ゲープハルト・シュルラウの白雪姫

 

これは昔のおはなし。

とある森の中に、美しい姫君が住んでいました。

朝日が木々の緑を優しく照らし始めます。ゲープは、もう起きているようです。

「おはよう! さぁ、朝だ。今日も元気に働くぞ!」

夕べも遅くまで働いた小人さんたちは、筋肉痛で痛む体を辛そうに起こします。血圧が高いのか、朝からただ一人溌剌と元気なゲープは、次々と小人たちの布団を剥いでいきます。

「どうした? 皆、元気がないようだぞ?」

ゲープは本当にいい子なのですが、小人さん達はこっそり彼女を拾ったことを後悔しています。新しい妃が彼女を森へと追いやるまでは、お城で蝶よ花よと育てられたはずだというのにゲープときたら、やたらと勤労意識に溢れているのです。額に汗する労働を愛し、小人たちの仕事に協力する気持ちを惜しまず、のんびり彼らが十年計画を立てていた坑道掘りも、雨の日も風の日も、かわりなく笑顔で送り出す(蹴り出す?)ゲープのために、どうやら7年で終わりそうな勢いです。おまけに、ゲルマン気質のゲープは、やたらと規則正しい生活を好みます。

元気がないようだと心配しながらも、朝だ、朝だと、自分ひとり元気良く小人たちをベッドから追い立て、鳩時計の針が6時を差す前には、テーブルに向かわせます。キッチンからはカレーの匂いがします。1年、365日毎食カレーです。お城育ちの姫君が唯一作ることができるのがこれだったのです。365日×3食×およそ5年……ゲープのカレーはおいしいですが、もう小人たちは、カレーの匂いを嗅ぐのも嫌です。けれど、ゲープが笑顔でカレーをつけて勧めてくるので、涙ながらに、小人たちはカレーを食べます。せめて、腹が減れば美味しく食べられるかもしれないと、小人たちは、労働に精を出し、夜遅くまで作業を続けるのですが、すると、ゲープは、一生懸命働いているのだからと気遣い、大盛りにカレーを盛って出します。悪循環です。筋肉痛にも苦しむ小人たちは、朝日もまぶしい朝食のテーブルにつきながら、今日も無言のままカレーを口に運んでいます。毎日カレー臭の漂うテーブルに挿された花が、朝の光に、つぼみを震わせます。

 

「行ってくるよ。ゲープ」

カレーを食べ終えた小人たちは、まるで強制労働にでも向かうかのように足取り重く森の中へと足を踏み出します。

「頑張ってこい。お昼には、カレーを届けるからな」

毎日カレーなのですから、言う必要もないことを口にするゲープは、7時を知らせる鳩時計の音を聞きながら、今日も遅刻なく皆を送りだせたことに、満足の笑みを浮かべています。

「知らない人が来ても、話をするんじゃないよ」

「わかってる」

 

小人たちを送り出したゲープが、その後することは、沢山あります。お掃除、お洗濯、お城育ちのため、手際がいいとは言えませんが、熱意を持って取り組むことを、ゲープは信条としています。そのため、たまに、床にワックスが掛かりすぎて小人たちがすべって転ぶ破目になったり、服に穴が開いたりもしますが、そのあたりについて、5年も一緒に暮らす小人は、もう何も言いません。

手始めに箒を握ったゲープは、どの辺りから掃除をし始めるか決めるため、部屋の中央でくるりと一回ターンをしました。長いスカートがふわりと広がります。勿論、ウエストは、総ゴムです。

そして、部屋の端から掃除を始めようと決めたゲープの周りには、手伝いをしようとする森の動物たちが集まってきました。ただでさえ、量がちょっと心配なゲープの短い髪に悪戯をした鳥が、小難しく注意をされて、小人の寝巻きをくちばしでたたみ始めています。

