「嫌だって言ってるだろう!」
「そう言うなって」
「触るなって言ってるんだ! 今日はお前とは口をききたくないんだ!」
ゲープが蹴り上げようとすると、その足を掴んで阻止したデミアは、しょうがないなぁとでも言いたげなまるで甘やかすような顔をした。
ただでさえ腹が立って早々にベッドへと引き上げてきたところに、年下のデミアにそんな顔をされて、ゲープはまさに業腹だ。
「離せ!」
「じゃぁ、口はきかなくていいから」
掴んだままの足首から始めてキスし始めたデミアにむかついて、ゲープは無視をした。布団を掴んで目をつむる。圧し掛かってきたデミアが鬱陶しくて、もがいたり、肘打ちを喰らわしたりはしたが、デミアの顔も見ず、口も利かない。
しかし、構わずデミアは事を進めていった。
ゲープの不機嫌な様子をまるで楽しんでいるかのような余裕をみせるデミアは、笑っているかのように曲げた肉厚の唇をゲープの背中へと押しつける。
ゲープが協力的でないため、寝まき代わりのTシャツは中途半端に胸を晒して肩のあたりでくしゃくしゃになっているし、短パンはきつく閉じられた足のせいで、まったく太ももから下りていない。
だが、男の急所は、足を閉じただけでは防ぎきれない部分に付いているのだ。
背中から抱くようにしてペニスを握ってきたデミアの手を、上から握りつぶす勢いで思い切り握り込んでギロリと睨みつけてやったが、デミアはにやにやしているだけだ。
「やっとゲープが俺を見た」
チュッっとキスしてきた厚かましい唇に、歯を剥いて敵意を示したが、その隙に、デミアは熱心にゲープのペニスを扱き始めた。
刺激を受ければ、そこは大きくなる。
ただでさえ、反応を示してしまうそこに、これ以上デミアを調子づかせてはと、せめてゲープが無視だけでも続けようと無反応を装うと、デミアは本当に厚かましく、なんと尻の谷間に手を這わせてきた。
きゅっとゲープが尻に力を入れて、尻山の間へと入り込もうとする手を拒んでも、デミアは尻を撫でまわしながら、隙を狙う。
やめろと睨むと、デミアが笑った。
「口をきいてもいい気になったのか?」
馬鹿にするなと腹に決めてやるつもりで繰り出した拳は、ねじり上げられた。
「残念、ゲープ。読めてた」
うつ伏せにされたその姿勢のまま、ゲープは晒した尻を持ち上げられ、さっさと挿入の準備をされ、そのまま入れられた。捩じられた肩が外れるほど暴れたせいでシーツは、大きな皺を寄せている。
デミアがここまで自分本位な行動をとることは滅多になく、ゲープは、屈辱のあまり、噛んだシーツの隙間から呻きを漏らした。
デミアは、ゲープの調子を窺いながらゆっくりと腰を動かし、ゲープの体が慣れ始めれば、思い切り揺さぶり始めた。もがいても、きつく締まった尻の穴に根元まで嵌まったペニスは抜けない。
デミアも、腰を引きよせ離さない。
こんなセックスなど絶対に嫌なのに、デミアは下腹を狙って抉るように腰を突き上げ、熱く鋭い快感でゲープを喘がせる。
怒りとないまぜになった興奮のせいで、ゲープの胸は、激しく上下する。
こんなにデミアが嫌いなのに、どうして俺は射精しそうになってるんだと、懸命に奥歯を噛んだが、いつもよりずっと短い時間で高みに追い詰められ、ゲープはいった。
飛び散った精液の量が、多い。
「皿から肉をかすめ取ったのと、チャンネル変えたこと、許してくれよ。なっ、ゲープ」
思わぬ高い満足を得、ゲープの体を、眠気が襲いはじめていた。
「……明日の朝になったらな」
日常の喧嘩