コブタさんとオオカミさん 3

 

ゲープが呆然としていたのはほんの一瞬だった。

突発事態に、兄さんコブタのちょっとゆるんでいた口元はぎゅっと引き締められた。

さすがはコブタチーム50の隊長である。

がば、と立ち上がったゲープは素早く身構え、油断なく野原一帯に目を走らせた。

辺りに怪しい影はない。

「ただの風か」

ひとまず安心したゲープは、下半身がすうすうするのに顔をしかめた。

適当に脱いだパンツはどこかへ飛んで行ってしまい、身につけているのはTシャツ一枚。

洗濯のしすぎで伸びたシャツの裾は長めではあるが、前はうなだれた先っちょが出ている。後ろだってぷりぷりのお尻がすっぽり隠れるほどではない。

そよそよと優しい風が、股の間を吹きぬけて行く。

裸なのは別段かまわないのだが、困ったな、と兄さんコブタは口をとがらせた。

フレディやフランクの家は、町の中にある。夜とはいえ、まだ人通りがあるだろう。

このまま歩いていったら間違いなく変質者扱いだ。

唯一残ったベッドのシーツを被っていくのはどうだろう。かなり珍妙な格好ではあるが、逮捕はされずにすむかもしれない・・・。

ゲープはしばらく、白くむっちりと肉のついた下半身を夜気にさらしたままで考えていたが、やがて、ふああ、とアクビをしてからのそのそとベッドに潜り込んだ。

とりあえず、明日どうにかしよう。

どうぜ、こんな野原の真ん中を夜中に通るようなやつはいない。

それになにもかも吹き飛んで、とられるものといえばこの使い古したベッドぐらいのものだ。

毛布をしっかり肩まで引き上げて、ゲープは夜空を見上げた。

星がきらきらと光って、まるでキャンプをしているようだ。

こういうのもなかなかいいな、などとのんきなことを考えつつ、ゲープは股間のものを握った。

半端なところで中断してしまったから、なんとなく自然に手が伸びたのだ。

仰向けのまま、開いた太腿の間でくんにゃりと大人しくしているものを適当に弄っているうちに、いつのまにか兄さんコブタのポークウィンナーはむくむくと成長を始めた。

「んっ、あ、あっ・・・・・」

毛布の下で、手の動きが早くなる。

ゲープの声は大きくて、本部にいたときには弟たちに聞こえないようガマンしていたのだが、無人の野原だとおもえば、解放感のままに喘いでしまう。

ちなみにバレてないとおもっているのはゲープだけで、フレディとフランクには、兄さんコブタのひとりえっち中の声を聞きながら思春期の目覚めを迎えたという、思い出したくない暗い過去がある。

普段はきりりと男らしいくせに、なぜかひとりえっち中はちょっとかわいい声で喘いでしまうことに、幸か不幸かゲープは気づいていない。

「あっ、あっ、ンッ・・・・・」

ぷるん、と震えて、兄さんコブタはぴゅっとイった。

兄さんコブタはこういうときもかなり素早い。これにはゲープも気づいていてちょっと気にしているのだが、同期のファルクに「弟のフレディが悩んでいるんだが、」ということにして相談してみると、「そりゃあ早ろ・・・・・いや、あの、感じやすいだけ、なんじゃないか?」と言われた。

あんま気にすんなよ、体質みたいなもんだし、いや、つまり、フレディのことを気にするなってことだけどな、とわけのわからない慰められ方をされてしまったが、体質ならしょうがないな、とゲープはいさぎよく諦めている。

吐き出したものをシーツで適当に拭ってしまうと、ゲープのまぶたはとろんと重くなった。

「ふあ・・・・・」

またアクビをしたゲープは、そのまま、くてん、と眠ってしまった。

 

 

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異変が起きたのはその数秒後。

ベッドの端から垂れ下がっていた毛布が揺れ始め、むふー、むふー、と荒い鼻息を立てながらすっ飛んできたのは例のオオカミである。

障害となる家は無く、コブタさんは無防備にベッドの上で熟睡中なのだから、これはもう据え膳というものである。

距離があったにしても到着がやや遅かったのは、鼻血を大量に噴いてしまったせいだ。

格好悪いことこの上ないが、しかたがない。シャツ一枚で突っ立っていたり、毛布の下でひとりえっちをしたりして、意外に大胆なところをみせるコブタさんが悪いのだ。

今だって・・・、とデミアはぴらりと毛布をめくった。

大の字の真ん中はやっぱり丸出しである。

月の光に金の毛がキラキラと光り、汗と精液でしっとりと濡れているのがわかる。

さっきゲープが自分でしていたように、さわさわ、と触ると、コブタさんは「ウン・・・・」とかわゆく喉を鳴らして、ぱかりと足を開いた。

まるで、もっと触って・・・、とおねだりするみたいにだ。

コブタさんの歓迎ぶりに感激したオオカミさんは、開かれた太腿の間にするりと入り込み、長い舌を出してぺろぺろと舐め始めた。

「・・・ッ、んぅ・・・・、ふぅ・・・・・ん・・・・・・・」

気持ちいいのか、ゲープの息づかいがハッ、ハッ、と短くなる。

「うう、かわいいぜ、ゲープ・・・・」

ぴちゃぴちゃと音を立てて、デミアはざらりとした舌を使って、もう堅くなったものを舐め上げた。

「んっ、んんっ、あんっ・・・・・!」

熟睡モードに入っていたゲープは、自分の出した声に驚いて目を覚ました。

「あ・・・っ、あっ、な、なに・・・」

寝ぼけているゲープは、毛布の下で何が起きているのかわかっていない。

実をいえば、兄さんコブタにはそこを舐められた経験がナイ。

熱く濡れた、初めての感触は気持ちよすぎて、拒むことさえ思いつかなかった。

開きっぱなしの股の間をオオカミさんの舌は自由自在に行き来し、今やお尻の穴まで探索範囲が広がっている。

むふー、むふー、と吹きかけられる鼻息にまで感じてしまい、コブタさんはもうイキそうである。

「あっ、あっ、ああああんっ・・・・!」

またまたぴゅっと出してしまったが、まだまだ異変が終わってないことにゲープは気づいた。

ようやく、足の間に何かがいることを悟ったゲープは、勢いよく毛布をはぎとった。

 

 

(つづく)