リスは、ゲープルールに従い、右側通行でコップをたっぷりと水を溜めたキッチンの桶へと沈めるため、運びます。

いちいち口うるさいですが、皆、ゲープが大好きなので笑顔です。ああ、そういえば、真っ先に部屋へと駆け込み、一旦停止無視とスピード違反を注意されたイタチは、それでも、まず窓を開けました。動物たちも、この家にいつも漂うカレー臭に、閉口しているのです。

勤労精神を愛するゲープは、掃除に取り組みながら、歌を歌いはじめました。お伽噺のお姫様としては、これは、定番の行動です。いえ、たしなみと言ってもいいかもしれません。楽しげに歌う美しい歌声に合わせながら、動物たちとダンス。ファンタジーの住人としては、この位は当然です。

しかし、ゲープが歌い始めようと息を吸い込むと、慌ててリスがその口を塞ごうと肩をよじ登り始めました。けれど、小さな体では間に合いません。

歌声が朝日で輝く部屋の中に響きます。しかし、ゲープはひどい音痴なのです。

「悪かった……」

ワンフレーズ歌ったところで、ゲープは、がっくりと肩を落としました。

顔を引き攣らせながらも、健気に笑い返す動物達は、付き合いというものを心得ています。お姫様らしくなろうと、あくなきチャレンジを繰り返すゲープを応援する気持ちはあるのです。

「ゲープ。お掃除が済んだら、花を摘みに行こう!」

「森の奥に、素敵な白い花が咲いてるんだよ!」

 

そんな平和な日々を過ごすゲープをじとりと見つめる目がありました。

「鏡よ、鏡よ、鏡さん、この世で一番美しいのは、誰?」

「それは、森に住む、ゲープでございます。ご主人様」

美しく磨かれた鏡の表面には、総ゴムのスカートで動物たちと森を歩くゲープの姿が映し出されます。ストーカーの盗撮というわけではありません。魔法です。

笑うゲープの顔に、思わず笑み崩れそうになる魔女=デミアは、慌てて顔を引き締めました。デミアは、この国の新しい王妃であり、ゲープの継母であり、そして、ゲープを森へと追い出した張本人です。

しかし、デミアは、自分の軽率な行為を深く悔やんでいました。

これほどかわいくゲープが育つとは思ってみなかったのです。マニア好みの感はありますが、雪のように白いゲープの肌、思慮深そうな茶色の目、少し広めの額に、油断のある顎の下。大抵むっとしているかのように見える顔の中に、まるで赤子のように尖った愛らしい唇があります。笑顔のとき、その唇から覗く前歯の愛らしさといったら!

総ゴムにするしかスカートが入らなかったウエストや、じゃれかかるリスが埋もれて弾む柔らかそうな筋肉があまりに美味しいそうで、デミアの目は嘗め回すように見つめます。

「もう一度聞くぞ。鏡よ、鏡よ、鏡さん、この世で一番美しいのは、誰?」

「それは、森に住む、ゲープでございます。ご主人様」

「くそっ!やっぱ、そうだよな! どこを探してもゲープ以上にかわいい娘なんて、どこにもいないよな!」

「ええ、そうでございますとも。ご主人様」

もう、100万回も、デミアと鏡は問答を繰り返しています。

鏡は、ちょっと、飽きています。そして、時々、本当に森のあの娘が世界で一番美しいのだろうかと、疑ったりもするのですが、ゲープと答えておきさえすれば、ご主人様が満足なので黙っています。

ちなみにその時、鏡の中のゲープは、森で拾った木々で、暖炉に使うための薪割りを始めていました。

豪快に薪が飛んでいます。直撃を避けるため、リスが逃げ回っています。そんなゲープを見つめるデミアの目は、蕩けきっています。

「ゲープ、なんてかわいいんだ……もう辛抱できねぇ……こうなったら、アンホフのジジイをさっさと呪い殺して、あのかわいいゲープを妃に迎えてこの国を乗っ取り直す」

そうです。ゲープの継母は、ただのゲープマニアではなく、恐ろしい魔女でもあるのです。

恐ろしい計画を立てる魔女は、自分が追い立てた娘の操を狙っています。あ、その前に、現国王であるアンホフさんの命も狙っているみたいですが。

 

