言わせてみたい

 

「なぁ、じゃぁ、ゲープ。したくないってなら、それでもいい。でも、じゃんけんで負けた方が、何かの方法で相手のこといかしてやるってのはどうだ?」

夕食後のテーブルの下で、デミアがゲープの太腿を撫でながらした提案に、ゲープは最初嫌そうな顔をした。

だが、しばらく考えをめぐらしていたかと思うと、どうやら悪いことでも思いついたようで、ちらりとデミアを見ると、笑って頷いた。

 

現在、ソファーに大きく足を開いたまま座っているゲープが、その時何を思いついてデミアの提案を受け入れたのか、大体のところ、デミアはわかっている。

デミアのいる位置は、ゲープの足の間だ。ゲープは、スエットを片方の足だけ抜いた、色っぽい格好で、気持よさそうにデミアの頭を撫でている。

デミアは、たっぷりと唾液を溜めた口内で、勃ちあがったゲープのペニスを吸い上げてみたり、舌先で、とろとろと先走りをあふれさせているゲープの尿道口をくすぐったりして、フェラチオでご奉仕しながらゆっくりとゲープを楽しませている。

提案から、5回連続デミアの負けだ。

そのたび、ゲープはこうして、一方的にフェラをされて、ひたすら気持のいい思いだけをしていた。

最初は、ゲープもこの続きがあるんじゃないかと疑っていたようだが、デミアは約束通り、見返りは求めなかったし、勿論、セックスにもなだれ込みはしなかった。

 

何度も続けて頭を前後させれば、デミアが撫でているゲープの白い太腿にぴくりと力が入る。

「っ、デミア……」

快感を長引かせようとする欲張りなゲープに、「ちょっと、やめてくれ」と言われれば、ちゃんとゲープが快感の山をやり過ごせるだけの間、待ったし、ちらりとゲープが目をあげて、続きを催促すれば、咥えた。

ゲープのように、ロッカールームでせしめてきたヌード本を、差し出してこれで抜けと言ってやれと思いつくような意地の悪いことも考えはしない。

ひたすら一方的に気持のいい思いを味わって、それで終わりなのだから、連勝中のゲープは、嫌がりもせずじゃんけんに応じる。

それどころか、大分寛容な態度もみせるようになっている。

「ゲープ。気持ちいいんだろ?」

まだ、快感を味わっていたいと欲張るゲープのために、いきそうになっているペニスから口を離したデミアは、ゲープの柔らかな内腿へと舌を這わせながら、自分のジーンズから取り出したペニスを扱いている。

「ゲープ。お前、すげぇ、色っぽい」

一切ゲープに迷惑をかけなければ、ご奉仕しながら、デミアがゲープのエロい姿で抜くのをゲープは許した。

デミアが自分のために、ゲープの腰にキスしたり、やわらかい尻の肉を掴んで揉むのも、それ以上の行為へと移らぬならば、気持がいいらしく、拒まない。はぁはぁと、小さく息を吐き続けながら、快感を溜めこんでいる下腹に力を入れて射精してしまいそうなのを一生懸命堪えている。

 

殆どいきそうなところまで一度追い詰められてしまったゲープは、まだ、ペニスを咥えられてはすぐいってしまうと感じているようで、デミアがそこへと顔を近づけると、きゅっと太腿に力を入れて拒んだ。

「まだ、待てって?」

笑うデミアを、目元を赤くしたゲープが睨む。

「いいだろ。気持ちいいんだ」

「いいんだけどさ」

とろとろの液体を先からこぼしてぴくぴくと勃っているペニスを、ペロリと一舐めだけして、デミアはゲープの腹にチュっ、チュっとキスを繰り返した。

縮れのきついゲープの陰毛の中へと鼻を突っ込み、嫌がられるのを承知で、思い切り匂いを吸い込む。

「ゲープの匂いの匂い、すげぇ、エロい」

ゲープの匂いに反応して、デミアの扱くペニスは、ゲープに負けないほどヌルヌルとし、下品な音を立て始めた。音を立てて匂いを吸い込んだ時には、一つ思い切り叩かれたが、勃っている最中のゲープの怒りはあまり持続しない。もう優しく、デミアの髪を撫で始めている。

