番の行動としてお互いにすんなり手を伸ばしあう夜の行為においては、それは激しく支障となった。

 

「隊長、好き。すげぇ、好き」

この辺りまではよかったのだ。いちゃいちゃとキスを繰り返し、照れくささを隠すために、ちょっとむっとした顔になっているゲープを脱がすのは楽しかった。

頑なに足を閉じようとするゲープをからかうように、もう少し大きく足を開けよ。隊長。それじゃ、お前のアソコが全然見えないだろ?と笑って言った辺りから、ちょっと、何か変じゃないか?と、デミアは違和感を覚え始めていた。

「隊長、まず、舐めてやろうか? あんた舐められるの好きだろ?」

普段ゲープと呼ぶ部分を、隊長へと置き換えただけだが、まるで何かのプレイのようで、非常に自分の言うことがエロ臭く感じて、デミアはムズ痒かった。しかし、悩んでいたのは、デミアだけだ。ゲープは、結構ノリノリだ。

普段よりも、ずっと火のつき方が早く、いつもはもっと拒んで手こずらせるくせに、今日は結構すんなりと開いた足の間にデミアをぎゅっと挟んで、もう、艶めかしく汗の浮き出した腰をもぞもぞと捩っている。

勃ち上がったものを口から出したデミアが、そのまま股の下の方へと顔を動かし、きゅっと閉ざされた窄まりの表面へと舌を這わせても、ぶるりと大きく尻を振っただけだ。

それどころか。

「隊長、デカ尻をもうちょっと上げて?」

「すげぇの、隊長のここ」

「隊長、ここに指も入れていい?」

嫌な気持ちにデミアがなればなるほど、ゲープはトロトロになっていく。

だから、試しに、ゲープの耳元で「隊長」といやらしく呼んだ後、

「もう尻に入れてほしいんだろ。言えよ。言えば、してやる」

蕩け始めた穴の上にぴったりと宛がった勃起にじりじりと力をかけながら、けれども決定的な力を出し惜しむようにして、いやらしい言葉をいうことを要求すると、潤んだ茶色が、すがり求めるようにデミアを見上げた。

半開きの口は、今にも無茶な要求に従い、それを言いだしそうだった。ゲープは、体を真っ赤に染めて、喘いでいる。

 

「そんなに締めるな。隊長。あんたのいいように動いてやれねぇだろ?」

まさかこんなプレイがゲープを興奮させるなんて知らなかったデミアは、もう次に言うことが思いつかなくて、ガツガツ腰を白く重い尻へと打ちつけながらも懊悩していた。自分の語彙の少なさに唇を噛みたい気分だが、目の前で下剋上プレイに乱れ、悶えるゲープを、もっと感じさせてやるためには、そんなことをしている暇などない。

「隊長、あんたの尻、すげぇいい。あんたも俺にされて、いいんだろ? ん?」

だが、正直言えば、萎えそうだ。

 

「……っ、イキそうだっ。……ぅ、んんん……イキそうっ!……ダメだっ、出る。デミア、……出るっ!!」

「あっ、あっっ、あ、いくっ、イクっっっ!!!」

とうとう激しくいったゲープは、ぐったりとベッドで寝ている。

普段使わないような言葉必死に脳みそから絞りだしデミアも、ぐったり疲労困憊だ。

 

 

「もう、絶対に、家で隊長って呼ぶな」

(こんなのは、ヤバすぎる)

「……そうする」

(よ、よかった……)

 

 

 

久方ぶりに遊びに来た友人に、デミアはゲープを紹介していた。

「ええっと、こいつは、俺のいるチームの……隊……違う。その、上司っていうか、……ええっと、ボス。そう。ボスのゲープ」

 

 

END

 

ちゆさんところの子豚部屋に投稿していたものです。