リベンジ3 誰のリベンジだって私のです(笑) 今度はデミゲプで!
「ゲープ。カスパーって、実は、かなり変な奴だぞ?」
笑いながら言ったデミアの言葉を、身をもってゲープが体験したのは、それを聞いてから二日後だ。
「なぁ、カスパー、これは、 何だ?」
渡されたものの包みを開けたゲープは聞かずにはいられなかった。
しかし、渡した4番隊員は、いつも通りの無表情に近い顔で、質すゲープにこそ驚いたという表情をちらりと見せただけだ。
「知らないのか?」
そういう意味ではない。
「……いや、……なんとなくだが、……用途はわかる」
カスパーの眉が少し動いたのは、もしかしたら、ゲープの質問を照れだと了解、いや、誤解した印なのかもしれない。
「困っていると聞いたから」
だから、ゲープは、誰に、何を聞いたのか、それでどうしてこれを渡そうと思いついたのかを聞きたいのだ。だが、もう帰り支度を済ませたカスパーはそれ以上、口を開こうとしない。ただ鞄を手に、じっと立っている。どうしてこの4番の口は、いつもこんなに重いのか、ゲープは苛立ちで頭を抱えたくなる。
ゲープの手の中にあるのは、サイズの小さい透明なディルドなのだ。こんなものを、部下にプレゼントされて、チーム50の隊長が手放しで喜ぶとでも、この4番は思っているのか。
その気持ちは、多少カスパーにも伝わったようで、見降ろしてくる顔には、少しばかり親身な表情が浮かび、カスパーは、顎でディルドを示し、使い方を説明しだす。
「嵌めておくんだ。シリコンでできているから、日常生活にそれほど支障はない」
ゲープの顔はひきつった。だが、それは、部下からこんなものを嵌めろと言われたからではない。本意ではない別居の避難先であるデミアとなし崩しに出来上がってしまったことを気付かれていたからでもない。やはり、そういうリスクは予想して当然なのかと、はっきり思い知らされたからだ。
「狭くて、できないでは、そのうちデミアが煮詰まるぞ」
その晩、ゲープは、鬱々するあまり、デミアに当たった。
「……カスパーは、ずいぶん、お前のことが好きなんだな」
「はっ? はっ!? ゲープ!?」
「お前のために、手を貸そうと思うような、お前らが仲だとは知らなかった」
「……そんなの、俺も知らねぇ……けど、ゲープ?」
だか、それ以上、ゲープは一言もしゃべらず、むっつりと機嫌も悪く、布団をかぶって背を向けてしまったのだ。
だから、翌日、デミアはもう一度驚かされた。バスルームに入ろうとして、ゲープにいきなり肩を掴まれた。
「これを、カスパーから渡された」
天気のいい朝、ゲープが手に持っているのは、大人のオモチャだ。デミアには、一体何がどうなって、そんなものをゲープがカスパーから貰うことになったのか、全く理解できない。とっさに、あの変態は、コニーだけにしておけばいいものを、ゲープまで狙っているのかと、むかっ腹が立ったくらいだが、不意に夕べ、ゲープが機嫌悪く、カスパーがデミアを好いていると言ったのを思い出した。
一晩、何を思いつめたのか、悔しそうに頬を染めたゲープは、デミアに聞いてくる。
「お前にまで見捨てられたくなければ、これを嵌めろとあいつに勧められた。でも、これは、一日中嵌めていて、平気か? 抜け落ちたりしないのか?……ちゃんと取り出せるものか?」
使うつもりらしいゲープの目は、機嫌の悪さの中に、 じとり決意を孕んで、質問の答え以上のことをデミアが口にすることを拒んでいる。
「……っ、ゲープ。 その、……ここが、張り出してるから、抜けたりはしないと思う。で、取れるかって話は、ここんとこがストッパーになってるから」
「わかった」
ゲープはそう言うと、バスルームのドアを開けようとしていたデミアを押しのけ、先に中へと入ってしまった。
聞きたいことは、いろいろあったが、きつく顔をこわばらせるゲープは質したところで、口を割る雰囲気でもなく、とりあえず、デミアはゲープを心配する。
「おい、ゲープ。大丈夫か?」
「……平気だ」
その夜の寝室で、デミアは正直、驚いていた。
自慢ではないが、チーム一コミュニケーション能力の高い3番隊員は、勿論、あまりにもしゃべらない4番からも、すっかり事情を聴き出し済みだ。
曰く。
「どうせ、お前たちの仲だ。コニーから全部聞いたんだろ。知られたなら、しょうがないし、手を貸そうかと思った」
「ゲープに嵌めさせろ。初心者の拡張用に使うものだから、負担が少ない。一日入れさせておけば、楽に入れられるし、……その頃には、向こうの方が入れて欲しいって気分になってるはずだ」
人のセックス事情へと深く足を突っ込みながら、カスパーは淡々と話す。しかし、内容は、かなりディープだ。