「なぁ、ゲープ。すげぇ、好き」

デミアが、ゲープのペニスの根元へとキスを繰り返せば、腰を前に突き出すようにしたゲープが、ちらちらとデミアを見つめた。

「っ、……あ、の」

デミアは、片手で、ゲープの尻をしきりに揉みながら、自分のペニスを扱く手に力を込める。

「もう、俺、結構ヤバい。なんかさぁ、お前のことやりながらしてると、なんか、俺、毎回早くねぇ?」

照れたように言うデミアを、熱を孕んだような目をして、何かを訴えかけるようにゲープは見つめていた。

デミアは、にこりと笑って、ゲープのものを咥えなおした。

「なぁ、……デミア」

「うん?」

 

 

デミアは、ゲープの尻が、ソファーから浮き上がり気味なのに気づいている。

前回あたりから、ゲープはフェラされながら、もじもじと尻をソファーに擦りつけている。

いきそうだとデミアが漏らせば、とても切なそうな目つきになる。

 

深く咥えたペニスを、いかせるつもりで遠慮なく口内で締めつけながら頭を動かすと、ゲープが息を詰まらせた。

「デミア、あっ、……っ、いや、だ。……っあ!」

ゲープは体を丸めこむようにして、デミアに覆いかぶさって邪魔しようとした。

「こら、やめろって。なんで、ゲープ、まだ、足らねぇ? 俺、もう、いきそうだし、ゲープだって、もう我慢できねぇだろ?」

このまま咥え込めば、喉の奥を突かれる破目になるデミアは、一旦口から出すと、ゲープの体の下で、ペニスにキスを繰り返しながら尋ねた。

 

はぁはぁと荒い、ゲープの息が、結構長く、デミアの耳に吐きかけられた。

 

ごくりと唾を飲み込む音がした。

「……したい、んだ」

 

デミアはゲープの顔が見たくて、腹の下で顔を動かしたが、陰になり残念なことに真っ赤になって欲情しているはずの顔を見ることは出来なかった。

だが、ざりざりとデミアの髪が、下腹を擦っていったのにも感じたのか、ゲープの腹がヒクリと大きくへこむ。

さっきから、胸の鼓動はやかましく音を立て、腹だってせわしなく息を繰り返している。

どうやら、相当余裕のなさそうなゲープに、デミアは素早く掴んでいた尻の肉を離し、その指を谷間に滑らせた。

きゅっと皺の寄った小さな窄まりにたどり着くと、そこをカリカリと爪の表面で引っ掻くようにしながら、すっかり腫れあがっているゲープの先端にちゅっとキスをした。

穴が、きゅっと窄まる。

「ここに入れて欲しいのか、ゲープ?」

 

小さな頷きが返った。

 

「お前が、したいって言ったんだからな」

 

 

終わった後、ゲープは、数日がかりだったデミアの作戦にまんまと嵌められたのだということに、なんとなく気づいたようだ。

けれど、

「やめるなっ、やめないでくれ。もういいだろ?……なぁ、デミア、それ、それで」

解すために、指で中を撫でまわされているうちに、足をつっぱらせていったのはゲープだ。

それでも、まだ、入れてほしいとねだったのもゲープだ。

まだ十分に緩んでいるとは言い難いところへの挿入に少し不安があるのか、真っ赤になりながらも、自分から四つん這いになり、楽に入るよう息を吐いたゲープが見れて、デミアは、大変満足だった。

「……っん、……っは、あああ!」

たぶん、あの時は、ゲープも、十分満足していたはずだ。

 

 

後日。

「なぁ、ゲープ。お前さぁ、じゃんけんで最初に大抵グーを出すから、今度、なんかの作戦の時、振りわけでじゃんけんすることがあったら気をつけろよ」

「お前……それ、知ってて、なんで!」

「ついでに言っとくけど、お前がかっぱらってきた本じゃ、100倍も色っぽいお前の達き顔見慣れてる俺は抜けないぞ」

 

 

END

挑戦中。(4作目)