そんなことを知らないゲープは、薪割が終わり、暑いとばかりに盛大にスカートをたくし上げ、ばざばざと風を送り始めました。真っ白な太腿が豪快に晒されます。

「た、たまんねぇっっっ!」

鼻血が鏡に付きました。デミアが吹いた鼻血に魔法の鏡は迷惑そうです。

未だ太腿を晒して涼を取るゲープに齧り付かんばかりのデミアは、鼻血をたらしながら、計画を練り上げました。

「アンホフのジジイは、あれで結構元気だから、毒殺しようとしても時間がかかる。仕方ない。少しばかりゲープには眠っていてもらって……」

 

 

「きれいなお嬢さん、林檎を一つ差し上げよう」

「いいのか、おばあさん?」

人を疑うことを知らないゲープは、小人たちの言いつけを思い切り破ってしまいました。

どっからどう見ても怪しい老婆の差し出す林檎を嬉しそうに受け取り、もう齧りつこうと健康的な白い歯を覗かせています。

間近で生ゲープを拝む興奮のあまり、震えてしまうデミアの様子を見ていても、老婆の健康状態を心配するほどです。

「おはあさん、俺より、あんたが食べたほうがいいんじゃないか?」

「いいや、いいや。林檎だって、あんたみたいにきれいなお嬢さんに食べてもらうほうが嬉しいに決まってるよ」

ゲープは、カリっと爽快な音を立てて、真っ赤な林檎を口にしました。

そして、魔法にかかり、まるで死んだように眠り込んでしまったのです。

その後、いつまでもカレーを届けにこないゲープを不審に思った小人たちは、森の中に倒れているゲープを発見するのですが。

 

 

えっと。

 

実は、いつまでたってもカレーを持って現れないゲープが、倒れているのを小人たちが見つけ、悲しみにくれだす前に、少し余談があります。

ご披露しといてよろしいですか?

 

 

林檎を口にするゲープを見ていた老婆は、ゲープが倒れそうになるなり、その体が地面へと崩れ落ちる前に、ぎゅっと抱きかかえて、そっと寝かしました。

デミアは、そのまま立ち去るべきでしたが、つい、ゲープの柔らかな頬を撫でてしまいました。

最初は、いとおしむようにふっくらとした頬を撫でていただけだったはずなのに、次第に目的が怪しくなり始め、顔中を撫で回し始めました。

なんだか、息が荒くなってきています。閉じられたゲープの睫は、デミアの荒い鼻息でふわふわと動いています。

「なんてかわいいんだ。ゲープ!」

とうとうふらちにも撫で回す手は、顔だけでなく、首を伝い次第に体へと移っていきました。意識のない清らかなゲープの体は、変質者めいたデミアの手で蹂躙されてしまいます。よく鍛えられた厚い胸板を、いやらしく撫で回す指に、ゲープの小さな乳首は、ドレスの下でぴくんと立ち上がってしまいました。

どうやら、感度は良好のようです。

意識がないというのに、喘ぐようにうっすらと唇を開けるゲープの下腹に向かって、じわじわとデミアの手は動き始めています。

総ゴムのウエストは、もう越えてしまいました。薄いドレスの下のふっくらと膨らんだかわいらしい丸い腹を擦っては、デミアはうっとりと目を細め、肉付きのよい腰のさわり心地には、目尻が下がりっ放しになっています。