デミアは、カスパーをやはり変人だとの、認識を深くした。とりあえず、これがいいという、コニーの気はしれない。
けれど、カスパーがすごい奴であるとは、デミアも思った。
奴はついでに助言したのだ。
「なぁ、それ、俺が引っ張りだすんでも、お前が引き抜くんでもなくて、自分で押し出すもんらしいぜ」
拡張用のディルドを入れた艶めかしいゲープの腰つきを、一日分、すっかり心配させられた3番隊員は、家にたどり着くなり、鞄を放り出して、バスルームに急ごうとしたゲープの前を遮り、息の上がった赤い顔を覗き込んだ。
「もちろん、する前も前の、こんな時間に抜いちまうものでもなくて、二人して仲良くベッドに上がって、お前が一生懸命力んで出すんだってさ。うわっ、怒るなって。マジで。マジなんだって、二人でやるのは安全のためだし、自分で力んで出した方が内壁にかかる負担が少なくて、そうするんだって、言ってたんだ」
潤んだ熱っぽい目に睨みつけられ、デミアは思わずニヤつきそうになる顔を留めておくことが難しかった。
「……なぁ、ゲープ、もしかして、飯もまだの、こんな時間だけど、もう入れっぱなしにしとくの、もう無理って感じなのか?」
顔を真っ赤にしたゲープは、ベッドにうつ伏せになって、白い尻だけを上げている。
「……デミア、できなかったら……」
デミアは、もしかしたら、ゲープにここを出ていきたくないという程度の気持ちは持たすことができたかもしれないと思っていたが、体を変えていくことにゲープが積極的になる日が訪れるとは、少しも考えたことがなかった。
ゲープは背中まで真っ赤だ。項など、酔った時よりも赤くなっている。
「ああ、その時は手を貸してやるよ」
デミアは、ベッドについた腕の中に顔を伏せてしまったゲープの背後に近づいた。
「ゲープ。少しだけ、触るぞ」
外側のストッパー部分だけが顔を出す肛口は、一日中刺激を受けつづけていたためか、普段より色を濃くし、赤い。早い息に動く尻は、内部を拡張され続けた刺激に、いつもよりずっと動物的な欲求を伝えて、なまめかしい。
ゲープの頷きを確認し、デミアは内側のストッパーの日中に抜け落ちないよう張り出す部分を、まる一日入れつづけて、すっかり馴染んだ場所から、ゆっくりと左右に揺さぶり引きずり出す。
しかし、張り付いたように馴染んだ場所から物を引き抜こうとすることは、簡単ではない。わずかに左右に揺さぶる動きにも、ゲープの体には力が入り、辛そうで、カスパーが言ったことは、嘘ではないのだということは、デミアにもわかった。
それでも。
なんとかデミアは、ストッパー部分だけを抜き終えた。這ったまま顔を伏せるゲープは肩で息をしている。
白い尻の痛々しく皺を無くした窄まりは、ディルドの体積分大きく広がり、凶悪なまでの眺めだ。
デミアは呼吸が苦しくなるほどの興奮を覚える。
「ゲープ。いいぞ」
これからゲープは、この尻に突き刺さった異物を自分で力んで押しだすのだ。
腰を撫でて合図をすれば、全身を真っ赤に染めたゲープが大きく吸い込んだ息を止め、尻には力が入った。
しかし、力をいれて力んでも、なかなか押し出すことができないようで、何度もゲープの腹が膨らんだりへこんだりする。こんなとんでもないことをするというためらいが、余計にゲープにさせないようだ。
「んっ……ぅ……ん、」
真っ赤な顔を歪めて、力むために何度も息をするその様子は、デミアの股間を熱くさせた。
朝塗ったジェルでは、一日そこにあり続けたものを押し出すには、滑りが足りないようで、楽には出せないゲープは短い下まつ毛に涙をためた少しつらそうな顔を上げ、ちらりとデミアへ視線を流してくる。
はっ、はっと息を吐き出す、頼りなく開いた口は、今すぐにでもキスしてふさいでしまいたくなるようなものだった。
「……デミア」
だが、言い出せない。
大きな白い尻に、3分の1は姿を出したディルドを生やして、息をするゲープはたまらなくいやらしい。
うん?と、返事は返したものの、デミアは、手を貸さなかった。
「……出せねぇ? 引き抜いてやってもいいけど、無理にやってお前に痛い思いをさせたくねぇし、もうちょっと頑張らねぇ?」
実は、自分で出させた方が、おもちゃ相手に自分で何度も絞めつけたり緩めたりして、中が刺激される分、その後の感度が格段に上がると、カスパーに言われていた。
ゲープは、迷うように頼りなく息を吸い込んでいたが、デミアの言葉を順当だと受け取り、小さく頷いた。
せつなく顔をあげたまま、一生懸命、力みだす。
ディルドの形に広がった穴の縁が、膨らんで、中のものは、懸命な力みに僅かずつ押し出され始める。ずるずると押しだされるものは、ゲープの体温を移し、ねっとりと表面を濡らしていた。
