伯爵様とカスパー様 1.5
山岳演習からの帰り、チーム50と一緒に組んだ20の男達は盛り上がっていた。
「結構ウサギがいたな」
「前の班がちょうど巣穴を踏み抜いたんだろうな。ちょっと驚いたな」
「ああいうのも食ったら上手いのか?」
何気なく声をかけられ、カスパーは少し困ったように静かに笑った。
「小さい頃、うさぎを飼ってたから、食うのは苦手なんだ」
そうかと、男たちの視線は自然にカスパーを離れ、いかにも珍しいものを食べていそうなチーム50のサブリーダーへと注がれた。けれど、コニーは、まるでくだらない話には参加したくないと誤解されてもしょうがないほどの態度で、自分は話を聞いていなかったとでも言うように、急にくるりと背を向けた。
珍しくロッカールームから早々に退散しようとしていたコニーを追った、カスパーがその腕を掴んだ。
驚いたように目を見開き、コニーが振り返る。
「……コニー、一応言っておくが、駐車場に捨てウサギがいるのは、捨てヒマラヤンがいるよりずっとありえないからな……」
END