伯爵様と、カスパー様 2.6

 

カスパーの言葉に、むっと顔を上げたコニーは、更に機嫌の悪くなることをでも思い出したようで、目を吊り上げた。

「そういえば、聞きたいことがある。お前、実は酒癖が悪いだろ?」

「……?」

 

「夕べ、デミアの家に転がり込んだら、ゲープがいて、酷い目にあったんだ。……それで、やっと思い出した。お前とどうしてこんな風になったのか、どうしてもきっかけが思い出せなかったんだが、……思い出したぞ。カスパー。お前、酔うと人にキスするんだな?」

似合わないTシャツ姿のコニーは、大層かわいらしかった。

カスパーは、少しだけコニーから視線を外した。

「ゲープにそんな目に?」

「すごかった。いるとは思わなかったから、ベッドに潜りこんだら、行き成り起きて、襲い掛かってきて、しかも、俺だとわかると、むっとして押しやがった……」

「やっぱり、ゲープは、デミアがお気に入りか?」

「知るか。しつこいぞ。あいつ。デミアが起きるまでキスし続けて、起きたら起きたで、寝ぼけてる相手に、本気を請求しやがる。それで、気が済めば途端に寝息だ」

 

二日酔いを残すのか、機嫌の悪そうな顔のゲープがロッカールームに現れた。

後ろを付いてきたデミアは、いつもどおり笑顔で、その後ろを歩く、フランクをからかっている。

 

 

「コニー、……デミアの家の鍵を返せ」

 

 

END