「かわいい。かわいいぜ。ゲープ」

しかし、ロマンティストのデミアには、越えられない一線がありました。

最愛のゲープを得るため、国王であるアンホフを殺るのはオーケーですが、ゲープの処女を意識のない状態で犯ってしまうなんてのは論外なのです。

ふっくらとあまりに気持ちのいいゲープの体のさわり心地に、思わずスカートの腰を持ち上げ、たっぷりとした尻を揉んでしまいましたが、そこでデミアは歯を食いしばり、悪戯をやめました。

いえ、立ち去ろうと一旦ゲープの側を離れたのですが、慌てたように戻ってきて、スカートを捲り、将来の花嫁の下着チェックは怠りませんでした。

「イチゴ柄かよ! ゲープ!!!」

眠るゲープの側には、鼻血で出来た不審な地溜まりが残されています。

 

 

さて、本筋に。

 

いつまでもカレーを届けにこないゲープを不審に思った小人たちは、森の中に倒れているゲープを発見しました。

どうやっても目覚めないゲープの側には、血溜まりと、一口齧られた林檎。

ただならぬ事件性は感じますが、ゲープの食い意地が張っているということも証明しています。

 

 

小人たちは、365日付きまとうゲープのカレーから解放されたひそかな喜びを胸の奥で感じながらも、笑顔のかわいかったあの子がどうしようとも眠り続けることに、おいおいと泣き暮らしました。

動物たちも、音痴なゲープの歌に付き合わされることがなくなったことに、ほっとしながらも、働き者で優しかったお姫様がいない毎日に、すっかり寂しい思いをしています。

 

 

森のものであれば誰でもゲープのことが見られるようガラスで作られた特別な入れ物の周りには、いつも、動物か、小人たちがいました。

ゲープは眠り続けています。

そうです。残念ながら、国王アンホフさんは、大変健康に気を使う方だったため、予防に余念がなく、いろいろな薬草を煎じさせては飲んでいる健康オタだったため、なかなか、デミアの調合する毒薬が効かないのです。

 

 

大事なゲープをいつまでも放置プレイのままにしておくわけにはいかないと、お城でデミアは、必死に陰謀をめぐらしていましたが、そうこうする間に、森には、王子様ご一行が通りかかっていました。

馬上のコニー王子は、思いもかけずガラスの棺で眠るゲープ姫を見つけてしまって、思わず目を泳がせています。

 

「コニー王子、あれは、姫君ではありませんか!」

従者のフランクは、元気良く大きな声を出しました。

その声に、ゲープの棺に寄り添っていた鹿がその声に振り返ります。

眠るゲープ姫を見なかったことにして通り過ぎてしまうわけにはいかないだろうかと、ぐるぐる考えていたコニーのハンサムな顔は、いつもどおり、あまりに空気を読まないフランクに引き攣りました。

しかし、鹿がつぶらな目でコニーを見つめます。

けれど、コニー王子の好みは、ガラスの棺で眠るゲープ姫のようなむっちりタイプではなく、すらりと背の高いがっちりタイプ、はっきり言ってしまえば、もう一人の従者であるカスパー・ラインドルなんかなのです。

勿論、身分に差のある二人の恋は許されるはずもなく、いえ、実を言えば、その前に、近隣諸国に鳴り響く美貌のコニー王子がいくら頑張って口説いても、なかなかカスパーが落ちてくれなくて、それでもあきらめ切れない王子は、夜這いのチャンスを求め、カスパーを引き連れた旅に出ていたのでした。

フランクはおまけです。

しかし、そのおまけのせいで、コニー王子は、思わぬ人生の崖っぷちに追い詰められています。

 

ガラスの棺で眠るプリンセス。

御伽噺の王子として、このままキスせずに済ませることなどできるはずもありません。

しかし、カスパー狙いのコニーからすれば、キスをして、もしプリンセス・ゲープが目覚めてしまったら……?

