ファルク×ゲープ 4
汗で軽く湿ったアンダーウエアーがわりのTシャツの裾から見えている尻の肉を両手で掴んだ。デミアの部屋で恋人同士のようにセックスしたと言いながら、平気で別の男のものまで、根元まで咥え込んでいる部分がよく見えるように、親指に力を入れ、白い尻肉を割り開く。くすみのある赤色をした窄まりは、ファルクのものを食い締めていっぱいまで広がっている。
急に尻を持ち上げるようにして開かれたせいで、立ったまま後ろから突き上げられている不安定なゲープの体はバランスを崩し、更に前かがみになった。
「おい、ファルク!」
慌てて机についていた手で体を支えたゲープは、手の平の下で折れ曲がった資料の表紙に口元を歪ませる。
咎める声を出しても、性急に押し入った癖にファルクは繋がった部分を温度の低い目でじっとみつめていた。ゲープは落ち着かない。
「なんだよ?」
「なぁ、ここ、どうやってデミアに広げさせたんだ?」
全く手間無く挿入を許したそこは、抜き合うだけの関係と割り切るなら、解す手間が面倒なほど、普段固い。
皺ひとつ残さず広がり、ファルクのものを飲み込むヌメった肉を押し上げるようにして、ファルクはゲープを何度か揺すった。
「あいつ、何だかんだ言って、お前のチームで一番モテるだろ。こっちがいいから、女があいつに付きまとうんだろ? お前相手でもそうだったか?」
ファルクは、優しく、だが熱を込めて丹念にゲープの狭い部分を広げようと夢中になって指を使うデミアを簡単に想像することができた。ファルクのものを飲み込み、ぎゅっと締めつけてくる窄まりは、傷一つない状態で柔らかく解れていた。
抜き身のものが深く嵌まっている今、最早広げてやる必要はないが、事前するマッサージのようにファルクは指をすべらせ、広がった穴の縁を辿ってみる。軽く揺すり上げられるだけでも、噛んだ唇の間から、殺せない息を喘がせていたゲープの体がびくびくとひきつった。きゅっ、きゅっと忙しない収縮を繰り返す孔口が、予想もしなかった刺激へのゲープの焦りを伝える。
引き抜くのに合わせ、めくれ上がった赤い粘膜をぐるりと辿ると、あっ、と、声が漏れた。いつも手早く済ませるために手の込んだ愛撫などゲープに施したことがなかったファルクは、繋がったそこに触れられるのに、こんなにゲープが感じるのは元々感じやすいせいなのか、アズランに抱かれて愛のあるセックスとかいうものを体験したせいなのかわからない。
ファルクはゲープの背に覆いかぶさり、耳もとへと口を寄せた。短いゲープの髪から汗の匂いがする。耳の色が赤い。
デミアは、ゆっくり指で広げてくれたか? それとも、
「舐めて解してくれたか? 尻の穴、舐められるのなんか初めてだったろ? どうだった?」
急に首をねじったゲープが、きっ、と睨んできた。
「よかったっ!」
凄むように吐き捨てたゲープは、だから、何なんだと、根掘り葉掘り聞きたがるファルクを睨んでいる。
苛立つ目元は、色気があった。
「……へぇ」
ファルクは軽く口笛を吹いた。それから、軽口を断つためだとしても、満更それだけでは言えない感想を口にしたゲープの耳の後ろへと唇を押し付け、そっとキスした。
抱え込んだままのたっぷりとした腰を揺する動きを再開する。
「なんだよ。怒るなよ。生真面目なチーム50の隊長が、自分の部下のものを、尻に咥え込んだなんて言われちゃ、どんなだったか知りたくなるってもんだろう?」
耳の穴の中にいやらしい言葉を流し込むようにしながら、ガツガツと強めに湿った肉の狭間を突きあげれば、ゲープの目がぎゅっと瞑られ、尻は今ですらファルクを楽しませているというのに、さらに力が入って、最高の締め付けを味あわせてくる。
「お前、尻の穴を舐められるのがいいのか……へぇ、どうされるのが良かったんだ? 中に舌を突っ込まれて舐められるのがたまらなかったのか? デミアはどうやって、舐めるんだよ? 今度からは、俺もそうしてやろうか?」
突き上げのたびに、胸に付くほど、ぐっと下げられたカクカクとゲープの頭が揺れた。唇を噛み、なんとか、ゲープは声を耐えている。だが、前に手を回せば、熱く勃ち上がったものは、先端をぬらしてピクピクと揺れている。
「なぁ、ゲープ隊長は、5つ以上も年下の自分の部下とどんな体位でやったんだ? ここで簡単に済ませるみたいな、尻だけ出して、立ったままバックからやるなんてのじゃないのをやったんだろ? ああ、一回俺達も机の上で正面から繋がったことがあったよな? あん時は、机が壊れそうになったよな。告白なんてものをして、ゲープをベッドまで連れてったデミアは、やっぱ、ノーマルな体位から始めたのか?」
「うるさいっ」
切れ目なく続くファルクの声を嫌って首を振るゲープは、なんとか体を前に逃がそうとした。
だが、ファルクはそんなゲープの体ごと、机へと押しつけるようにしてのしかかる。
「お前、後からされるの、好きだろ?」
ここ、ここんとこ、ねじ込んで、突き上げられるの大好きだもんな。
「四つん這いになって、後ろから突っ込んで貰ったか?」
「……っ、やるならっ、黙ってやれ、っん、ファルク」
力強く、意図的に、濡れて絡みつく場所の特定の箇所をファルクが狙うせいで、せつないように眉を寄せたゲープの口が半開きになっている。
ファルクはアズランの名のある配置名簿を押しつぶすゲープの頬を伝う汗を舐めた。
「照れるなよ。ゲープ。あいつにもナマでさせたのか? 何回やったんだ?」
(つづき)