けれど、おもちゃが、ペニスを模した先端の太くなった部分に差し掛かると、また、酷くゲープを悩ませた。そこが抜けなのをむずかって、大きな尻は振られる。
だが、もう後、残りはわずかなのだ。
穴の周囲がくぷりと広がり、とうとう一番太い部分が押し出された。
もうそうなってしまえば、あとはディルドは自ら抜け落ちていく。最後の部分が体内から抜ける時、あっ、と、ゲープは小さな声を出した。
いやらしいおもちゃを産み落とし、ゲープははぁはぁと肩で息をする。
いままで大きく広がっていた肛口は、締まり、息の度に、ひくひくと動く。
「……俺、すっげぇ、興奮しちまったんだけど、どうしよう。ゲープ」
「……バカ」
真っ赤な顔で、下まつ毛まで濡らすゲープの手がデミアへと伸びた。
けれど。
「今すぐにでも入れてぇんだけど、あのさ、その前に舐めてほしいって、言ったら、お前、怒る?」
カスパーからの助言は、もう一つあったのだ。抜けたばかりで空虚になったところに、すぐに挿入してやるよりは、焦らしてやった方がおもしろいと。
その時は、こいつ本物のSだなと少し呆れた気持ちで聞いたその助言は、しかし、実際の場になれば、すっかりデミアを喜ばせた。
一日ディルドを飲み込み続けた興奮は、今、排出のため中を刺激されたことで更に増したようで、ゲープは逡巡したものの、腰の深い部分から湧き上がる疼きに勝てなかった。
来いと招かれ、デミアはジッパーを下ろし、高ぶったペニスをゲープの顔の前に突き出せば、口が開かれ、温かな口内に包まれる。
せわしなく動く舌の動きは、上手いとは言い難いが、なかなかこんなことをしてくれない相手なのだ。ただ唇にペニスの先が当たるだけでも興奮する。吸い上げようといやらしく口内を窄めるゲープは、刺激され、せつなく疼く尻を持て余して、さっきから、しきりに腰をよじっている。
「デミア……」
欲しそうな目をして見上げてくるゲープに、デミアはもうそれ以上焦らすことなどできなかった。
開かせた足の間に体を入れ、尻の谷間に擦りつけたものを、窄みへと押しつけると、それだけでゲープの体が震えた。
柔らかくなっている肛口に先端を沈めていくと、たまらなさそうにゲープの背が反り返る。
もう声が出そうになって、ゲープは枕へと顔を押し付けたが、そのまま、二、三度緩く抜き差しをしただけで、枕の中から、声が聞こえた。
拡張され、柔らかくほぐれた中に、いつもとは比べ物にならないほど、デミアは楽に動くことができる。
いきなり深いインサートをすることも可能だ。
「んっ、っ」
ぐっ、ぐっと、深く腰を突き入れると、ゲープは枕に頭をうずめたまま、腰を突き出すようにした。
「いいんだろ?」
一日中おもちゃに弄ばれていた、中は熱く、入れているデミアも、とてもいい。デミアは、汗で光るゲープの背中にキスをした。
「おれも、すげぇいい。……でも、ゲープおもちゃ使って広げてくれなくても、俺は、お前のこと愛してるぜ?」
すっかり腫れて、先端からたらたらとカウパーを零すゲープのペニスをデミアは握った。
「感謝してるけどな」
デミアは覆いかぶさったゲープの背中へと何度もキスしながら、柔らかく広がっているゲープの中で腰を回す。その動きに掘削を加えると、ゲープの腰がびくびくと震えた。
しかし、そこで、顔を真っ赤にしたままのゲープが睨むようにして振り返ったのだ。
「……お前、ここに、誰か入れた、だろ」
「はっ?」
もちろん、デミアには心当たりがある。
「とぼけるな。その肩の歯型は!」
「……これは、コニーだ。あの馬鹿が、噛みやがった」
時に、真実を吐き出した方が、人はうまく騙されるのだ。それにこれは、ゲープが心配する必要などまったくないことだ。
黒くなるほどついた歯型の訳を、顔をしかめて説明すれば、いつもの呆れた喧嘩の挙句の果てかと、当然のように誤解したゲープの体からは、ほっと力が抜けおちた。
「なんだよ。お前が、うちに帰ってた週末の間に、誰か連れ込んだのかと思ったのか? だから、こんなことしようと思ったのか?」
「……違うっ! 俺もどうせなら、気持のいいセックスが」
「了解。隊長」
ゲープの体は、すっかり中が出来上がり、どこを狙って突きあげようと、その喉から声を絞り出すことは可能だった。下腹からこみ上げる快感に蕩けている体を抱きしめて、デミアは初めて楽にセックスを楽しんでいるゲープをたっぷりと揺する。
「お前、すげぇ、良さそうな顔してる」
デミアは、大事なゲープをよくしてやれることを、心の中でこっそりとカスパーに感謝する。
「なぁ、ゲープ。それ、毎日嵌めなきゃならないってものでもないらしいぞ」
「……そう、なのか……?」
気の重そうな顔をしながらも、律儀におもちゃを持ってゲープが、バスルームのドアを開けようとしているから、デミアは幸せなのだ。
END
気が済みました。