 

自国の王子であるコニーが、プリンセスにかけられた魔法を解くかもしれないと、フランクは、期待に目をキラキラさせています。

鹿も、縋りつくような目で、王子らしい振る舞いをコニーに求めています。

格好いい王子のスタイルを守りつつ生きてきたコニーのプライドは、気付かなかったとしてやり過ごせなくなった今、たかがキスをせずに逃げ出すこともできません。

しかも、コニーは、ちょっと期待して、カスパーを振り返ったのですが、つれない彼は嫉妬するどころか、相変らず感情の読み取りにくい、いつもの顔のままでした。

あっ、違います。なんだか、カスパーの青い目が熱心にゲープ姫を見つめています。落ち着いた表情はそのままですが、むっちりとしたゲープの体を視姦しそうな熱っぽさがその目には宿っています。どうやら、カスパーは、きらきらとハンサムなコニーより、ちょっと地味系、ただしむっちりもち肌のゲープの方が好みのようです。

それに気付いたコニーは、大慌てで馬から下りました。

言い難いのですが、相手に意識なくても問題ないというか、実は、ちょっと特殊な性癖をカスパーは持ち合わせており、……けれど、コニーはそんなでも、カスパーが大好きなのです。

 

イヤイヤなだけに、きらきらとハンサムな顔を強張らせ、コニーは、ゲープに唇を近づけていきます。

王子とプリンセスの唇はもう触れ合いそうです。

 

ちょうどその時、何度毒殺しようとも、タフに立ち直ってくるアンホフ国王相手に多大なストレスを感じて、ゲープに癒しを求めようと、魔女デミアは、魔法の鏡を眺めました。鏡の中では、許可なし24時間ライブ中継中のゲープの唇がどこの馬の骨ともしれない王子によって蹂躙されようとしています。

勿論、デミアは、魔法を使ってすぐさまゲープの元にかけつけました。

それは、コニーの唇がゲープに触れる前の、ほんの瞬き一つの間のできごとでした。

 

いきなり現れた王妃に、思い切り突き飛ばされたコニー王子は、自分に何が起こったのかわかりませんでした。

おまけに、その王妃ときたら、プリンセス・ゲープに、チュウチュウ吸い付いて、キスをしています。

呆然と目を泳がせるコニー王子は、ハンサムだし、頭もいいのですが、突然のことにはちょっと弱い性質です。

ぴくりと、ゲープの睫が動きました。

「えっ?……お義母さん?」

ゲープは定番通り、キスで目覚めたのですが、夢見ていた初チューの最中であるデミアは、ゲープの唇から覗くかわいらしい舌を吸うのを止められる状態ではありませんでした。溜まった思いを込めたキスは、どんどんと情熱的になっていき、身を起こそうとしていたゲープの頭は棺の中へと押し戻され、上に圧し掛かるデミアのせいで、体だって動きません。デミアの手は、あの時のように、薄いドレスの下のむっちりとしたゲープの体を楽しむように、いやらしく撫でていきます。

「……っぁ」

もう、小さく乳首が立ってしまいました。やっぱり、ゲープは感度がいいようです。

かわいらしい喘ぎを漏らした唇にキスをしたまま、総ゴムのスカートを捲り上げ、イチゴパンツの下のふくらみを、デミアが撫で回します。

「かわいい。かわいい、俺のゲープ!」

「……お義母さん、俺、あなたに嫌われているとばかり……」

長年の誤解が解け、心温まるような会話がなされていますが、はぁはぁと鼻息も荒いデミアの手は、ゲープのイチゴパンツの中に進入しています。金の陰毛に埋もれたペニスを握るデミアに、はじめての快感を味わうゲープの腰がよじれます。

「……お義母さん、ダメです。そんな、ダメ」

刺激に勃ちあがってしまったゲープのものの先からは、じんわりといやらしい液体があふれ出し始めています。

やはり、デミアはかなりのテクニシャンのようです。

 

小さく聞こえたゲープの声に、喜び勇んだ小鳥たちがピチピチと森じゅうに、プリンセスの目覚めを知らせながら飛んできました。

カスパーと違って、意識のない相手をどうこうするのは、デミアの倫理に反するようですが、青空の下、衆人環視の環境で、ゲープのバージンを奪うことは、全く問題ないようです。

鳥や鹿、その上、王子の従者たちにガン見されながらも、ゲープの感度のよさに感動するデミアの手は、追求を緩めず、大きな尻の谷間にある小さな穴をすばやく丹念に解しています。

「……んっ、っ、……っぁ!」

ずぼずぼと埋められる指に、広げるように中から擦られる経験のない気持ちの良さに、ゲープの真っ白な太腿はピクピクと動きました。

ちなみに、デミアがゲープの太腿を抱え込む状態になっても、急激な状況変化に弱いコニー王子は、まだ目を泳がせています。

「ゲープ、好きだ。大好きだ!」

「んっ、痛っ……ん、痛っいいいっっ!」

義母に遠慮し、抵抗らしい抵抗もしていなかったゲープですが、デミアのおおきなペニスがメリメリと入り込む状況にはとうとう蹴りがでました。しかし、テクニシャン、デミアは、蹴られながらも、白桃のような、ゲープの丸い尻の小さな窪みを、すばやく貫いていました。あんなに小さかったはずのゲープの窄まりが、ずっぽりと太いものを咥え込まされています。

ぽろりとゲープの目から零れ落ちた涙を唇で吸いながら、初心者向けにデミアは、優しくゲープを揺すります。

「好きだ。ゲープ……」

縮んでしまったペニスを弄られながら、前立腺を刺激するように入り口付近の浅い部分を内側から擦られ、ゲープの白い肌がうっすらとピンク色に染まりはじめました。

「っぅ……っはぁ、……んっ、っ、」

「……っぁ!! ……っア!」

集まってきた森の動物や、そして、ゲープを心配し続けていた小人たちの前で、ゲープは、色っぽい喘ぎ声を上げています。

動物や、小人達は、喜んでいいのか、悲しむべきなのか、すっかり困惑しています。

突き上げが本格的なものになっても、やはり、デミアが相当なテクニシャンなようで、ガンガンと揺すり上げられるゲープは快感に喘いでいます。

「んッ、っ……い、イイ」

覚えのいい足は、デミアの腰を引き寄せるように絡んでいました。

「……っぁ、いきそう、いきそうなんだ。デミアっ……!」

「ここだろ? ここ、擦られるのがたまんないんだろ、ゲープ?」

 

 

 

その後、やはり、健康オタであるアンホフ国王を毒殺することが、かなり困難であると諦めたデミアは、国王が老衰で死ぬまで待つことにして、森の中でゲープと暮らし始めました。

継母は、最愛の愛娘に毎朝、きっちり6時にたたき起こされます。

そして、365日、毎食カレーです。

 

「ゲープ、夕べ、足りなかったか?だから、お前は、朝からそんなに元気なのか?」

カレー臭の漂う朝の部屋で、からかわれるゲープは、真っ赤です。

「うるさいっ! 早起きは、俺の習慣だ!」

仲直りには、キス。キス、キス、キス。

お伽噺ですから、キスで全ての物事は、上手くいくはずなのです。

しかし……。

すっかりいいムードになって、朝っぱらから、かなり濃厚なフェラをされていたゲープは、自分だけイキ、ふと時計を見上げると、デミアの体をベッドから蹴り出しました。

ゲープは、規則正しい生活と勤労を愛しています。快感の余韻で、匂いたつような色気が漂ってはいるのですが、やはり、ゲープは、ゲープです。

「早く用意しろ、仕事に行く時間に遅れるぞ、デミア!」

 

 

 

ところで、通りすがりのコニー王子ご一行様は、その後も旅を続けているようです。コニー王子が、カスパーを口説き落とせたのかどうかは、誰も知らない秘密の話。

 

 

END